3月9日から3日間に渡って行われた2022年F1のプレシーズンテスト。
今回は大きくデザインが変わった2022年マシンの動く映像をはじめて観た感想を書いてみたいと思う。
メルセデスW13のゼロポッドにモデナランボを思い出す
大きく変わった2022年のF1マシンを雑誌やインターネットで事前に見ていた時には、アストンマーティンやアルファタウリのサイドポッドが特徴的で、印象に残っていた。
しかし走っている姿を映像で観ると、意外にフツー。
いや、もしかしたら写真で何度も見ていたから、すでに目が慣れてしまったのかもしれない。
そんな私を驚かせたのがメルセデスのW13。
発表時からエンジンカウルがコンパクトで、スマートなマシンだと思っていたが、今回のバーレーンから登場した通称『ゼロポッド』の形状には度肝を抜かれた!
通常サイドポッド内に装着する側面衝撃構造(SIS)が、コクピット横から生えるウイング状のボディワークの中に移設されている。
そのため、今まで見慣れていたサイドポッドの張り出しがないのだ!
いや、もちろんラジエター取り入れ用の穴はある。
しかしその穴は非常に小さく、その後ろの張り出しもない・・・。
今までオーストリアグランプリなど、気温の高いグランプリでは苦しんだメルセデスだが、この開口部で冷却対策は大丈夫なのかと疑問が残る。
でも、特異なカタチが面白く、この機能美がたまらなくいいね。
レギュレーション変更は、こんなびっくりデザインが見られてじつに楽しい。
ところでこのサイドポッドのデザイン、あのマシンに似てるなあと懐かしく思っていた。
1991年のF1に登場したモデナ291、通称モデナランボだ。
スーパーカーメーカーであるランボルギーニにチーム立ち上げ時に支援を受けた新興チームの、ダークブルーのマシンのサイドには、三角形のサイドポッドが特徴だったが、メルセデスW13を見て久々にこのマシンを思い出した。
と思っていたら、多くの視聴者のツイートから津川哲夫さんも同調し、フジテレビの中継でもその話題になる。
やっぱり日本のF1は現在も我々F1ブーム世代が視聴者の中心のようだ。
そしてまったく逆の考え方なのがフェラーリのF1-75。
メルセデスW13とは対照的にサイドポッドを大きく張り出させ、丸みを帯びたメルセデスW13とは真逆の角張りを持たせた形状にしてきたフェラーリF1-75。
先端が尖ったスラントノーズも含め、私の好きだった1990年代を思い起こさせてくれる。
写真で見た時から一目惚れだったが、このマシン映像でも最高のプロポーションなのだ。
そしてカラーリングもフェラーリF1-75は極上!
1990年代同様に前後ウイングをカーボン地剥き出しにしているところは、F1ブーム世代が泣いて喜ぶこと請け合いだ。
一時は蛍光レッドになり、艶消し初年度は朱色とも言われたフェラーリレッドも、今季のマシンは伝統の深紅になっているように見える。
そしてわずかに入るイエローも、1990年代にドライバー識別用に入れられたマーカーのようで、これもまたファン心を擽る。
よし決めた、今季当サイトはフェラーリを中心に見ていくことにしよう!
レッドブルが最速!フェラーリも上位
そのフェラーリはどうやらマシンデザインだけでなく、今年は調子が良さそう。
近年パワーユニットに起因する不長期が続いていたが、プレシーズンテストでは連日タイムテーブルの上位に位置している。
それに対して昨年のドライバーズチャンピオンチームのレッドブルと、コンストラクターズチャンピオンチームのメルセデスはタイムシートの中盤あたり。
どうやら、淡々とロングスティントをこなしているようだが、昨年は最終戦まで鎬を削った両チームなので、バジェットキャップの中、開発のリソースを十分に2022年マシンに投入できなかったのかも、と少々の不安が残る。
・・・と思っていたが。
テスト最終日の最終盤、新型エアロパーツを装着したレッドブルRB18が、予選シミュレーションでとんでもないタイムを叩き出した!
