スーパーGTや前身の全日本GT選手権は、上位フィニッシュをすると次のレースからサクセスウエイト(ウエイトハンデ)が搭載されるため、シーズンで複数回優勝をするのが難しい。
そんな中、2024年のトムス36号車のようにシーズンで3回も優勝をすれば、当然王者になる可能性が圧倒的に高くなります。
しかし、GT500クラスで年間3勝もしながらチャンピオンになれなかったマシンが過去に3回あります。
そこで今回はその3台の不幸なマシンを紹介したいと思います。
ザックリ見出し
1996年 #60 ラークマクラーレンF1 GTR
- シーズン:1996年
- マシン名:#60 ラーク・マクラーレンF1 GTR
- チーム名:チーム ラーク・マクラーレンF1 GTR
- ランキング:2位
- 優勝:Rd.1鈴鹿、Rd.5 SUGO、Rd.6 MINE
最初に紹介するマシンは1996年のラークマクラーレンF1 GTR 60号車です。
この年から全日本GT選手権に参戦した2台のラークマクラーレンF1 GTRは他の国産マシンを圧倒する速さで、シーズンを席巻します。
2台のラークマクラーレンF1 GTRでも、服部尚貴選手とラルフ・シューマッハ選手が駆る60号車のパフォーマンスが上回り、まず開幕戦鈴鹿の予選でポールポジションを獲得し、レースでもファステストラップを記録して優勝をします。
続く第2戦富士、第3戦仙台と予選で最上位を記録し、これで開幕戦から3戦連続ポールポジションを獲得します。
しかし第2戦ではブレーキトラブルでスピンアウトし、第3戦仙台ではサスペンショントラブルでともにリタイヤに終わります(第3戦は15位完走扱い)。
さらに第4戦富士でも第2戦同様にブレーキトラブルで序盤に離脱し、3戦連続無得点という結果に。
その後は快調で、第5戦SUGO、最終戦(第6戦)MINEと2戦連続となるハットトリック(PP FL WIN)での優勝を見せますが、中盤戦での3戦連続無得点が響きチャンピオンならず。
ラークマクラーレンF1 GTR 60号車は、全6戦中ポールポジション5回、ファステストラップ5回、優勝3回を記録しましたが、シーズン1勝ながら全6戦中5戦で入賞した両雄の61号車が王座に輝きました。
1996年GT500ドライバーズポイントランキング(トップ3)
ランキング | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
マシン | #61 ラークマクラーレン | #60 ラークマクラーレン | #37 セルモスープラ |
Rd.1 | 2位 | 1位 PP FL | 16位 |
Rd.2 | 1位 FL | R PP | 4位 |
Rd.3 | 8位 | 15位 PP FL | 1位 |
Rd.4 | 2位 PP | Ret FL | Ret |
Rd.5 | Ret | 1位 PP FL | 4 |
Rd.6 | 4位 | 1位 PP FL | 2 |
ポイント | 63 | 60 | 55 |
2002年 #64 Mobil 1 NSX (ナカジマレーシング)
- シーズン:2002年
- マシン名:#64 Mobil 1 NSX
- チーム名:ナカジマレーシング
- ランキング:2位
- 優勝:Rd.1 TI英田、Rd.4セパン、Rd.8鈴鹿
3勝したのに王座になれなかった2台目のマシンが、2002年シーズンの64号車ナカジマレーシングのMobil 1 NSXです。
64号車Mobil 1 NSXは、ノーウエイトの開幕戦TIサーキット英田でポールポジションを獲得し、レースでもファステストラップを記録して優勝。ポテンシャルの高さを見せつけます。
さらにセパンサーキットでの第4戦でも、開幕戦と同じくハットトリック(PP FL WIN)でシーズン2勝目を上げて、ポイントリーダーに返り咲きます。
ただ、その後は重いウエイトでポイントが影響して圏外フィニッシュが2戦連続して続きます。
第7戦MINEではシーズン3度目のポールポジションから6位に入賞し、最終戦の鈴鹿ではファステストラップを記録してシーズン3勝目を上げます。
ポールポジション3回、ファステストラップ3回、そして優勝3回と、圧倒的に速かった64号車Mobil 1 NSXですが、結果は6号車エッソウルトラフロースープラに1ポイント及ばず、チャンピオン獲得はなりませんでした。
