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F1マシンは35年で何秒速くなった?モナコGP予選タイムの推移(1987-2023)

F1は、有数の技術者が膨大な予算で開発される世界No.1のレーシングマシンであり、その技術の進化はとどまることを知らない。

しかし安全性の確保から、毎年のようにレギュレーションで規制が入るが、それでも、ラップタイムは年々速くなり続ける。

そこで今回は、コース変更が殆どないモナコ市街地コースの予選ラップタイムを参考に、日本人の多くがF1を見始めた1987年から、どれだけマシンが速くなったのかを見ていくことにしよう。

1980年代のモナコGP予選タイム

1988年のモナコGP P.Pマシン マクラーレンMP4/4
ホンダコレクションホールにて
予選タイムドライバータイム差
(前年)
タイム差
(87年)
19871分23秒039N.マンセル+0.4120
19881分23秒998A.セナ+0.959+0.959
19891分22秒308A.セナ-1.690-0.731

主なレギュレーション変更

1987年

  • ターボエンジン加給圧 無制限→4バール

1988年

  • ターボエンジン加給圧 4バール→2.5バール

1989年

  • ターボエンジン禁止

1987年から1988年にかけて、ターボの過給圧が無制限からそれぞれ4バール、2.5バールと徐々に下げられたため、前年に比べて予選タイムが上がっている。

しかし1989年、ターボが禁止されNAエンジンになってにもかかわらず、予選タイムが前年に比べて1.690秒も速くなっており、1987年のタイムも上回っているのが興味深い。

グランプリコースの中でもっとも低速で、パワーに頼らないコースレイアウトということもあるが、パワーからエアロダイナミクスを重要視したマシン設計をして、コーナーを速く走らせるように、マシンが大きく変わった年だった。

1990年代のモナコGP予選タイム

1998年のモナコGP P.Pマシン マクラーレンMP4-13
2018年日本GPにて
予選タイムドライバータイム差
(前年)
タイム差
(87年)
19901分21秒314A.セナ-0.994-1.725
19911分20秒344A.セナ-0.97-2.695
19921分19秒495N.マンセル-0.849-3.544
19931分20秒557A.プロスト1.062-2.482
19941分18秒560M.シューマッハ-1.997-4.479
19951分21秒952D.ヒル3.392-1.087
19961分20秒356M.シューマッハ-1.596-2.683
19971分18秒216H=H.フレンツェン-2.14-4.823
19981分19秒798M.ハッキネン1.582-3.241
19991分20秒547M.ハッキネン0.749-2.492

主なレギュレーション変更

1991年

  • フロントウイング幅 1500mm以下→1400mm以下

1992年

  • 予選用タイヤ(Qタイヤ)禁止

1993年

  • マシン全幅 2150mm以下→2000mm以下

1994年

  • レース中の給油解禁
  • ハイテク禁止(アクティブサス・ライドハイトコントロール・トラクションコントロールなど)

1995年

  • エンジン排気量 3.5L→3L
  • ステップドボトム規定

1998年

  • マシン全幅 2000mm以下→1800mm以下
  • スリックタイヤ→グルーブドタイヤ

コース変更

1997年にプール入り口を改修し、この時にルイ・シロンと命名されたらしいが、現在はあまり浸透していないようで、一般的にはプール1つ目やプール入り口と呼ぶ。

全長が3.328kmから3.367kmにわずかに伸びた。

大きなレギュレーション変更が無かった1990年1991年は、毎年1秒近くタイムアップをしている。

注目すべきは1992年。この年から1周のみの寿命の予選用タイヤ(Qタイヤ)が禁止されたにも関わらず、前年に比べて0.849秒もタイムアップしている。

1994年はハイテクが禁止されたが、レース中の給油が解禁されたことから燃料タンクが小さくなり、タイムが大幅に更新している。

1995年のタイムダウンはエンジン排気量が3.5Lから3Lになり馬力が減ったのと、ステップドボトム導入によるもの。

その後1996年、1997年と、大きなレギュレーション変更がなかったため、タイムをかなりアップさせるが、1998年にマシンの全幅が20cmも狭くなったのと、グルーブドタイヤの導入でタイムを落としている。

次のページは、シューマッハからアロンソへ世代交代した時代の、2000年代のモナコグランプリ予選タイムの推移です。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。