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【観戦記】2024年WEC富士③ スタートシーンとハイパーカー8台撮り比べ 決勝前半編

今回も2024年9月15日に開催されたWEC富士6時間の観戦記。今回はグランドスタンドで決勝レースのスタートの様子を撮影し、その後はGRコーナーでハイパーカークラスに参戦する8台のマシンをじっくり観ていきたいと思います。

ちなみに2024年WEC富士観戦記を最初からご覧になりたい方は、下記のバナーからどうぞ。

レーススタート!耐久レースなのに序盤からアクシデント勃発!(グランドスタンド)

WECの正式名称はFIA世界耐久選手権。その名の通り耐久レースなので、決勝レースはF1やスーパーフォーミュラなどとは比較にならないほど長いんです(WEC富士は6時間)。

ということで様々な場所で観戦をする予定ですが、まず決勝スタートはグランドスタンドで見届けます。

スタート前セレモニーが終了し、ル・マン式スタートを模したダミーグリッドからまずポールポジションのキャデラックがフォーメーションラップに出発し、2番手グリッドのトヨタガズーレーシング7号車も出ていきました。

セーフティカーに先導されながら2周目のフォーメーションラップへ。

そしてル・マン24時間でもお馴染みの『2001年宇宙の旅』のテーマソングが流れ始めました。さあ、まもなくレースがスタートします。

マシンの間隔が一気に詰まりハイパーカーたちが牽制。

シグナルがグリーンに変わり、ハイパーカーが轟音を響かせながら一気に加速します!

耐久レースなのにこの車間距離はちょっと詰めすぎじゃない??

そしてLMGT3クラスもスタート。6時間レースが始まりました!

1周目は大きなトラブルなくレースが進行しますが、2周目の1コーナーで多重クラッシュ。原因はハイパーカーの黄色いフェラーリ(AFコルセ)が追突してしまったため。

6時間の耐久レースでしょ? そんな焦らなくても・・・。

WECでは序盤からこのような先陣争いが行われますが、なぜ?

考えてみると、レースの世界、とりわけWECのハイパーカーに参戦するドライバーはジュニアフォーミュラなどスプリントレースからキャリアをスタートしているため、序盤からガンガンポジションをアップさせないとすぐにレースが終わってしまいます。

耐久レースで序盤からアグレッシブに行くのは、それが染み付いているのか、と。知らんけど。

まあ、そんなことでしばしセーフティカーランが続きます。

ポルシェ5号車は1コーナーでぶつけられたのか、緊急ピットインしてリヤカウルを外します。

フェラーリ51号車はピットウォールにマシンを寄せて急減速。おそらく写真を撮ってマシンの破損具合を確認しているのでしょう。F1でもよくある光景ですね。

レース開始から18分、残り5時間42分からレース再開。

ホールショットを決めたキャデラックが首位をキープし、2番手に伏兵BMW 15号車が続き、フロントロースタートだったトヨタ8号車は3位に後退。その後トヨタ8号車はポルシェ6号車にも抜かれ4位に・・・。

過去10大会で9度の優勝を誇る地元トヨタですが、今年はペースがイマイチのようです。

1時間ほどグランドスタンドで観戦し、レース展開が落ち着いてきたのでGRスープラコーナーに移動します。

グランドスタンドを出るとチームWRTの専用カートが駐車中。チームスタッフの移動用なのか、それともゲストのためのものなのか、いずれにしてもプライベートチームがこのようなカートをレンタルしていることにちょっとびっくり。

もっと驚いたのがこちら。グランドスタンド裏にハーツチームJOTAのブースが出店していました。

ハイパーカーに参戦するも自動車メーカーと関わりのないプライベートチーム。なのにここまでやる??

後ほど紹介しますが、今回ハーツチームJOTAのマシンには日本語で『ジョタ』と書かれたWEC富士専用仕様の表記を用意してくれました。日本人としてはちょっと嬉しいですね。

GRスープラコーナーで新型ハイパーカーをじっくり撮影

GRスープラコーナーに到着すると、ご覧の通り今までのWEC富士では考えられないほどのアマチュアカメラマンの数。日本でもWECファンが増えていることは嬉しい限りです。

ではちょっとおじゃまして、まずは今年WECに初登場したハイパーカーを中心にじっくりマシンを観察してみましょう。

キドニーグリルが特徴のBMW M Hybrid V8

こちらがBMWのM Hybrid V8。シーズン序盤は苦戦を強いられていましたが、現在トヨタを従えて3位と好調。リザルトは2位と参戦以来初の表彰台を獲得しました。

マシンはダラーラがLMDh規定で設計されたマシン。

LMDhマシンは市販車をイメージするようなエクステリアにするよう定められていますので、BMWの代名詞であるキドニーグリルを前面にしっかりとデザインされています。個性的ですね。

