モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。
レーシングチームを紹介するこのコーナー、今回はスーパーフォーミュラに参戦する唯一の外国籍チーム、KCMGについて調べてみました。
スーパーフォーミュラで一番の人気を誇る小林可夢偉選手が所属するチームとしてもお馴染みで、国内外の様々なモータースポーツカテゴリーでもKCMGと書かれた白地に水色と黒のマシンが走っていますよね。
ただちょっと謎多きこのKCMG、その実態を知らないモータースポーツファンも多いかもしれませんので、一緒に見ていきましょう。
ザックリ見出し
KCMGの概要

レーシングチームKCMGの母体は、KCモーターグループ株式会社という香港に本拠を置く自動車関連会社で、KCMGとはクゥン・チン・モーター・グループの略で、クゥン・チンとはチーム代表ポール・イップの香港名です。
2007年にレーシングプロジェクトを開始したまだ歴史の浅いチームですが、2008年に全日本F3選手権へ参戦(子会社のPTRS)、2010年にはフォーミュラニッポンへ参戦(その後スーパーフォーミュラへも継続参戦)、WEC(世界耐久選手権)のLMP2クラスには2012年に参戦、2018年にはWTCR(世界ツーリングカーカップ)に参戦し、世界各国の有力カテゴリーへ急速に発展しているレーシングチームです。
それでは主な参戦カテゴリーの実績を詳しく見ていきましょう。
唯一の外国籍チームとしてフォーミュラニッポンへ参戦
日本最高峰のフォーミュラニッポンへは2010年より参戦します。
多くのチームが2台で参戦をする中KCMGは1台体制で参戦し、平中克幸選手、A.インペラトーリ選手、折目遼選手と1年ごとにドライバーを変更し参戦しますが、目立った活躍はありませんでした。
ドライバーズ
年度 | ドライバー | 年間 順位 | ポイント |
2010年 | 平中 克幸 | 12位 | 4P |
2011年 | A.インペラトーリ | 12位 | 2.5P |
2012年 | 折目 遼 | – | 0P |
チームズ
年度 | エンジン メーカー | 年間 順位 | ポイント |
2010年 | トヨタ | 7位 | 4P |
2011年 | トヨタ | 9位 | 2.5P |
2012年 | トヨタ | – | 0P |
小林可夢偉を起用し注目されるスーパーフォーミュラ

フォーミュラニッポンから継続して参戦するスーパーフォーミュラ。
毎年ドライバーをチェンジしていたKCMGでしたが、2014年より前年の全日本F3を制した中山雄一選手を起用し3年間起用しますが、成績は一向に上がりませんでした。
転機は2017年、2014年までF1を戦い表彰台にも上がったことのある小林可夢偉選手を起用します。
日本人ドライバーとして佐藤琢磨選手と一二を争う実力の持ち主である小林可夢偉選手がチームに加入すると、それまでが嘘のように成績が上昇し、加入初年度の2017年第4戦ツインリンクもてぎでは2位になり、チーム結成初のスーパーフォーミュラの表彰台に上がりました。

ワンメイクマシンで争われるスーパーフォーミュラでは、ドライバーの実力が成績に直結することがよく分かる結果となりました。
しかしこのレース、ピットストップまでは2位に10秒以上のギャップを築いていながらタイヤ交換に時間がかかりまさかの首位転落で、チームとしては嬉しさよりも悔しさが残りました。
やはりこういったプレッシャーがかかる場面でチームの若さが出てしまうんですよね。
その後も2018年岡山国際サーキットの第6戦での2位や、記憶に新しい2019年第4戦富士スピードウェイでの13台抜きなど、数々の記憶に残るレースが続いており、初優勝も間も無くだと思います。

ドライバーズ
年度 | ドライバー | 年間 順位 | ポイント |
2013年 | R.ブラッドリー | – | 0P |
2014年 | 中山 雄一 | – | 0P |
2015年 | 中山 雄一 | 16位 | 1.5P |
2016年 | 中山 雄一 | – | 0P |
2017年 | 小林 可夢偉 | 7位 | 16.5P |
2018年 | 小林 可夢偉 | 10位 | 7P |
チームズ
年度 | エンジン メーカー | 年間 順位 | ポイント |
2013年 | トヨタ | – | 0P |
2014年 | トヨタ | – | 0P |
2015年 | トヨタ | 11位 | 1.5P |
2016年 | トヨタ | – | 0P |
2017年 | トヨタ | 6位 | 16.5P |
2018年 | トヨタ | 9位 | 7P |
WECそしてル・マンへの挑戦