ちなみにエッソウルトラフロースープラはシーズン1勝ながら、3度の表彰台を含む7度の入賞で着実にポイントを稼いでいます。
軽いウエイトでの速さよりも、ウエイトを積んでも安定してパフォーマンスを発揮し確実にポイントを積み上げることが、GT王者への近道なのでしょう。
2002年GT500ドライバーズポイントランキング(トップ3)
ランキング | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
マシン | #6 エッソウルトラフロースープラ (ルマン) | #64 Mobil 1 NSX (ナカジマ) | #1 auセルモスープラ |
Rd.1 | 10位 | 1位 PP FL | 4位 |
Rd.2 | 2位 PP | 11位 | 1位 FL |
Rd.3 | 1位 | Ret | 17位 |
Rd.4 | 11位 | 1位 PP FL | 9位 |
Rd.5 | 7位 | 12位 | 1位 PP |
Rd.6 | 4位 | 14位 | 13位 |
Rd.7 | 4位 | 6位 PP | 9位 |
Rd.8 | 3位 PP | 1位 FL | 6位 |
ポイント | 75 | 74 | 65 |
2011年 #23 MOTUL AUTECH GT-R(ニスモ)
- シーズン:2011年
- マシン名:#23 MOTUL AUTECH GT-R
- チーム名:ニスモ
- ランキング:2位
- 優勝:Rd.2富士、Rd.7オーポリ、Rd.8もてぎ
勝したのに王座になれなかったマシン3台目が、2011年のニスモMOTUL AUTECH GT-R 23号車です。
この年は東日本大震災の影響で岡山国際サーキットでの開幕戦が順延。ゴールデンウイークの第2戦富士戦からシーズンが始まります。
そのノーウエイトのレースでニスモのMOTUL AUTECH GT-R 23号車は優勝します。
そして順延となった岡山国際サーキットでも5番手に入りますが、第3戦セパンと第4戦SUGOでは全マシン中最大の52kgというウエイトの影響で、ポイント圏外でのフィニッシュが続きます。
ライバルマシンのウエイトが増えた第5戦鈴鹿で4位、第6戦富士でも6位に入り、2戦連続でポイントを稼ぎます。
第7戦オートポリスは、予選でQ1を突破できず12位に沈んだ23号車でしたが、スタートドライバーの本山哲選手が怒涛の追い上げを見せ、26周目にはトップに浮上し今季2度目のトップチェカーを受けます。
迎えたもてぎでの最終戦。ポイントリーダーの同じく日産勢の46号車に対し16ポイント差を追う23号車は、このレースでも鬼神の追い上げでトップに立ちそのまま優勝するも、46号車が2位に入り万事休す。
結局、MOTUL AUTECH GT-R 23号車はシーズンで3勝を上げましたが、シーズン1勝ながら2位4回を含むすべてのレースでポイントを獲得したS Road MOLA GT-R 46号車に敗れるのでした。
2011年GT500ドライバーズポイントランキング(トップ3)
ランキング | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
マシン | #46 S Road MOLA GT-R (モーラ) | #23 MOTUL AUTECH GT-R (ニスモ) | #1 ウイダーHSV-010GT (童夢) |
Rd.2 | 10位 | 1位 | 7位 |
Rd.1 | 6位 | 5位 | 13位 |
Rd.3 | 2位 FL | 14位 | 1位 PP |
Rd.4 | 1位 PP FL | 12位 | Ret |
Rd.5 | 2位 PP FL | 4位 | 1位 |
Rd.6 | 7位 | 6位 | 4位 |
Rd.7 | 2位 | 1位 | 11位 |
Rd.8 | 2位 PP FL | 1位 | 6位 |
ポイント | 90 | 79 | 57 |
最後に
今回はシーズンで3勝もしながらチャンピオンになれなかった3台のGT500マシンを紹介しました。
スーパーGTや前身の全日本GT選手権は年間6戦から8戦とレース数が少なく、サクセスウエイト(ウエイトハンデ)がある中でシーズン3勝は凄いこと。
しかしこの3台を見ていただけば分かる通り、ウエイトが積まれたレースでも確実にポイントを獲得しなければ年間王者にはなれないのですね。
ということで今回は以上。最後までご覧いただきましてありがとうございました。