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【元祖高級コンパクトカメラ】ローライ35はさまざまな魅力が詰まったカメラだった

珍しい光景を目にした時、「カメラを持っていればよかったなあ」と思うことがある。

昨今ではiPhoneなどスマートフォンのカメラ性能が飛躍的に伸びたため、それで撮影できるのだが、カメラ好きとしては少しでも良いカメラで撮影したい。

そこで私は高級コンデジの雄、リコーGRⅢをいつもバッグに入れている。

そんなコンセプトのカメラが半世紀以上も前に売り出され、そのカメラは今でも多くのファンを魅了している。

そのカメラとは、ローライ35。

元祖高級コンパクトカメラと呼ばれるローライ35はさまざまな魅力が詰まったカメラで、絶大な人気から多くの派生モデルが登場した。

ということで、今回は稀代の名カメラ、ローライ35を紹介してみたいと思う。

ローライ35はドイツ名門メーカーが結集した元祖高級コンパクトカメラ

私はコンパクトカメラが好きだ。

そんな高級コンパクトカメラが好きな私が、ずっと気になっていたカメラがあった。

その名はローライ35。

現在高級コンパクトカメラと言われているリコーGRシリーズやソニーRX1シリーズよりもずーとむかしに発売されたカメラで、元祖高級コンパクトカメラと言われている。

その発売は今から半世紀以上前の1967年!

二眼レフを産んだドイツのローライ社が作り上げたこのカメラは、35mmサイズの当時の一般的なフィルムカメラと比べて驚異的な小型軽量を実現した。

このカメラ、ただ小さいだけではない。

レンズはカメラ好きならば誰もが知るドイツの超名門、カールツァイス製のテッサー40mmを装着(後に同社製のゾナーやシュナイダー製もあり)。

さらにシャターは伝統のメーカーコンパー製で、露出計は一流メーカーのゴッセン製をそれぞれ搭載している。

ローライ、カールツァイス、コンパー、ゴッセン、まさにドイツの名門メーカーが結集した高級コンパクトカメラなのだ。

ローライ35は写ルンですよりも小さいボディ

そんなローライ35の最大の特徴は小さなボディサイズ。

そのサイズは幅がたったの99mmで高さが68mm。奥行きは沈胴式のレンズを採用することにより42mm。

このボディサイズはのちに発売されるレンズ付きフィルムの写ルンですよりも幅が小さく高さはほぼ同じなのだ。

こんな小さなボディの中に、先に挙げた高級部品を詰め込んでいるのだから驚きだ。

21世紀初頭まで多く発売されたフィルムカメラだが、このローライ35よりも小さいカメラはほとんど無い。

ローライ35は愛嬌あるエクステリアも魅力

ローライ35のもうひとつの魅力がその愛嬌あるボディ。

レンズの両サイドにはダイヤルがあり(B35・C35を除く)、それがかわいらしく見えるのだ。

このダイヤルは向かって右がシャッタースピードと装填フィルムの種類で、向かって左がF値の調整と装填フィルムの感度。

通常のカメラではカメラの裏側やレンズに装備されるこれらの調整ダイヤル。

しかしローライ35は、コンパクトボディを実現されるためにこちらに移されているのだろうが、そのおかげで他のカメラにはない愛嬌あるエクステリアの特徴になっている。

ローライ35はピント合わせが苦手?

ローライ35が発売されていた時期はまだオートフォーカスなるものは存在しない。

そこで一眼レフはファインダーを見ながらレンズの周りのリングを調節していた。またライカMシリーズに代表されるレンジファインダーカメラは、二重像を調整しながらピントを合わせていた。

私たちオートフォーカスに慣れた世代では実に手間のかかる儀式だが、当時はそれが当たり前だった。

しかしローライ35のファインダーはレンズから見える像ではなくただの素通しで、もちろんライカMシリーズのような二重像も無い・・・。

では、どうやってピントを合わせるのか?

ローライ35のレンズには『m 0.9 1 1.2 1.5 ∞』とメモリが刻まれており、被写体との距離を自ら目算してピントを合わすのだ!

ピント合わせは難しいカメラだが、コンパクトなボディがこのカメラの最大の特徴であるため致し方ない。

ローライ35の種類

そんな高級コンパクトカメラのローライ35は1966年にフォトキナで発表され、翌1967年から発売を開始。

それから1980年までの長きに渡り販売され、基本となる形状は踏襲されながらもレンズの変更や製造国の変更、高級版や廉価版の追加など、さまざまな仕様が発売された。

ではどんな種類があるのか?

ということで、まずは基本モデルを年代別に見てみよう。

モデル発売期間レンズ製造国
ローライ351967-1974テッサー40mm F3.5
S-クセナー40mm F3.5
ドイツ
シンガポール
ローライB351969-1974トリオター40mm F3.5ドイツ
シンガポール
ローライC351969-1971トリオター40mm F3.5ドイツ
ローライ35S1974-1980ゾナー40mm F2.8シンガポール
ローライ35T1974-1980テッサー40mm F3.5シンガポール
ローライ35LED1978-1980トリオター40mm F3.5シンガポール
ローライ35TE1979-1980テッサー40mm F3.5シンガポール
ローライ35SE1979-1981ゾナー40mm F2.8シンガポール

発売時期は前述のとおり1967年から1980年(1991年にローライ35クラシックとして復刻=後述)。

レンズはテッサー35mm F3.5を基本として、高級版のゾナー40mm F2.8や廉価版のトリオター40mm F3.5を装着しているモデルもある。また初期にはS-クセナー40mm F3.5を搭載していたモデルもあった。

