モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。
F1グランプリを見ていて、ドライバーがミスを犯すと「下手くそっ!」とつい呟いてしまいます。
でも考えてください、この方達が運転しているのは700kgあまりの重量で1000馬力を越すPUを搭載する、それはとんでもないマシンなのです。
こんなモンスターマシンを操る彼らは、F1に上がる前にSF・F2・F3・GP2などのミドルフォーミュラと呼ばれるステップアップカテゴリーで生き残ってきた、類まれな才能を持った超エリート達だったのです。
そこで今回は2019年のF1グランプリを戦う全F1ドライバーの、F1に上がる前のステップアップカテゴリーでの成績を見ていきたいと思います。
ザックリ見出し
ルイス・ハミルトンのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2004 | ユーロF3 | 1勝 | 5位 |
2005 | ユーロF3 | 15勝 | 1位 |
2006 | GP2 | 5勝 | 1位 |
F1チャンピオンを5回※も獲得した、現役最強のF1ドライバーであるルイス・ハミルトン。
※ 2018年終了時点
マクラーレンの秘蔵っ子と呼ばれた彼のミドルフォーミュラデビューは、2004年のユーロF3です。
そして翌2005年にユーロF3で20戦15勝し、その年の各国F3の競合ドライバーが集結するマルボロマスターズも制し圧倒的な強さを見せつけました。
ちなみにこの年、後年F1でチャンピオンを掛けて戦う事になるセバスチャン・ベッテルも同ユーロF3に参戦していましたが、チームの力関係もあったにせよベッテルはハミルトンに全く歯が立ちませんでした。
翌年F1直下のGP2(現F2)でデビューし、シーズン5勝をあげチャンピオンに輝き、翌シーズンよりF1にステップアップしました。
ルイス・ハミルトンは現役最強のF1ドライバーのひとりですが、ステップアップカテゴリー時代から類まれな速さを持ったドライバーでした。
- 2005年ユーロF3 20戦15勝の圧倒的な成績でシリーズチャンピオン
- 2005年マルボロマスターズ優勝
- 2006年GP2参戦初年度にシリーズチャンピオン
バルテリ・ボッタスF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2009 | ユーロF3 | 3位 | |
2010 | ユーロF3 | 3位 | |
2011 | GP3 | 1位 |
現在チャンピオンチームであるメルセデスAMG F1に所属するバルテリ・ボッタスは、2008年にフォーミュラルノーでチャンピオンを獲得後、F3ユーロシリーズで2シーズンを過ごし2シーズンともにシリーズ3位になります。
特筆すべきは各国F3の競合ドライバーが集うマルボロマスターズで2009年・2010年と2年連続で優勝し才能の片鱗を見せました。
翌2011年にGP3へステップアップしデビューシーズンでチャンピオンに輝き、当時のF1直下カテゴリーGP2を経験せずに2012年ウィリアムズのF1シートを獲得しました。
- 2年連続(2009年-2010年)マルボロマスターズ優勝
- 2011年GP3参戦初年度にシリーズチャンピオン
セバスチャン・ベッテルのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2005 | ユーロF3 | 5位 | |
2006 | ユーロF3 | 4勝 | 2位 |
2006 | フォーミュラルノー3.5 | 2勝 |
F1で4度の世界王者※を獲得しているセバスチャン・ベッテルですが、ミドルフォーミュラではシリーズチャンピオンを獲得していません。
※ 2018年終了時点
2004年にドイツフォーミュラBMWで20戦18勝をあげ、2005年にF3ユーロカップに参戦しましたが、この年シリーズを席巻したルイス・ハミルトンに全く歯が立たず参戦初年度は未勝利に終わりシリーズ5位。
2006年も同じくF3ユーロカップに出場し4勝をあげシリーズ2位になります。
ちなみにこの2006年、F3よりも上位カテゴリーであるフォーミュラルノー3.5にスポット参戦し、出場した2レースでともに優勝し世に才能を見せつけました。
2006年のシーズン途中よりBMWザウバーのサードドライバーに昇格し、ラスト5戦で金曜フリー走行に出場し、初走行のトルコグランプリ金曜フリー走行でトップタイムを記録し注目されました。
- 2006年フォーミュラルノー3.5で2戦2勝
シャルル・ルクレールのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2015 | ヨーロッパF3 | 4勝 | 4位 |
2016 | GP3 | 3勝 | 1位 |
2017 | F2 | 7勝 | 1位 |
F1参戦2年目にして名門フェラーリのドライバーに抜擢されたシャルル・ルクレールですが、2015年にヨーロッパF3(前出のユーロF3とは別)に参戦し、初年度に4回の優勝、表彰台13回という成績でシリーズ4位でした。
その年世界中の競合が参戦するマカオF3にも出場し、僅差の2位に入りました。
翌2016年はGP3にステップアップし、開幕戦でいきなり優勝しシリーズチャンピオンになり、2017年はGP2から名称変更されたF2に参戦し、シリーズ7勝を上げチャンピオンに輝きました。
ちなみにF1直下のカテゴリーで参戦初年度にチャンピオンになったのは2009年のニコ・ヒュルケンベルグ以来の快挙でした。
シャルル・ルクレールは
- 2016年GP3チャンピオン
- 2017年F2チャンピオン
- 2018年F1デビュー
- 2019年名門フェラーリ
と、2016年から毎年止まることなくステップしてきました。
となると2020年はF1チャンピオン??
