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スーパーGT・鈴鹿1000km・ブランパンなどで活躍する『FIA-GT3』とは?

モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。

日本のモータースポーツで一番の人気を誇るスーパーGTをはじめ、鈴鹿1000kmやスーパー耐久で活躍するFIA-GT3。

世界に目を向けると、ニュルブルクリンク24時間やスパ フランコルシャン24時間、ブランパンGTシリーズという、人気の高い耐久レースでもFIA-GT3車両が使われています。

そこで今回は世界で活躍するFIA-GT3マシンに迫ってみたいと思います。

正式名称はグループGT3 かつてはGT1・GT2も存在

2018年5月撮影 2018年のスーパーGTでチャンピオンを獲得したメルセデスAMG GT GT3

日本ではGT3やスーパーGTのJAF-GTに対しFIA-GT3と呼ばれる事が多いこのマシンですが、正式にはグループGT3と言います。

GT3と呼ばれるからにはGT1やGT2もあるの? 当然ありました。

かつてFIA GT選手権というレースカテゴリーがあり、グループGT1とグループGT2というクラスがありました。

2018年10月撮影 GT2はLM-GTEになりWECで活躍する

しかし年々開発コストが上昇したため、FIA GT選手権オーガナイザーのSROが参戦コストを抑えた新カテゴリーとして2005年にグループGT3を設定しました。

ちなみに現在GT1は消滅、GT2はル・マン24時間で活躍するLM-GTEという名称に変わりました。

FIA-GT3のレギュレーションは?

2018年8月撮影 BoPによりマシンの性能差を均一にする

かつてスポーツカーレースのレギュレーションといえば、排気量は何ccまで、過給機付きの場合は係数を掛けて、マシン幅いくつまで、リヤウイングは・・・と細かく定められていましたが、FIA-GT3に関してはかなり緩いんです。

大まかにレギュレーションに定められているものとして、テレメトリーやトラクションコントロールやABSなどの運転補助装置の禁止・車重・吸気リストリクターの装着・排気音110dB以下などです。

さて、この緩いレギュレーションを、どのようにイコールコンディションに保つのか・・・。

それは、バランスオブパフォーマンス(以下BoP)と呼ばれるマシンの性能調整システムで、各マシンごとバラストや吸気リストリクターを設定し均等にするのです。

BoPができたことにより、私たちファンは様々なメーカーのマシンが、排気量や気筒数の異なるマシンでの本気レースを見ることができ、視覚でも聴覚でもレースを堪能できますよね。

FIA-GT3マシンの価格は?

2019年5月撮影 NSX GT3は5,800万円 GT-RニスモGT3は6,000万円

前述のとおり開発コストを抑える目的で設定されたFIA-GT3ですが、当初3,000万円程度とレギュレーションで定められていたマシン価格は、メーカーの参入などもあり年々高騰しており、2018年にホモロゲーションを取得したホンダNSX GT3は5,800万円という価格まで上昇しました。

このホンダNSX GT3よりも高価なのが2018年にあらためてホモロゲーションを取得した日産GT-RニスモGT3で、なんと6,000万円と当初レギュレーションで定められていた価格の倍にまで高騰しています。

2018年5月撮影 BMW M6 GT3

FIA-GT3マシンの中で世界的にもっとも活躍するメルセデス-AMG GT3やアウディR8 MS GT3などのドイツメーカー車両は、日本のGT-RニスモGT3やNSX GT3よりも少々リーズナブルな5,000万円で、ベース車両とは逆転現象が起きているところが面白いですね。

