人気記事:『ミニカーで振り返るF1マシン』シリーズ

自社でマシンメンテナンスしていないGT500チームも?全GT500チームのメンテナンス会社とエンジンチューナー

国内モータースポーツで最大の人気を誇るスーパーGT。その最高峰であるGT500クラスはモータースポーツファンならば誰もが知る有名チームが参戦しています。

2023年のGT500クラスに参戦するマシンは日産Z GT500、ホンダNSX-GT、トヨタGRスープラの3メーカーの3車種。どのチームもこの3メーカーからマシンを供給されています。

ただマシンのメンテナンスは各チームが行なっていると思っていましたが・・・意外にも自社で行なっていないチームがあるのです。

エンジンメンテナンス(チューナー)に関しては、ほとんど自動車メーカーの関連企業が行なっている中、2チームのみ独立系のエンジンチューナーに依頼しているチームがありました。

そこで今回は2023年シーズンのスーパーGT GT500クラスに参戦するチームのマシンメンテナンス企業とエンジンチューナーをスーパーGT公式サイトをもとに調べてみました。

自社でマシンメンテナンスを行うGT500チーム

2021年スーパーGT最終戦にて

まずは自社でマシンのメンテナンスを行なっているGT500チームです。

自社メンテナンス
  • チームインパル
  • ルーキーレーシング
  • リアルレーシング
  • レーシングプロジェクトバンドウ
  • ニスモ
  • KONDOレーシング
  • トムス(36号車・37号車)
  • セルモ
  • サード
  • ナカジマレーシング

昨年のチャンピオン、チームインパルはホシノレーシング名義ですが、こちらはインパルの親会社。当然自社メンテナンスです。

ルーキーレーシングはレースオペレーションをセルモおよびインギングが行なっていますが、メンテナンスは自社名義です。

ニスモのメンテナンス企業はニッサンモータースポーツ&カスタマイズですが、こちらは2022年4月にニッサンモータースポーツインターナショナル(ニスモ)とオーテックジャパンが経営統合してできた会社で、自社メンテナンスと考えてまったく問題ないでしょう。

ナカジマレーシングのメンテナンスは中嶋規格ですが、こちらもインパル同様にナカジマレーシングの親会社なので自社メンテナンスになります。

リアルレーシング、レーシングプロジェクトバンドウ、KONDOレーシング、トムス(36号車・37号車)、セルモ、サードもメンテナンスは自社名義でした。

ということで自社でメンテナンスを行なっているチームは10チーム11台。GT500クラスは15台が参戦しているので・・・残り4台は?

マシンメンテナンスを外注するGT500チーム

2020年スーパーGT第5戦にて

続いて自社でメンテナンスを行わず、外部に依頼しているのが以下のチームになります。

メンテナンス外注
  • NDDPレーシング・・・日産モータースポーツ&カスタマイズ
  • ARTA(8号車・16号車)・・・M-TEC
  • チームクニミツ・・・オートテクニックジャパン

自社でメンテナンスを行なっていないのはNDDPレーシングとチームクニミツ、そして今季から2台体制になったARTAの8号車、16号車の3チーム4台です。強豪チームのARTAとチームクニミツが自社でメンテナンスを行なっていないのは意外ですね。

NDDPレーシングは日産モータースポーツ&カスタマイズ、いわゆるニスモが車両メンテナンスを行なっています。

NDDPはニッサンドライバーデペロップメントの略称で、日産の若手ドライバーの育成を目的にしたプログラムで、2022年から日産の100%子会社であるニスモがチーム運営を行なっており、そのニスモがメンテナンスも行なっています。

ARTAは長年セルブスジャパンが車両メンテナンスを行なっていましたが、2023年から無限のブランドでおなじみのM-TECに変更しています。

無限といえば2022年までGT500クラスにチームとして参戦していましたが、2023年からARTAが吸収し、8号車と16号車の2台体制で参戦。しかしメンテナンス会社として無限は2023年もGT500クラスに参戦しています。

チームクニミツは長年オートテクニックジャパンがメンテナンスを行います。

オートテクニックジャパンはクルマやバイクの研究開発や品質保証を主な生業とする企業で、レーシングマシンのメンテナンスではチームクニミツのマシンの他、スーパーフォーミュラ(ダンディライアン)や2輪の全日本ロードレースなども行なっています。

