1987年に中嶋悟選手が日本人初のフルタイムF1ドライバーになり、それ以来現在の角田裕毅選手に至るまで、多くの日本人レーシングドライバーがF1に挑戦しました。
その中でもっとも多くポイントを稼いだドライバーは?
答えは小林可夢偉選手の125ポイント。
いや、ちょっと待って!
小林可夢偉選手がF1に参戦していた時代は優勝が25ポイントで10位までが入賞圏内。
だけど、中嶋悟選手や鈴木亜久里選手が参戦したF1ブーム時代は優勝が9ポイントで6位までしかポイントを獲得できなかった。
通算獲得ポイントでは過去のドライバーが圧倒的に不利なんです。
歴代の日本人F1ドライバーのフィニッシュ順位を現在のポイント制度に当てはめてみたら、もっとも多くポイントを稼いだ日本人ドライバーは小林可夢偉選手ではないかも・・・。
ということで、現在のポイント制度で歴代日本人ドライバーのポイント数を計算してみました。
はたして、小林可夢偉選手は現在の制度に換算しても日本人No.1ポイント獲得者になれるのか?
ではランキング形式で見ていましょう。
ポイント制度の変貌(1987-)
ランキングの前に、まずはF1のポイントシステムの変貌を、私たち日本人の多くがF1を見始めた1987年以降で見ていきましょう。
-1990
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 |
---|---|---|---|---|---|
9 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
1990年までは1位が9ポイントで2位が6ポイント3位が4ポイント、以下3ポイント、2ポイント、1ポイントとなり、6位までが入賞でした。
F1ブーム世代の方はこのポイント程度が一番馴染み深いかもしれませんね。
- 中嶋悟
- 鈴木亜久里
1991-2002
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 |
---|---|---|---|---|---|
10 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
その後1991年から1位が10ポイントに変更されます(2位以下は変更なし)。
- 中嶋悟
- 鈴木亜久里
- 片山右京
- 井上隆智穂
- 中野信治
- 高木虎之介
- 佐藤琢磨
2003-2009
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
2003年からは1位が10ポイントで2位が8ポイント、3位が6ポイント、以下5ポイント、4ポイント、4ポイント、2ポイント、1ポイントと8位までが入賞になります。
「入賞は6位まででしょう!」
いまだにそんな話をする日本人F1ファンが多いと聞きますが、理由は日本のF1ファンの中心がF1ブーム世代だから。
- 佐藤琢磨
- 中嶋一貴
- 小林可夢偉
2010-2018
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
2010年からは大幅に改定され、1位が25ポイント、2位が18ポイント、3位が15ポイント、以下12ポイント、10ポイント、8ポイント、6ポイント、4ポイント、2ポイント、1ポイントと、点数が大きくなりなおかつ10位までにポイントが与えられるようになりました。
ちなみに2014年の最終戦のみ、ポイントが2倍でした。
- 小林可夢偉
2019-2020
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | FL |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 | 1 |
さらに2019年から10位までに入賞したドライバーがファステストラップを獲得すると、1ポイントが加算されるようになりました。
- 日本人の参戦なし
2021
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | FL | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
決勝 | 25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 | 1 |
スプリント | 3 | 2 | 1 | – | – | – | – | – | – | – | – |
2021年には決勝前日に年間数戦のみ行われるスプリント予選でもポイントが与えられるようになりました。
- 角田裕毅
2022-
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | FL | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
決勝 | 25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 | 1 |
スプリント | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | – | – | – |
そして2022年にはスプリント予選がスプリントレースに名称変更され、与えらるポイントが増加。さらに2023年にはスプリントシュートアウトとスプリントに名称を変更し独立したイベントにして現在に至ります。
- 角田裕毅
今回は歴代の日本人F1ドライバーの成績を2023年のポイント制度に当てはめて、ポイント獲得数をランキング形式で見ていこうと思います。
では第10位からいってみましょう!
