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アロウズA18 チャンピオンデーモン・ヒルが加入しアロウズ史上唯一カーナンバー1を付けたマシン【ミニカー#95】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はアロウズが1997年のF1に参戦するために開発した、アロウズA18を取り上げていこうと思う。

マシンデータと戦績

まずはアロウズA18の主要諸元をチェック。

年式1997年
カテゴリーF1
コンストラクターアロウズ
マシン名A18
デザイナーフランク・ダーニー
ジョン・バーナード
エンジンヤマハOX11A/C・OX11A/D
主要諸元表

つづいてアロウズA18の戦績を見てみる。

コンストラクターヒルディニス
シーズン順位8位12位16位
シーズンポイント9P7P2P
優勝0回0回0回
表彰台1回1回0回
ポールポジション0回0回0回
ファステストラップ0回0回0回
戦績表

カーNo.1を付けたアロウズ

アロウズというF1チームを覚えているか?

そう、1978年から2002年までF1に参戦したF1チームで、多くのシーズンで下位を走っていた、いわゆる弱小チームだ。

そんなアロウズがもっとも輝いたシーズンは・・・さまざまな意見があると思うが私個人としては1997年だと思う。

いや、正確には輝いたシーズンではなく輝いたグランプリ、そう1レースのみだが、あのレースはアロウズのチーム史上もっとも輝いていた・・・。

1990年代前半に日本の運送会社であるフットワークに買収されて、名称もフットワークとして参戦していたが、1996年にトム・ウォーキンショー率いるTWRが買収してかつてのアロウズという名称を復活させる。

そして翌1997年に、マクラーレンMP4シリーズやフェラーリ640(639)系をデザインした、あの著名なデザイナーであるジョン・バーナードが加入する。

そしてドライバーは、前年にウィリアムズでドライバーズチャンピオンを獲得したデーモン・ヒルを迎え入れる。

そんなかつてのアロウズ(フットワーク)では考えられない布陣で挑んだのが、1997年のシーズンだった。

実戦投入されたマシン名はアロウズA18。

アロウズA18はすでにフランク・ダーニーが設計を行なっており、バーナードはマシン改良を担当している。

前年チャンピオンのヒルが加入したということで、このアロウズA18は、チーム史上初のカーナンバー1を付けてシリーズを戦うことになる。

アロウズA18に搭載されたヤマハOX11A
ヤマハコミュニケーションプラザにて

序盤はヤマハエンジンの馬力や信頼性が乏しく、思うような成績を残すことができなかったが、シーズンが進むにつれてバーナードの改良が功を奏す。

そして迎えた第11戦ハンガリーグランプリ。

この年からF1に参入したブリヂストンタイヤの恩恵もあり、予選でこのシーズン最高の3位を獲得すると、決勝では首位を行くミハエル・シューマッハをじりじり追い詰め、11周目の1コーナーでトップに浮上。

その後もレースの大半をリードして一時は2位のジャック・ヴィルヌーヴを30秒以上引き離して独走体制を築いていたが、残り2周で油圧系にトラブルが発生。

スロットルが戻らなくなり、その後シフトが3速にホールド。

ヒルは首位をキープしようと奮闘するが、ファイナルラップでヴィルヌーヴにオーバーテイクされてしまう。

しかしヒルはなんとかマシンをゴールまで導き、2位でチェッカーを受けたのだった。

この2位という記録は、アロウズ、そしてヤマハにとってF1最上位の記録となった。

では、そのアロウズA18のミニカーを詳しく見ていこう。

アロウズA18のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のアロウズA18を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

