F1はモータースポーツの最高峰カテゴリー。
そのF1には、世界で名を馳す有名自動車メーカーによって開発された究極のエンジンが搭載されています。
しかし長いF1の歴史の中には大失敗したエンジンも・・・。
そこで今回は私がF1を観るようになった1990年以降で特に駄作だったエンジン、いわゆるダメエンジンを6機紹介してみたいと思います。
スバル・1235(1990)スバル唯一のF1エンジンは時代錯誤の水平対向12気筒!
- 参戦年度:1990年
- 搭載マシン:コローニC3B
- 出走:8
- 総獲得ポイント:0
まず最初に挙げる駄作エンジンは1990年のコローニC3Bに搭載されたスバル1235。そう、日本のあのスバル製エンジンです。
まあスバルの名を冠していますが設計したのはイタリアのモトーリモデルニ。
モトーリモデルニといえばカルロ・キティが興した会社で、キティはかつてフェラーリやブラバム搭載のアルファロメオで水平対向エンジンを設計したフラットエンジン大好き男。
そんなカルロ・キティがスバルに働きかけ、完成したのがこの水平対向のスバル1235エンジンです。
そんなスバル1235エンジンを搭載してテストを行ったのが、かつてモトーリモデルニのターボエンジンを搭載して参戦したミナルディ。
しかしミナルディスバルは実現しなかった。
そこでスバルはイタリアのコローニの株を買いスバルコローニとして参戦することになったのですが・・・。
水平対向エンジンは低重心低振動が利点ですが、重くて幅広というデメリットがありました。
しかも水平対向エンジンはF1において致命的欠陥がありました。
それは、エンジンをストレスマウントとして使えない!
通常のF1マシンは、エンジンがモノコックと結合してマシンの骨格を兼ねていますが、平べったい水平対向エンジンではモノコックとの結合面積が少なく、剛性不足になってしまったのです。
そのためサブフレームで補強をされ、マシン重量はなんと100kgオーバー!
数kgでも切り詰めたいF1に於いてこのとんでもない重量のマシンではまったく戦えるわけがなく、第8戦イギリスグランプリを最後にスバルは撤退を余儀なくされました。
ちなみにスバルモータースポーツ史からは完全に消されています・・・。
ライフ・F35(1990)14戦全戦予備予選不通過!国際映像でも放送されなかった幻のマシンに搭載されたW型エンジン!
- 参戦年度:1990年
- 搭載マシン:ライフL190
- 出走:14
- 総獲得ポイント:0
次の駄作エンジンはスバル1235と同じく1990年にライフに搭載されたライフF35。
レーシングエンジンといえば多くのカテゴリーでシリンダーを左右交互V字型に配したV型が大多数を占めますが、このライフF35はW型。なんと4気筒3列配置のW型12気筒を採用していたのです。
このエンジンを設計したのは元フェラーリのフランコ・ロッキ。
燃料は直接噴射で1気筒あたり5バルブと斬新な機構で、最高回転は12500rpmで650馬力を誇ったというが・・・実際にはコースを1周するのもやっと。フジテレビのF1中継でこのマシンが走っている姿を映した映像はなかったと記憶しています。
それもそのはず、2つのバンク角が異なっていてシリンダー間の連動が不可能に近かったらしい・・・。要するに基本設計ミスってやつです。これでは予備予選すらも通過するはずがありませんね。
1990年代初頭はこんな変わり種のエンジンでも参戦できる牧歌的な最後の時代でした。
ポルシェ・3512(1991)ポルシェ最大の汚点!?全6戦未完走で姿を消した超重量級エンジン!
- 参戦年度:1991年
- 搭載マシン:フットワークFA11C、FA12
- 出走:6
- 総獲得ポイント:0
1990年。バブル景気絶頂で空前のF1ブームの中、たくさんの日本企業がF1チームのスポンサーに。
中にはF1チーム自体を買収。
日本の運送会社フットワークもアロウズを買収し、フットワークチームとしてF1に参戦。
さらに1990年にF1参戦を表明していたポルシェのエンジンを獲得し、1991年からフットワークポルシェとしての参戦が決定しました。
マクラーレンTAGポルシェとして1980年代中盤を圧倒的なパワーでチャンピオンを獲得したポルシェエンジンの獲得は、フットワーク躍進の原動力になるものと思っていましたが・・・。
ポルシェ3512エンジンを搭載した前年型のフットワークFA11Cは開幕戦で1台が予選落ち。さらに第2戦のブラジルグランプリはなんと2台揃って予選落ちに・・・。
まあ、昨年型を改良した急造マシンなので、1991年型が登場すれば素晴らしい走りが見られるのでは、と思っていましたが、新型のFA12を投入しても事態は変わらず予選落ち・・・。
何かこのエンジン、おかしい。
どうやらこのポルシェ3512エンジンは、とんでもなく重量が重かったのです。
同じV型12気筒エンジンのホンダRA121Eが160kgで、フェラーリTipo291が140kgだったのに対し、このポルシェのV 12エンジンはなんと190kg!ライバルに対し30kgから50kgも重かった!
さらにこのポルシェ3512はV型6気筒エンジンを2基繋いだような設計で、当時のF1のスタンダードとは違う特殊な出力軸だったため、ギアボックスやシャシーに大幅な再設計が必要だった。
結局ポルシェ3512エンジンは6戦を終了した時点で入賞はおろか完走すらも出来ずに撤退をしました。
ポルシェのあのF1参戦は何だったのか。今でも不思議に思います。
まだあるF1のダメエンジン!
次のページではパワーユニット時代のダメエンジンも登場します!!