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マクラーレンMCL33 チーム初のルノーPU搭載マシン【ミニカー#108】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はマクラーレンが2018年のF1に参戦するために開発した、マクラーレンMCL33を取り上げていこうと思う。

マシンデータと戦績

まずはマクラーレンMCL33の主要諸元をチェック。

年式2018年
カテゴリーF1
コンストラクターマクラーレン
マシン名MCL33
デザイナーティム・ゴス(テクニカルディレクター)
ピーター・プロドロモウ(チーフエンジニア)
マット・モリス(エンジニアリングディレクター)
エンジンルノーR.E.18
主要諸元表

前年型のMCL32から引き続きティム・ゴス(テクニカルディレクター)、ピーター・プロドロモウ(チーフエンジニア)、マット・モリス(エンジニアリングディレクター)の3人を中心にMCL33は設計された。

そしてパワーユニットは、3年間辛酸を舐めたホンダに代わり、この年からルノーを搭載する。

つづいてマクラーレンMCL33の戦績を見てみる。

コンストラクターアロンソバンドーン
シーズン順位6位11位16位
シーズンポイント62P50P12P
優勝0回0回0回
表彰台0回0回0回
ポールポジション0回0回0回
ファステストラップ0回0回0回
戦績表

名手フェルナンド・アロンソをもってしても、最高位は開幕戦の5位という結果だった。

ホンダからルノー製のパワーユニットに変更するも、大きく成績が上がることはなかったため、前年までの不振の原因はホンダパワーユニットだけでなく、シャシーにも問題があったことが証明された。

マクラーレンMCL33のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のマクラーレンMCL33を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

マクラーレンMCL33のシャークフィンに書かれたカーナンバー14は、フェルナンド・アロンソのマシン。

そしてこのマシンは、引退をするアロンソのヘルメットカラーをエンジンカバーに施した、アブダビグランプリ仕様のスペシャルカラーだ。

ノーズ先端に3つの開口部があるのが確認できるが、これは第5戦スペイングランプリ以降のBスペックになる。

そしてこの頃各チームが開発に躍起になっていたフロントウイングサイドの細かなフィンが、1/43のミニカーでもなんとか再現している。

前年からレギュレーションにより全幅が200mm拡大し、リヤタイヤもワイドになったため、リヤからのアングルがかなり迫力を増している。

リヤウイングに書かれた『Kimoa』は、アロンソのファッションブランドの名称だ。

前年のパパイヤオレンジにつや消しブラックから、この年チームの伝統的カラーであるオレンジ部分が増やされ、ブルーがアクセントに添えられた。

マクラーレンMCL33をスターティンググリッドに移動してみた。

奥に見えるのが、この年のチャンピオンマシンであるメルセデスW09。

サイドポッド前方のバージボードの造形が、かなり複雑なのがよくわかる。

このバージボードは各チームともに多くの開発資金が投入されたが、その高さは翌2019年から制限されることとなり、ある程度開発競争は鈍化している。

またこの年からドライバー保護のため、コクピットにHALOの装着が義務付けれている。

フロントの左右開口部からノーズ下部に伸びるエラは、マクラーレンMCL33の特徴だ。

冒頭で書いたとおり、エンジンカウルには引退するアロンソに向けて、彼のヘルメットカラーのカラーを施している。

通常これだけスペースがあるスペシャルカラーは、スポンサーとの兼ね合いで実現することが難しいのだが、当時のマクラーレンはタイトルスポンサーはおろか、スポンサーロゴ自体が極端に少ないため、このような大々的なカラーが実現したのだのかもしれない。

現在は見慣れないこのパープルのタイヤロゴはなんだっ!?と思い振り返ると、これはそう、ウルトラソフトタイヤの色だった。

ちなみに2017年までは、

  • ウルトラソフト(パープル)
  • スーパーソフト(レッド)
  • ソフト(イエロー)
  • ミディアム(ホワイト)
  • ハード(オレンジ)

