フェラーリは日本でもっとも人気があるスーパーGTに初年度(当時の名称は全日本GT選手権)から参戦しており、これまでに参戦した車種は8種類にも及びます。
またシリーズ黎明期には2つの車種がGT500クラスにエントリーしていました。
さて、今までにどんな車種がGTに参戦したのか?
そこで今回は、スーパーGTとその前身である全日本GT選手権に参戦した8車種のフェラーリマシンをすべて写真とともに紹介します。
ザックリ見出し
F40,F40 GT(GT500:1994-1996)
- 参戦期間:1994年-1996年
- クラス:GT500(GT1)
- チーム:チームタイサン(1994年-1996年)
- エンジン:2.9L V型6気筒 ターボ
スーパーGTの前身である全日本GT選手権の初年度は国内外のスーパーカーをベースにするマシンが多く参戦していましたが、その中でも特に注目されたのがフェラーリF40でした。
このスーパーカーをエントリーしたのがチームタイサン。かつての名門チームですね。
市販車の発売からすでに9年近く経過していたF40でしたが、マシン性能は高く、現在のGT500クラスに相当するGT1クラスで勝利(1994年最終戦MINEサーキット)するほどの実力をもったマシンでした。
続く1995年、チームタイサンは2台のF40を参戦させますが、結果を残すことができず、1996年の終盤2戦に出走をしたのを最後にF40は全日本GT選手権を去りました。
F355(GT300:1997-2000)
- 参戦期間:1997年-2000年
- クラス:GT300
- チーム:チームフェラーリクラブ・オブ・ジャパン(1997年-1998年)、イエローマジック(1998年-1999年)、ゲイナー(1999年-2000年)
フェラーリのGT300クラス参戦は1997年からで、マシンはV8エンジンモデルのF355でした。
F355を参戦させたのはフェラーリオーナーズクラブのフェラーリクラブ・オブ・ジャパン。ランボルギーニで言うところのJLOCのようなクラブでしょうか。
1998年の富士戦では、フェラーリクラブ・オブ・ジャパンのF355で出場した太田哲也選手がフォーメーションラップ中に大クラッシュを喫し爆発炎上。全日本GT選手権史上もっとも酷いアクシデントに見舞われました。
翌年はイエローマジックが参戦。そして1999年には現在もスーパーGTに参戦するゲイナーがF355で全日本GT選手権に初参戦し、2000年まで使用しました。
360モデナ,F360(GT300:2000-2007,2009)
- 参戦期間:2000年-2007年、2009年
- クラス:GT300
- チーム:DENTAIRE PROJECTレーシング(2000年-2002年)、ゲイナー(2003年-2007年、2009年)
360モデナはDENTAIRE PROJECTレーシングにより2000年に登場。
2003年にはゲイナーが投入(名称はF360)。このマシンは童夢と共同開発され、GT500クラスのNSXのノウハウが注ぎ込まれていました。
翌2004年からゲイナーのF360は2台体制になり、シリーズランキングで3位に入っています。
F360は2007年まで参戦し2008年から後継のF430にスイッチするも、2009年に1年限りの復活を遂げました。
550マラネロ(GT500:2004-2005)
- 参戦期間:2004年-2005年
- クラス:GT500
- チーム:一ツ山レーシング(2004年-2005年)
2004年に一ツ山レーシングが550マラネロを投入し、ワークス勢がひしめくGT500クラスに参戦します。
マシンはプロドライブがチューニングしてスクーデリアイタリアがFIA GT選手権でチャンピオンを獲得した個体とほぼ同様の物で、フロントタイヤの大型化とリヤウイングの大型化の改造をして参戦しました。
しかしポイントを獲得することなく、2005年を最後に550マラネロでの参戦を終了しています。
F430 GT,F430 GTC(GT300:2008-2012)
- 参戦期間:2008年-2012年
- クラス:GT300
- チーム:ゲイナー(2008年-2011年)、ダイシン(2009年)、LMPモータースポーツ(2011年-2012年)、チームタイサン(2011年)
F430の登場は2008年。ゲイナーがF360からマシンをスイッチするも、実はこのマシンは前年のF360にF430用のヘッドライトやリヤテールライト、そしてエンジンを移植したF430風のハイブリッドマシンでした。
ゲイナーが自社開発した完全ニューマシンのF430が登場するのが2009年で、この年はオートポリスで優勝を飾り、シリーズランキングは3位でシーズンを終えています。
2009年にはチームダイシンがF430でエントリーするが、こちらはゲイナーとはまったく別のLM-GT2仕様のマシンでした。
2011年にはLMPモータースポーツとチームタイサンがF430でエントリー。LMPモータースポーツはマンガ『侵略!イカ娘』とコラボレーションし、マシンにイカ娘が描かれてF430は痛車のイタ車に・・・。
