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フェラーリF310 スラントノーズとハイノーズふたつの顔が存在するマシン【ミニカー#43】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はフェラーリが1996年のF1に参戦するために開発したフェラーリF310を取り上げていきたいと思います。

マシンデータと戦績

まずはフェラーリF310の主要諸元をチェックしてみます。

年式1996年
カテゴリーF1
チームフェラーリ
マシン名F310
デザイナージョン・バーナード
グスタフ・ブルナー(修正)
エンジンフェラーリ

次にフェラーリF310の戦績を見てみましょう。

コンストラクターシューマッハアーバイン
シーズン順位2位3位10位
シーズンポイント70P59P11P
優勝3回3回0回
ポールポジション4回4回0回
ファステストラップ2回2回0回

ふたつの顔が存在するフェラーリF310

私が歴代のフェラーリF1の中で印象に残るマシンを5台選ぶとするとしたら、必ず選出したいのがこのフェラーリF310です。

このフェラーリF310、何が印象に残るかというとその特徴あるデザインです。

創始者であるエンツォ・フェラーリは、マシンデザインは二の次でエンジンパワーでライバルに勝つために設計するように指示してきました。

そのため歴代のフェラーリデザインは保守的で、目を引くマシンは意外にも少ないのですが、このジョン・バーナードがデザインしたフェラーリF310は違います。

ハイノーズ全盛の当時あえてスラントノーズに近い一本支柱のノーズを採用し、サイドポンツーンはフェラーリF92A以来の前端が突き出し下をえぐらせた特徴あるデザインを採用しました。

またグスタフ・ブルナーが修正した後期型は、スラントノーズ用にデザインしたモノコックに無理やりハイノーズを装着し、笑えるほどにブサイクな見た目に変貌しました。

この前期型と後期型の特徴あるふたつの顔が存在するのもフェラーリF310の特徴ですね。

蛍光レッドになったF310B

チームはこの年よりミハエル・シューマッハが加入し、シーズン終了後にはデザイナーがジョン・バーナードに代わりロス・ブラウンとロリー・バーンになり、体制が大きく変更になります。

そしてマシンカラーはこのF310まではフェラーリ伝統の深紅を纏っていましたが、翌年から伝統の深紅のカラーリングに終止符を打ち、マールボロのサポート拡大とともに蛍光レッドに変更してしまいます。

フェラーリF310は、着々と新しい体制に変更するスクーデリアフェラーリの、過渡期に存在したマシンでした。

フェラーリF310のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のフェラーリF310を撮影していきます。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』です。

※今回はフェラーリF310の前期型(ixo製)と後期型(ミニチャンプス製)を同じアングルから撮影して比べてみましたので、前期型と後期型の違い、そしてミニカーメーカーごとの違いについてもお楽しみください。

こちらはフェラーリF310の前期型、

そしてこちらは、グスタフ・ブルナーが修正したフェラーリF310の後期型です。

ハイノーズに変更しているのが後期型の大きな変更ポイントですね。

リヤまわりのデザインは、前期型と後期型で大きな違いは見当たりません。

前期型はMarlboroロゴが描かれたマシンで、下の後期型はタバコ広告禁止国仕様でストロボマークが描かれています。

後期型でローノーズで設計されたモノコックに無理やりハイノーズを取り付けたのが、この真横からのアングルだとよくわかります。

上の前期型のixo製はスキッドプレートが省略されていますが、下のミニチャンプス製はしっかりデザインされていますね。

両マシンをスターティンググリッドに移動してみました。

伝統の深紅のカラーはこの年が最後ですが、やっぱりフェラーリのF1マシンはこの色が一番好きです。

サイドポンツーンにはこの年から大きくシェルの貝殻マーク。

私的にはAgipの六本脚の火を吹く犬が好きなのですが・・・。

パイオニアのロゴは現在のPineerではなく旧ロゴのPIONEERと書かれており、四半世紀という月日を感じさせてくれます。

この年からマシン側面にドライバー保護のためのプロテクターの設置が義務付けられましたが、各チームによりレギュレーションの解釈が分かれました。

このフェラーリF310やベネトンはレギュレーションどおりに大型のものを装着しましたが、ウィリアムズはフィンで高さを稼ぎプロテクターを小型化しました。

そのフィンがリヤウィングへの整流効果もあり、ウィリアムズ独走の要因になりました。

ホイールはBBS伝統のメッシュスポークがゴールドで塗装されおり、フェラーリレッドとよく調和してかっこよかったなあ。

1996年はシューマッハが4度のポールポジションを記録し、フェラーリはこの年から年々強さを増していきます。

フェラーリはカーナンバー1ではなく27が似合うのですが、前年ベネトンでチャンピオンを獲得したシューマッハが、カーナンバー1をフェラーリに持ってきました。

カーナンバー1を付けるフェラーリF310は関係がありませんが、この年からカーナンバーの制度が変更され、チーム固有ナンバー制からコンストラクターズランキング順(カーナンバー1・2のみ前年のチャンピオン在籍チームが付けるのは変わらない)になりました。

以上、1/43のフェラーリF310を実車のように撮影してみました。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介します。

【ixo製】フェラーリF310前期型

ixo製で、2002年ごろショップでMarlboroデカールを貼ったものを購入しました。

【ミニチャンプス製】フェラーリF310後期型

F1ミニカーの老舗であるミニチャンプス製の通常ラインナップです。

最後に

今回は1996年のF1を戦った2台のフェラーリF310を比べてみましたが、前期型がixo製で後期型がミニチャンプス制ということで、ノーズコーン以外は大きな違いのない2台ですが、ミニカーメーカーごとの違いが多く見受けられました。

目立ったところでは、テールランプの大きさの違いやディフューザーの形状の違い、

カヴァリーノ・ランパンテの大きさの違いや、BBSホイールの形状や色の違い、

インダクションポッド後ろやサイドポンツーン前端、コクピット下のパーツの分割の違いなど。

そしてタイヤの再現度はミニチャンプス製の方が上でしたが、ixo製はフロントウィングのカーボンをデカールで再現しており、よりリアリティがありました。

1/43の大きさのため、どの部分を妥協しどこを強調するかなど、意外とミニカーメーカーごとに違うのだと感じました。

以上、今回は1/43のフェラーリF310を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。