ランボルギーニSC63は市販車同様に直線基調

こちらグリーンのマシンはランボルギーニSC63。BMW同様にLMDh規定のマシンで、ランボルギーニらしい直線基調の角張ったデザインが特徴です。

名車A110を彷彿とさせるアルピーヌA424

明るいブルーのマシンはアルピーヌA424。こちらもLMDh規定のマシンです。

他のマシンには無いデイライトが、名車A110を彷彿とさせますね。

アルピーヌは2021年にハイパーカークラスに参戦(マシンはLMP1)しており、3年ぶりの復活参戦となります。

多くのハイパーカーが自社メーカーのエンジンを搭載する中、アルピーヌはこのブランドを所有するルノー製ではなくF1ファンには懐かしいメカクローム製。

どうやらF1のアルピーヌも、搭載するルノー製パワーユニットの主要部品の製造や組み立てをメカクロームがしているようです。

新規参戦のハイパーカーはどの車両も独自のエクステリア。ワンメイク化が進むモータースポーツの中で、各マシンが大きく異なる外観もWECの魅力のひとつです。

続いては昨年以前から参戦するハイパーカーです。

ブラックに一変したトヨタGR010 HYBRID

こちらはおなじみトヨタGR010 HYBRID。WECが主戦場のトヨタはLMH規定で製造されています。

登場がハイパーカー元年の2021年ということでかなり設計が古くなっていますが、年を重ねても速さに陰りはありません。

ただ今回もBoPはどのマシンよりも厳しい数値ということで、レースでは苦戦を強いられています。

そんなGR010 HYBRIDは、前年までのホワイトとレッドのカラーリングから、今シーズンベースカラーをブラックに変更。理由はライバルに赤白マシンが多く見分けがつきにくいと豊田章男会長が言ったのが変更の理由だとか。

実車を初めて見てみると、鮮やかなカラーリングが多いハイパーカーの中でブラックのカラーリングが非常に目立っており、カッコよさもさらに増し、個人的には大成功のカラーチェンジだと感じました。

F1と相通じるカラーリングのフェラーリ499P

こちらはトヨタ最大のライバルであるフェラーリ499P。このマシンもLMH規定です。

フェラーリレッドにイエローのアクセントは、近年のフェラーリF1マシンのカラーリングと相通じますね。

ル・マン24時間100回目に50年ぶりに復帰したという名目でしたが、F1のバジェットキャップによる開発制限と人材が溢れたことが復帰の本当の理由なのでしょう。

でも、フェラーリがワークスとしてWECに参戦することでシリーズの格式がより高くなり、WECファンとしては大歓迎です。

そんなフェラーリ499Pは1台だけイエローのマシンが参戦しますが、こちらはAFコルセがオペレーションを担当しています。

プジョー9X8に羽根生えた

ハイパーカークラスに参戦する8台の中でLMH規定のマシンは、トヨタ、フェラーリと、このプジョー9X8の3車種。

このプジョー9X8は2022年にデビューした時、リヤウイングが無いと話題になりました、やっぱりこのコンセプトは無謀だったらしく、一向に成績が上がりませんでした。

そこで今シーズンよりリヤウイングを装着し、マシンのコンセプトを一変。ただ、基本が羽根なしで設計されているためか、今シーズンも苦戦が続いています。

耐久王ポルシェ963は最多の5台がエントリー

こちらはLMDh規定で設計された耐久王ポルシェの963。マシンはマルチマチック社が製造しています。

往年のポルシェ956や962は様々なチームにデリバリーされていましたが、この963もやはり市販化されていて、2024年シーズンはワークスのポルシェペンスキー(2台)のほか、

プロトンコンペティション(1台)と、

ハーツチームジョタ(2台)にもマシンが供給されます。

こちら2台のジョタはフロントとサイドに日本語で『ジョタ』と書かれた富士スペシャル仕様になっていたのが印象的でした。

そんなポルシェ963はこの富士でも優勝し、選手権争いのトップを直走ります。

縦目ヘッドライトと野太いエンジン音が特徴のキャデラックVシリーズ.R

最後に紹介するのがLMDhのキャデラックVシリーズ.R。キャデラックの市販車らしい縦目のヘッドライトが特徴的ですね。

このマシン、見た目もさることながら、ハイパーカークラスに参戦するマシンで唯一のNAエンジンなのも特徴で、今回もアメ車らしい野太いエンジン音をサーキットに轟かせていました。

時刻は13時30分を過ぎレース開始から2時間半が経過しましたが、ハイパーカートップ10の順位は以下の通り。

  • 1位:#6 ポルシェ
  • 2位:#2 キャデラック
  • 3位:#15 BMW
  • 4位:#50 フェラーリ
  • 5位:#8 トヨタ
  • 6位:#7 トヨタ
  • 7位:#12 ポルシェ(ジョタ)
  • 8位:#38 ポルシェ(ジョタ)
  • 9位:#36 アルピーヌ
  • 10位:#37 アルピーヌ

ここから私はGRスープラコーナーを後にして次の撮影スポットに向かうのですが、今回はここまでとします。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。