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日本のF1中継の歴史 地上波からCSそしてインターネットへ

日本のF1中継は現在、フジテレビ系列のCS放送であるフジテレビNEXTとそのインターネット版であるフジテレビNEXT smart、そしてインターネット放送のDAZNで視聴することができる。

しかし過去には地上波やBS放送、WOWOWなどで視聴することができた時代もあった。

そこで今回は、日本のF1中継の歴史を振り返ってみたいと思う。

フジテレビ地上波でのF1中継

F1中継期間1987-2011

日本ではじめてF1を全戦中継したのはテレビ朝日で、『カーグラフィックTV』内でダイジェスト版を放映していた。

1986年まではTBSが日本におけるF1放映権を持っていたが、全戦中継は行わず月に1回のダイジェスト番組での放送だった。

1987年に中嶋悟選手が日本人初のF1フルタイムドライバーに決まり、日本グランプリ復活がすることになると、フジテレビが日本グランプリの放映権を取得しようと交渉するが、F1側(FOM?)の方針により、全戦の放映権を取得した。

1987年からフジテレビの地上波で、深夜帯に全戦に渡り中継すると徐々に視聴率が上がり、F1ブームが到来することになる。

日本グランプリはゴールデンタイムで放送され、1991年に20%を超える視聴率を獲得するまでになり、日本グランプリ以外の多くのレースでは深夜25時頃からの放送でも10%近い視聴率を誇っており、私は月曜日に眠い目を擦りながら学校に行ったことを思い出す。

1994年のアイルトン・セナの離脱により徐々にブームは冷めて視聴率が下がりはじめるも、その後もフジテレビが地上波で全戦を放送する。

視聴率アップを図るため、2006年より俳優の永井大さんと山田優さんをナビゲーターに起用するも、望んでいた視聴率の上昇は見込めなかった。

その後は、ホンダやトヨタ、ブリヂストンなど日本企業のF1撤退でスポンサーが見込めないこともあり、2011年を最後に地上波での放送は終了した。

2012年からはBSフジにF1中継は移行されたが、2014年と2015年の日本グランプリを地上波で放送している。

WOWOWでのF1中継

F1中継期間1992-2001

1992年からBSのWOWOWでフジテレビが収録したレースの模様を、翌週もしくは翌々週にノーカットで放送された。

フジテレビ地上波では、放送時間の問題から各グランプリのレースの模様をカットして放送していたため、ノーカットで放送されるWOWOWのF1中継は地上波で観ることのできなかった部分まで放送されたが、当時はWOWOWの有料放送は一般的ではなく我が家では加入していなかった。

そのため面白かったレースを親戚から録画をしてもらっていたが、さらにそのグランプリを楽しむことができた思い出がある。

WOWOWのノーカット放送は2001年を最後に終了した。

BSフジでのF1中継

F1中継期間2012-2015

2011年を最後に地上波での放送を終えたF1中継は、2012年から地上波を引き継ぐカタチで、同じフジテレビ系のBS局であるBSフジでの放送になった。

内容としては、地上波と時と同様に録画放送で、決勝は原則23時から開始され、多くのレースで後述するCS放送とは違う独自の実況、解説陣が行なっていたが、当時のBSフジでのF1中継はライトなF1ファン向けに近藤真彦氏が解説を行なっていたが、コアなF1ファンである私には馴染めず、ほとんどCS放送のみで楽しんでいた。

2016年、アジアでのF1放映権をアメリカのFOXスポーツが獲得したことにより、フジテレビはそのFOXから日本での放映権を購入して放送することになると、契約上BSフジでの放送ができなくなり、2015年を最後にBSでの放送を終了し、その後はCSのみの放送になった。

フジテレビCSでのF1中継

F1中継期間1998-

1998年からフジテレビ系CSチャンネルであるフジテレビ721(現フジテレビTWO)で、金曜フリー走行からすべてのセッションを生中継で放送するようになる。

2002年までは地上波と内容を共通化していたが、2003年から地上波を初心者やライトなF1ファン向け、CSをコアなF1ファン向けとして位置付け、2002年まで地上波で解説を行なっていた川井一仁氏や今宮純氏などがCSに移動してオリジナルの放送をはじめる。

2007年までCS放送はフジテレビ721で放映されていたが、2008年のバーレーングランプリからはそれに加えハイビジョンで16:9のフジテレビCSHDで放送を開始し、現在もフジテレビNEXTと名称を変えたフジテレビ系のCS放送で全セッションの生中継を行なっている。

