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【特別編】日産GT-R LM NISMO ル・マンLMP1の常識を覆すFFマシン【ミニカー#42】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回は日産が2015年のル・マン24時間ならびに世界耐久選手権(WEC)に参戦するために開発した日産GT-R LM NISMOを取り上げていきたいと思います。

マシンデータ

まずは日産GT-R LM NISMOの主要諸元をチェックしてみます。

年式2015年
カテゴリール・マン24時間・WEC
LMP1-Hybridクラス
チームニスモ
マシン名日産GT-R LM NISMO
デザイナーベン・ボウルビー
エンジン日産

プロトタイプの常識を覆すFFマシン!

全米でもっともCM広告料の高いスーパーボウルのCM枠を購入して大々的に発表した日産のル・マン24時間への出場。

そのル・マン24時間にエントリーしたマシンとは?

通常プロトタイプのレーシングマシンはエンジンをコクピットの後ろに搭載しリヤタイヤを駆動するいわゆるミッドシップレイアウト(MR)が基本ですが、この日産GT-R LM NISMOはフロントにエンジンを搭載しフロントタイヤを駆動するFF方式のレイアウトを採用する非常に珍しいパッケージングです。

エンジンをフロントに搭載した理由は空力を優先したから。

LMP1のレギュレーションはリヤよりもフロントの方が空力の自由度が高いので、そのフロントで空力開発を優先的に行いたかったからだというが・・・イマイチ理解できない。

タイヤもフロントの方が幅広く前輪310mmに対して後輪が200mmという通常とは逆の幅になっています。

そしてハイブリッドクラスに出場するからにはもちろんそのハイブリッドシステムである回生装置(ERS-K)をフロントに搭載し、プロペラシャフトを介してリヤタイヤを駆動する、パートタイム4WDを採用しました。

せっかくFF方式にしたのだから、マシンを貫通するハイブリッド用のプロペラシャフトを搭載せずに、フロントのみの駆動にしてプロペラシャフト搭載しなければいいのでは、と素人的には思うのですが・・・。

この日産GT-R LM NISMOが3台エントリーして挑んだ2015年のル・マン24時間は・・・。

予選ではトップのポルシェ919から20秒遅れで、下位のLMP2クラスにも負ける有様で、決勝では22号車がチェッカーを受けるも規定周回数に届かず、完走扱いにはなりませんでした。

そしてなんと信頼性不足から一度もハイブリッドシステムは使用せず、エンジンのみでの走行でした。

日産GT-R LM NISMOのミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43の日産GT-R LM NISMOを撮影していきます。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』です。

日産GT-R LM NISMOの22号車がエントリーするのは最上位クラスのLMP1-H。

日産GT-R LM NISMOのリヤの空力処理は、近年のプロトタイプマシンとは大きく異なります。

右のマシンは一般的なプロトタイプマシンのポルシェ919ハイブリッドで、ボディがリヤに行くにしたがって絞り込まれていますが、日産GT-R LM NISMOはそのような処理が一切なされていません。

この長いノーズが日産GT-R LM NISMO最大の特徴です。

GT-Rの名を冠していますが、FFベースでまったく市販日産GT-Rの面影はありません。

一見するの右がフロントに見えますが実際には左がフロント側です。

FFベースマシンらしく、リヤタイヤに比べてフロントタイヤが幅広なのがよくわかりますね。

2015年ル・マン24時間の予選では、奥に見えるポルシェ919ハイブリッドに対して20秒もの差をつけられた日産GT-R LM NISMOでしたが、せっかくなのでポールポジションの位置で撮影してみましたが・・・まったくもって似合わない。

駆動方式からボディワークまで共通点が何も見つからないのですが、なぜGT-Rの名を冠したのか・・・。

スポンサーロゴが一切見られずNISSAN NISMOの文字の他はサプライヤーメーカーのロゴぐらいか。

いや、リヤウィング翼端板に唯一タグホイヤーのロゴが!

あらゆるモータースポーツをサポートするマンスール・オジェ率いるタグホイヤーはさすがです。

このアングルから見ると異常に長いフロントセクションが非常に不自然で、こんなヘンテコなマシンが速いわけがない、と感じてしまいます。

思い返してみると2015年のル・マン24時間はアウディとトヨタ、ポルシェに日産とメーカー系ワークスが4社も参戦する、近年にない華やかなレースでした。

しかし現在残るのはトヨタのみ。

プロトタイプ好きの私としては悲しい限りです。

一般的なLMP1マシンのポルシェ919と比較すると、日産GT-R LM NISMOのコクピット位置が極端に後方だということがわかります。

以上、1/43の日産GT-R LM NISMOを実車のように撮影してみました。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介します。

【エブロ製】日産GT-R LM NISMO

エブロ製のミニカーで、2020年6月に静岡市のエブロギャラリーで購入しました。

前々から欲しいと思っていたモデルでしたが、ジャンクコーナーで税込2,000円という破格の値段で購入しました。

さすがMade in JAPANのエブロ製だけに、細かいパーツの作り込みや塗装の輝きなどが素晴らしく、完成度と価格に大満足の一台です。

【スパーク製】ポルシェ919ハイブリッド (2017)

アシェットのル・マン24時間レースカーコレクションの定期購読特典でいただきました。

記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。

最後に

ル・マン24時間で恥ずかしいほどの大敗をした日産GT-R LM NISMOは、その後2015年の世界耐久選手権(WEC)シリーズへの参戦をを取りやめました。

その年の11月に行われたニスモフェスティバルではニスモの宮谷社長が

「来年に向けて、今開発をかなり取り組んでいて、来年はしっかりと戦うことができるようにします」

と説明しましたが、12月23日に2016年のル・マン24時間ならびに世界耐久選手権(WEC)への参戦を中止することが発表されました。

アメリカの日産現地法人が主体となり大々的に宣伝をして参戦した日産GT-R LM NISMOでしたが、結局2015年のル・マン24時間のみ1戦だけの参戦。

結局この日産GT-R LM NISMOのプロジェクトとは一体何だったのか?

私たちファンにとっては疑問だけが残る結果となりました・・・。

以上、今回は1/43の日産GT-R LM NISMOのミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。