2022年シーズンのF1はフェラーリが開幕から強さを発揮しており、黄金期の再来と言われている。
そのフェラーリ最大の黄金期は2000年から2004年。
のちにFIA会長となるジャン・トッドが監督を務め、テクニカルディレクターにはロス・ブラウン、チーフデザイナーはロリー・バーン、そしてドライバーにミハエル・シューマッハの黄金のカルテットが所属したこの時代のフェラーリはまさに敵なしだった。
今回はその真っ只中のマシン、フェラーリF2003-GAのミニカーを本物のように撮影し当時を振り返ってみたいと思う。
ザックリ見出し
マシンデータと戦績
まずは今回の主役であるフェラーリF2003-GAの主要諸元をチェックしてみよう。
年式 | 2003年 |
コンストラクター | フェラーリ |
マシン名 | F2003-GA |
デザイナー | ロス・ブラウン(テクニカルディレクター) ロリー・バーン(チーフデザイナー) |
エンジン | フェラーリTipo052 3.0L V10 NA |
トランスミッション | フェラーリ製7速縦置きセミAT |
燃料 | シェル |
タイヤ | ブリヂストン |
当時のフェラーリのマシン名はF2001、F2002、F2003-GA、F2004、F2005。
なぜこのマシンだけ西暦の後に-GAが付いているのか?
このGAとは当時のフェラーリの親会社であったフィアットの元会長、ジャンニ・アニエッリの頭文字からで、フェラーリの2003年マシンが発表される直前にアニエッリが他界されたため、マシン名に入れられた。
フェラーリF2003-GAのチーフデザイナーはロリー・バーン。
バーンは空力の鬼才と言われているエイドリアン・ニューウェイと二代巨頭と言われており、1992年から2004年にかけて、そのどちらかがデザインしたマシンがチャンピオンを獲得していた。
年 | ドライバーズチャンピオン コンストラクターズチャンピオン | デザイナー |
---|---|---|
1990 | マクラーレン | ニール・オートレイ |
1991 | マクラーレン | ニール・オートレイ |
1992 | ウィリアムズ | エイドリアン・ニューウェイ |
1993 | ウィリアムズ | エイドリアン・ニューウェイ |
1994 | ベネトン ウィリアムズ | ロリー・バーン エイドリアン・ニューウェイ |
1995 | ベネトン | ロリー・バーン |
1996 | ウィリアムズ | エイドリアン・ニューウェイ |
1997 | ウィリアムズ | エイドリアン・ニューウェイ |
1998 | マクラーレン | エイドリアン・ニューウェイ |
1999 | マクラーレン フェラーリ | エイドリアン・ニューウェイ ロリー・バーン |
2000 | フェラーリ | ロリー・バーン |
2001 | フェラーリ | ロリー・バーン |
2002 | フェラーリ | ロリー・バーン |
2003 | フェラーリ | ロリー・バーン |
2004 | フェラーリ | ロリー・バーン |
2005 | ルノー | ティム・デンシャムほか |
前述のとおり特にドライバーズタイトルは2000年から5年連続、コンストラクターズに至っては1999年から6年連続でチャンピオンを獲得している。
こう見るとふたりの実績はすごい!
そんなロリー・バーン作のフェラーリF2003-GAが参戦した2003年シーズンの成績(序盤4戦に参戦した前年型の改良版であるF2002Bの成績を含む)は以下のとおり。
コンストラクター | シューマッハ | バリチェロ | |
---|---|---|---|
シーズン順位 | 1位 | 1位 | 4位 |
シーズンポイント | 158P | 93P | 65P |
優勝 | 8回 | 6回 | 2回 |
表彰台 | 16回 | 8回 | 8回 |
ポールポジション | 8回 | 5回 | 3回 |
ファステストラップ | 8回 | 5回 | 3回 |
この年はマクラーレンのキミ・ライコネンとファン・パブロ・モントーヤが善戦し、厳しいシーズンだったが、全16戦中半分の8戦で優勝を記録し、この年もWタイトルを獲得している。
フェラーリF2003-GAのミニカーを実車のように撮る!
