人気記事:『ミニカーで振り返るF1マシン』シリーズ

リストリクター?車載ウェイト?スーパーGTのサクセスウェイトをわかりやすく解説

スーパーGTは1台のマシンが何度も勝つことのないよう、サクセスウェイト(2020年までの名称はウェイトハンデ)というレギュレーションが存在します。

ある程度スーパーGTを見たことのある方ならば、

「ポイントを稼げば次のレースで重りが加算されるアレね」

と、その存在は知っているはず。

だけどそのサクセスウェイトはかなり複雑で、しっかりと説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか?

そこで今回はスーパーGTのサクセスウェイトについて、わかりやすく説明してみたいと思います。

ちなみにサクセスウェイトのレギュレーションは変更されることが多いのですが、今回は2022年スーパーGTスポーティングレギュレーションの第23条に沿って解説します。

GT500のサクセスウェイトは第2-6戦がポイント×2kg 第7戦がポイント×1kg その他はノーウェイト

2022年スーパーGTスポーティングレギュレーション第23条-1.より

開幕戦では各マシンのウェイトは加算されません。

そして全8戦で行われる2022年シーズンは、第2戦から第6戦までの5レースに対して前レースまでにドライバーが獲得したポイント×2kgのサクセスウェイトが加算されます。

第7戦は前レースまでの獲得ポイント×1kgに変更し、最終の第8戦ではサクセスウェイトは無しになります。

ちなみにサクセスウェイトの上限は100kgです。

  • 開幕戦・・・ウェイト無し
  • 第2戦-第6戦・・・前レースまでの獲得ドライバーズポイント×2kg
  • 第7戦・・・前レースまでの獲得ドライバーズポイント×1kg
  • 最終戦・・・ウェイト無し

※サクセスウェイトの上限は100kg

例を挙げてみましょう。

あるドライバーが開幕戦で20ポイント(以下すべてドライバーズポイント)を獲得した場合、そのドライバーの乗るマシンは第2戦では20ポイント×2kgで40kgのサクセスウェイトが課されます。

さらにそのドライバーが第2戦で4ポイントを獲得した場合、総ポイントが24になり、第3戦では24ポイント×2kgで48kgのサクセスウェイトが課されることになりますね。

その後そのドライバーが第3戦から第6戦までノーポイントで終わった場合、第7戦では24kg×1kgで24kgのサクセスウェイトとなり、第7戦で15ポイントを獲得し合計39ポイントになっても最終戦ではサクセスウェイト無しで出走します。

Rd.前のレースまでの
ドライバーズポイント
サクセスウェイト
開幕戦0ポイント0kg
第2戦20ポイント40kg
第3戦24ポイント48kg
第4戦24ポイント48kg
第5戦24ポイント48kg
第6戦24ポイント48kg
第7戦24ポイント24kg
最終戦39ポイント0kg

表で表すとこんな感じになりますね。

GT500はサクセスウィエイトが50kg超で燃料流量リストリクターを併用

2022年スーパーGTスポーティングレギュレーション第23条-2.より

さて、ここからさらに複雑になります。

先ほど書いたとおりサクセスウェイトの上限は100kgと定められていますが、マシンに想定外の100kgの重りを搭載すると事故の時に危険だ、ということで、サクセスウェイトが50kgを超えた場合は燃料流量リストリクターによる調整が行われます。

ちなみに燃料流量リストリクターとは燃料がエンジンへ流れるガソリンの量を調整するもので、その径を小さくすることで燃料がエンジンに流れる量が少なくなり、それにより馬力が低下し、ウェイトを積んだ時と同じようなハンデを負わせる、というもの。

燃料流量リストリクターの径は通常95.0kg/h(2022年は開幕戦のみ全マシン90.2kg/hを採用)ですが、サクセスウェイトが51kgとなった場合燃料流量リストリクターの径が92.6kg/hになり実際マシンに積むウェイト(以下車載ウェイト)が34kgになり、サクセスウェイト52kgで燃料流量リストリクターの径は変わらず92.6kg/hで車載ウェイトが1kg増え35kgと車載ウェイトが1kgずつ増える。

そしてサクセスウェイトが67kgになり車載ウェイトが50kgに達すると、サクセスウェイトが68kgからは燃料流量リストリクターの径が90.2kg/hにさらに絞られ車載ウェイトが34kgになり、また車載ウェイトが50kgになると次からは燃料流量リストリクターの径が88.0kg/hになり、車載ウェイトが35kgになるといった具合です。

うーん、わかりにくいですよね・・・。

サクセスウェイト車載ウェイト燃料流量
リストリクター
0-50kg0-50kg95.0kg/h
51-67kg34-50kg92.6kg/h
68-84kg34-50kg90.2kg/h
85-100kg35-50kg88.0kg/h

要するに表で表すとこんな感じ(こっちの方が全然わかりやすいね)。

例を挙げてみましょう。

全8戦のうちあるドライバーが開幕戦で20ポイント、第2戦8ポイント、第3戦11ポイント、第4戦8ポイント、第5戦4ポイント、第6戦4ポイント、第7戦15ポイント、第8戦8ポイントを積み上げた場合どうでしょう。

まあ、かなり極端な成績ですが・・・。

開幕戦ではもちろんサクセスウェイトは0kg。

そして第2戦では前レースまでのポイントが20なので、20ポイント×2kgでサクセスウェイトが40kgで車載ウェイトも40kgになります。

第3戦では前レースまでの累計ポイントが28なので、28ポイント×2kgでサクセスウェイトが56kgになり、燃料流量リストリクターが92.6kg/hに変更され車載ウェイトが39kgとなります。

