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【レーシングチーム紹介】第3弾 TOM`S(トムス)

モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。

国内のレーシングチームを紹介するこのコーナー、第1弾は日産系のチームインパル、第2弾はホンダ系のナカジマレーシング、そして今回の第3弾は古くからトヨタとともに世界を戦い、多くの栄冠を勝ち取ってきたトムスを紹介していきたいと思います。

TOM’Sの名称

2019年4月撮影 トムス御殿場ファクトリー

トムスの設立は1974年、当時トヨタのワークスドライバーだった舘信秀とトヨタ系ディーラーのスポーツ責任者大岩氏によって設立され、舘のT大岩のO、モータースポーツのMSの頭文字をとってTOM’S※と名付けられました。

※ トムス名称の由来としてトヨタモータースポーツの略だという記述が散見されるがそれは誤り。

以来設立者の関係もあり、現在に至るまでトヨタのモータースポーツ活動と深く関わってきました。

トヨタとともに耐久選手権そしてル・マンへ

2017年11月撮影 トヨタトムス85CL

トヨタのモータースポーツ活動は、現在のル・マン参戦に代表される耐久のトヨタというイメージが強くありますが、前述のとおりトヨタと関わりの深いトムスもトヨタ製エンジンを搭載し国内外のプロトタイプカーを使用したレースへ参戦していました。

1983年から1992年まで行われた全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権へは全戦へ出場し、10年間で8勝を上げ1992年にはクラスチャンピオンを獲得しました。

余談ですが、私がRCカーに明け暮れた小学生時代、タミヤから発売されたRCカー『トヨタトムス84C』は憧れの存在でした。

調べてみたら、リバイバルしているみたい・・・ 買っちゃおうかな?

カーナンバーは当時も現在と変わらず#36です。

耐久レースの最高峰、ル・マン24時間へは1980年に初参戦をします。

1985年からは最高峰クラスへエントリーし、以降1993年まで挑み続け最高位は1992年の総合2位で、日本チームとして初めて表彰台に上がりました。

世界スポーツプロトタイプカー選手権には1989年・1990年に参戦し、4位が最高位。

2017年11月撮影 1992年トムスGBがトヨタよりこのTS010を借り受けSWCに参戦

スポーツカー世界選手権と改称した1991年は休止するも1992年には再び参戦し、その年のシリーズ終焉とともにスポーツプロトタイプカープロジェクトは終了しました。

意外と遅い日本トップフォーミュラへの参戦

2018年7月撮影 J・ロシター選手が駆るトムススーパーフォーミュラマシン

トヨタと深い関わりがあるトムスだけに、トヨタが日本のトップフォーミュラ用のエンジンを製作していない関係からか、日本トップフォーミュラへの参戦は遅く1993年の全日本F3000選手権です。

ちなみに当時、無限エンジンが国内レースエンジンのトップコンテンダーだった中、トムスが搭載したエンジンはコスワース製でした。

さすがに、ホンダ創業者本田宗一郎の御子息が社長を勤める会社のエンジンは載せられませんよね。

2017年3月撮影 2011年仕様のトムスフォーミュラニッポンマシン FUJI WONDERLAND FES!にて

この1993年限り参戦し、その後日本のトップフォーミュラへ復帰するのは13年後の2006年シーズンのフォーミュラニッポン、無限ワンメイクが終わりトヨタエンジンが供給を開始した年でした。

以来、フォーミュラニッポン→スーパーフォーミュラと日本のトップチームのひとつとして、最前線で活躍しています。

2018年10月撮影 全日本F3でワンツー体制を構築する2台のトムスマシン

全日本F3選手権でのトムスは参戦当初よりトップチームとして活躍し、記憶に新しい2018年シーズンは全戦優勝(全19戦)という記録を打ち立てました。

ちなみに以前、トムスGB※で製作したオリジナルシャシーで参戦したこともありました。

※ トムスGBとは1987年に世界プロトタイプカー選手権に参戦するトムスのヨーロッパ基地。
F1参戦も画策したが頓挫し、1998年アウディに売却。

スーパーGT GT500唯一の2カー体制

2019年撮影 トムス36号車とGT-Rを挟みその後ろにはトムス37号車
トムスJGTCマシン Mさん画像提供

スーパーGTの前身全日本GT選手権へは開始翌年の1995年より参戦し、2004年のシリーズ終了まで一貫してトヨタスープラを使用、その後スーパーGTとなってからもトヨタスープラ→レクサスSC→レクサスRC-F→レクサスLC500とトヨタ・レクサスのマシンにて参戦します。

