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日本のトップフォーミュラで複数回チャンピオンを獲得した8人のドライバー(1973-2021)

松田次生

フォーミュラ引退後もスーパーGTでは現役の松田次生
2019年スーパーGT×DTM特別交流戦にて

チャンピオン獲得回数 2回

  • 2007年(全日本選手権フォーミュラニッポン)
  • 2008年(全日本選手権フォーミュラニッポン)

星野一義や本山哲と同様に日産系ドライバーの松田次生も2度日本トップフォーミュラを制している。

無論日産系ドライバーと言っても日産は日本トップフォーミュラでのエンジン供給をしていないため、松田次生も他の日産系ドライバーと同様、フォーミュラではトヨタ系のチームで活躍した。

松田次生はカートで活躍した後、1997年にホンダ系のSRS-Fに入校する。

ちなみにこの年の同期には後にF1で活躍する佐藤琢磨やドイツF3を制した金石年弘もおり、彼らとともに華の3期生と呼ばれている。

そして翌1998年に全日本F3にデビューすると、2000年には当時の日本トップフォーミュラのフォーミュラニッポンにフル参戦を開始(1998年にスポットで参戦経験あり)すると、その3戦目には早くも初優勝を成し遂げる。

しかしその後は勝利がなく、選手権ランキングでは中盤あたりであった。

転機は2006年。

この年星野一義率いるチームインパルに移籍するとデビュー年以来となる2勝目を記録しシリーズ2位の活躍を見せる。

そして翌2007年には未勝利ながらも着実にポイントを積み上げ、自身初となるシリーズチャンピオンに輝く。

だがチャンピオンを獲得しながらも未勝利に終わったのが悔しかったのだろう。

そんな屈辱を晴らすべく迎えた2008年シーズンは開幕から3連勝を記録。

結局シーズンで5勝を上げて、2位ロイック・デュバルに大きくポイント差を広げての文句なしのチャンピオンに輝き、2連覇を達成した。

その後松田次生は2013年までスーパーフォーミュラに参戦し、現在はスーパーGTのニスモチームで日産のエースとして現役を続けている。

山本尚貴

レース前にコンセントレーションを高める山本尚貴
2018年スーパーフォーミュラ第4戦にて

チャンピオン獲得回数 3回

  • 2013年(全日本選手権スーパーフォーミュラ)
  • 2018年(全日本スーパーフォーミュラ選手権)
  • 2020年(全日本スーパーフォーミュラ選手権)

歴代4位となる3度の日本トップフォーミュラのチャンピオンを記録しているのが山本尚貴だ。

山本尚貴は他の多くのレーシングドライバーと同じく幼少期からカートで腕を磨く。

その後2006年にSRS-Fに入校しホンダのスカラシップを獲得すると、2009年には全日本F3を圧倒的な強さで制し翌2010年に当時の日本トップフォーミュラであるフォーミュラニッポンにレギュラー参戦を開始する。

そしてスーパーフォーミュラと名前を変えた2013年には、アンドレ・ロッテラーと同ポイントながら1イベントでの獲得ポイント(最終戦の鈴鹿ラウンド)でロッテラーを上回り、自身初の日本トップフォーミュラでのチャンピオンに輝く。

2018年にはニック・キャシディとの死闘の末、わずか1ポイント差で2度目のチャンピオンになる。

そして2020年には平川亮との決戦の末、自身3度目の王者となった。

山本尚貴は2022年現在も現役としてスーパーフォーミュラで活躍するトップドライバーなので、今後この記録がさらに増える可能性を秘めている。

石浦宏明

石浦宏明のレース前の表情
2018年スーパーフォーミュラ第4戦にて

チャンピオン獲得回数 2回

  • 2015年(全日本選手権スーパーフォーミュラ)
  • 2017年(全日本スーパーフォーミュラ選手権)

現在スーパーGTのGT500ドライバーとして活躍する石浦宏明もかつて日本トップフォーミュラで2度のチャンピオンに輝いたドライバーだ。

近年のドライバーではかなり遅い17歳でカートレースにデビューした石浦宏明は、その後FTRSに受験し、最終選考の模擬レースでは中嶋一貴や大嶋和也を抑えてポールポジションを獲得するも、21歳という年齢を理由に不合格となる。

その後は厳しい状況の中フォーミュラトヨタやGC-21などに参戦し、2006年に全日本F3に参戦を開始する。

石浦宏明が当時の日本トップフォーミュラであるフォーミュラニッポンにデビューしたのは2008年。

すでに年齢は26歳になっており、かなり遅いデビューだった。

その後4年間フォーミュラニッポンに参戦し2011年を最後にシートを失う。

だが3年後の2014年、スーパーフォーミュラと名称を変えた日本のトップフォーミュラにふたたび返り咲くと、復帰翌年の2015年に初優勝を含む年間2勝をあげてスーパーフォーミュラで初の栄冠に輝く。

その2年後の2017年にはシーズン1勝ながらも着実にポイントを稼ぎ、この年に2度目のチャンピオンを獲得した。

石浦宏明選手は日本トップフォーミュラで11シーズンを戦い5勝をあげ、2020年を最後にスーパーフォーミュラを降りている。

高原敬武

チャンピオン獲得回数 2回

  • 1974年(全日本F2000選手権)
  • 1976年(全日本F2000選手権)

