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ハース レッドブル アストン マクラーレン アルファタウリの2022年マシンを解説!

2022年のF1はレギレーション変更によりマシンが大変革する。

大きな特徴としては、1982年以来のグランドエフェクトカー復活だ。

前後のウイングを簡素化して、マシン底面でダウンフォースを得ることで、前のマシンのタービュランスを受けにくくなり追い抜きがし易くなることを想定して採用した。

そんなレギレーション大変革の年は下克上が起こりやすいと言われている。

実際レギレーションが大きく変更になった2009年も、新規参入チームであるブラウンGPがルールの抜け穴となるダブルディフューザーを採用して、圧倒的な性能差でチャンピオンを獲得している。

今回はあの時以上の大幅レギレーション変更。

続々登場する2022年マシンを見ると・・・なるほど、各チームのマシンは形状が異なり、独自の空力処理を施している。

ということで、今回は大変革の2022年マシンを見ていこうと思う。

まず今回は前半に発表されたハース、レッドブル、アストンマーティン、マクラーレン、アルファタウリの5台の2022年マシンを順番に紹介しよう。

ハース・VF-22

出典:ハース公式サイト

先陣を切って2月4日に2022年マシンを発表したハース。

VF-22は前年型のVF-21と同じようなロシア国旗を彷彿とさせるカラーリングを踏襲している。

ノーズはVF-21に比べるとややスリムな形状で、フロントウイングの2-4枚目のフラップがノーズと直結している。

フロントサスペンションはプッシュロッドを採用。

2022年規定ではボディ取り付け位置が低くなったため、プルロッド式を採用してくるチームもあるかと考えられたが、ハースは従来型を選んでいる。

今年から18インチ化されたホイールにはホイールカバーが装着されており、今年から全チームに標準装備となったBBSジャパンのホイールは見ることができないのが残念だ。

出典:ハース公式サイト

サイドポッドの肩の部分はかなり広くなっているが、下側は深く抉り込まれている。

そしてサイドポッド後方は深く絞り込まれている。

インダクションポッドは三角形で、その後方のエンジンカウルはサイドポッド同様に深く絞られている。

昨年一昨年とマシン開発に多くの資金を投入せず、2022年マシンに照準を絞ったハース。

一見するとオーソドックスなマシンに見えるこのVF-22だが、テールエンダーから一気に上位へ進出できるか注目だ。

レッドブル・RB18

出典:レッドブル公式サイト

ハースに次いで2月9日に新型車を発表したのが昨年のドライバーズチャンピオンチームであるレッドブル。

その2022年マシンの名前は昨年のRB16Bから17を飛ばしてRB18となった。

カラーリングは2016年から採用しているマッドカラーコンセプトを踏襲しているが、リヤウイングにあったホンダのロゴは当然消されており、そこにはRedBullのロゴが入る。