製造国は当初本国のドイツで行っていたが、1971年にシンガポールでの製造に切り替えている。

派生モデルや復刻版も!ローライ35の全モデルを紹介

ローライ35の種類としては基本として前に挙げた8種類であるが、限定盤の派生モデルや復刻版も存在する。

そこで、先に挙げた基本モデルや派生モデル、復刻版など、そのすべてのモデルを紹介してみよう。

ローライ35

1966年にフォトキナで発表され1967年に発売された、元祖ローライ35。

初期型は本国ドイツ製で1971年からシンガポールで製造されるが、中古品では初期型のドイツ製が人気だ。

ボディ色はクローム(シルバー)とブラックの2色。

基本レンズはカールツァイスのテッサーが装着されているが、一部シュナイダー社のクセナーが装着されたモデルが存在する。

ローライB35

1969年発売。

レンズがトリオターでシャッタースピード1/30未満のスローシャッターを省略した廉価版で、各部パーツもプラスチックを多用する。

ローライ35の特徴であるボディ前面のシャッタースピードダイヤルと絞りリングがレンズの周りに移設され、フツーのカメラになったような・・・。

1971年までドイツ製でそれ以降はシンガポール製となる。

ローライC35

1969年発売。

ローライB35を基本に露出計を省略したモデルでこちらも廉価版。日本製のリーズナブルなカメラに対抗するために価格を抑えて発売された。

電池が不要で壊れる箇所も少ないため現在では逆に人気があるらしい。

発売は1971年までの短い期間で、製造はすべてドイツ。

ローライ35ゴールド

1970年発売。

ローライ社の創業50周年を記念して製造されたモデルで、元祖ローライ35をベースにボディがゴールド仕上げになっている。

製造はドイツ。

ローライ35S

1974年発売。

ゾナー40mmF2.8のレンズが装備され、ローライ独自のHFTコーティングにより描写性能が向上した高級版。

赤文字で書かれたレンズの『Rollei-HFT』がオシャレ。

ただローライ35シリーズは距離計が無いので被写界深度が浅い当レンズでは、特に開放付近でのピント合わせでは慣れが必要だ。

このモデル以降すべてがシンガポール製となる。

ローライ35T

1974年発売。

ローライ35Sが発売された後、元祖ローライ35を名称変更した。

ローライ35LED

1978年発売。

トリオターのレンズが装着され、シャッタースピードが1/30からの普及版で、先に挙げたローライB35の後継機になる。

ローライ35TE

1979年発売。

ローライ35Tの露出計を指針式からファインダー内のLED表記に改めたバージョン。

またアクセサリーシューをそれまでのボディ下部から一般的な上面に移設され、使い勝手が向上した。

ローライ35SE

1979年発売。

ローライ35TE同様に、ローライ35Sの露出計を指針式からファインダー内のLED表記に改めたバージョン。

同じくアクセサリーシューも上面にある。

ローライ35Sシルバー

1979年発売。

ローライ35Sの派生版で、ボディが銀メッキになり、革もシルバー仕上げになっている。

ローライ35Sゴールド

1980年発売。

ローライ社の創業60周年を記念して製造されたモデルで、ローライ35Sベースのゴールド仕上げ版。

ローライ35プラチナ

1986年発売。

ローライ35Sのプラチナ仕上げバージョンで限定444台。

革が薄茶色のトカゲ革を使用し、シャッターボタンや沈胴ロックボタンが金メッキになっている。

格納箱と証明書が付属していた。

ローライ35Sベースなので本来はローライ35“S”プラチナとなるべきなのだが、機種名にSは付かない。

ローライ35クラシック

1991年発売。

ローライ35Sの復刻版で、前面の『Classic』のロゴが特徴。

基本的にはローライ35Sの復刻版だが、アクセサリーシューはオリジナル版最終バージョンであるローライ35SEと同様に、カメラ上部に移設されている。

2010年にビンテージバージョンで限定復活。

カラーはチタン、ゴールド、プラチナ、ブラックの4色が存在。

ローライ35クラシック 75周年記念モデル

1995年発売。

ローライ社75周年記念モデルで、ローライ35クラシックをベースにボディが鏡面のゴールド仕上げになっており、75周年記念のロゴが前面に施される。

ローライ35ロイヤル

1996年発売。

ローライ35クラシックをベースに一部ゴールド仕上げにし、木製ケースを付属した限定版。

最後に

ローライ35は今見ても魅力的なカメラで、フィルムカメラがふたたびブームになりつつある昨今では、また人気を取り戻している。

当然この記事を最後までご覧いただいた方の中には、興味を持っていたり購入したいと考えている方も多いと思うが、長きに渡り販売し続けたローライ35は中古品も多く出回っており、値段も3万円ほどからラインナップと比較的気軽に購入できる。

かく言う私も先日カメラのキタムラで何気なくショーウィンドを見ていると、並ぶ他のカメラにはないオーラを発したこのカメラがあったため、すかさず購入した。

すぐに自宅の防湿庫に入れると飾ってあるだけで様になり、それだけで購入したことに満足した。

ただ昨今のオートマチックになったカメラに慣れた私は、ピント合わせに悪戦苦闘・・・。

でもその儀式が新鮮でたまらなく楽しい。

この記事を最後までご覧いただいた方には、ぜひ購入しその儀式を体感してもらいたい。

きっと新たなカメラライフが始まるだろう。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。