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アウディ・トヨタ・ポルシェ・日産の歴代ルマン/WEC LMP1マシン一覧【ポルシェ編】

2012年から新たにはじまったFIA世界耐久選手権(以下WEC)は、最上位クラスのLMP1-Hでは自動車メーカーの技術が注ぎ込まれたハイブリッドパワーユニットを搭載した洗練されたプロトタイプレーシングマシンでレースが行われた。

あのプロトタイプレーシングカーのフォーミュラカーともGTカーともつかない風貌が、多くのファンを魅了したのだが、2021年にWECの最上位クラスはル・マンハイパーカーに移行する。

そこであらためて、2012年から2020年までにWECに参戦したアウディ、トヨタ、ポルシェ、日産の4つの自動車メーカーのLMP1-Hのマシンとその活動について紹介してみようと思う。

第3回目はポルシェ編。

ポルシェ919ハイブリッド 2014年モデル

2014年WEC富士にて
マシンエンジンドライバー
919ハイブリッド2.0L V4シングルターボM.リーブ
R.デュマ
N.ジャニ

T.ベルンハルト
M.ウェバー
B.ハートレイ

ル・マン24時間で数々の偉業を成し遂げたポルシェは、2011年7月に2014年シーズンからのWECに参戦しル・マン24時間に復帰することを発表をした。

マシン名は919ハイブリッドでネーミングの由来は、ル・マン24時間で初優勝した917や、ハイブリッドスポーツカーの918との連続性からとのこと。

エンジンはライバルのアウディの4.0L V6ターボやトヨタの3.7L V8と比べると、非常にコンパクトな2.0Lを採用し、形式もV型4気筒と珍しいものになっている。

そのコンパクトなエンジンはマシン形状にも寄与し、イタリアのレーシングマシンコンストラクターであるダラーラが関与したマシンは、エンジンカウルの盛り上がりがなく空力面でもアドバンテージとなっている。

レギュレーションで定められているラップあたりの回生エネルギー放出量は、トヨタと同じ2番目に大きな6MJを選択※している。
※アウディは2MJを選択

ドライバーにはF1で9勝をあげて前年に引退をしたマーク・ウェバーを採用し話題となった。

参戦初年度はアウディやトヨタに遅れをとったが、最終戦のインテルラゴスで20号車が初優勝を記録している。

ドライバーズ
ランキング
マニュファクチャラーズ
ランキング
参戦自動車メーカー
3位3位アウディ
トヨタ
ポルシェ

ポルシェ919ハイブリッド 2015年モデル

2015年WEC富士にて
マシンエンジンドライバー
919ハイブリッド2.0L V4シングルターボM.リーブ
R.デュマ
N.ジャニ

T.ベルンハルト
M.ウェバー
B.ハートレイ

N.ヒュルケンベルグ
E.バンバー
N.ダンディ

参戦2年目の2015年型は前年型のコンセプトを踏襲しているものの、空力デザインは大幅にリファインされており、パワーユニットに関しても1周あたりのエネルギー放出量をクラス最大の8MJに拡大した。

2015年型マシンはライバルであるアウディやトヨタを速さで圧倒し、第3戦のル・マン24時間でポルシェとして17年ぶり17回目の優勝を得たのを皮切りに、最終第8戦まですべてのレースを制し、WEC参戦2年目にしてドライバーズとマニュファクチャラーズのWタイトルを獲得した。

ちなみに第2戦のスパ・フランコルシャンと第3戦のル・マン24時間では、3台目のマシンとして現役F1ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグがエントリーし、ヒュルケンベルグはル・マン24時間初挑戦ながら優勝を遂げている。

ドライバーズ
ランキング
マニュファクチャラーズ
ランキング
参戦自動車メーカー
1位1位アウディ
トヨタ
ポルシェ
日産

ポルシェ919ハイブリッド 2016年モデル

2016年WEC富士にて
マシンエンジンドライバー
919ハイブリッド2.0L V4シングルターボM.リーブ
R.デュマ
N.ジャニ

T.ベルンハルト
M.ウェバー
B.ハートレイ

前年はル・マン24時間とその前哨戦で3台体制をとったポルシェだったが、この2016年は2台体制に戻す。

そのル・マン24時間ではトヨタの後塵を拝していたが、残り数分でトヨタのトラブルにより逆転し、2年連続で制覇し、通算18回目の勝利を挙げる。

シーズン全体ではトヨタやアウディに速さでは敵わなかったが、ライバルのミスや不運なトラブルに助けられ、2年連続でWタイトルを獲得している。

ドライバーズ
ランキング
マニュファクチャラーズ
ランキング
参戦自動車メーカー
1位1位アウディ
トヨタ
ポルシェ

ポルシェ919ハイブリッド 2017年モデル

マシンエンジンドライバー
919ハイブリッド2.0L V4シングルターボN.ジャニ
A.ロッテラー
N.タンディ

T.ベルンハルト
E.バンバー
B.ハートレイ

この年はマーク・ウェバーがWECから退いたため、4年目にしてはじめてドライバーを交代し、前年撤退したアウディに所属していたアンドレ・ロッテラーを迎え入れている。

2017年型919ハイブリッドはカラーリングがホワイト地にレッドとブラックに変更され、前年からガズーカラーになったトヨタと見分けがつきづらくなった。

開幕2戦はトヨタに連敗したが、第3戦のル・マン24時間ではトヨタ3台とポルシェ2台が軒並みトラブルにより遅れをとるも、ポルシェ2号車がモータートラブルによる1時間以上のピットストップをするも撤回して、ル・マン3連覇、通算19勝を達成している。

シリーズはトヨタの5勝に対してポルシェは4勝と負け越すものの、ポイントが2倍になるル・マンでの優勝もあり、3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、ドライバーズでもポルシェが3連覇を達成した。

4年間で3回シリーズとル・マン24時間を制したポルシェだったが、この年を最後にあまりにも短いWECの活動を終了したのだった。

ドライバーズ
ランキング
マニュファクチャラーズ
ランキング
参戦自動車メーカー
1位1位トヨタ
ポルシェ

最後に

ポルシェはWECに参戦した全期間を919ハイブリッドで参戦したが、ハイブリッドのラップあたりのエネルギー流量はライバルメーカーよりも早く上限の8MJを選択し、もっとも電気モーターの馬力を使用した。

また特異なV型4気筒直噴ターボは非常にコンパクトな設計で、それに起因した無駄のないリヤ周りのデザインは非常に独特であった。

その結果、ポルシェのWEC活動は2014年から2017年までに3回のドライバーズチャンピオンとマニュファクチャラーズチャンピオンを達成し、ル・マン24時間でも3年連続で制するという、素晴らしいものだった。

しかし活動は4シーズンにとどまり、耐久王と呼ばれ称されるポルシェのあまりにも短い活動終了に、多くのファンは落胆したのだった。

その後ファンに別れを告げる919トリビュートツアーが実施され、レギュレーションで縛られなくなったマシンは919ハイブリッドEvoと名称を変え、エンジンは720馬力に、電気モーターは440馬力に増加され、重量も軽量化されたマシンで、ニュルブルクリンク24時間やグッドウッドフェスティバルなどでデモ走行を実施し、スパ・フランコルシャンでは、当時のF1のラップレコードを上回るタイムを出し話題にも上ったのであった。

次のページは、2015年の1年限りで終わった日産のWEC活動(ル・マン参戦)について紹介します。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。