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【レーシングチーム紹介】第6弾 TEAM KUNIMITSU(チーム国光)

モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。

国内レーシングチームを紹介するこのコーナー、今回は伝説のレーシングドライバーでありライダーの高橋国光率いる、チーム国光について書いてみたいと思います。

近年は、元F1チャンピオンのジェンソン・バトンと、現在の国内レースでNo.1の速さと呼び声高い山本尚貴のコンビで注目のチームですね。

チーム国光の概要

2018年3月撮影 スーパーGT富士合同テストに参加するチーム国光のマシン(手前)

チーム国光は伝説のレーシングドライバーでありライダーであった高橋国光が代表を務める日本のレーシングチームで、1992年に当時現役のレーシングドライバーであった高橋国光が設立し、現在はスーパーGTに参戦しています。

カーナンバーは一貫して#100を使用しています(チャンピオンナンバーを除く)が、これは高橋国光が二輪の世界GPに参戦していた当時、ホッケンハイムで行われた西ドイツグランプリ250ccクラスで日本人初優勝した時に付けていたバイクナンバーに由来しています。

マシンのメンテナンスは全日本GT選手権からスーパーGTに至るまで一貫して自チームでは行わず、全日本GT選手権時代の1994年から1995年はノバ・エンジニアリング、1996年はシフト、1997年から2004年までは『違いがわかる男』由良拓也率いるムーンクラフトに委託。

スーパーGTが始まった2005年から2016年まではM-TEC、2017年からはオートテックジャパンが請け負っています。

参戦初期は高橋国光自らハンドルを握った全日本GT選手権

全日本GT選手権を戦ったチーム国光のマシン 写真提供Mさん

全日本GT選手権には、初年度の1994年第3戦から参戦を開始します。

ドライバーはチーム代表の高橋国光と国光を師匠のように慕うドリキンこと土屋圭市、マシンはポルシェ911 GSR-T、メインスポンサーはアドバンカラーでおなじみのヨコハマでした。

高橋国光は全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権や全日本F3000選手権に黒地に赤のアドバンカラーで長らく参戦し、高橋国光 =アドバン(ADVAN)から自らのチームのメインスポンサー(タイヤメーカー選択も含め)がヨコハマなのは自然な流れだったと思います。

転機になったのは1997年、ホンダが全日本GT選手権にNSXで本格参戦(前年1996年はル・マン仕様のNSXを小変更し参戦)し、事実上のホンダワークスチームの一つとして参戦。

ほぼ同時期に、現在のスーパーGTまでつづくスタンレー電気のブランド、レイブリックがメインスポンサーになり、マシンのカラーリングも一新されます。

チーム代表の高橋国光が監督兼ドライバーを勤めていましたが、1999年を最後にドライバーを引退(59歳まで現役!)し、その後はチーム監督に専念しました。

ドライバーズ

年度ドライバー年間
順位
1994高橋 国光
土屋 圭市
7位
1995高橋 国光
土屋 圭市
10位
1996高橋 国光
土屋 圭市
17位
1997高橋 国光
飯田 章
9位
1998高橋 国光
飯田 章
10位
1999高橋 国光
飯田 章
11位
2000飯田 章
服部 尚貴
15位
2001飯田 章
伊藤 大輔
10位
2002加藤 寛規
光貞 秀俊
金石 年弘(第2戦)
4位
6位
20位
2003加藤 寛規
光貞 秀俊
12位
2004中野 信治
加藤 寛規
13位

チームズ

年度マシン年間
順位
1994ポルシェ911
RSR-T
5位
1995ポルシェ911
RSR-T
7位
1996ホンダ
NSX
10位
1997ホンダ
NSX
6位
1998ホンダ
NSX
8位
1999ホンダ
NSX
6位
2000ホンダ
NSX
11位
2001ホンダ
NSX
9位
2002ホンダ
NSX
6位
2003ホンダ
NSX
9位
2004ホンダ
NSX
11位

ホンダ系エースチームに成長したスーパーGT

2019年5月撮影 2019年のスーパーGTはチャンピオンナンバーの”1″を付けて参戦する

全日本GT選手権からひきつづきレイブリックカラーにカーナンバー100を付けて参戦するチーム国光。

マシンも同様ホンダで、NSX → HSV-010 → NSX CONSEPT → 新型NSXと変更しながら戦います。

2019年7月撮影 チーム国光のエース山本尚貴

ハイライトは2018年、ホンダの国内エースドライバー山本尚貴のチームメイトとして、元F1チャンピオンドライバーであるジェンソン・バトンが加入します。

元F1ドライバーは多く参戦してきたスーパーGTですが、元F1チャンピオンの参戦は初です。

2019年3月撮影 2019年型マシンをテストするJ.バトン

ジェンソン・バトンはF1時代にホンダならびにブリヂストンとともに戦い、その勤勉な仕事ぶりに感銘し、ホンダマシンにブリヂストンタイヤを履いてスーパーGTに参戦したいと希望しチーム国光を選びました。

