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フェラーリSF90 予選番長!疑惑のPUを搭載したフェラーリ初のマッド塗装マシン【ミニカー#107】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はフェラーリが2019年のF1に参戦するために開発した、フェラーリSF90を取り上げていこうと思う。

ちなみに今回も登場する写真はすべて屋外で撮影してみたため、いつもの屋内写真との違いをご堪能いただきたい。

マシンデータと戦績

まずはフェラーリSF90の主要諸元をチェック。

年式2019年
カテゴリーF1
コンストラクターフェラーリ
マシン名SF90
デザイナーマッティア・ビノット(テクニカル部門責任者→チーム代表)
エンジンフェラーリ064 1.6L V6直噴ターボ
主要諸元表

マシン名はフェラーリチーム創設90周年を記念してSF90と名付けられた。

毎年マシンに女性の名前をつけるセバスチャン・ベッテルだが、このマシンにはLina(リーナ)と命名した。

マシンをデザインしたのは、この年にチーム代表に就任したマッティア・ビノット。

ビノットは2016年7月にジェイムズ・アリソンを引き継ぎフェラーリのテクニカルディレクターに昇格し、2019年1月からマウリツィオ・アリバベーネの後任としてチーム代表になった。

つづいてフェラーリSF90の戦績を見てみる。

コンストラクターベッテルルクレール
シーズン順位2位5位4位
シーズンポイント504P240P264P
優勝3回1回2回
表彰台19回9回10回
ポールポジション9回2回7回
ファステストラップ6回2回4回
戦績表

コンストラクターズ選手権では、メルセデスに大きく水をあけられての2位。

そしてドライバーズ選手権では、メルセデスの2台はおろか、レッドブルのマックス・フェルスタッペンにも先行を許す結果となった。

ポールポジション9回(ベッテル2回・ルクレール7回)に対し、優勝回数が3回(ベッテル1回・ルクレール2回)と大きく下回っていることがわかる。

フェラーリSF90のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のフェラーリSF90を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

時代流されない太ノーズが特徴のフェラーリSF90。

まあ、この年までは太ノーズのマシンが多数派だったのだが、その後もこだわりを捨てなかったフェラーリ。

カーナンバー16は、この年からフェラーリに加入したシャルル・ルクレールのマシンだ。

1998年からの全幅1800mm時代は迫力のなかったリヤビューだが、全幅が2000mmになり迫力が戻ったF1マシン。

ワイドなタイヤもそれに拍車をかけている。

ホイールベースが長くなった近年のF1マシンを真横から見ると、13インチホイールの小ささがさらに強調される。

2022年からのホイール18インチ化に私は大賛成だ。

塗料の重量を削るためこの年からマッド塗装になったフェラーリ。

近年はマクラーレンやアルピーヌもそれに追随でしているが、特にフェラーリは見た目にも気を配って欲しいのだが・・・。

そのマッド塗装により、光の加減によってはオレンジ色や朱色に見えてしまうと比喩されたが、やはりミニカーでも同じく朱色に・・・。

2020年以降はそれを嫌い、もう少し濃いレッドに色味が変更された。

マシンはマッド塗装になったが、デザインは前年のSF71Hからエンジンカウルのスリム化やラジエターの配置変更、インダクションポッドの形状変更(三角形型)など、多くのパーツをブラッシュアップさせた進化バージョンになる。

下記リンクが以前に紹介したSF71Hだが、このSF90と形状がよく似通っているので、よかったら見比べてみてほしい。

フェラーリSF90をスターティンググリッドに移動し、この年9回も獲得したポールポジションの位置に置く。

奥に見えるのは同年のチャンピオンマシン、メルセデスW10だ。

それにしても、2019年シーズン中盤戦以降のフェラーリSF90の予選や高速コースでの速さはなんだったのか・・・。

他チームからは、フェラーリのパワーユニットに技術違反があるのではと疑われたが、証拠が見つからずグレー状態に。

その後、第19戦のアメリカグランプリでFIAから技術司令書が発行され、フェラーリは突如戦闘力を失っている。

うーむ、やっぱりこのパワーユニットは黒に限りなく近いものだったのだろう。

ちょっとミニカーに話題を。

このフェラーリSF90のミニカーは、他のデアゴスティーニが販売するixo製造のものとは違い、アンダーパネルにカーボンパターンが再現されているが、反面、フロントウイングのフラップの造形は、かなり簡素化されている。