カーナンバー1が燦然と輝くアロウズA18は、前年度にドライバーズチャンピオンを獲得したデーモン・ヒルのマシン。

ヒルは前年の1996年シーズンにウィリアムズでチャンピオンを獲得するも契約延長を果たせず、この年にアロウズに移籍した。

そのためアロウズは、チーム史上はじめてカーナンバー1を付けてシーズンを戦った。

この年までF1マシンの全幅は2000mmだったため、ワイドなリヤビューに迫力を感じる。

ちなみにF1マシンは翌1998年から2016年まで全幅1800mmだった。

フランク・ダーニーデザインのアロウズA18は、かなりオーソドックスなスタイルだった。

細く尖ったノーズやフロントウイングを支えるステーは、当時のトップチームであるウィリアムズやフェラーリを彷彿させる。

インダクションポッドのサイドには『POWER BY YAMAHA』のロゴが入る。

英語の苦手な私には、第2期ホンダの『POWERED』との違いがわからない・・・。

この年のヤマハエンジンは、イギリスの名エンジンチューナーであるジョン・ジャッド率いるエンジンデベロップメントにメンテナンスを託されている。

しかし、信頼性が低くパワーもライバルに劣るヤマハエンジンに見切りをつけ、レーシングエンジンで有名なハートを買収。翌1998年からアロウズエンジンとして参戦した。

ヤマハは供給先が無くなり、この1997年シーズンを最後にF1を撤退するこのになる。

アロウズA18をスターティンググリッドに移動。

奥に見えるのは、前年度までヒルが所属していたウィリアムズの1997年型マシン。

タイヤのサイドウォールにはブリヂストンのロゴが入る。

ブリヂストンは1970年代に富士スピードウェイでの日本グランプリにスポットで参戦したことが、この1997年シーズンからF1に本格参戦し、王者グッドイヤーとの戦いが幕を開けた。

タイヤはこの年までスリックだったが、翌1998年からは縦に溝が入るグルーブドタイヤに変更。スリックタイヤが復活するのは2009年だ。

この年のアロウズのメインスポンサーはダンカというOA会社。

その他サイドポッドには大きくゼプターのロゴが入り、ペドロ・ディニスが持ち込んだパルマラートやイーグルスターなど、資金的にはかなり充実していたのでは、とマシンから想像できる。

これはウォーキンショーによる手腕が大きかったと思われる。

以上、1/43のアロウズA18を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】アロウズA18

前述のとおり私個人としてはアロウズでもっとも印象に残るマシンなのだが、なかなか再販されない珍しいこのミニカーはイタリアのミニカーの老舗ixo製で、デアゴスティーニF1マシンコレクションシリーズラインナップの117号。

【ixo製】ウィリアムズFW19

こちらもデアゴスティーニF1マシンコレクション44号でixo製。

【ミニチャンプス製】フェラーリF310B

ミニチャンプスの通常ラインナップを2000年ごろに購入した。

現在は新品での購入は極めて難しく、シューマッハのマシンはもちろんのこと、このアーバインのマシンもヤフオクなどで高値で売買されている。

今回の撮影機材

今回ミニカーを撮影したカメラ機材を紹介する。

カメラキヤノンEOS R5
レンズキヤノンRF35mm F1.8 IS STM
スピードライトキヤノン430EX Ⅱ
三脚ベルボンEX-Macro
撮影機材

最後に

最後はアロウズについて少しだけ書いてみよう。

アロウズは1977年末に、当時F1に参戦していたシャドウから主要メンバーが独立するカタチでチームを設立。

その時チーム設立に関わったフランコ・アンブロジオのA、アラン・リースのR、ジャッキー・オリバーのO、デイブ・ウォスのW、トニー・サウスゲートのSの頭文字をとってARROWSと名付けられた。

F1参戦は1978年からで、参戦当初は1978年のスウェーデングランプリや1980年のアメリカ西グランプリでの2位など、時に光る走りを見せ、コンストラクターズランキングでは中段あたりのシーズンが多かった。

チーム最盛期は1980年代中盤で、アメリカの損害保険会社であるUSF&Gがメインスポンサーになってから財政が良くなり、1988年にはコンストラクターズランキングで5位に入っている。

1990年からは日本の運送会社であるフットワークがメインスポンサーになり、のちに買収すると、ポルシェV12エンジンでの失敗もあったが、無限ホンダエンジンの獲得やマクラーレンからのアクティブサスペンション購入などで随所に光るレースもあったが、日本のバブルが弾け、フットワーク本体の業績が悪化すると、それとともにチームの成績も低迷する。

1996年序盤に、TWRのトム・ウォーキンショーがチームを買収し、アロウズの名称が復活。

ウォーキンショーは、前年チャンピオンのデーモン・ヒルや一時代を築いた名デザイナーであるジョン・バーナードを獲得し、アロウズをトップチームに押し上げようと奮闘する。

しかし、ヒルは1年限りでチームを離脱し、バーナードの1998年マシンも不発に終わると、チームは徐々に低迷し、2002年を最後にチームは倒産した。

余談だが、チームが1996年から2002年まで使っていたリーフィールドの工場は、その後アメリカのメナードエンジニアリングが購入し、2006年から2008年までスーパーアグリがメナードからリースで借り受けており、スーパーアグリのチームスタッフの多くは元アロウズのスタッフ(オーナーの鈴木亜久里も元フットワークアロウズのドライバー)で構成されていた。

またスーパーアグリのデビューマシンSA05は、アロウズの最後のマシンであるA23のモノコックが使われていたなど、アロウズとスーパーアグリは密接な関係にあった。

以上、今回は1/43のアロウズA18を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみた。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。