【第10位】井上隆智穂
現在のポイント制度に換算した通算ポイント:6ポイント
実際の通算獲得ポイント:0ポイント
第10位は意外にも(?)、1994年と1995年にF1に参戦した井上隆智穂選手が入りました。
フットワークに所属していた1995年シーズン、第6戦のカナダグランプリで9位に入り、第12戦のイタリアグランプリでは8位で完走をしており、当時の入賞は6位まででしたが、現在のポイント制度に当てはめると両グランプリで合計6ポイントを獲得したことになります。
井上隆智穂選手といえば、この年のハンガリーグランプリでレスキューカーにはねられたことが世界的にも有名ですが、それなりの順位で完走していたのですね。
まあ、チームメイトのジャンニ・モルビデリ選手は表彰台を含む2度の入賞(本来の入賞)を記録しているので、マシンがそれなりに良かったのかもしれませんが・・・。
Rd. | 1994年 | 1995年 |
---|---|---|
1 | – | Ret |
2 | – | Ret |
3 | – | Ret |
4 | – | Ret |
5 | – | Ret |
6 | – | 9 |
7 | – | Ret |
8 | – | Ret |
9 | – | Ret |
10 | – | Ret |
11 | – | 12 |
12 | – | 8 |
13 | – | 15 |
14 | – | Ret |
15 | Ret | Ret |
16 | – | 12 |
17 | – | Ret |
現制度に換算したポイント | 0 | 6 |
【第9位】高木虎之介
現在のポイント制度に換算した通算ポイント:14ポイント
実際の通算獲得ポイント:0ポイント
第9位は高木虎之介選手が入りました。
1998年のドイツグランプリとイタリアグランプリの9位。そして翌1999年お開幕オーストラリアグランプリの7位と第2戦のブラジルグランプリの8位で、現在のポイントランキングに当てはめると14ポイントを獲得したことになります。
ただ当時のポイント制度は6位までということで、残念ながら生涯F1でポイントを獲得することはできませんした。
全日本F3000時代からとんでもなく早いドライバーでしたが、最晩年のティレルや競争力のないアロウズに所属したこともあり、マシンに恵まれなかったことが原因です。
ティレル時代はチームメイトのリカルド・ロセット選手よりも安定して上位でフィニッシュしており、アロウズ時代も実力者のペドロ・デ・ラ・ロサ選手に肉薄していました。
いいドライバーだっただけに、競争力のあるマシンに乗ってもらいたかった日本人ドライバーのひとりです。
Rd. | 1998年 | 1999年 |
---|---|---|
1 | Ret | 7 |
2 | Ret | 8 |
3 | 12 | Ret |
4 | Ret | Ret |
5 | 13 | 12 |
6 | 11 | Ret |
7 | Ret | DSQ |
8 | Ret | 16 |
9 | 9 | Ret |
10 | Ret | Ret |
11 | 13 | Ret |
12 | 14 | Ret |
13 | Ret | Ret |
14 | 9 | Ret |
15 | 16 | Ret |
16 | Ret | Ret |
現制度に換算したポイント | 4 | 10 |
【第8位】中嶋一貴
現在のポイント制度に換算した通算ポイント:34ポイント
実際の通算獲得ポイント:9ポイント
第8位は2000年代後半に参戦した中嶋一貴選手で、現在のポイント制度に換算すると34ポイントになります。
当時中堅チームだったウィリアムズに所属していましたが、のちにF1ワールドチャンピオンを獲得することになるニコ・ロズベルグ選手がチームメイトだったこともあり、成績では大きく水を開けられてしまいました。
しかし父譲りの粘り強い走りでマシンを着実にゴールまで持って行く力はさすがで、現在のポイント制度に当てはめるとかなりのポイントを稼いでいた計算になります。
ちなみに中嶋一貴選手はこの安定した走りが評価されて、F1引退後に世界耐久選手権(WEC)の最高峰クラスのトヨタチームに抜擢。シリーズチャンピオンを獲得し、ル・マン24時間でも3連覇の偉業を達成しています。
Rd. | 2007年 | 2008年 | 2009年 |
---|---|---|---|
1 | – | 6 | Ret |
2 | – | 17 | 12 |
3 | – | 14 | Ret |
4 | – | 7 | Ret |
5 | – | Ret | 13 |
6 | – | 7 | 15 |
7 | – | Ret | 12 |
8 | – | 15 | 11 |
9 | – | 8 | 12 |
10 | – | 14 | 9 |
11 | – | 13 | 18 |
12 | – | 15 | 13 |
13 | – | 14 | 10 |
14 | – | 12 | 9 |
15 | – | 8 | 15 |
16 | – | 15 | Ret |
17 | 10 | 12 | 13 |
18 | 17 | ||
現制度に換算したポイント | 1 | 28 | 5 |
次のページでは、現在のポイント制度に換算した歴代日本人F1ドライバーのポイントランキング第7位以下を発表します!