ちなみに2018年までスーパーGTのARTAで使われていたBMW M6は、今回調べた中でもっともリーズナブルな4,700万円だそうです。

FIA-GT3全ホモロゲーション取得車両

2019年5月撮影 スーパーカーといえばこのメーカーでしょう ランボルギーニのウラカン GT3

次に2019年現在、FIA-GT3のホモロゲーションを取得したマシンを見てみましょう。

No.メーカー車種
GT3-001マセラティグランスポーツ トロフィオ ライト
GT3-002ダッジバイパー コンペティション クーペ
GT3-003アストンマーティンDBRS9
GT3-004ランボルギーニガヤルド LP520
GT3-005シボレーコルベット
GT3-006アスカリKZ1 GT3
GT3-007ポルシェ997 GT3 カップ (997 MY06)
GT3-008ヴェンチュリーヘリテージ GT3
GT3-009フェラーリF430
GT3-010フォードマスタング FR500 C-ST
GT3-011フォードGT
GT3-012ジャガーXKRクーペ
GT3-013モーガンエアロ8 GT3
GT3-014ロータスエキシージ GT3
GT3-015ポルシェ911 GT3カップS (997)
GT3-016フォードGT
GT3-017アウディR8 LMS
GT3-018BMWアルピナB6 GT3
GT3-019フェラーリF430スクーデリア
GT3-020ダッジバイパー コンペティション クーペ シリーズ2
GT3-021ジャガーXKR S
GT3-022モーガンエアロスーパースポーツ
GT3-023BMWZ4 GT3 (E89)
GT3-024ランボルギーニガヤルド LP560-4
GT3-025ポルシェ911 GT3 R (997)
GT3-026シボレーキャラウェイ コルベット Z06R GT3
GT3-027フォードマスタングGT3 マルクVDS
GT3-028メルセデスSLS AMG GT3
GT3-029フェラーリ458 GT3
GT3-030日産GT-R ニスモ GT3
GT3-031マクラーレンMP4-12C GT3
GT3-032アストンマーティンV12 ヴァンテージ GT3
GT3-033シボレーカマロ GT3
GT3-034マセラティグラントゥーリズモ MC GT3
GT3-035ベントレーコンチネンタル GT3
GT3-036ダッジバイパー SRT GT3-R
GT3-037マクラーレン650S GT3
GT3-038アウディR8 LMS
GT3-039キャデラックATS-V.R GT3
GT3-040ランボルギーニウラカン GT3
GT3-041ポルシェ911 GT3 R (991)
GT3-042メルセデス AMGGT3
GT3-043BMWM6 GT3
GT3-044フェラーリ488 GT3
GT3-045シボレーキャラウェイ コルベット C7 GT3-R
GT3-046トヨタレクサス RC F GT3
GT3-047ホンダアキュラ NSX GT3
GT3-048日産GT-R ニスモ GT3
GT3-049ベントレーコンチネンタル GT3
GT3-050ポルシェ911 GT3 R (991)
GT3-051アストンマーティンヴァンテージ AMR GT3
GT3-052マクラーレン720S GT3
2015年8月撮影 スーパーGTに出場していたBMW Z4 GT3

FIA-GT3参戦可能カテゴリー

2016年6月撮影 スーパー耐久ST-Xクラスに参戦するメルセデスAMG SLS GT3

最後に2019年現在FIA-GT3マシンが参戦できる主なカテゴリーを紹介します。

イベント名備考
デイトナ24時間レースアメリカ
ニュルブルクリンク24時間レースドイツ
セブリング12時間レースアメリカ
FIA GTワールドカップ中国
インターコンチネンタルGTチャレンジ鈴鹿1000km
スパ24時間など
ブランパンGTシリーズスプリントカップ欧州GT3スプリント最高峰
ブランパンGTシリーズ耐久カップ欧州GT3耐久最高峰
ブランパンGTシリーズアジアブランパンGTシリーズのアジア版
ユナイテッドスポーツカー選手権GTデイトナクラス
ヨーロピアンル・マンシリーズ
アジアンル・マンシリーズ
スーパーGTGT300クラス
スーパー耐久GT-Xクラス

最後に

2019年5月撮影 最新のGT3マシンであるマクラーレン720S GT3とアストンマーティンヴァンテージAMR GT3

FIA-GT3はレーシングチームがマシンを製作することなく、自動車メーカーがレーシングマシンの完成品を販売し、誰もがそれを購入しいわば吊るしの状態で様々なレースに参加できる車両です。

また基本的に開発ができないため、消耗品を除いて追加で高価な開発費を支払うこともありません。

そしてBoPと呼ばれる卓越した性能調整によりマシン性能に大きな違いが出ないため、様々なメーカーの様々な排気量やエンジンレイアウトのスーパーカーが参戦し、その美しいデザインと野太い音や甲高い音で私たちを魅了させてくれます。

そんな素晴らしいFIA-GT3マシンの魅力がお分りいただけたでしょうか。

次はどんなFIA-GT3マシンが登場するのか?

これからも私とともに、このカテゴリーを注目していただけたら嬉しい限りです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。