GT500チームのエンジンチューナー

ではエンジンのメンテナンスはどうでしょう。

エンジンチューナー
  • チームインパル:東名エンジン
  • NDDPレーシング:日産モータースポーツ&カスタマイズ
  • ARTA(8号車・16号車):M-TEC
  • ルーキーレーシング:トヨタカスタマイズ&デベロップメント
  • リアルレーシング:M-TEC
  • レーシングプロジェクトバンドウ:トヨタカスタマイズ&デベロップメント
  • ニスモ:日産モータースポーツ&カスタマイズ
  • KONDOレーシング:東名エンジン
  • トムス(36号車・37号車):トヨタカスタマイズ&デベロップメント
  • セルモ:トヨタカスタマイズ&デベロップメント
  • サード:トヨタカスタマイズ&デベロップメント
  • ナカジマレーシング:M-TEC
  • チームクニミツ:M-TEC

エンジンに関しては独自の技術が必要で、自社でメンテナンス(チューニング)をしているチームは当然なく、ホンダ系チームがM-TEC、トヨタ系チームがトヨタカスタマイズ&デベロップメント、日産系チームが日産モータースポーツ&カスタマイズというように各自動車メーカーの関連企業が行なっています。

そんな中、日産系のチームインパルとKONDOレーシングは日産系の日産モータースポーツ&カスタマイズではなく、独立系エンジンチューニング企業である東名エンジンに依頼しているのが意外でした。

最後に

今回はスーパーGT GT500チームの車両を自社でメンテナンスしているのかそれともメンテナンスを外注しているか、そしてエンジンメンテナンス(チューナー)はどこに依頼しているのか、スーパーGT公式サイトをもとに調べてみました。

マシンを自チームでメンテナンスをしているチームをブルー親会社がメンテナンスをしているチームをイエローメンテナンスを外注しているチームをレッドとして、全チームをまとめると下記のとおりになります。

No.チームマシンメンテナンスエンジンチューナー
1チームインパルホシノレーシング東名エンジン
3NDDPレーシング日産モータースポーツ&カスタマイズ日産モータースポーツ&カスタマイズ
8ARTAM-TECM-TEC
14ルーキーレーシングルーキーレーシングトヨタカスタマイズ&デベロップメント
16ARTAM-TECM-TEC
17リアルレーシングリアルレーシングM-TEC
19レーシングプロジェクトバンドウレーシングプロジェクトバンドウトヨタカスタマイズ&デベロップメント
23ニスモ日産モータースポーツ&カスタマイズ日産モータースポーツ&カスタマイズ
24KONDOレーシングKONDOレーシング東名エンジン
36トムストムストヨタカスタマイズ&デベロップメント
37トムストムストヨタカスタマイズ&デベロップメント
38セルモセルモトヨタカスタマイズ&デベロップメント
39サードサードトヨタカスタマイズ&デベロップメント
64ナカジマレーシング中嶋規格M-TEC
100チームクニミツオートテクニックジャパンM-TEC

マシンメンテナンスに関しては3チーム4台が自社メンテナンスではなく外注に依頼していました。

ARTAは2023年からチーム無限の16号車を吸収して2台体制となり、これを機にホンダと関わりの深いM-TECがマシンメンテナンスを行なっており、ホンダ色がより強くなりました。

NDDPレーシングはニスモと同様に日産系の日産モータースポーツ&カスタマイズがマシンメンテナンスを行なっており、こちらもワークスのニスモとの2台体制とも言える関係でしょう。

チームクニミツの車両メンテナンスを担当するオートテクニックジャパンは、ホンダとの関わりが深いとはいえクルマやバイクの研究開発や品質保証を主な生業とする企業。ホンダ主力のチームクニミツが自社ではなく、この独立企業に依頼しているのはちょっと意外ですね。

2022年ニスモフェスティバルにて

エンジンメンテナンス(チューニング)は、ほとんどのチームが自動車メーカー系に依頼している中、チームインパルとKONDOレーシングだけが独立系エンジンチューナーの東名エンジンに依頼しています。

日産の中で同じことをしてもワークスのニスモには勝てないと思い、タイヤはもちろんのこと、エンジンチューニングもニスモとは違う道を歩んだ。そしてインパルの星野一義総監督を師と仰ぐ近藤真彦監督率いるKONDOレーシングもそれに追随したのではと推察します。

ということで今回は以上。最後までご覧いただきありがとうございました。

面倒ですがポチッとお願いします

自動車レースランキング

関連記事

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

145人の購読者に加わりましょう
よかったらSNSでシェアお願いします!



サーキットでの興奮をあなたに伝えたい
MOTORSPORT観戦記

サーキットは非日常を味わえる特別な空間です。そんな素晴らしいモータースポーツの世界を、ひとりでも多くの方に伝えたい・・・。そんな思いでMOTORSPORT観戦記と題し、記事に認めました。




コメントを残す

ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。