みなさん、久能山東照宮をご存知ですか?
久能山東照宮とは静岡市駿河区に所在する神社で、徳川家康公が最初に葬られた東照宮(翌年日光東照宮に改葬)なんです。
ちなみに東照宮とは徳川家康公を祀る神社で全国点在していますが、総本宮は家康公と特にゆかりの深い日光東照宮と久能山東照宮の二社(数え方は社だったような・・・)のようです。
ただし日光東照宮に比べると久能山東照宮は全国的に知名度が落ちるような気が・・・。
私の会社は全国から転勤してくる社員が多く、久能山を『くのやま』などと呼んでいた者もおり、知名度はやっぱり無いようです。
そんな静岡市でも特に歴史深い久能山東照宮ですが、生まれも育ちも静岡市の私は行ったことがありません。
いや、眺めたことは何度もありますが、参拝は一度もないのです。
理由は石段。
久能山東照宮の表参道は1159段もの石段があり、それを登り切れる自信がなくて今まで参拝を諦めていました。
まあ、日本平の山頂からロープウェイも出ているので、それに乗車すれば100段ほどで久能山東照宮に到着できますが、やっぱり初参拝は自分の足で行かないとバチが当たってしまいます(そんなわけない??)。
参拝をするためには石段を登る脚力が必要。
ただ最近の私はちょっと違います。9月から早起きをして体力作りのためにランニングをしているのです。
そんなわけで天気が良い本日、ランニングの成果も確認するためもあり、久能山の登頂に初チャレンジしてみることにしました。
ザックリ見出し
今回はいにしえのフィルムカメラローライ35で撮影
歴史的建造物を撮影する時、最新のデジタルカメラで撮影しては素っ気ない。やっぱり、いにしえのフィルムカメラで撮影すれば、ちょっと雰囲気が出るというもの。
ということで、今回は久しぶりに名機ローライ35を持ち出してみました。
まあ、久能山東照宮の建造が1610年代でローライ35が1960年代なので、随分と年代の差がありますが・・・。
写真下にRollei35と書かれているのがローライ35で撮影した写真。その他の写真はiPhone13 PRO MAXで撮影した写真です。
駐車場
本日は久しぶりにスズキツインで出動。
表参道からクルマで参拝する場合、民間の駐車場を利用することになります。
そんな時に利用したいのが早川農園の駐車場。
周りの駐車場が500円なのに対して、早川農園の駐車場だけは300円。ちょっとお得なんです。
ちなみにロープウェイを利用して参拝する場合、日本平駅に無料の駐車場があります。
なぜ厳しい道を選択したのに駐車場が有料なのかは・・・謎です。
表参道
こちらが表参道の入り口の鳥居です。
上を見上げると遥か山の上に屋根が見えますが、あれが一ノ門。
まずはあそこを目指して登っていきたいと思います。
くねくねと曲がりながら登っていく表参道。17曲がりあるそうです。
石段は先月行った金毘羅宮をも超える1159段!
むかしの人はいち(1)いち(1)ご(5)苦(9)労さんと言いながら登ったそうです。
ただ1段1段はあまり高さがないため、スイスイと登れます。
だいぶ登ってきましたが、この辺りでまだ中間地点。
ただ毎朝の走り込みのおかげでまだまだ足は動きます。
景色がよかったのでちょっと休憩。
ローライ35は露出もピントもシャッタースピードも全部マニュアル。
経験の浅い私は自分の勘では不安なので、iPhoneの露出計を使いながら丹念にカメラ設定します。
うーん、この景色、もっと綺麗だったんだけどなあ・・・。
ただ今回はローライ35の撮って出しの写真を確認したいので、lightroom classicでの調整はしません。
さあ、一ノ門まではあと少し。さらにペースを上げて頑張るぞ!
