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【特別編】スバルコローニC3B 唯一のスバル製水平対向エンジンを搭載したF1マシン【ミニカー#30】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回は30回目の特別編ということで1990年のF1グランプリに参戦した超珍車、スバルコローニC3Bを取り上げていきたいと思います。

それにしても予備予選を一度も通過できなかった鈍足マシンを、よくぞミニカーとして発売してくれました。

発売元のスパークさんの心意気に感謝!!

ちなみに、スバルコローニC3Bのミニカー購入の経緯は、こちらの記事をご覧ください。

スバルコローニC3Bの表記について
1990年のスバルコローニのマシン型式はC3BとFC189Bという二つの表記がみられます。おそらく同年のフェラーリのF190と641/2のように、模型やミニカーでは正式名称だと思われるFC189Bが使われておりますが、当ブログでは一般的な名称のC3Bの表記と致します。

マシンデータ

まずはスバルコローニC3Bの主要諸元をチェックしてみます。

年式1990年
カテゴリーF1
チームスバルコローニ
マシン名C3B
デザイナーポール・バージェス
エンジンスバル

スバルモータースポーツ史から消えた歴史的珍車!?

1989年末にスバルが1億円でF1チームのコローニの株式を購入したチームがスバルコローニです。

スバルは、かつてフェラーリやブラバムアルファロメオで活躍したカルロ・キティ博士が興したモトーリモデルニと水平対向12気筒エンジンを共同開発(といってもスバルは資金提供しただけだが)します。

そして出来上がったその水平対向12気筒エンジンを1990年型コローニC3Bに搭載し、F1にデビューします。

いや、正確にはデビューしていない・・・。

なぜか・・・それは出走したすべてのレースで、予備予選落ちだったのです。

開幕戦から第8戦まで、予選ではなく予備予選落ち!

完全な失敗作だったのです。

金曜日の朝(予備予選)しか走らなかったスバルコローニC3Bなので、走っている映像がほぼないのですが、かつて購入した『Ferrari,Ferrari!』という超マニア向けCDにスバル製水平対向12気筒のエンジン音が収録されています。

久々に再生してみると・・・うーんまったく回っていない!

しかも水平対向エンジンはF1において致命的欠陥がありました。

それは、エンジンをストレスマウントとして使えないんです!

通常のF1マシンは、エンジンがモノコックと結合してマシンの骨格を兼ねています。

しかし平べったい水平対向エンジンではモノコックとの結合面積が少なく、剛性不足になってしまったのです。

そのためサブフレームで補強をされ、マシン重量は約100kgもオーバーしていました。

これじゃあまともに走れなかったのもうなずけますね。

第8戦イギリスグランプリを最後にスバルは撤退し、チームはコローニレーシングに戻りフォードDFRエンジンを搭載して参戦するのでした。

ちょうどF1ブーム全盛時代の参戦だっただけに、多くの日本人はスバルがF1に参戦したことを知っていますが、当のスバルはその後F1参戦したことについてメディア等で発信することはありませんでした。

まさに、スバルモータースポーツ史から消えたF1マシンと言えるでしょう。

スバルコローニC3Bを実車のように撮る!

それでは1/43のスバルコローニC3Bを撮影していきます。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』です。

ピットガレージで予備予選開始を待つスバルコローニC3B。

予備予選通過に向けピットガレージを後にするスバルコローニC3B。

コローニは1台体制で、ドライバーはベルトラン・ガショー選手が務めました。

それにしても最近発売したミニカーは精細なつくりをしています。

それまでのミニカーはフロントウイング翼端板の厚みでスケール感を台無しにしていましたが、このスパーク製スバルコローニは、その翼端板もスケール感を損なわずに再現されています。

