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ロータス80 さらなるグランドエフェクト効果を狙ったが3戦で姿を消した失敗作【ミニカー#105】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はロータスが1979年のF1に参戦するために開発した、ロータス80を取り上げていこうと思う。

マシンデータと戦績

まずはロータス80の主要諸元をチェック。

年式1979年
カテゴリーF1
コンストラクターロータス
マシン名80
デザイナーコーリン・チャップマン
マーティン・オジルビー
ピーター・ライト
トニー・ラッド
エンジンフォードコスワースDFV
主要諸元表

チームロータスの1979年マシンのロータス80は、コーリン・チャップマン、マーティン・オジルビー、ピーター・ライト、トニー・ラッドにより設計された。

エンジンはロータスの代名詞であるフォードコスワースDFVを搭載。

前年のチャンピオンであるマリオ・アンドレッティが、スペイングランプリ、モナコグランプリ、フランスグランプリの3戦のみ使用し、最高位はスペイングランプリの3位だった。

ロータス80のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のロータス80を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

1979年の第5戦スペイングランプリでデビューしたロータス80は、カーナンバー1が付いているとおりに、前年度のチャンピオンであるマリオ・アンドレッティのマシン。

チームメイトのカルロス・ロイテマンは前年仕様のロータス79で参戦を続けた。

このロータス80は、積極的なグランドエフェクト効果を狙った意欲的なマシンだった。

1977年にロータス78でF1にグランドエフェクト革命を巻き起こしたロータスは、1978年のロータス79でその効果をさらに高め、チャンピオンを獲得する。

そしてこのロータス80では、さらにベンチュリー効果を追求するために、大幅なマシンのデザイン変更を敢行する。

ロータス79ではサイドポッドのみにベンチュリー構造を設けたが、ロータス80ではホイールベースやトレッドを拡大して、マシン全体を1つのベンチュリーとみなしてダウンフォースの増大に着手した。

サイドポッドの下端には、後に他のチームも模写するスライディングスカートが設置された。

また、トリムタブと呼ばれたリヤのロワウイングは、シャシー下面と一体化され、ベンチュリー効果を調整していた。

そんな大幅なベンチュリー効果増大を狙ったロータス80だったが、実戦テストを開始すると新たな問題が発生する。

ポーパシングという、マシンの加速や減速の時に波状の縦揺れが発生し、それに伴いダウンフォースが安定せず、まともに走行できないのだ。

そこで当初は前後ウイングを装着していなかったロータス80にウイングを追加してポーパシングを弱めようとするも、実用領域まで弱めることはできなかった。

さらにスライディングスカートの形状も問題になった。

ミニカーの写真をご覧になるとよくわかるが、スライディングスカートはリヤタイヤの前付近がS字状にカーブしており、その形状からスカートの上下動の時に引っかかり、その引っかかりが外れると一気にダウンフォース量が激変して、コーナーではまともに走ることができなかった。

そんな大きな問題を抱えたロータス80だったが、第5戦のスペイングランプリで実戦に投入する(アンドレッティのみ)。

その後、モナコグランプリとフランスグランプリでもアンドレッティがロータス80を走らせるも、フランスグランプリの舞台となるポールリカールのスムースな路面でもポーパシングの問題はクリアできず、ロータスは3戦の実戦のみでこのマシンを諦め、マシンをロータス79に戻して参戦したのであった。

当時のロータスといえば、漆黒に金のピンストライプが入ったカラーリングをイメージされている方も多いだろう。

そう、ロータスは1972年のロータス72から1986年のロータス98Tまで、漆黒にゴールドのJPSカラーで参戦していた。

しかし1979年と1980年の2年間のみ、JPSはロータスのタイトルスポンサーを降りていたのだ。

1979年は、その後ウィリアムズのタイトルスポンサーになったアルコール飲料ブランドのマルティニが、1980年はかつて存在した石油関連企業のエセックスがロータスのタイトルスポンサーになっている。

以上、1/43のロータス80を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】ロータス80

デアゴスティーニのF1マシンコレクション106号で、製造はイタリアのixoが担当している。

【ixo製】ウィリアムズFW07

デアゴスティーニのF1マシンコレクション68号でixo製。

【ixo製】アロウズA2

デアゴスティーニのF1マシンコレクション73号でixo製。

【ixo製】アルファロメオ177

デアゴスティーニのF1マシンコレクション59号でixo製。

【ixo製】リジェJS11

デアゴスティーニのF1マシンコレクション26号でixo製。

今回の撮影機材

今回ミニカーを撮影したカメラ機材を紹介する。

カメラキヤノンEOS R5
レンズキヤノンRF35mm F1.8 IS STM
スピードライトキヤノン430EX Ⅱ
三脚ベルボンEX-Macro
撮影機材

最後に

ということで今回は1979年のロータスのマシン、ロータス79を取り上げてみた。

F1にグランドエフェクト革命を巻き起こしたロータスがさらなる飛躍を狙った意欲作だったが、その冒険は失敗に終わった。

しかしこの挑戦こそがロータスの創始者コーリン・チャップマンの真髄で、F1にさまざまな技術革新をもたらした伝説のデザイナーだった。

そのコーリン・チャップマンはこの3年後、1982年12月に心筋梗塞で急逝する。

技術レギュレーションにより、どのマシンも特徴がなく、同じような形状になった現在のF1マシンを見て、彼は天国でどのように思っているのか・・・。

以上、今回は1/43のロータス80を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみた。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。