そしてサイドポッドには大きくOLACLEのロゴが入り、スポンサーフィーをかなり増やしたようだ。

マシンの形状を見ていこう。

出典:レッドブル公式サイト

誇らしくカーナンバー1を付けたノーズはFIA-F2マシンのようなボテッとした形状だ。

それに装着されるフロントウイングは規定で決められた最大枚数の4枚ではなく3枚で、すべてがノーズに直結されている。

おそらく発表時は技術の漏洩を防ぐための措置だと考えられ、3月のテストでは4枚タイプの実践バージョンが登場するだろう。

フロントサスペンションはプッシュロッドタイプ。

サイドポッドは先ほどのハースよりも張り出しがコンパクトで、リヤへの絞り込みはタイトだ。

エンジンカバーのインダクションポッドはややコンパクトになり5角形のような形状だ。

そのインダクションポッドから入った空気は、レッドブルパワートレインズ製のパワーユニットに導かれる。

だがこのパワーユニットのベースとなるのは昨年型のホンダRA621Hだ。

出典:レッドブル公式サイト

事実エンジンカバーの後方にはHRC(ホンダレーシング)のロゴが入る。

今までのレッドブルマシンの特徴は前につんのめったレーキ角がついているのが特徴だったが、RB18はレーキ角がないように見える。

全体的に攻めたデザインが見られないが、これは完全にショーカー。

これから出るであろう本物のRB18がどのようなマシンになるのか、しばし実践マシン登場まで待つとしよう。

アストンマーティン・AMR22

出典:アストンマーティン公式サイト

2022年マシン発表3台目はアストンマーティンで、2月10日に発表された。

マシン名はアストンマーティンAMR22。

昨年メルセデスと見分けがつきにくい、と言われたグリーンのカラーリングだが今年も同様の色を採用する。

2019年D’STATIONのマストンマーティン

しかしエッジ部分には鮮やかな黄緑色(昨年はピンク)のラインが入り、これにより印象が明るくなった。

蛇足だがこのカラーリング手法は、2019年から2020年にかけてスーパーGTに参戦した、D’STATIONのマストンマーティンと同様だ。

マシンの形状を見ていこう。

まずはフロント部分。

出典:アストンマーティン公式サイト

中央部が持ち上がったフロントウイングの形状は、マシンのカラーと相まってまるでジョーダン191のようだ。

そしてノーズ先端には小さな穴が空いているのだが、その形は市販車のアストンマーティンのグリルをオマージュしており、なかなか面白い遊び心と言える。

フロントサスペンションはこちらもプッシュロット式。

そしてこのAMR22の最大の特徴はサイドポッドだ。

前端部はかなり前まで伸ばされており、後ろ方向にも相当に伸ばされている。

近年のマシンはサイドポッド後方を極端に絞り込む手法を取っているが、それとは対極を成す形状だ。

出典:アストンマーティン公式サイト

また、サイドポッドのもうひとつの特徴が上面の無数の排熱ルーバー。

2005年のルノーR25で採用された廃熱ルーバー

このルーバーから出される熱風はカウル表面に沿って流れる特性があり、これをリヤに上手に流していく。

じつはこの手法、2000年代中盤から2008年まで多用されていた。

エンジンカバーのインダクションポッドはメルセデス製パワーユニットの特徴である大きな楕円形の形状だ。

とにかく得意な形状のアストンマーティンAMR22だが、この大胆なデザインが功を奏すのか、今シーズンの注目のマシンになるのかもしれない。

マクラーレン・MCL36

出典:マクラーレン公式Twitter

続く2月11日に発表されたのがマクラーレン。

昨年までのパパイヤオレンジにブルーのカラーリングから、ブルーの部分が水色に変わり、かなり洗練された感のあるマクラーレンの2022年マシンMCL36。

まずはマシンの形状を前面から見ていこう。

フロントウイングは、前に紹介したアストンマーティンAMR22のように、フラップの2-4枚目がノーズと結合されている。

そしてメインプレーンは独立しており、アストンマーティンAMR22とは逆に中央部が下方向に垂れ下がっており、ノーズとメインプレーンの間から空気を下方向に取り込もうとしているようだ。

ノーズの形状はハースVF-22のように丸みを帯びている。

フロントサスペンションは、先に発表されている3台とは違い、空力に有利なプルロッド式を採用。

これによりアッパーアームは高い位置に取り付けられている。

サイドポッドは張り出し部分がかなり前方に位置しているが、全体的にはスリムな印象だ。

サイドポッド下のアンダーカットは見られないが、後方のコークボトルは絞り込まれている。

廃熱ルーバーは見られない。

ロールフープは他のメルセデス製パワーユニット勢と同様に大きめの楕円形で、そこから伸びるシャークフィンはかなり小型になっている。

リヤサスペンションはフロントと打って変わってプッシュロッド式で、かなり前進角を持っており独特の形状だ。

マクラーレンMCL36は空力を重視したプルロッド式のフロントサスペンションや、独特のジオメトリーのリヤサスペンションなど、独自のコンセプトが垣間見える。

近年上り調子の名門チームだが、2022年は晴れて古豪復活となるのだろうか。

アルファタウリ・AT03

出典:アルファタウリ公式サイト

週が明けて2月14日には、アルファタウリが2022年マシンを発表した。

マシン名はアルファタウリAT03。

昨年型のAT02を踏襲したカラーリングだが、マシン形状に沿って大きく斜めに入ったサイドポッドの『ALPHATAURI』のロゴが、アパレルブランドらしいクールなデザインだ。

ではフロント部分からマシンの形状を見ていこう。

出典:アルファタウリ公式サイト

前年のAT02では太いフロントノーズが特徴だったがAT03では細くなっており、ノーズ先端はフロントウイングよりさらに前方に伸びている。

4枚のフロントウイングはシンプルな形状だが、実戦マシンでは複雑になるのだろう。

レッドブルからの供給ではなく独自開発のフロントサスペンションはプッシュロッド式を採用しており、アッパーアームはかなり高い位置でノーズに結合しており、ほぼプッシュロッドの付け根と同様の高さだ。

出典:アルファタウリ公式サイト

サイドポッドは先に発表されたマシンと同様にかなり前方まで伸びているが、その形状はその他のマシンとは一線を画している。

極端に張り出しの少ないサイドポッドは後方に向けてなだらかに落とし込まれており、後端はフロアまで達していて独自性が強い。

出典:アルファタウリ公式サイト

ロールフープは従来同様に楕円形で上下で二分割になっており、上側がセンターラジエターへ下側はエンジンへ向かう。

そのエンジンを含むパワーユニットはレッドブルパワードレインズ製だが、カウルに書かれたHRCのロゴのとおり、昨年型ホンダRA621Hがベースとなっている。

例年レッドブルの1年落ちギアボックスを採用していたが、今年はチーム結成初の最新型を使用する。

サイドポッドの形状など、空力コンセプトがこれまで発表された4台のマシンとは大きく違うこのアルファタウリAT03だが、この結果が功を奏し、チームが、そして角田裕毅が大きな飛躍を遂げる2022年となって欲しいと切に願う。

まとめ

今回は2月前半に発表されたハース、レッドブル、アストンマーティン、マクラーレン、アルファタウリの5台の2022年型マシンを簡単に説明してみた。

昨年まではレギュレーションが安定していたため、各チーム似たような形状のマシンだったが、大きくマシンレギュレーションが変更された2022年マシンは、サイドポッドやフロントウイングやノーズなど、どのマシンも千差万別だ。

その中でもアストンマーティンとアルファタウリは、先に発表されていたオーソドックスなFIAのマシンとは一線を画すデザインで、これからはじまるシーズン前テストでの両マシンのラップタイムは特に注目したい。

2月後半に、ウィリアムズ、フェラーリ、メルセデス、アルピーヌ、アルファロメオも発表を控えているが、こちらも独自色を強めたマシンがあるのかもしれない。

これらのマシンは後日まとめて紹介したいと思う。

追記

ウィリアムズ、フェラーリ、メルセデス、アルピーヌ、アルファロメオの2022年型マシンは、下記の記事で解説しています。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。