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【F1技術革命】今も残る技術をはじめに搭載したF1マシン10選

現代のF1マシンに採用されている技術、例えばウィングやパドルシフト、カーボンモノコックやハイノーズなどを、F1ではじめて採用したのは、何年のどのマシンなのか?

そこで今回は、F1マシンに今も採用されている技術をはじめて搭載したF1マシンを、年代の古い順に紹介していきたいと思います。

F1初のリヤミッドシップマシン

クーパーT43 (1957)

クーパーT43
出典:wikipedia

現代F1をはじめ、高性能スポーツカーでも採用する考え方として、最大の重量物であるエンジンをドライバーの後ろ、リヤ駆動軸の前方に搭載することが定石ですが、それをF1で一番早く取り入れたのが1957年のクーパーT43でした。

それまでのF1マシンは多くの市販車と同様にエンジンをフロントに搭載していましたが、重いエンジンがフロントにあることで高速コーナーでのアンダーステアに悩まされており、クーパーT43はエンジンという重量物をマシンの中心に搭載することでコーナーでの旋回スピードを上げることに成功しました。

当初、他チームはこのクーパーT43のレイアウトに追随することはありませんでしたが、ジャック・ブラバムが1959年・1960年と2年連続してチャンピオンを獲得すると、1961年からは全F1チームがリヤミッドシップレイアウトを採用しました。

F1初のエンジンをストレスマウントしたマシン

ホンダRA271 (1964)

F1ではじめてエンジンをストレスマウントした ホンダRA271
ホンダコレクションホールにて

現代はF1マシンをはじめ多くのフォーミュラカーがエンジンにリヤサスペンションを取り付け、シャシーの構造物として使っていますが、それをはじめて採用したのがホンダ初のF1マシンであるホンダRA271でした。

それまでのF1マシンはパイプフレームやモノコックにエンジンやトランスミッションを収めていましたが、ホンダRA271はV型12気筒エンジンを縦ではなく横に搭載したため、リヤサスペンションをマウントするためのフレームを設計できなかったため、苦肉の策でエンジンに直接サスペンションを取り付けました。

ただし強度の問題から完全なストレスマウントではなく、モノコックの後ろにパイプのサブフレームを取り付けて補強をしていました。

F1初のウィング搭載マシン

ロータス49B (1968)

F1初のウィング装着マシン ロータス49B

現代F1マシンの前後にはウイングが搭載されていますが、それをF1マシンに初めて取り付けたのが1968年のロータス49Bです。

ロータスが1968年の第3戦モナコグランプリでフロントウィングとリヤスポイラーを取り付けると、翌第4戦でフェラーリとブラバムが大型のウィングを搭載し、シーズン終盤にはほとんどすべてのチームがウィングを搭載しました。

それまでF1マシンは空気抵抗をいかに減らすかだけを考えて製作されてきましたが、ロータス49Bは空力を逆に味方にして空気でマシンを路面に押し付けることでダウンフォースを発生させた最初のF1マシンです。

F1初のセミオートマチック搭載マシン

ロータス76 (1974)

初のセミオートママシンロータス76
鈴鹿サウンドオブエンジン2018にて

セミオートマチックトランスミッションとは、シフトチェンジは手動で行うがクラッチ操作のみを自動化させたもので、現代のF1マシンもシフトチェンジの際にクラッチは踏んでいません(スタート時のみステアリング後ろのパドルで行う)が、シフトチェンジは手動で行っていますよね。

※シフトチェンジも自動化させたものはフルオートマチックトランスミッションということになる。

そのセミオートマチックトランスミッションを、F1ではじめて採用したのが1974年のロータス76で、電磁クラッチを備えたロータス76はシフトノブのボタンを押しながらシフトチェンジを行いました。

まあボタンを押す行為があるので、完全な自動クラッチではありませんが・・・。

しかしこのシステムは当時所属していたロニー・ピーターソンとジャッキー・イクスには不評で、程なくして通常の3ペダルに戻されました。

F1初のターボマシン

ルノーRS01 (1977)

F1初のターボエンジン搭載マシン ルノーRS01

2014年からF1に復活したターボエンジンですが、そのターボをF1にはじめて採用したのがフランスの自動車メーカーであるルノーでした。

1966年に3,000ccに拡大したF1エンジンは、1,500ccの過給機付きエンジンも許可しますが当初は採用するチームがありませんでした。

1970年代中盤、ルノーはそのターボに着目し、F2マシンにターボを搭載してテストを繰り返し、1977年のイギリスグランプリでF1初のターボエンジンはデビューをします。

当初はトラブル続きで、事実1977年は1度も完走をすることができませんでしたが、後継のルノーRS10が1979年にターボエンジンにとって初優勝を果たすと、フェラーリをはじめ多くのチームがターボを採用します。

そして1980年代F1はターボ全盛時代となりましたが、ターボのパイオニアであるルノーは、ホンダやポルシェなどの後続の他メーカーに勝てずに、皮肉にも1986年を最後にターボエンジンから撤退しました。

ターボは圧倒的なパワーをもたらすことで、マシン速度が上昇しドライバーに危険を及ぼし金銭的にも非常に高価だったためプライベーターチームの財政も圧迫するとして1988年を最後に禁止となりますが、2014年にターボハイブリッドとしてF1に復活しました。

F1初のグランドエフェクトマシン

ロータス78 (1977)

F1初のグランドエフェクトマシン ロータス78
鈴鹿サウンドオブエンジン2018にて

現代F1マシンは、マシン下を通る空気の流速を速くすることにより、マシンを路面に吸い付ける効果を利用して多くのダウンフォースを得ていますが、この考え方を本格的にF1に導入したのが1977年のロータス78でした。

現在はその効果がマシンのコーナーリングスピードを非常に上げて危険になるということで、リヤ部分のみに規制されていますが、そのリヤデフューザーに流れる空気を増やしグランドエフェクト効果をいかに多く発生させるかがマシン製作の重要なポイントとなっています。

そのためロータス78が採用した考え方は、その後のF1を大きく変えたマシンと言えるでしょう。

次のページでは、F1初のカーボンモノコックマシンや、初の吊り下げ式フロントウィングマシンなど、残り4つの技術をはじめて搭載したF1マシンを紹介します。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。