第4戦では前レースまでの累計ポイントが39になるので、39ポイント×2kgでサクセスウェイトが78kgになり、燃料流量リストリクターが90.2kg/hにさらに絞られ車載ウェイトが44kgになります。

第5戦では前レースまでの累計ポイントが47になるので、47ポイント×2kgでサクセスウェイトが94kgになり、燃料流量リストリクターがもう1段階絞られ88.0kg/hになり車載ウェイトが44kgになります。

第6戦では前レースまでの累計ポイントが51になるので、51ポイント×2kgでサクセスウェイトが102kgになりますが、サクセスウェイトの上限は100kgなので、燃料流量リストリクターが88.0kg/hで車載ウェイトが50kgとなります。

第7戦では前レースまでの累計ポイントが55になるので、55ポイント×1kg(第7戦は×2kg→1kgになる)でサクセスウェイトが55kgになり、燃料流量リストリクターが92.6kg/hに戻され車載ウェイトが38kgになります。

そして最終戦ではいくらポイントを稼いでいてもサクセスウェイトは0kgになります。

Rd.前のレースまでの
ドライバーズポイント
サクセスウェイト車載ウェイト燃料流量
リストリクター
開幕戦0ポイント0kg0kg95.0kg/h
第2戦20ポイント40kg40kg95.0kg/h
第3戦28ポイント56kg39kg92.6kg/h
第4戦39ポイント74kg44kg90.2kg/h
第5戦47ポイント94kg44kg88.0kg/h
第6戦51ポイント100kg50kg88.0kg/h
第7戦55ポイント55kg38kg92.6kg/h
最終戦66ポイント0kg0kg95.0kg/h
※2022年は開幕戦のみ全マシン90.2kg/hの燃料流量リストリクターを使用

表で表すとこんな感じ。

かなり複雑なGT500クラスのサクセスウェイトですが、おわかりいただけたでしょうか?

GT300はサクセスウェイト=車載ウェイト

2022年スーパーGTスポーティングレギュレーション第23条-1.より

さあ、お次はGT300クラスのサクセスウェイトです。

こちらはGT500クラスのように燃料流量リストリクターによる調整はなく、サクセスウェイト=車載ウェイトとなります。

GT500クラス同様に開幕戦ではサクセスウェイトが加算されず、ノーウェイトになります。

そして全8戦で行われる2022年シーズンは、第2戦から第6戦までの5レースに対して前レースまでにドライバーが獲得したポイント×3kgのサクセスウェイトが加算されます。

GT500クラスよりも1kg重いのですね。

そして第7戦はサクセスウェイトが半減され前レースまでのポイント×1.5kgになり、最終戦ではノーウェイトに戻されます。

ちなみにGT300クラスでもGT500クラス同様にサクセスウェイトの上限は100kgに定められています。

GT500クラスがかなり複雑だっただけに、GT300クラスはややわかりやすいかな?

サクセスウェイトはマシンサイドのステッカーで確認

2022年スーパーGTスポーティングレギュレーション第23条-3.より

さて、今回のレースでマシンに何kgのサクセスウェイトが積まれているのか?

もちろん現地で観戦する場合にはレースプログラムに記載されていますが、実際のマシンにも明記されています。

こちらは2020年第5戦の写真ですが、ご覧のとおりマシンのドア後方にステッカーが貼られています。

このトムス36号車は50kg 30kg 2kgで合計82kgのサクセスウェイトが課されていることがわかります。

チーム無限のNSXはBピラーに20kg 3kg 1kgの合計24kgのサクセスウェイトと、過去4レースで上位入賞がなかったこともわかります。

こちらGT300クラスのBRZは・・・100kg!!

サクセスウェイトが上限に達しており、とんでもない重りがマシンに積まれていることが確認できます。

まあかなり小さいステッカーなので目を凝らして見ないと厳しいかもしれませんが、現地観戦する際には頑張って見てみてくださいね。

まとめ

今回はスーパーGTのサクセスウェイトについてじっくりと説明してみましたが、いやー、じつに複雑ですよね。

ですが、このサクセスウェイトにより同じマシンが何度も優勝することなく、レース毎に主役が変わるシリーズだからこそ、観ているファンも飽きず、また自動車メーカーも撤退せずにこれだけ長い間人気を博したのでしょう。

じつは過去のサクセスウェイト(当時はウェイトハンデ)はもっとわかりやすかったのですが、単純なウェイト加算だと次戦以降ウェイトを積むのを嫌いわざと下位でフィニッシュするようレースをコントロールする戦略が頻発しました。

こんなレースファンはガッカリですよね。

そのためサクセスウェイト(当時はウェイトハンデ)が年々調整され、上位フィニッシュが有利だけど連勝はしにくいギリギリのレギュレーションになったのでした。

長い歴史のなせる技ですね。

サクセスウェイトのことも考えながらレース観戦をすると、スーパーGTがさらに楽しめますので、今後は注目してみてくださいね。

ということで今回は以上。

他にもスーパーGTに関する記事をたくさん書いているので、興味がありましたら下記URLをクリックしてご覧ください。

https://motorsport-photography.net/category/motorsport/supergt/

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

面倒ですがポチッとお願いします

自動車レースランキング

関連記事

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

115人の購読者に加わりましょう
よかったらSNSでシェアお願いします!



奥が深いモータースポーツ撮影の世界
MOTORSPORT撮影術

モータースポーツ撮影歴18年。腕に覚えは全く無いが、知識だけは豊富なワタクシぴぴが、レース撮影について偉そうに解説します。




コメントを残す

ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。