他のトヨタ系チームが1カー体制の中、トムスは1997年より2カー体制になり、1999年からの2年間はなんと3カー体制で参戦します。

2001年からは2カー体制に戻り2006年から2012年までは1カー体制になるも、2013年から現在に至るまでふたたび2カー体制で参戦しています。

ちなみに2台体制は現在のスーパーGT GT500参戦チームの中で唯一トムスのみです。

2018年第7戦での順位入れ替えなど、2台体制ならではの戦略が見れるので、私的には多くのスーパーGTチームが2カー体制になると楽しめるのですが、メーカー側としては供給面でなかなか厳しいのでしょうか。

レクサス系チーム人気No.1!

2019年3月撮影 スーパーGTトムス37号車

日本一の大企業トヨタと強いコネクションを持ち、日本のモータースポーツを古くから支えてきたトムスの人気は? と思い、ツイッターでこんなアンケートをしてみました。

レクサス系スーパーGT GT500チーム、最も応援しているのはどこ?

ルマン・セルモ・サード・バンドウなど、レクサス系スーパーGT GT500参戦チームはいずれも人気チームですが、ご覧のとおり一番人気はトムスでした。

やはり実績がものをいう世界、常にトップで活躍し中嶋一貴選手や関口雄飛選手などトヨタ系の人気と実力を兼ね備えたトップドライバーが在籍しているだけあり、人気もうなずける結果となりました。

現在の参戦カテゴリー

2017年5月撮影 2017年シリーズチャンピオンのトムス37号車
  • 全日本スーパーフォーミュラ選手権(2013-)
  • 全日本F3選手権
  • スーパーGT(2005-)
  • スーパー耐久

過去の参戦カテゴリー

2017年3月撮影 2011年のトムスフォーミュラニッポンマシン
  • 全日本F3000選手権
  • 全日本フォーミュラニッポン選手権
  • 世界プロトタイプカー選手権(スポーツカー世界選手権)
  • ル・マン24時間レース
  • 全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権
  • 全日本GT選手権
  • 全日本ツーリングカー選手権
  • ニュルブルクリンク24時間レース

主なタイトル

トムスは日本モータースポーツの中心的なチームとして様々なタイトルを獲得してきましたが、ここではその主なタイトルを紹介します。

チームズタイトル

  • 全日本フォーミュラニッポン選手権 1回(2011)
  • 全日本F3選手権 12回(2003,2005,2006,2007,3008,2009,2010,2013,2014,2015,2017,2018)
  • 全日本スーパーフォーミュラ選手権 1回(2014)
  • 全日本GT選手権 2回(1997,1999)
  • スーパーGT 4回(2006,2008,2009,2017)

※ 2018年終了時点(ぴぴ調べ)

ドライバーズタイトル

  • 全日本フォーミュラニッポン選手権 2回(2011,2012)
  • 全日本F3選手権 17回(1991,1993,1994,1995,1998,1999,2003,2005,2006,2007,2008,2009,2010,2013,2015,2016,2018)
  • 全日本スーパーフォーミュラ選手権 1回(2014)
  • 全日本GT選手権 1回(1997)
  • スーパーGT 3回(2006,2009,2017)
  • 全日本ツーリングカー選手権 1回(1994)

※ 2018年終了時点(ぴぴ調べ)

最後に

古くからトヨタのモータースポーツと深く関わってきたトムスは、現在も変わらずトヨタのエースチームとして君臨し、その時代のトヨタトップドライバーをラインナップするチームです。

この記事は2019年5月のスーパーGT鈴鹿ラウンドを見ながら書いていますが、GT500クラスで唯一2台体制のトムスがワンツーフィニッシュで勝利をあげ、現在もトヨタのそして日本のトップチームであることを証明した素晴らしいレースでした。

日本のレーシングチームの先駆者としてル・マン24時間レースに出場し、そしてF1も目指したトムス・・・。

ふたたびこの日本のトップチームが、世界の舞台でも戦ってもらいたいと私は思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。