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ファンを魅了したカッコいいスーパーGT JAF-GTマシン3選

昨今のモータースポーツはワンメイク化が進んでおり、同じ格好をしたマシンがレースを繰り広げるため、正直華やかさといった意味では少々物足りないカテゴリーが多い。

しかし日本が誇るスーパーGTは、さまざまな格好をしたマシンが激戦を繰り広げ、観る者を魅了して止まない。

中でもGT300クラスはカッコいいマシンが多く、JAF-GTが主流だった少し前時代には、ほぼワンオフの特異な格好をしたマシンも参戦していた。

当時JAF-GTクラスは以下のAからDのカテゴリーに分類されていた。

  • カテゴリーA
    JAF-GTレギュレーションに基づいて製造されたマシンで、FIAまたはJAFの公認車両に登録されているもの
  • カテゴリーB
    JAF-GTレギュレーションに基づいて製造されたマシンで、FIAまたはJAFの公認車両に登録されていないもの
  • カテゴリーC
    生産台数が少量で市販車認定が受けられないマシン
  • カテゴリーD
    プロトタイプレーシングマシンなど、ベース車両の存在しないマシン

その中でカテゴリーC/Dのマシンは、GT500クラスが2014年からDTMとの統一を前にGTレースに戻すという意味も込めて2012年を最後に参戦ができなくなったが、スーパーGTでしか観られない独自のスタイルをしたこのカテゴリーのマシンは、多くのスーパーGTファンに愛されていた。

ということで今回は、JAF-GTカテゴリーC/Dの中でも特にファンを魅了したカッコいいスーパーGTマシンを3台、紹介してみたいと思う。

ムーンクラフト・紫電

2008年の紫電
写真提供:Mさん
参戦年2006-2012
カテゴリーJAF-GT カテゴリーD
エンジン1UZ-FE(トヨタ):4.4L V8 NA
駆動方式MR
全長4675mm
全幅1995mm
全高1110mm
車両重量1150kg
マシンデータは2012年

ムーンクラフト紫電は、由良拓也氏率いるムーンクラフトが、公道での究極の走りを目指して開発されたスポーツカーで、その宣伝をかねてスーパーGTに参戦したが市販には至らず、JAF-GTカテゴリーDとして参戦した。

通常スーパーGTマシンはGTカーと称されるが、紫電のスタイルはまったくもってGTカーと呼ぶにはふさわしくなく、かつてル・マン24時間の主役だったプロトタイプマシンのようなルックスが特徴だ。

紫電最後のレースとなった2012年JAF GPにて

特にマシン後半の空力処理はプロトタイプマシン以外の何物でもない。

こんな純粋なレーシングカーが、カローラアクシオやレガシィB4などの大衆車(中身は完全なレーシングマシン)と真剣勝負している様は、滑稽にさえ感じた。

参戦初年度(2006年)の紫電
写真提供:Mさん

初登場は2006年で、カーズ東海ドリーム28によりスーパーGT GT300クラスにエントリーし、オートポリスで行われた第8戦で初優勝を果たした。

2012年まで7年間参戦し優勝は4回。

ドライバーズチャンピオンシップは2006年と2007年の2位が最高位で、チームズチャンピオンシップでは2007年にチャンピオンを獲得している。

見た目とともに速さでも注目された伝説のマシンだった。

ASL・ガライヤ

2007年のガライヤ
写真提供:Mさん
参戦年2005 2007-2012
カテゴリーJAF-GT カテゴリーC
エンジンVQ35DE(日産):3.5L V6 NA
駆動方式MR
全長4544mm
全幅1935mm
車両重量1260kg
マシンデータは2012年

紫電が登場する3年前、全日本GT選手権時代の2003年にデビューしたのがASLのガライヤだ。

ちなみにASLとはオートバックススポーツカー研究所の略で、ガライヤもこの研究機関で開発された。

ガライヤの特徴といえば、やはりそのルックス。

実際に市販車として販売されたガライヤ(少量生産のためカテゴリーC)は、紫雷に比べるとややロードカーの雰囲気は持ち合わせていたが、近年ARTAブースで展示されているマシンを見ると、低い面構えやスーパーGT参戦のために武装した多くのエアロパーツが専用のレーシングマシンの雰囲気を多分に醸し出している。