時代は一気に遡り、日本トップフォーミュラ黎明期の1970年代にも複数回シリーズを制したドライバーがいた。

往年の名ドライバー高原敬武だ。

高原敬武は星野一義が台頭するまで国内のトップドライバーとして活躍し、『高原時代』と呼ばれていた伝説のドライバー。

その高原時代にはじまった全日本F2000に初年度から参戦すると、2年目の1974年に2勝をあげてチャンピオンに輝き、1976年も開幕2連勝でシーズンを制した。

私たちF1ブーム世代にはあまり馴染みのない高原敬武だが、彼はノンチャンピオンシップながらも日本人ではじめてF1に参戦したドライバーで、1976年と1977年の富士スピードウェイで開催されたF1にも参戦し、両レースともに完走を果たしている。

まとめ

スーパーフォーミュラのダミーグリッドの様子
2018年スーパーフォーミュラ第4戦にて

今回は日本のトップフォーミュラで複数回チャンピオンを獲得したドライバーを紹介したがまとめると以下のとおり。

  • 星野一義 6回(1975 1977 1978 1987 1990 1993)
  • 中嶋悟 5回(1981 1982 1984 1985 1986)
  • 本山哲 4回(1998 2001 2003 2005)
  • 山本尚貴 3回(2013 2018 2020)
  • 高原敬武 2回(1974 1976)
  • 松田次生 2回(2007 2008)
  • 中嶋一貴 2回(2012 2014)
  • 石浦宏明 2回(2015 2017)

この8人をあらためて見てみると、いずれも日本モータースポーツ史に名を残すほどの名ドライバーだった。

その中でも星野一義と中嶋悟は別格だ。

星野一義は日本トップフォーミュラの黎明期から常にトップドライバーとして活躍し、1970年代1980年代1990年代と長きに渡り日本モータースポーツの王者として君臨した。

しかしその星野に一死矢を報いたのが中嶋悟だ。

1980年代の中嶋は敵なしで、この時代はライバル星野をも寄せ付けぬ最強のドライバーで、彼が日本で走り続けていたならば星野一義のチャンピオン記録を塗り替えていただろう。

この8人のドライバーのうち、2022年6月現在で今なお現役で日本トップフォーミュラに参戦しているのが山本尚貴のみ。

山本尚貴の衰えぬ速さと緻密なレースコントロールはいまだ健在で、今後、星野一義や中嶋悟の記録を抜く日がやってくるのかもしれない。

そんな日本のトップフォーミュラだが、昨今はスーパーフォーミュラの人気が低迷している。

だが、世界中見渡してもこれだけ伝統と格式を持ったナショナルトップフォーミュラは少ない。

この火を絶やさないために、今後も微力ながら当サイトでは日本トップフォーミュラを応援していきたい。

最後に日本トップフォーミュラの歴代チャンピオンを紹介してみよう(太字は今回紹介した複数回チャンピオン獲得ドライバー)。

ドライバー名称
1973黒澤元治全日本F2000
1974高原敬武全日本F2000
1975星野一義全日本F2000
1976高原敬武全日本F2000
1977星野一義全日本F2000
1978星野一義全日本F2
1979松本恵二全日本F2
1980長谷見昌弘全日本F2
1981中嶋悟全日本F2
1982中嶋悟全日本F2
1983G.リース全日本F2
1984中嶋悟全日本F2
1985中嶋悟全日本F2
1986中嶋悟全日本F2
1987星野一義全日本F3000
1988鈴木亜久里全日本F3000
1989小河等全日本F3000
1990星野一義全日本F3000
1991片山右京全日本F3000
1992M.マルティニ全日本F3000
1993星野一義全日本F3000
1994M.アピチェラ全日本F3000
1995鈴木利男全日本F3000
1996R.シューマッハフォーミュラニッポン
1997P.デ・ラ・ロサフォーミュラニッポン
1998本山哲フォーミュラニッポン
1999T.コロネルフォーミュラニッポン
2000高木虎之介フォーミュラニッポン
2001本山哲フォーミュラニッポン
2002R.ファーマンフォーミュラニッポン
2003本山哲フォーミュラニッポン
2004R.ライアンフォーミュラニッポン
2005本山哲フォーミュラニッポン
2006B.トレルイエフォーミュラニッポン
2007松田次生フォーミュラニッポン
2008松田次生フォーミュラニッポン
2009L.デュバルフォーミュラニッポン
2010J.P.デ・オリベイラフォーミュラニッポン
2011A.ロッテラーフォーミュラニッポン
2012中嶋一貴フォーミュラニッポン
2013山本尚貴スーパーフォーミュラ
2014中嶋一貴スーパーフォーミュラ
2015石浦宏明スーパーフォーミュラ
2016国本雄資スーパーフォーミュラ
2017石浦宏明スーパーフォーミュラ
2018山本尚貴スーパーフォーミュラ
2019N.キャシディスーパーフォーミュラ
2020山本尚貴スーパーフォーミュラ
2021野尻智紀スーパーフォーミュラ

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。