1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はマクラーレンが2015年のF1に参戦するために開発したマクラーレンMP4-30を取り上げていきたいと思います。
ザックリ見出し
マシンデータと戦績
まずはマクラーレンMP4-30の主要諸元をチェックしてみます。
年式 | 2015年 |
カテゴリー | F1 |
チーム | マクラーレン |
マシン名 | MP4-30 |
デザイナー | ピーター・プロドロモウ |
エンジン | ホンダ |
次にマクラーレンMP4-30の戦績を見てみましょう。
コンストラクター | アロンソ | バトン | |
---|---|---|---|
シーズン順位 | 9位 | 17位 | 16位 |
シーズンポイント | 27P | 11P | 16P |
優勝 | 0回 | 0回 | 0回 |
ポールポジション | 0回 | 0回 | 0回 |
ファステストラップ | 0回 | 0回 | 0回 |
マクラーレンとホンダが1992年以来のジョイント
1988年から1992年、日本のF1ブームが最高潮に達した時代、そのブームの主役を張っていたのが、アイルトン・セナと彼が駆る赤と白のマルボロカラーが施されたマクラーレンホンダでした。
マクラーレンホンダは他のマシンを寄せ付けない速さで、5年間でダブルタイトルを4度も獲得し、ホンダエンジンは伝説とともに第2期F1活動を終了しF1を去りました。
そのホンダが2015年に第4期としてF1に復帰するにあたり、パートナーとして選んだのがマクラーレンで、第2期F1活動を知る私も含めたF1ブーム世代は大いに喜んだものでした。
しかし2014年からハイブリッドパワーユニット(以下PU)を導入した他のPU供給メーカーに対し、1年遅く参戦したホンダは苦戦を強いられ、2015年シーズンは一年を通して信頼性とパワー不足に悩まされました。
チャンピオン経験者のフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンという、F1でも屈指のドライバーラインナップでしたが、ドライビング云々以前のPUパフォーマウンスに、ホンダの地元で行われた日本グランプリでアロンソが、
「GP2エンジンかよ!GP2だ!」
と罵倒して話題になりました。
結局2015年はコンストラクターズランキング9位と、名門マクラーレン創設以来ワーストの記録になってしまいました。
マクラーレンMP4-30のミニカーを実車のように撮る!
それでは1/43のマクラーレンMP4-30を撮影していきます。
もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』です。
マクラーレンホンダ復活初年度のマシン、マクラーレンMP4-30のカーナンバー14はアロンソのマシンです。
そしてこちらが2015年後期仕様のマシン。
カラーリングはマクラーレンが長年使用したミラー塗装から、ホンダPU搭載の暗黒期(?)の代名詞である、濃いグレーにオレンジのアクセントに変更。
前期仕様はフェラーリのような長いノーズを採用しましたが、
後期仕様ではノーズ先端の形状がウィリアムズのような先端に突起がついたショートノーズに変更します。
『サイズゼロ』と呼ばれた非常にコンパクトなパワーユニットが搭載され、細く絞り込まれたリヤ周り。
スターティンググリッドに移動。
ホンダPUのポールポジションは、2019年(レッドブルホンダ)まで待たなければなりませんでしたが、今回はせっかくなので・・・。
前述のとおり前期仕様は奥に見えるフェラーリと同じくロングノーズを採用。
そして後期仕様はショートノーズに変更しましたが、この角度から見るとよくわかります。
メルセデスやフェラーリを従えてのグリッドは、当時のホンダパワーユニットとしては考えられなかったことでした。
この悔しい期間があったからこそ、現在のレッドブルホンダの活躍はホンダにとっては嬉しさも一入でしょう。
マクラーレンはホンダPUのほか、ブレーキシステムが曙ブレーキ工業、ホイールがエンケイ、無線がケンウッドなど、多くの日本企業が支えていました。