特に版権に厳しいフェラーリ。

公式サイトではixo製と書かれているのだが、果たして本当にこのミニカーはixoが製造しているのであろうか・・・。

話を実車に戻そう。

このマシンの名称であるフェラーリSF90は、スクーデリアフェラーリのチーム創設90周年を記念して命名された。

このフェラーリSF90をインターネットで検索すると・・・んっ!?市販のフェラーリが上位を占める。

そう、この年に発表されたV8フェラーリの名称も同じSF90と同名なのだ。

だがロードカーのフェラーリはSF90の後にストラダーレ(訳:公道市販車)と入る。

要はカローラクロスやノートオーラ、ソリオバンディッドと同じこと??

って、完全に別モンだろうがっ!!

カタチや性能がまったく異なるF1マシンと市販車・・・なぜに同名にしたのだろう。

このフェラーリSF90は、シーズン前のテストでは王者メルセデスを凌ぐ速さを見せており、久々にチャンピオンを狙えるマシンだとマスコミは掻き立てた。

しかし開幕のオーストラリアグランプリでは、メルセデスはおろか、レッドブルのマックス・フェルスタッペンにも先攻を許し、表彰台すらも上がることはできなかった。

第2戦のバーレーングランプリでは、予選でフロントローを独占し、決勝でも新加入のシャルル・ルクレールがトップをひた走るも優勝目前でCEトラブルで失速。

このレースで速さは証明できたが・・・。

しかしその後は、高速コースに分類されるカナダ(トップチェッカーもタイムペナルティで2位)やベルギー(優勝)、イタリア(優勝)ではメルセデスを上回る速さを見せるものの、低速コースや路面のマッチングの悪いコースでは途端に遅くなるなど、ムラが多いシーズンとなった。

結局このシーズンも、メルセデスに大差をつけられてのコンストラクターズ2位にとどまった。

この年、F1デビュー2年目にして名門フェラーリに加入したルクレールは、チームのエースドライバーであるベッテルを凌ぐ速さを見せる。

前述のとおり、第2戦バーレーンでトップを快走し、初優勝目前のレースを展開すると、ベルギーグランプリでは自身初優勝を達成し、続くイタリアグランプリでも連勝する。

結局、優勝2回、ポールポジション7回を記録し、シーズンポイント264点を獲得して、ドライバーズランキングで4位になり、ベッテルの240点を上回った。

翌2020年はさらにベッテルとの差を広げ、ベッテルはチームを去り、ルクレールはフェラーリエースの座を実力でもぎ取ったのだった。

最後はこの年のライバルである、メルセデスW10とマシンの比較をしてみよう。

両マシンの最大の相違点はノーズ。

メルセデスW10がモノコック前端の前方から一気に細くなるのに対し、フェラーリSF90はそのままの太さでノーズが伸びているのがわかる。

またノーズ前端はスプーン型に丸みを帯びているメルセデスW10と、旧来の男性器型のフェラーリSF90。

近年のF1マシンは皆カタチが似通っていると言われていたが、この2台は明らかに形状が違う。

結局その後、多くのチームがメルセデス型の細ノーズを模写するが、フェラーリは翌年以降も太ノーズを使い続ける。

以上、1/43のフェラーリSF90を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】フェラーリSF90

デアゴスティーニF1マシンコレクションの第104号で、ミニカーはイタリアの老舗メーカーであるixoが製造している。

【ixo製】メルセデスW10

こちらもフェラーリSF90同様にデアゴスティーニのF1マシンコレクション第120号で、ixoが製造している。

今回の撮影機材

今回ミニカーを撮影したカメラ機材を紹介する。

カメラキヤノンEOS R5
レンズキヤノンRF35mm F1.8 IS STM
スピードライトキヤノン430EX Ⅱ
三脚ベルボンEX-Macro
撮影機材

最後に

今回はフェラーリのチーム創設90周年記念マシンのフェラーリSF90を取り上げてみた。

フェラーリ初のマッド塗装を採用したマシンは、予選ではメルセデスを凌駕することもあったが、肝心の決勝ではコース特性により大きく左右されるリザルトとなり、結果選手権ではこの年もメルセデスに大きく水をあけられてしまった。

だがこの年チームに加入したルクレールの活躍は眼を見張るものがあり、その後チームのエースとして活躍するのであった。

以上、今回は1/43のフェラーリSF90を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみた。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。