の5種類だった。

それがこの2018年から、もっとも柔らかいハイパーソフトともっとも硬いスーパーハードが加わり、

  • ハイパーソフト(ピンク)
  • ウルトラソフト(パープル)
  • スーパーソフト(レッド)
  • ソフト(イエロー)
  • ミディアム(ホワイト)
  • ハード(アイスブルー)
  • スーパーハード(オレンジ)

7種類になっている。

それが現在(2019年以降)は、5種類の硬さのタイヤ(硬い方からC1 C2…C5)の中から、グランプリにより3つを選択し、その3つのタイヤに対して、

  • ハード(ホワイト)
  • ミディアム(イエロー)
  • ソフト(レッド)

と名付けている。

前述のとおり、マクラーレンはこの年ホンダからルノー製パワーユニットに変更した。

プロジェクト4と合併(1981年)後のマクラーレンのエンジンパートナーは以下のとおり。

  • 1981-1983 フォード
  • 1983-1987 ポルシェ
  • 1988-1992 ホンダ
  • 1993 フォード
  • 1994 プジョー
  • 1995-2014 メルセデス
  • 2015-2017 ホンダ
  • 2018-2020 ルノー
  • 2021- メルセデス

そう、マクラーレンは長い歴史の中で、はじめてルノーのエンジンを搭載した。

マクラーレンMCL33のホイールベースは3550mm。

同年のフェラーリSF71Hの3698mmやメルセデスW09の3726mmと比べると約150mm短いが、それでも最近のマシンは写真のとおり異常なほどに長い。

一般的にホイールベースが長いと直進安定性が高まり、逆に短くすると旋回性能が高まる。

コーナーを重視するF1なのに、なぜホイールベースは年々長くなるのか・・・。

F1マシンのコーナーリングスピードは圧倒的に速く、コーナーによっては5Gを超える遠心力がかかる。

その超高速コーナーリングにおいては、ホイールベースが長い方が安定するらしい。

それでも2016年ごろまでの各マシンのホイールベースは3400mmほどだったが、2017年からマシンの全幅が1800mmから2000mmと200mmも幅広になり、その結果フロア面積が広くなってダウンフォースが増加。

なおかつタイヤもワイドになり、その両方の効果でコーナーリングスピードが極端に上がり、マシンをしっかりと支えなければならず、安定感を求めてホイールベースがさらに長くなったのだ。

サイドポッド後方は、同じパワーユニットを搭載するルノーと比べるとかなり絞り込まれているが、メルセデスW09との比較では写真のとおり絞り込みが足りない。

またリヤサスペンションのアッパーアームは、メルセデスW09がカウルの上側に出ているのに対し、マクラーレンMCL33はカウルの中に収まっているのがわかる。

以上、1/43のマクラーレンMCL33を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】マクラーレンMCL33

デアゴスティーニのF1マシンコレクション第122号で、ミニカーはイタリアの老舗メーカーであるixoが製造している。

【ixo製】メルセデスW09

こちらも同じく、デアゴスティーニF1マシンコレクション第123号で、ixo製。

【ixo製】フェラーリSF90

上記2台と同様に、デアゴスティーニF1マシンコレクションの第104号で、ixo製。

今回の撮影機材

今回ミニカーを撮影したカメラ機材を紹介する。

カメラキヤノンEOS R5
レンズキヤノンRF35mm F1.8 IS STM
スピードライトキヤノン430EX Ⅱ
三脚ベルボンEX-Macro
撮影機材

最後に

今回のマシンが参戦した2018年ごろ、極度の低迷期真っ只中のマクラーレンは、チームの主要人物を大改革する。

まず2018年9月にエンジニアリングディレクターとしてパッド・フライをチームに加入させる。

フライは翌2019年3月にチームを去るが、それと入れ替わるようにトロロッソからジェームス・キーをテクニカルディレクターとして招き入れると、2019年には表彰台に復帰し、チームはコンストラクターズで4位に入る。

そして2020年は2度の表彰台を獲得し、選手権では3位に浮上。

2021年にはルノーから最強メルセデスにパワーユニットを交換した効果もあり、イタリアグランプリで2012年以来の優勝を果たし、現在マクラーレンは完全復活へ向けてますます調子が上がっている。

以上、今回は1/43のマクラーレンMCL33を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみた。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。