一ノ門
一ノ門に到着しました。先ほど山下より見えた門はこの一ノ門です。実は私、長年この一ノ門を久能山東照宮だと思っていました・・・。
この門は当初櫓門だったようですが、明治17年の暴風によって倒壊し、平屋に改められたとのこと。
一ノ門からの眺めは格別。本日は快晴だったため多くの参拝者が足を止めて暫し駿河湾を堪能します。
この場所からまもなくだと思っていましたが、石段はまだ続くようです。
勘介井戸
一ノ門をくぐって少し登ると右手に見えてくるのが勘介井戸。
深さ33mのこの井戸は、戦国時代に武田信玄公の軍師山本勘介が掘ったと伝えられているらしいです。
私としては井戸の右手の古い建物の方が気になりましたが、これは分かりません。ご存知の方はコメントにてご教授ください。
社務所
さらに進むと社務所が見えてきました。
こちらで拝観料(御社殿500円・御社殿と博物館800円)を払い入場しますが、せっかくなので高校の修学旅行以来の御朱印帳を購入して、御朱印を書いてもらいます(本当は御社殿参拝後にお願いするものらしいです)。
ちなみにロープウェイの駅はこの社務所のすぐ左手にあります。
私が汗をかきながらここまで到着した目の前を、ロープウェイを下車した団体さんが涼しい顔して通り過ぎて行かれました・・・。
(おい、ちょっと待て!)と心の中で叫びましたが、こちらの道を選んだのは私自身です。
きっと家康公も私の頑張りを見てくれていることでしょう。
楼門(重要文化財)
拝観受付所を通過するとすぐに見えてくるのが楼門。
東照大権現の勅額が掲げられるこの門は3代目将軍 徳川家光公の命により建てられました。
もちろん楼門の雄大な佇まいなのですが、フィルムカメラらしいしっとりとした雰囲気がいい感じ。デジタルカメラでは無理でしょう。
色とりどりの鮮やかな楼門を通り抜けたその脇には、家康公の38歳の時の手形があります。
当時の日本人は今より小柄だったらしく、家康公の身長も155cm、体重60kgと現代人と比べるとかなり小柄。
しかし177cm 80kgの私の手を当てがってみるとほぼ変わらず、家康公は身体の割に手が大きかったようです。
久能稲荷神社
こちらは久能稲荷神社。久能山東照宮が建てられる以前よりあったらしいです。
五重塔跡
三代将軍徳川家光公の命により1636年の正月に完成した五重塔が建っていた場所。
高さが29.3mもあった大きな五重塔でしたが、元来五重塔というのは寺院のものなので明治時代の神仏分離により取り壊されて、現在は台座のみが残ります。
法隆寺の五重塔が31.5mなので、ほぼ同じくらいの大きさがあった久能山の五重塔。見てみたかったです。
唐門(重要文化財)
五重塔跡を過ぎて階段を登ると見えてくるのが御社殿の前にある重要文化財の唐門。
ただし、私たち一般の拝観者はこちらの階段ではなく、向かって右側の階段を登っていきます。
御社殿(国宝)
日枝神社で手を合わせて左側の門をくぐると、今まで見てきた建造物にも増して色鮮やかな建物が目の前に現れました。
そう、こちらが御社殿です。
綺麗な極彩色の建物は50年に一度漆塗り替えが行われ、最近では2006年に塗り替えが完了しました。当時静岡の情報番組で広く放送されていたのを思い出します。
そういえば2010年も静岡の番組で何度となく放送されていましたが、この年は久能山東照宮の御社殿が国宝に指定された年。
そんな御社殿は、全国の東照宮で見られるこの権現造と呼ばれる社殿形式の発祥らしい。
美しすぎていつまでも見ていられますね。
三つ葉葵が上下逆!?
この久能山東照宮の御社殿にはちょっとした遊び心があります。
それは葵の御紋が逆・・・。
東照宮は前述したとおり徳川家康公を祀る神社ですが、徳川家といえば御紋は三つ葉葵。
この御社殿にも幾つもの三つ葉葵が描かれていますが、たった1箇所でけ三つ葉葵が上下逆向きになっています。
理由はあえて中途半端なままにしたとのこと。
完成はその後朽ちるのみであるから、あえて未完成にして永久的に残っていくことを願ったらしいです。
どこだろうと思い、探してみたところ・・・見つかりました!
正解はこの写真の中にあります。
ただ場所は御参拝する方の楽しみのために特定しないでおきますね。
ちなみに日光東照宮にある回転灯籠も三つ葉葵が逆になっていますが、あちらはオランダの職人がマジで間違えちゃったみたいです。
神廟(重要文化財)
御社殿の向かって左手から階段を登ると、華やかな感じから一転、雰囲気が変わりました。
そして、この鳥居を抜けてさらに右手の階段を進むと、
高さ5.5mの大きな石塔があります。
そう、ここが徳川家康公が埋葬された場所。
1616年の創建当時は木造の檜皮葺造りだったらしいのですが、1640年に徳川家光公によってこの石造宝塔に造替されたとのこと。
石塔は真西の方角を向いていて、『西の武将を見張っている』とか、『故郷の岡崎市を見ている』といういわれがあるらしいです。
鈍感な私でもこの場所には、なにか異様なパワーを感じました・・・。
また墓の裏側に回ると家康公の愛馬を埋めたと謂れのある場所も。
最後に
家康公のお墓にしっかりと頭を下げ、参拝は終了。
元あった道を戻り、最後に唐門から撮影し2本の24枚フィルムも終了です。
今回はローライ35という半世紀以上前に設計されたカメラで撮影してみましたが、みなさんは今回の写真を見てどのように思われたでしょうか?
個人的にはクラシックフィルムカメラのしっとりとした描写が、日本の歴史ある建造物の撮影と愛称が抜群だと思いました。
登りはなかなかキツかった参道も下り坂は楽チン。最後に久能山東照宮に頭を下げ、帰路につきました。
今回は今までの人生で初めてしっかりと神社を参拝しましたが、日本の歴史を触れたことで心が晴れやかになりました。
神社や日本の歴史について非常に興味を持ったので、今後もクラシックフィルムカメラを持って各地の神社に訪れてみたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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