実際にマシン寸法も2012年のマシンで比較すると、市販車に比べて全長+769mm×全幅+110mmと、かなり大柄になっている。

エンジンは参戦開始時には市販車と同様の日産のSR20VE型 直列4気筒2.0Lを搭載していたが、2004年より同じ日産のVQ35DE型 V型6気筒3.5Lに変更されている。

ガライヤの最後のレースとなった2012年JAF GPにて

そのスタイルと速さで長きにわたり多くのスーパーGTファンに愛されたガライヤであったが、前述の2013年からのレギュレーション変更により参戦ができなくなるため、惜しまれつつも2012年のJAF GPを最後に参戦を休止することになった。

ヴィーマック・RD320R/RD350R/RD408R

2007年のヴィーマックRD350R
写真提供:Mさん
参戦年2005-2008 2010-2012
カテゴリーJAF-GT カテゴリーC
エンジンZK348(ザイテック):4.0L V8 NA
駆動方式MR
全長4610mm
全幅1995mm
全高1160mm
車両重量1150kg
マシンデータは2011年

ヴィーマックは日本の東京R&Dとイギリスのヴィーマックカンパニーの設計で誕生したメーカーで、スーパーGTにはレース専用として開発したRD320R、RD350R、RD408Rの3種類のマシンを投入している。

3台のマシンにエクステリア上の違いは少なく、いかにも空力が良さそうな低いリヤ廻りとその上にドンと乗っかった大きなリヤウイング、そしてコクピット上部のエアインテークがレース専用車の色を強烈に醸し出している。

そして搭載するエンジンはレーシングエンジンで有名なイギリスのザイテック製の4.0Lエンジンを載せており、さらに純レーシングマシンの印象を強くしている。

一応ベースとなる極少量生産の市販車が存在するため、スーパーGTにはJAF-GTカテゴリーCとして登録されている。

前出の紫電やガライヤは1チームのみの供給であったが、このヴィーマックシリーズは多くのチームに供給され、特に2006年から2008年は5台のヴィーマック(RD320R=3台/RD350R=1台/RD408R=1台)が参戦した。

2005年

  • #2 ベルノ東海ドリーム28 RD320R
  • #27 ディレクシブ RD320R
  • #62 R&Dスポーツ RD350R

2006年

  • #5 チームマッハ RD320R
  • #27 ディレクシブ RD320R
  • #61 R&Dスポーツ RD320R
  • #62 R&Dスポーツ RD408R
  • #96 チームノバ RD350R

2007年

  • #4 チームノバ RD350R
  • #5 チームマッハ RD320R
  • #62 R&Dスポーツ RD408R
  • #83 ヨコハマレーシング RD320R(Rd.1-3)
  • #333 CLUTCH WORK WITH TTO RD320R(Rd.4-9)
  • #666 AVANZZA×BOMEX RD320R

2008年

  • #4 チームウエマツノバ RD320R
  • #5 チームマッハ RD320R
  • #16 チームウエマツノバ RD350R(Rd.1/3/9)
  • #62 R&Dスポーツ RD408R
  • #666 AVANZZA×BOMEX RD320R

2009年

  • #5 チームマッハ RD320R
  • #666 AVANZZA Rosso RD320R

2010年

  • #5 チームマッハ RD408R
  • #22 RQ’sモータースポーツ RD350R

2011年

  • #5 チームマッハ RD320R
  • #22 RQ’sモータースポーツ RD350R

2012年

  • #22 RQ’sモータースポーツ RD350R
ヴィーマック最後のレースとなった2012年JAF GPにて

そんな多くのスーパーGTファンに親しまれたヴィーマックだったが、このマシンもまた前述のレギュレーション変更のあおりを受け、2012年シーズンを最後にサーキットを去った。

まとめ

今回はファンを魅了したカッコいいスーパーGTマシンと題して、GT300クラスにかつて存在したJAF-GTカテゴリーC/Dのマシンを3台紹介してみた。

現在のスーパーGT GT300クラスは、比較的安い費用で競争力も高いFIA-GT3マシンが主流を占めるが、やはりスーパーGTでしか見ることのできなかったほぼワンオフの、JAF-GTカテゴリーC/Dのマシンは、観るものを刺激してやまない。

私としては、またこのような夢のあるマシンが参戦できるスーパーGTになってもらいたいと思うのだが・・・。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。