それでは今回も1/43のフェラーリF2003-GAを本気で撮影してみよう。
まずはピットガレージで出番を待つミハエル・シューマッハのフェラーリF2003-GAのカットから。ちなみに今回はドライバーフィギュア付きです。
前年チャンピオンの証であるカーナンバー1が燦然と輝く。やっぱりミハエルといえばこのカーナンバーがよく似合うね。
前年型のF2002と比べてもフロント周りに大きな違いは見られないように感じる。
タイヤのサイドウォールにはブリヂストンのロゴ。
当時はブリヂストンとミシュランのタイヤ戦争真っ只中で、少しずつミシュランに乗り換えるチームが増えていったが、フェラーリは一貫してブリヂストンを履いていたんだよね。
今回のモデルはマールボロのデカール付き。
あれ?タバコ広告付きのミニカーってあった?と思われた方も多いのでは・・・。
そう、このモデルを購入した2003年当時も現在と同様に市販品はタバコ広告が無かったが、アフターパーツでデカールを購入し一生懸命貼り付けた。
驚くべきことに20年近く前に貼ったデカールは今でも当時のままの姿を留めている。
おじさんになった今は手が震えて・・・ムリだな。
でもやっぱりタバコ広告があるのと無いのでは見た目の再現度が全然違うよね。
はい、お次はスターティンググリッドから。
シューマッハのフェラーリといえばポールポジションがよく似合うが、この年は意外にも5回だけだった。
2番手グリットには今回撮影をともにしてくれる、ジャガーの2003年マシンであるR4。
レッドとグリーン、イイ感じだね。
速さはフェラーリの方が別格で実際には交わることはなかったけど・・・。
この時代のフェラーリのマシンの色は蛍光レッド。
個人的には1996年までの深紅のフェラーリが好みだが、この蛍光レッド、鈴鹿で見た時にはムチャクチャ輝いていてカッコよかったな〜。
このマシンの特徴はサイドポッド下側の抉り込み。
現在のマシンでは当たり前となったこの抉れだが、この年から徐々に採用されていった。
そのサイドポッドに内蔵されるラジエターは左右非対称で、左には水冷式、右には水冷式と油冷式が配置されていた。
サイドポッドには排熱用のルーバーもあった。
サイドポッドの抉れと排熱ルーバーって、2022年マシンでも・・・・時代は巡るのです!?
今のF1マシンのサウンド、好きですか?
私は2018年、9年ぶりにF1日本グランプリを鈴鹿サーキットで観戦したが、1.6L V6ターボサウンドには幻滅した。
フェラーリF2003-GAが現役だった2003年当時は3.0L V10で、透き通るような高音のNAサウンドは今でも一番好きなF1サウンドだ。
鈴鹿サーキットから2km以上離れた駐車場に車を置き、サーキットに向かう道中でフリー走行が始まり、あのサウンドが鈴鹿中に轟いた時の感動を今でも鮮明に覚えている。
イイ音だよね・・・。
ちなみに翌2004年からは1グランプリ1エンジンとなり、さらに回転数制限も加わった(あれ?2005年から?)ため、この2003年が一番パワーを振り絞って走っていたのでは無いかと思われる。
最後は一緒に撮影してもらったジャガーR4とともに。
1/43のフェラーリF2003-GAを本気で撮影してみたが、少しだけ実車に見えただろうか・・・。
今回登場したミニカー
今回撮影に登場した2台のミニカーの製造メーカーと購入の経緯について紹介する。
【マテル製】フェラーリF2003-GA
このモデルは当時フェラーリミニカーを独占販売していたアメリカのマテル製で、2003年シーズン終了後に購入した。
当時F1ミニカーはミニチャンプス製とマテル製が主流だったが、フェラーリのミニカーは契約の関係からフェラーリのみが製造販売していた。
出来栄えはミニチャンプスの方がよかったのに、なぜマテルしか選べないんだよ!と思っていたが、20年近く経った今、当時購入した両モデルを比べてみると、ミニチャンプスのミニカーはデカールがパリパリの剥がれてしまっているのに対しマテルのミニカーは経年劣化がほぼない。
20年経ってマテル製品を再評価している。
【ixo製】ジャガーR4
ジャガーR4はデアゴスティーニF1マシンコレクションシリーズの第130号で、イタリアのミニカーの老舗メーカーixoが製造している。
#110で紹介しているのでよかったら下記リンクからご覧いただきたい。
今回の撮影機材
最後は今回ミニカーを撮影したカメラ機材について。
カメラ | キヤノンEOS R5 |
レンズ | キヤノンRF35mm F1.8 MACRO IS STM |
撮影カメラはキヤノンのEOS R5。
今回は屋外なので三脚は使わず手持ちだったが、強力な手ぶれ補正のおかげで安心して撮影できた。
レンズはキヤノンRF35mm F1.8 MACRO IS STM。
やや広角域のハーフマクロでパースを生かして本物のように撮影できる。
今回も10cmあまりの小さなミニカーを気合を入れて撮影したが、本物のように見えただろうか?
撮影方法について詳しく知りたいという方は、下記の記事を参考にしてもらいたい。
最後に
今回はフェラーリF2003-GAを見てきたが、丸みを帯びていて下部が抉れたサイドポッドに排熱ルーバーと2022年マシンにも共通する装備が実装されたはじめてのフェラーリで、見た目はより現代風になった感がある。
このマシンでミハエル・シューマッハは6度目のドライバーズタイトルを獲得すると翌2004年には全18戦中13勝、フェラーリチームとしても全15勝をあげ、フェラーリ黄金期最高の成績でシーズンを終える。
だがフェラーリ黄金期はその年を最後に終わりを告げ、時代はルノーとその若きフェルナンド・アロンソに移っていった。
マシンレギュレーションが大幅に変更した2022年シーズンのフェラーリは、この記事を書いている時点で開幕3戦中2勝とエースシャルル・ルクレールが強さを発揮している。
あの頃以来の強いフェラーリが復活するのか?
私としてはフェラーリF2003-GAが走っていた時代のような強いフェラーリが好きだ。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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