F1はかつてナショナルカラーでの参戦が義務付けられ、イギリスは濃い目のグリーン、フランスはブルー、ドイツはシルバーというように決められていおり、イタリアはアルファロメオやフェラーリに代表されるレッドがナショナルカラーとして定められていましたが、1968年ロータス49によりF1マシンにスポンサーカラーが導入されます。
しかしフェラーリは現在参戦するF1チームの中で唯一そのナショナルカラーを守り続けているチームです。
その赤い歴代のフェラーリF1マシンの中で、最も美しいフェラーリは何年のどのマシンなのか?
そこで今回は戦績は一切関係なしで、F1観戦歴30年の私が、最も美しいと思えるフェラーリF1マシンを独断と偏見で決めたいと思います。
【第5位】フェラーリF310 (1996)
年 | カーNo. | デザイナー |
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1996年 | 1・2 | ジョン・バーナード グスタフ・ブルナー(後期型) |
ジョン・バーナードとグスタフ・ブルナーが設計した1996年用マシンであるF310は、前年のオーソドックスな412T2から一転してかなり特徴のあるマシンでした。
サイドポンツーンは1992年の大失敗作であるF92Aに近い、インテークが前方に張り出したデザインで、その下を大きくえぐっており、フロントノーズは当時のハイノーズ化に逆らって1点支柱の低い形状としました。
このマシンは当時の他のマシンに比べると非常にモッサリとした形状で、いわゆる『ダサかっこいい』という言葉がぴったりでした。
ダサかっこいい・・・今回の美しいフェラーリとは少し違和感を感じる方もいると思いますが、深紅のフェラーリが私は非常に美しく思え、その最後のマシンであるF310をどうしてもランクインさせたかったのです。
そう、翌年のF310Bからマールボロのサポートが増し、マシンカラーが蛍光レッドになってしまったのです。
しかし後期型としてグスタフ・ブルナーが修正したマシンは、ノーズコーンを無理やりハイノーズ化したため、ただのダサいマシンに変貌してしまいました。
【第4位】フェラーリ412T2 (1995)
年 | カーNo. | デザイナー |
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1995年 | 27・28 | ジョン・バーナード |
1992年からハイノーズを採用したフェラーリですが、ジョン・バーナードがデザインした1995年の412T2では一転超古典的なスラントノーズを採用し、保守的なフェラーリらしいマシンデザインです。
この保守的なデザインの412T2は特徴という特徴が無いのですが、そこがまたF1の象徴たるフェラーリらしく思えるのです。
この年限りで提携を解除したAgipのロゴと火を吹く6本脚の犬が描かれ、マシンカラーは今みたいな蛍光レッドではなく深紅の塗装があしらわれ、フロントウィングは吊り下げ式ではなく従来型・・・まさに古き良きフェラーリの集大成的な佇まいです。
そしてティフォシならずF1ファンの多くが大好きなジャン・アレジが、唯一の勝利をあげたマシンとしてもこのマシンは特別なのです。
【第3位】フェラーリ312T4 (1979)
年 | カーNo. | デザイナー |
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1979年 | 11・12 | マウロ・フォルギエリ |
1990年から本格的にF1を見はじめた私にとって1979年は未知の世界でしたが、F1の歴史を調べるうちに、この312T4の特徴的なフォルムに目を奪われました。
マウロ・フォルギエリがデザインした312T4は、テーブルみたいなフロントのアッパーカウルのデザインに、その下からフロントウィングを取り付けるために伸びたステー、リヤウィングは後輪のセンター軸よりも前に取り付けられており、その見た目から『醜いアヒルの子』と比喩されていましたが、F1マシンは速ければ美しく見えると言われており、それがフェラーリならばなおさらで、ダブルチャンピオンを獲得した312T4のデザインは次第に称賛されることになります。
まあそれにしても、現代のF1マシンと比べると格段に特徴のあった当時のマシンの中においても最も特徴的なマシンですよね。
そして当時のフェラーリマシンはコクピット前の風防がブルーに着色されており、コレが何気にカッコよく、現代のフェラーリマシンにもワンポイントで取り入れて欲しいのですがビノットさんいかがでしょう!?
本項とは関係がないのですが、F1ブーム世代にとってマウロ・フォルギエリといえば、1991年に参戦したモデナのモデナランボ291のデザイナーでしたよね・・・ってまったく関係ありませんでした・・・すみません。
【第2位】フェラーリ640 (1989)
年 | カーNo. | デザイナー |
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1989年 | 27・28 | ジョン・バーナード |
当時F1界でNo.1デザイナーと称されていたジョン・バーナードの設計で1989年に登場した640が第2位です。
細くスラリと伸びたフロントノーズに、フロントサスペンション直後から伸び中間で横に大きく広がりリヤ付近で急速に絞り込んだコークボトルラインと呼ばれたサイドポンツーンは非常にスマートです。
この640系と言われるデザインは1991年の642まで続きますが、640はノーズ先端の形状など曲面を多用しながらも全体的にエッジが効果的に効いており、メリハリが一番美しく感じます。
美しくも頻繁に故障する640は、フェラーリのエンブレムの如くサラブレッドみたいなマシンでした。
【第1位】フェラーリF92A (1992)
年 | カーNo. | デザイナー |
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1992年 | 27・28 | ステーブ・ニコルズ ジャン=クロード・ミジョー |
70年の歴史を誇るスクーデリアフェラーリのF1マシンの中で、私がもっとも美しいと思うフェラーリF1マシンは、1992年のF92Aです。
戦闘機にヒントを得て開発したF92Aは、いかにも空気抵抗が無さそうな流れるようなフォルムが本当に美しく、それまでの保守的なフェラーリデザインが嘘のようなオリジナリティあふれる素晴らしいデザインです。
このマシンの最大の特徴は、サイドポンツーン下を完全にえぐったダブルデッキ構造で、完全にジェット戦闘機からインスパイヤされたことが見た目からも伺い知れます。
F1マシンは速いマシンがカッコよく見えると言われますが、フェラーリにはその言葉は当てはまりません。
1992年のフェラーリは不振のどん底でしたが、このマシンはフェラーリ芸術の最もたる存在だと私は思います。
最後に
F1でもっとも歴史があるスクーデリアフェラーリは、どのF1チームよりも多くのマシンを製作してきましたが、その多くのマシンの中から私がもっとも美しいフェラーリマシンを選んでみました。
私が思い描くフェラーリF1は、『赤色は深紅であること(-1996)』と『カーナンバー27』そして『Agipロゴと6本脚の火を吹く犬がマシンに描かれていること(1973-2005)』で、それを基本として(一部例外あり)マシンのフォルムがいかに美しいかで決めさせていただきました。
ただ私はF1ブーム世代のファンで、F1を観はじめた頃のマシンが思い出補正とともに美しく記憶に残り、90年代中心のランキングになってしまったのかもしれません・・・。
F1を観てきた年代や思い入れのあるマシンとともに、皆さん人それぞれだと思いますので、よかったら下の『コメントを残す』で教えていただけたら幸いです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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