2014年にはWEC(世界耐久選手権)のLMP2クラスにフル参戦し、ドライバーには松田次生選手を起用(第1・4戦)、シリーズ戦の一戦でもあるル・マン24時間レース(松田次生選手は不出場)にもエントリーしました。
ハイライトは2015年、ル・マン24時間レースのLMP2クラスで念願のクラス優勝を果たし、続くニュルブルクリンク6時間でも優勝し、シリーズ2位の好成績をあげました。

ル・マンクラス優勝という目標を達成したKCMGは、2016年にLMGTE Amにクラス変更し、この年を持ってWECの活動は終了しました。
WEC ドライバーズ
年度 | クラス | ドライバー | 年間 順位 | ポイント |
2014年 | LMP2 | M.ハウソン R.ブラッドリー A.インペラトーリ | 3位 3位 6位 | 130P 130P 87P |
2015年 | LMP2 | M.ハウソン R.ブラッドリー N.ラピエール N.タンディ | 2位 2位 5位 6位 | 155P 155P 84P 71P |
2016年 | LMGTE Am | C.リート V.ヘンツラー J.カマティアス | 5位 5位 5位 | 121P 121P 121P |
WEC チームズ
年度 | クラス | メーカー | 年間 順位 | ポイント |
2014年 | LMP2 | 日産 (エンジン) | 3位 | 130P |
2015年 | LMP2 | 日産 (エンジン) | 2位 | 155P |
2016年 | LMGTE Am | ポルシェ 911RSR | 4位 | 125P |
ホンダシビックでTCRへの挑戦

近年世界のモータースポーツで人気を博しているTCR車両によるレースへの参戦も積極的で、2018年よりホンダシビックタイプRでTCRヨーロッパシリーズへ参戦し、TCR最高峰のWTCR(世界ツーリングカーカップ)にもワイルドカード枠でスポットで出場し、2019年にはWTCRにフル参戦します。

また2019年より始まったTCRジャパンシリーズにも3台の車両を出場させ、シリーズを盛り上げています。
日産エースナンバーで鈴鹿10時間に参戦
2018年から始まった鈴鹿10時間耐久レースにもKCMGは参戦し、2014年のWEC出場以来の松田次生選手が起用されたことでも話題となりました。
それまでトヨタやホンダとの繋がりが深いと見られていたKCMGですが、鈴鹿10時間には日産GT-Rで参戦し、なんと日産のエースナンバーであるNo.23で出場しましたが、結果は155周を終えたところでリタイヤでした。
黒船襲来!?スーパーGT GT500参戦の噂
2019年7月31日、AUTOSPORT webで下記のような記事を見つけました。
2020年、スーパーGT GT500クラスにKCMGが参戦し、マシンは来年投入するトヨタスープラだと噂されているようです。
香港系チームであるKCMGですがそのレースの基盤は日本であるため、日本で最も人気のあるスーパーGT GT500クラスへ今まで参戦してこなかったのが不思議と考えるのが普通であり、この噂の信憑性は高いのではないかと思います。
2019年11月にはDTMとの交流戦も控えており、これから世界に打って出ようとするスーパーGTとしても参戦を歓迎するのではと記事では綴っています。
何れにしても私たちファンは楽しみに待つとしましょう。
現在の参戦カテゴリー

- スーパーフォーミュラ
- WTCR
- TCRジャパン
過去の参戦カテゴリー

- WEC
- 全日本F3
- アジアF3
- フォーミュラピロタチャイナ
- クリオカップ中国シリーズ
- 四川ツーリングカーエリート
最後に

これまでのレーシングチームの常識といえば、ひとつの自動車メーカーとの繋がりが深かく、同一メーカーとともに様々なカテゴリーで活躍していました。
しかしこの新興チームであるKCMGはその常識を覆し、スーパーフォーミュラにはトヨタエンジン、WTCRにはホンダ、鈴鹿10時間には日産と、日本の三大メーカーと関わりを持ちその得意カテゴリーごとに自動車メーカーを変え参戦をしています。
そしてどの参戦マシンに一貫するのは白地に水色と黒の塗装にKCMGの文字。
このマシンが近い将来、世界のモータースポーツの中核になる日がやってくるのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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