素晴らしいレーシングドライバーが多く参戦するスーパーGT GT500クラスですが、その中でも最強のドライバーラインナップを得たチーム国光は、チームとしても最高の仕事をし、初のドライバーズタイトルならびにチームタイトルを獲得しました。

このタイトルはホンダ勢にとっても2010年以来8年ぶりのタイトル獲得となりました。

ドライバーズ

年度ドライバー年間
順位
2005S.フィリップ
J.デュフォア
13位
2006S.フィリップ
細川 慎弥
2位
2007D.シュワガー
細川 慎弥
3位
2008井出 有治
細川 慎弥
11位
2009井出 有治
細川 慎弥
松浦 孝亮(第8戦)
13位
15位
17位
2010伊沢 拓也
山本 尚貴
8位
2011伊沢 拓也
山本 尚貴
9位
2012伊沢 拓也
山本 尚貴
5位
2013伊沢 拓也
小暮 卓史
10位
2014小暮 卓史
武藤 英紀
14位
2015山本 尚貴
伊沢 拓也
3位
2016山本 尚貴
伊沢 拓也
14位
2017山本 尚貴
伊沢 拓也
7位
2018山本 尚貴
J.バトン
1位

チームズ

年度マシン年間
順位
2005ホンダ
NSX
11位
2006ホンダ
NSX
3位
2007ホンダ
NSX
4位
2008ホンダ
NSX
9位
2009ホンダ
NSX
12位
2010ホンダ
HSV-010
7位
2011ホンダ
HSV-010
9位
2012ホンダ
HSV-010
5位
2013ホンダ
HSV-010
10位
2014ホンダ
NSX CONCEPT
11位
2015ホンダ
NSX CONCEPT
3位
2016ホンダ
NSX CONCEPT
12位
2017ホンダ
NSX
7位
2018ホンダ
NSX
1位

初参戦のル・マン24時間でクラス優勝

チーム国光は1995年と1996年に世界三大レースのひとつであるル・マン24時間レースにホンダNSXで参戦しました。

1995年は高橋国光・土屋圭市・飯田章の日本人トリオでGT2クラスにエントリーし、ル・マンでおなじみのポルシェやコルベットを相手に、初参戦ながらGT2クラスで優勝の栄冠を勝ち取りました。

つづく1996年も2連覇を目指しGT2クラスに高橋国光・土屋圭市・道上龍のトリオでエントリーしましたが、結果は惜しくも3位でした。

ちなみに1996年にエントリーしたチーム国光のNSXには、レイブリックの大きな文字が描かれており、チーム国光とレイブリックの長い歴史はこのル・マンから始まりました。

スーパーGTホンダ系チームNo.1の人気を誇る

ツイッターでこんな質問をしてみました。

ホンダ系GT500チーム、最も応援するチームは?

モータースポーツに力を入れるホンダにあって、チーム無限やARTA、ナカジマレーシングなど、並み居るライバルの中で1番の人気チームはチーム国光でした。

人気と実力を兼ね備えた山本尚貴とジェンソン・バトンが所属し、日本モータースポーツ界の至宝率いる2018年のチャンピオンチームがNo.1の人気という結果は納得です。

現在の参戦カテゴリー

2019年5月撮影 スーパーGT富士戦
  • スーパーGT(2005-)

過去の参戦カテゴリー

全日本GT選手権に参戦したチーム国光のマシン 写真提供Mさん
  • ル・マン24時間
  • 全日本GT選手権(1994-2004)
  • 全日本ツーリングカー選手権

最後に

2018年8月撮影 チャンピオンを獲得した2018年型マシン

2014年のWEC富士、パドックでタバコを吹かしていると小柄な男性が近付いてきて、私の横で同じくタバコを吸い始めました。

ひとりのファンがその男性があの伝説のレーシングドライバー高橋国光だと分かり、サインをねだり撮影をお願いしていました。

辺りは一気にざわつき始め、我も我もとサインをお願いしていましたが、その間氏は笑顔でファンに対応していたのが非常に印象的でした。

正直私たちF1ブーム世代は高橋国光が強かった時代を知りません。

しかしあんな気の良い方だからこそ、土屋圭市が師と仰ぎ多くのレーシングドライバーやレース関係者、ファンが彼に魅了され、彼の周りには多くの素晴らしい人材がやってくるのだと思いました。

2018年、チーム国光は国内でもっとも人気のモータースポーツであるスーパーGTでダブルチャンピオンに輝き、名実ともにNo.1チームになりました。

そして、モータースポーツに捧げた高橋国光の人生の集大成が、ここに実を結びました。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。