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メルセデスAMG F1 W10 EQ Power+ ハミルトンが歴代最高得点を更新したマシン【ミニカー#106】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はメルセデスが2019年のF1に参戦するために開発した、メルセデスAMG F1 W10 EQ Power+(以下メルセデスW10)のミニカーを振り返ってみたいと思う。

そして今回はすべて外ロケで撮影してみたので、いつもの室内写真とは違った、より本物らしい写真をご覧いただきたい。

マシンデータと戦績

まずはメルセデスW10の主要諸元をチェック。

年式2019年
カテゴリーF1
コンストラクターメルセデスAMG F1
マシン名F1 W10 EQ Power+
デザイナーアルド・コスタ(前エンジニアリングディレクター)
ジョン・オーウェン(チーフデザイナー・エンジニアリングディレクター)
ジェフリー・ウィリス(テクノロジーディレクター)
ジェイムズ・アリソン(テクニカルディレクター)
エンジンメルセデスM10 EQ Power+ 1.6L V6ターボ
主要諸元表

発表時にはすでにチームを離れていた、前エンジニアリングディレクターのアルド・コスタが基本設計をし、それをジェイムズ・アリソン(テクニカルディレクター)が引き継いで仕上げたマシンだ。

その他ジェフリー・ウィリス(テクノロジーディレクター)やジョン・オーウェン(チーフデザイナー・エンジニアリングディレクター)など、錚々たる面々がマシン開発に大きく携わっている。

つづいてメルセデスW10の戦績を見てみる。

コンストラクターハミルトンボッタス
シーズン順位1位1位2位
シーズンポイント739P413P326P
優勝15回11回4回
表彰台32回17回15回
ポールポジション10回5回5回
ファステストラップ8回6回3回
戦績表

ポールポジションの数はルイス・ハミルトン5回、バルテリ・ボッタス5回と、近年では少なかったが、優勝回数はハミルトンが11勝を記録し決勝での強さが目立った。

結果ドライバーズチャンピオンシップではハミルトンが413ポイントを獲得し、自身の持つ最高得点を更新したシーズンだった。

メルセデスW10のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のメルセデスW10を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

今回のマシンはメルセデスの2019年マシン。

正式名称はメルセデスAMG F1 W10 EQ Power+だが、長ったらしい名前のため、多くのメディアではメルセデスW10と省略される。

このマシンの特徴は細いノーズとスプーン型に丸みを帯びたノーズ先端の形状。

スプーン型のノーズ先端はレーシングポイントが、細形ノーズは翌年以降多くのチームが真似をすることとなる。

ホワイトに塗装されたノーズとフロントノーズは、モータースポーツ誕生125周年とメルセデスワークスのF1参戦200戦目を記念したドイツグランプリでの仕様だ。

またこのグランプリでは、チームスタッフのユニフォームも1950年代風のレトロスタイルにしている。

2018年以降、F1マシンはそれまでの全幅1800mmから200mmワイド化された2000mmになった。

さらにリヤタイヤも幅広になり、リヤビューはそれまでのマシンよりもかなり迫力が増している。

年々ホイールベースが長くなるF1マシンだが、その中でもメルセデスはもっとも長いマシンのひとつだ。

カーナンバー44はルイス・ハミルトンのマシン。

前年もドライバーズチャンピオンを獲得したハミルトンだが、この年もカーナンバー1ではなく44を使い続けている。

メルセデスW10をスターティンググリッドに移動して、ライバル(といってもかなり差を広げられたが)のフェラーリ、シャルル・ルクレールのマシンとともに並べてみた。

年々絞り込まれるドライバーシート後方の形状がこのアングルからわかる。

この中にV型6気筒ターボエンジンをはじめ、MGU-KやMGU-Hなど、1000馬力を発生させる複雑なパワーユニットの補記類が詰め込まれているのだから、F1マシンは凄い。

それまでシルバー塗装だったリヤのエンジンカバーは、この年、複雑なスリーポインテッドスターを散りばめたデザインに変更されたが、1/43のミニカーでもしっかり再現されている。