空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイの実力はいまだ健在のようで、どうやらフェラーリを上回るマシンのようだ。
対するメルセデスはストレートからのブレーキングで発生する上下動、いわゆるポーパシングに悩んでおり、テスト最終日もタイムが伸びてこない。
うーん、三味線なのか、それとも本当にやばいのか・・・。
レッドブルやフェラーリの他に調子が良さそうなのがマクラーレンMCL36。
マシンは特徴ないオーソドックスな形状に見えるが、バルセロナテストのタイムシートではフェラーリに次ぐタイムを叩き出していた。
ハードブレーキが多い今回のバーレーンでは、ブレーキのオーバーヒートで抑えての走行だったが、素性はかなり良さそうだ。
昨年はメルセデスパワーユニットに交換し、ルノーパワーユニット用に設計したモノコックに無理やり載せたマクラーレンだが、今季のマシンは最初からメルセデスパワーユニット搭載を見込んでつくられたマシン。
若き才能溢れるデザイナー、ジェームス・キーは、次世代のF1を担う筆頭株なのかもしれない。
ちなみにそのマクラーレンは、ダニエル・リカルドが体調不良(のちに新型コロナウイルスに感染したと発表)を訴え、ランド・ノリスが全セッションを担当し、3日間で199周を走破している。
アルファタウリの角田裕毅は2日目に前マシン中最長の120周をこなしレースシミュレーションを敢行。
そして最終日の終盤は予選シミュレーションを行ったが、マシンの実力的には中盤あたりか。
F1での未来が決まるであろう勝負の2年目。
まずは評価の高いピエール・ガスリーを上回ってもらいたいと願っている。
バーレーンプレシーズンテスト結果
最後にバーレーンのプレシーズンテスト結果を載せておく。
1日目
順位 | ドライバー | チーム | タイム | ラップ | タイヤ |
---|---|---|---|---|---|
1 | P.ガスリー | アルファタウリ | 1’33.902 | 102 | C5 |
2 | C.サインツ | フェラーリ | 1’34.359 | 52 | C3 |
3 | C.ルクレール | フェラーリ | 1’34.531 | 64 | C3 |
4 | L.ストロール | アストンマーティン | 1’34.736 | 50 | C5 |
5 | A.アルボン | ウィリアムズ | 1’35.070 | 104 | C4 |
6 | L.ノリス | マクラーレン | 1’35.356 | 49 | C2 |
7 | V.ボッタス | アルファロメオ | 1’35.495 | 66 | C3 |
8 | S.ベッテル | アストンマーティン | 1’35.706 | 39 | C3 |
9 | G.ラッセル | メルセデス | 1’35.941 | 59 | C3 |
10 | S.ペレス | レッドブル | 1’35.977 | 137 | C3 |
11 | L.ハミルトン | メルセデス | 1’36.365 | 62 | C3 |
12 | F.アロンソ | アルピーヌ | 1’36.745 | 24 | C3 |
13 | E.オコン | アルピーヌ | 1’36.768 | 42 | C2 |
14 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1’37.164 | 54 | C3 |
15 | P.フィッティパルディ | ハース | 1’37.422 | 47 | C2P |
2日目
順位 | ドライバー | チーム | タイム | ラップ | タイヤ |
---|---|---|---|---|---|
1 | K.マグヌッセン | ハース | 1’33.20※ | 60 | C4 |
2 | C.サインツ | フェラーリ | 1’33.532 | 60 | C4 |
3 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 1’34.011 | 86 | C4 |
4 | L.ストロール | アストンマーティン | 1’34.064 | 70 | C4 |
5 | L.ハミルトン | メルセデス | 1’34.141 | 47 | C5 |
6 | E.オコン | アルピーヌ | 1’34.276 | 111 | C4 |
7 | C.ルクレール | フェラーリ | 1’34.366 | 54 | C3 |
8 | L.ノリス | マクラーレン | 1’34.609 | 60 | C3 |
9 | S.ベッテル | アストンマーティン | 1’36.020 | 46 | C3 |
10 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1’36.802 | 120 | C3 |
11 | V.ボッタス | アルファロメオ | 1’36.987 | 25 | C2 |
12 | M.シューマッハ | ハース | 1’37.846 | 23 | C2 |
13 | G.ラッセル | メルセデス | 1’38.585 | 67 | P |
14 | N.ラティフィ | ウィリアムズ | 1’39.845 | 12 | P |
15 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1’39.984 | 48 | P |
3日目
順位 | ドライバー | チーム | タイム | ラップ | タイヤ |
---|---|---|---|---|---|
1 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 1’31.720 | 53 | C5 |
2 | M.シューマッハ | ハース | 1’32.241※ | 85 | C4 |
3 | C.ルクレール | フェラーリ | 1’32.415 | 51 | C4 |
4 | F.アロンソ | アルピーヌ | 1’32.698 | 122 | C4 |
5 | G.ラッセル | メルセデス | 1’32.759 | 71 | C5 |
6 | V.ボッタス | アルファロメオ | 1’32.985 | 68 | C3 |
7 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1’33.002 | 57 | C5 |
8 | S.ペレス | レッドブル | 1’33.105 | 43 | C4 |
9 | L.ノリス | マクラーレン | 1’33.191 | 90 | C3 |
10 | S.ベッテル | アストンマーティン | 1’33.821 | 81 | C4 |
11 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1’33.959 | 82 | C4 |
12 | P.ガスリー | アルファタウリ | 1’34.865 | 91 | C4 |
13 | C.サインツ | フェラーリ | 1’34.905 | 68 | C5 |
14 | A.アルボン | ウィリアムズ | 1’35.171 | 18 | C3 |
15 | N.ラティフィ | ウィリアムズ | 1’35.634 | 124 | C3 |
16 | L.ストロール | アストンマーティン | 1’36.029 | 53 | C3 |
17 | L.ハミルトン | メルセデス | 1’36.217 | 78 | C5 |
18 | K.マグヌッセン | ハース | 1’38.616 | 38 | C2 |
最後に
レギュレーションが大きく変更となった今シーズン。
そのシーズン前のテストということで各マシンのトラブルも予想されたが、大きなトラブルもなくプレシーズンテストは終了した。
ただマシンは淡々とラップを重ねる部品の耐久テストが主だったようだ。
テスト3日目の終盤では予選シミュレーションも見られたが、全マシンが行なっていた訳ではなく、中にはパワーユニットの出力を抑えたり多くのガソリンを搭載したりしているチームもあると予想され、正直明確な実力差は確認できなかった。
ただ言えること、今年もレッドブルは速く、フェラーリも追随している。
さあ開幕は来週。
バーレーングランプリの予選で今シーズンのマシンの真の実力が分かることだろう。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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