コアなF1である私は、地上波では観ることのできなかったフリー走行や予選が視聴できるCS放送に憧れ、2000年からスカパー!に加入し、同チャンネルを中心にF1を視聴することになる。

フジテレビNEXT F1サイト

フジテレビ NEXT smartでのF1中継

F1中継期間2014-

2014年からはスカパー!のインターネットサービスのチャンネル、フジテレビNEXT smartでも生放送を開始し、フジテレビNEXT契約者は無料で閲覧できるほか、現在は単独契約もできるようになっている。

CS放送は台風などの暴風雨で視聴が困難な場合があるが、インターネットサービスであるフジテレビNEXT smartに切り替えることでその問題も解消できる。

またフジテレビNEXT smartの単独契約が、現在もっともリーズナブルにF1を視聴できるサービスだ。

私も2021年から同チャンネルに一本化してF1を視聴している。

フジテレビNEXT smartサイト

DAZNでのでのF1中継

F1中継期間2016-

2016年8月からイギリスのスポーツライブ配信サービスであるDAZNが日本でサービスを開始すると、フジテレビのCS放送と同じくF1の全セッションの生中継を行う。

その後DAZNでは、予選および決勝をライブタイミングやドライバートラッカーなどとともに国際映像を楽しむことができるようになり、新たな視聴方法が日本に上陸した。

DAZNのF1中継はライトなF1ファン向けに制作されており、その役割は前述した2003年からフジテレビ地上波→BSフジが担っていたポジションだと考えられる。

私はライブタイミングやドライバートラッカーを楽しみたく、2020年にDAZNを契約して1年間F1を視聴したが、フジテレビNEXTに比べると圧倒的に情報量が少なく、2021年に充実の解説陣を誇るフジテレビNEXTに戻っている。

DAZNサイト

NHKがF1放映権獲得を画策!?

前述したとおり、2016年からFOXスポーツがアジア圏でのF1の放映権を取得したが、NHKがWOWOWでの放送を目的として日本でのF1放映権交渉を行なっていたという。

関係者によるとフジテレビよりも好条件を提示していたが、NHKは現地にスタッフを送り込んで独自の制作をすることを考慮していなかったため獲得には至らなかった。

しかしNHKはBS1で2016年シーズンのレース映像を1レース毎に放送したり、『F1世界最速への挑戦』と題した番組を3回に渡り制作。2019年には『最速に挑む!ホンダはF1でなぜ勝てたのか』という番組を放送しており、F1への一定の興味は持っている様子だ。

公共放送としてF1の放映権を有していた例としては、イギリスのBBCが2009年から2018年まで保有していた。

日本F1中継年表

地上波BSCSインターネット
-1986TBS
テレビ朝日
1987フジテレビ
1988フジテレビ
1989フジテレビ
1990フジテレビ
1991フジテレビ
1992フジテレビWOWOW
1993フジテレビWOWOW
1994フジテレビWOWOW
1995フジテレビWOWOW
1996フジテレビWOWOW
1997フジテレビWOWOW
1998フジテレビWOWOWフジテレビ721
1999フジテレビWOWOWフジテレビ721
2000フジテレビWOWOWフジテレビ721
2001フジテレビWOWOWフジテレビ721
2002フジテレビフジテレビ721
2003フジテレビフジテレビ721
2004フジテレビフジテレビ721
2005フジテレビフジテレビ721
2006フジテレビフジテレビ721
2007フジテレビフジテレビ721
2008フジテレビフジテレビ721
フジテレビCSHD
2009フジテレビフジテレビNEXT
2010フジテレビフジテレビNEXT
2011フジテレビフジテレビNEXT
2012BSフジフジテレビNEXT
2013BSフジフジテレビNEXTFormula 1 on Zume
2014BSフジフジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
2015BSフジフジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
2016フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN
2017フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN
2018フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN
2019フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN
2020フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN
2021フジテレビNEXTフジテレビNEXT smart
DAZN

最後に

日本のF1中継の歴史は1987年から現在に至るまでフジテレビが放映権を所持し、そのあいだにプラットフォームは地上波からBS、CS、(インターネット)と変化していき、フジテレビが日本にF1を広めそして定着させた。

そして現在はF1中継のノウハウを知り尽くし、充実した解説陣を誇るフジテレビNEXTと、別の視点から新たなファン層を獲得してるDAZNのふたつのプラットフォームが選べる良い時代になった。

日本のF1の一ファンとして、両社が切磋琢磨しながら、今後もより良いF1中継にしていってもらいたいと切に願う。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。