この年の5月20日に、それまでメルセデスF1の非常勤取締役を務めていたニキ・ラウダがこの世を去った。

それに伴い、その直後に開催されたモナコグランプリでは、そのエンジンカバーのスリーポインテッドスターのひとつとヘイローをラウダのイメージカラーである赤で塗装し、さらにフロントノーズに直筆サインを記した。

この年からサイドポッド後方部分(PETRONASのロゴのOとNの場所)に大きなヘコミがデザインされた。

私は当初、レースでぶつけられて破損したのだと思ったのだが、このヘコミが空力デザインだったと後から知り、その特異な形状に驚いた。

このヘコミはこのメルセデスの他、同じパワーユニットを搭載するウィリアムズでも確認できる。

2019年のプレシーズンテストでは、好タイムを連発したフェラーリが優勢と言われていたのだが、開幕するとメルセデスが1-2フィニッシュと圧勝する。

その後はフェラーリの自滅にも助けられたが、F1史上初の開幕から5戦連続1-2フィニッシュという記録を樹立した。

中盤からはフェラーリのパワーユニットの馬力アップが図られ、特に予選ではフェラーリに先行されるが、その後もメルセデスは着実にポイントを稼ぎ、最終的にコンストラクターズでは2位フェラーリに235ポイント差をつけて圧勝。

ドライバーズランキングでもハミルトンが大差でチャンピオンを獲得し、ボッタスも2位に入り、結果選手権でも圧倒的な強さを見せたシーズンであった。

この年のライバルであるフェラーリSF90との比較画像だが、両マシンの一番の違いはノーズの太さだろう。

モノコック前端まではほぼ同じ太さだが、メルセデスW10はノーズ部分から一気に細くなるのがわかる。

前述のとおり翌2020年から2021年にかけて、多くのマシンがメルセデス同様に細ノーズに転換したが、フェラーリはこの極太ノーズを2021年まで使い続けた。

メルセデスW10は前年型メルセデスW09の正常進化型ということで、両マシンを比較してみよう。

フロントウイングは2018年までの過度な開発競争の末、複雑な形状になったが、2019年からレギュレーション変更により片側5エレメントまでになったためかなり簡素化されている。

また、サイドポッド前方のバージボードの高さやリヤウイング翼端板(スリッドなど)も、レギュレーションにより形状変更している。

以上、1/43のメルセデスW10を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】メルセデスW10

デアゴスティーニのF1マシンコレクション第120号で、ミニカーはイタリアの老舗メーカーであるixoが製造している。

【ixo製】フェラーリSF90

こちらもメルセデスW10と同じく、デアゴスティーニF1マシンコレクションの第104号で、ixo製。

【ixo製】メルセデスW09

上記2台と同様に、デアゴスティーニF1マシンコレクション第123号で、ixo製。

今回の撮影機材

今回ミニカーを撮影したカメラ機材を紹介する。

カメラキヤノンEOS R5
レンズキヤノンRF35mm F1.8 IS STM
スピードライトキヤノン430EX Ⅱ
三脚ベルボンEX-Macro
撮影機材

最後に

今回は2019年のF1チャンピオンマシンである、メルセデスW10のミニカーを実車のように撮影し、現役時代を振り返ってみた。

今回の記事は2021年に書いているので、すでに2年以上前に設計されたマシンであるが、2021年シーズンの各チームのF1マシンは、細ノーズなどをはじめとしてこのメルセデスW10を参考に作られているため、古さはまったくと言っていいほど感じさせない。

そして個人的には、2021年シーズンのメルセデスW12のもっさりとしたブラックを基調としたマシンよりも、2019年ドイツグランプリ仕様のマシン前部のホワイト塗装に、後部のスリーポインテッドスターが散りばめられたデザインの方がスッキリとしていてカッコよく見えるため、2022年シーズンのメルセデスW13(?)では是非ともこのカラーリングが復活してもらいたいと思っている。

ということで今回は以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。