今回も予備予選を通過できずにピットに戻ったスバルコローニC3B。

予備予選不通過でチームも暇だと思い、チームにマシンの撮影を打診するとあっさり承諾。

フジテレビのF1中継でも滅多にお目にかかれなかったスバルコローニC3Bの貴重画像です。

サイドポンツーン前方にはスバルコローニのマークを大きく配置します。

エンジンカバーにはスバルのロゴと、その後ろにはモトーリモデルニのロゴが入ります。

通常のF1マシンは、ドライバーの後方、ロールバーと同化して配置されるインダクションポッドですが、平べったい水平対向エンジンを搭載するこのマシンではサイドポンツーン後方に潜望鏡のように配置してあります。

上から見るとよくわかりますが、とにかく広いサイドポンツーン。

幅広エンジンを無理やり搭載したことが伺えます。

滅多に見ることのできないマシンの裏側もチームはあっさり承諾。

メカニックによって持ち上げてもらいました(んなわけない)。

レイトンハウスCG881やティレル019によって流行り始めたハイノーズですが、スバルコローニC3Bにはまったくその概念は採用されていません。

多くのダウンフォースを発生させることができるリヤディフューザーも、いたってシンプルなつくりです。

実際にはF1の決勝グリッドに着くことのできなかったスバルコローニC3Bですが、その夢を叶えてあげることにします。

「ハイテクカンツォーネ、フェラーリV12を搭載するフェラーリプロストの後方には、水平対向で対抗するスバルコローニ!」

と叫ぶ古舘伊知郎氏の声が聞こえてきそう!?

いや、聞こえない・・・。

ポールポジションの位置に置いてみるとそれなりに様になる!?

いや、ならない・・・。

ファンの声援を受けるスバルコローニの姿を見てみたかったが、実際にはほぼ無観客の金曜日、朝8時から9時の1時間でスバルコローニのグランプリ週末は終了。

ちなみに以下が1990年前半戦に予備予選を戦ったチームとドライバーですが、9台中4台が予選進出でしたが、ラルースが飛び抜けて速いため、実際には7台で2つの枠を争うという狭き門でした。

チームドライバー
ユーロブルンロベルト・モレノ
クラウディオ・ランジェス
ラルース鈴木亜久里
エリック・ベルナール
AGSヤニック・ダルマス
ガブリエル・タルキーニ
コローニベルトラン・ガショー
オゼッラオリビエ・グルイヤール
ライフゲイリー・ブラバム

ブルーノ・ジャコメリ

前述のとおり、控えめな『SUBARU』のロゴが、エンジンカウルに描かれ、

潜望鏡のようなサイドポンツーン上のエアインテイクが、妙な違和感を醸し出しています。

正面から見るとその潜望鏡はさらに違和感が増します。

1989年末にスバルがコローニの半分の株式を1億円で買い上げた・・・ということは、当時のコローニは2億円で買収できたのですね!

マシンに目を向けるとスポンサーロゴは少なく、コローニの財政事情が伺えます。

最後は同じ1990年のF1グランプリに出走したイタリアンチームのツーショット。

以上、1/43のスバルコローニC3Bを実車のように撮影してみました。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介します。

【スパーク製】1/43スバルコローニC3B

スバルコローニC3Bのミニカーは、中国の大手ミニカーメーカーのスパーク製です。

2020年3月ごろに発売された1990年アメリカグランプリフリー走行仕様で、正式名称?のコローニFC189Bとして販売されています。

【マテル製】1/43フェラーリ641/2

2013年ごろに購入したアメリカの世界最大規模の玩具メーカーであるマテル製で、現在は売られていません。

最後に

長いF1の歴史上さまざまな自動車メーカーがエンジンを供給してきましたが、これほどまでに失敗した企業はスバルをおいて他にはありません。

しかしV型エンジンが主流のF1に、あえて水平対向エンジンでチャレンジした姿に、日本をはじめ世界のモータースポーツファンは好意を持って受け止め、スバル=水平対向エンジンという認識がより広まったものと思います。

そんな意味でもスバルのF1挑戦は、企業にとっては必ずしも失敗ではなかったと言えるのかもしれません。

以上、今回は1/43のスバルコローニC3Bを実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。