ミラー塗装が非常にきめ細やかで、実に素晴らしいエブロのミニカー。
新生マクラーレンホンダの初ポイントは第6戦モナコグランプリで、バトンが8位に入賞。
最高位はアロンソの第10戦ハンガリーグランプリの5位で、このレースではバトンも9位に入賞し、シーズン初のダブル入賞を記録しました。
しかし、両グランプリが行われたモンテカルロ市街地コースとハンガロリンクはパワーユニット性能がラップタイムに影響を受けにくいサーキットで、パワーユニットがラップタイムに影響を受ける高速サーキットでは活躍できませんでした。
第11戦ベルギーグランプリでは、パワーユニット関連の交換で2台合わせて105グリッド(アロンソ55グリッド・バトン50グリッド)の降格ペナルティを受けて話題になりました。
F1でも屈指の名門チームであるマクラーレンで、ドライバーはともにチャンピオン経験者で非常に人気の高いアロンソとバトンなのに、なぜかマシンに描かれるスポンサー企業のロゴが少ないのが気になります。
写真左は2017年型メルセデスW08ですが、写真右マクラーレンMP4-30のマシンリヤの絞り込みが凄まじいのがよくわかります。
以上、1/43のマクラーレンMP4-30を実車のように撮影してみました。
今回登場したミニカー
今回撮影に登場したミニカーを紹介します。
【エブロ製】マクラーレンMP4-30前期型
2020年6月に静岡市のエブロギャラリーでセール品を1台1,000円破格の値段で購入しました。
さすがエブロの商品だけあり細部まで素晴らしい出来でしたが、ホンダとの決別の仕方が悪かったのか1,000円とは実に悲しい・・・。
【エブロ製】マクラーレンMP4-30後期型
同じくこちらも2020年6月に静岡市のエブロギャラリーでセール品を1台1,000円破格の値段で購入しました。
【ixo製】フェラーリSF15-T
2020年5月に発売されたデアゴスティーニのF1マシンコレクションシリーズの89号で、モデルはixo製になります。
【ixo製】メルセデスF1 W08 EQ Power+
2020年5月に発売されたデアゴスティーニのF1マシンコレクションシリーズの88号で、モデルはixo製になります。
最後に
前述のとおりホンダPUは、エースのアロンソから「GP2エンジンだ!」と非難されたように、1年目はコンストラクターズ順位でブービーの9位という前途多難なスタートを切りました。
ホンダ第4期2年目の2016年は予選でたびたびQ3まで進出し、決勝では表彰台には上がれませんでしたがコンスタントに入賞ができるまでに進化しますが、2017年はアロンソが「こんなパワー不足でレースをしたことがない!」と無線で叫ぶほどにパワー不足で、トラブルも頻発し、コンストラクターズ順位は初年度の9位へ逆戻りしてしまいました。
シーズン | 供給先 | コンストラクターズ 順位 |
---|---|---|
2015年 | マクラーレン | 9位 |
2016年 | マクラーレン | 6位 |
2017年 | マクラーレン | 9位 |
この成績に耐えられなかった名門マクラーレンは、2017年シーズンから露骨にホンダPUを批判し、その年を最後に両社の契約は解消されました。
確かにホンダPUのパワー不足や信頼性欠如はありましたが、それはマクラーレン側が空力側のメリットを得るためにホンダPUのサイズを無理に小さく設計させた『サイズゼロ』と呼ばる設計思想が大きく寄与しており、その空力のメリットをマクラーレン側が活かしきれていなかったのも原因のひとつだと言われています。
その後ホンダPUは2018年の供給先を見出せずにいましたが、FIAの協力もありトロロッソへの供給が決定し、2018年シーズントロロッソホンダは中堅チームながらもコンスタントにポイントを重ね、2019年シーズンからはそのトロロッソに加えエースチームのレッドブルにも供給をし、3勝をあげる活躍をしたのでした。
以上、今回は1/43のマクラーレンMP4-30を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ミニカー記事一覧は下のボタンをクリック
コメントを残す