458 GTC,458 GT3(GT300:2011-2013,2015)
- 参戦期間:2011年-2013年、2015年
- クラス:GT300
- チーム:ゲイナー(2011年)、チームマッハ(2012年-2013年)、Directionレーシング(2015年)
F430の後継車458のスーパーGT登場は2011年。それまでF430で参戦していたゲイナーが458でエントリーしました。
マシン名は458GTCなので、WECなどに参戦するために開発したLM-GTE仕様のマシンだと思われます。
ゲイナーは1年で458の参戦を終了しアウディR8にスイッチしますが、2012年からはチームマッハが458でエントリー。チームマッハはGT3仕様の458 GT3で、前年のゲイナーとは仕様が違います。
2013年を最後にチームマッハがマシンをスイッチしたため、2014年は久々にスーパーGTからフェラーリが消えるも、2015年にDirectionレーシングが458を使用しています。
488 GT3,488 GT3 Evo(GT300:2016-2017,2021-2022)
- 参戦期間:2016年-2017年、2021年-2022年
- クラス:GT300
- チーム:LMコルサ(2016年)、アルナージュ(2017年)、パシフィックCARGUYレーシング(2021年-2022年)
2016年に488GT3がデビュー。LMコルサが使用しました。
2017年からは前年LMコルサが使用したマシンをアルナージュレーシングが引き継ぎエントリーするも、翌年からはメルセデスAMG GT3に変更し、2018年から2020年の3年間はフェラーリの名前がスーパーGTから消えました(2019年特別戦に1戦限り参戦)。
復活は2021年。パシフィックレーシングとCARGUYレーシングの共同参戦チームが488 GT3 のEvo仕様で参戦し、2022年まで使用しました。
296 GT3(GT300:2024-)
- 参戦期間:2024年-
- クラス:GT300
- チーム:チームルマン(2024年-)、ポノスレーシング(2024年-)
2023年はスーパーGTでフェラーリのマシンを使用するチームはありませんでしたが、2024年にチームルマンとポノスレーシングが最新の296 GT3でエントリーします。
296 GT3の組み立ておよびアフターサービスはフランスのレーシングカーコンストラクターオレカで、ここからチームルマンとポノスレーシングにデリバリーされました。
フェラーリの最新GT3マシンはかなりの戦闘力があり、スーパーGT第3戦の鈴鹿戦でチームルマンが早くも表彰台を獲得しています。
まとめ
今回はスーパーGTと前身の全日本GT選手権に参戦したフェラーリのマシンを紹介しましたが、まとめると以下の通りになります。
車種 | 参戦時期 クラス | 使用チーム |
---|---|---|
F40 F40 GT | 1994-1996 GT1,GT500 | チームタイサン(1994-1996) |
F355 | 1997-2000 GT300 | チームフェラーリクラブオブジャパン(1997-1998) イエローマジック(1998-1999) ゲイナー(1999年-2000年) |
360モデナ F360 | 2000-2007,2009 GT300 | DENTAIRE PROJECTレーシング(2000-2002) ゲイナー(2003-2007年,2009) |
550マラネロ | 2004-2005 GT500 | 一ツ山レーシング(2004-2005) |
F430 GT F430 GTC | 2008-2012 GT300 | ゲイナー(2008-2011) ダイシン(2009) LMPモータースポーツ(2011-2012) チームタイサン(2011) |
458GTC 458 GT3 | 2011-2013,2015 GT300 | ゲイナー(2011) チームマッハ(2012-2013) Directionレーシング(2015) |
488 GT3 488 GT3 Evo | 2016-2017,2021-2022 GT300 | LMコルサ(2016) アルナージュ(2017) パシフィックCARGUYレーシング(2021-2022) |
296 GT3 | 2024- GT300 | チームルマン(2024-) ポノスレーシング(2024-) |
1994年のGT初年度から参戦したフェラーリのマシンは、2024年までに8種類という多くの車種が参戦し、極東の日本のモータースポーツでも歴史を紡いできました。
モータースポーツに於いてフェラーリは一種独特の存在感があり、孤高のデザインと透き通る音色を奏でる深紅のマシンが参戦していると、そのシリーズのブランド価値が上がります。
スーパーGTが続く限りフェラーリが参戦して欲しい。スーパーGTを愛する私の願いです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。