1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はフェラーリが1989年のF1に参戦するために開発したフェラーリ640を取り上げていきたいと思います。
ザックリ見出し
マシンデータと戦績
まずはフェラーリ640の主要諸元をチェックしてみます。
年式 | 1989年 |
カテゴリー | F1 |
チーム | フェラーリ |
マシン名 | 640(F189) |
デザイナー | ジョン・バーナード |
エンジン | フェラーリ |
次にフェラーリ640の戦績を見てみましょう。
コンストラクター | マンセル | ベルガー | |
シーズン順位 | 3位 | 4位 | 7位 |
シーズンポイント | 59P | 38P | 21P |
優勝 | 3回 | 2回 | 1回 |
ポールポジション | 0回 | 0回 | 0回 |
ファステストラップ | 4回 | 3回 | 1回 |
F1初のセミオートマ搭載マシンはトラブルつづき・・・
1989年のF1はターボエンジンが禁止になったNA元年の年で、ターボ時代のパワー至上主義からマシンの総合力で勝利を得る時代へと変わっていき、フェラーリはそれを見据えて、それまでマクラーレンのMP4シリーズで数々の栄冠を獲得した当時最強のデザイナーであるジョン・バーナードを獲得し、起死回生を狙っていました。
ジョン・バーナードのフェラーリ640は、細いフロントノーズにフロントサスペンションの直後から膨らむ大きなサイドポンツーンなど他のどのチームのマシンとも異なるデザインで、一眼でフェラーリと分かる美しくも独創的なマシンでした。
今ではF1だけではなくさまざまなカテゴリーで使用されるレーシングマシンの標準装備と言えるパドルシフトタイプのセミオートマチックトランスミッションですが、そのセミオートマをF1で初めて搭載したのが、フェラーリ640でした。
1レースで数千回と言われるF1マシンのシフトチェンジですが、その負担を劇的に解消できて、片手をステアリングから離さなくてもいいセミオートマは、フェラーリ640の大きな武器でした。
しかし搭載初年度につきものの初期トラブルが多く、もちろんすべてがセミオートマのトラブルでは無いにせよ、両マシンで合計18回ものリタイヤを喫しました。
ただ実際に問題はギアボックスではなくオルタネーターで、オルタネーターがトラブルを起こすことで発電ができず、シフトチェンジができなくなり走行不能に陥りました。
トラブルが解消されセミオートマの真の実力が発揮されるのは、翌1990年のフェラーリ641/2からでした。
フェラーリ640のミニカーを実車のように撮る!
それでは1/43のフェラーリ640を撮影していきます。
もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』です。
1989年のフェラーリエースナンバーは、この年ウィリアムズから移籍してきたナイジェル・マンセルが付けます。
鼻筋の通った細く美しいノーズの突き出た先端は、カモノハシのくちばしと言われていました。
まっすぐ伸びたフロントノーズとフロントサスペンション直後から伸びる長いサイドポンツーンは、640系の最大の特徴。
ん〜カッコいい!
ノーズコーン下とアンダーパネルには段差があったのですが・・・再現されていません。
この年はポールポジションを1度も獲得できなかったフェラーリですが、せっかくなので・・・。
リヤウイング翼端板のAgipロゴの背景はこのフェラーリ640まで白でしたが、翌年の641からは黄色に。
右下にわずかに写る1995年の412T2のロゴも黄色で塗装されていますね。
現在のつや消しレッドや1997年以降の蛍光レッドではなく、深紅のカラーにAgipのロゴが描かれ、カーナンバーはフェラーリ伝統の27、私の一番好きな時代。
そしてそのマシンをドライブするマンセルも、当時私がもっとも好きだったドライバーでした。
8気筒・10気筒・12気筒とさまざまなエンジンサウンドを楽しめたのも、この時代の素晴らしい醍醐味でしたが、その中でも甲高いフェラーリのV12は最高の音色でした。
あっ、いや!透きとおるようなランボルギーニのV12のサウンドの方がよかったなぁ。
市販車でライバルのフェラーリとランボルギーニですが、F1の世界ではフェラーリは速さを極めようとし、ランボルギーニはサウンドを極めようとしており、追い求めるものが根本から違っていた!?
エンジンに導かれるエアインテークは、前期仕様ではマールボロロゴとFIATロゴの間にスリッドが開けられてそこから空気を取り入れており、ロールバーはむき出しになっていました。
しかし今回取り上げた後期仕様(第4戦メキシコグランプリで登場)では、一般的なロールバー兼用タイプに変更しています。
セミオートマを採用したことによりシフトノブやシフトリンケージが不要になり、カウルを外すとわかるのですが、ライバルマシンに比べるとモノコックが非常に細く設計されています。
以上、1/43のフェラーリ640を実車のように撮影してみました。
今回登場したミニカー
今回撮影に登場したミニカーを紹介します。
【マテル製】フェラーリ640
アシェットのフェラーリF1コレクションシリーズのvol.19で、マテルが製造し2012年5月に発売されたモデルです。
【マテル製】フェラーリ412T2
アシェットのフェラーリF1コレクションシリーズのvol.7で、マテルが製造し2011年12月に発売されたモデルです。
最後に
エンツォ・フェラーリ時代のフェラーリはエンジン至上主義で、他のフォードDFV勢にエンジンパワーで圧倒するレースを追い求めており、マシンデザインは二の次と考えていました。
しかしフェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリは1988年に他界。
エンツォ没後初のマシンであるフェラーリ640は、他のチームを模写せずに超個性的なマシンデザインで登場し、その後F1のスタンダートとなるパドル式のセミオートマという新技術を搭載することで、新しいフェラーリを感じさせてくれたマシンでした。
しかし伝統のお家騒動はエンツォの死後ますます加速し、1989年の開幕を待たずにジョン・バーナードがチームを追われ、640系のコンセプトを持ったマシンは改良されながらも1991年まで3年間も使われることになり、フェラーリはその後低迷の一途をたどるのでした・・・。
以上、今回は1/43のフェラーリ640を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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