- 2016年GP3参戦初年度にシリーズチャンピオン
- 2017年F2参戦初年度にシリーズチャンピオン
マックス・フェルスタッペンのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2014 | ヨーロッパF3 | 10 | 3位 |
史上最年少の若干17歳でF1ドライバーになったマックス・フェルスタッペンは、F1以外の四輪レースはほぼ1年しか経験していません。
レーシングカートで多くのチャンピオンを獲得したフェルスタッペンは、2014年に16歳にしてヨーロッパF3選手権で本格的な4輪レースデビューをします。
そして参戦初年度に6連勝を含む年間10勝を上げシリーズ3位の成績を残しました。
ヨーロッパの競合が集結するマスターズF3にもエントリーし、ポールポジションからスタートして2位以下に10秒近いギャップを付け圧倒的な速さで優勝しました。
ヨーロッパF3参戦中の2014年8月にレッドブルジュニアチームの一員になり、間も無く2015年にF1デビューが発表されました。
四輪レースで1年の経験しか無く、17歳で自動車運転免許証も所持していないマックス・フェルスタッペンがF1ドライバーになったことで、今後F1ドライバーの低年齢化が進み経験不足から大きな事故を懸念したFIAは、スーパーライセンス発給に『18歳以上であること』『自動車運転免許証を所持していること』『2年以上のフォーミュラ経験があること』という条項が追加されました。
そんな、四輪レース経験1年で17歳のマックス・フェルスタッペンのF1デビューは世間に衝撃を与えました。
- 2016年ヨーロッパF3に若干16歳で四輪デビューし年間10勝
- 2016年マスターズF3で独走優勝
ピエール・ガスリーのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2014 | フォーミュラルノー3.5 | 0 | 2位 |
2015 | GP2 | 0 | 8位 |
2016 | GP2 | 1位 | |
2017 | スーパーフォーミュラ | 2 | 2位 |
ピエール・ガスリーはF3シリーズを経験していない珍しいF1ドライバーのひとりです。
ジュニアフォーミュラのひとつフォーミュラルノー2.0から、F3を経験せず2014年にミドルフォーミュラのフォーミュラルノー3.5にステップアップし、未勝利ながらシリーズ2位になります。
2014年終盤にGP2に途中参戦をし、2015年からシリーズ参戦を果たしますがチームメイトのアレックス・リンを上回ることができず8位でシーズンを終えます。
翌2016年はチームを替えて3年目のGP2シリーズを戦い、シリーズチャンピオンに輝きました。
翌年はトロロッソからF1デビューが確実視されていましたが、ダニエル・クビアトの残留でF1を断念し、GP2はシリーズチャンピオンを獲得したドライバーの参戦が禁止されているため、2017年は日本のスーパーフォーミュラを戦うことになります。
カタチは似ているも独自の発達を遂げた極東の国でのフォーミュラカーレースに慣れるのに時間がかかりましたが、シリーズ終盤にはすっかりアジャストしチャンピオン争いを展開し、0.5ポイント差のシリーズ2位につけ、すでにF1昇格を果たしていましたがF1アメリカグランプリをキャンセルして挑んだスーパーフォーミュラ最終戦でしたが、台風のためレースは中止になりシリーズ2位で終えました。
彼の速さを目の当たりにした我々日本のファンは、彼の活躍を期待しています。
- 2016年GP2シリーズチャンピオン
ダニエル・リカルドのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2009 | イギリスF3 | 6 | 1位 |
2010 | フォーミュラルノー3.5 | 4 | 2位 |
F1直下のGP2を経験していないダニエル・リカルドは、ジュニアフォーミュラのフォーミュラルノー2.0時代の2008年にレッドブルジュニアチームに加わりました。
2009年に佐藤琢磨も所属した名門カーリンモータースポーツからイギリスF3に参戦し、チャンピオンを獲得します。
翌2010年、GP2にステップするのでは無くフォーミュラルノー3.5にシリーズ参戦し、4勝を上げましたが2ポイント差で惜しくもシリーズ2位でシリーズを終えました。
2011年にF1のテールエンダーであるヒスパニアレーシングからF1デビューをしました。
- 2009年イギリスF3参戦初年度にシリーズチャンピオン
ニコ・ヒュルケンベルグのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2006 | ドイツF3 | 1 | 5位 |
2007 | ユーロF3 | 3 | 3位 |
2008 | ユーロF3 | 1位 | |
2009 | GP2 | 5 | 1位 |
2006年にドイツF3を戦い1勝を上げシリーズ5位、2007年にユーロF3に参戦し3勝しシリーズ3位に入り、2008年も同じくユーロF3を戦いシリーズチャンピオンに輝きました。
そしてこの2008年には、ヨーロッパの強豪ドライバーが集うマスターズF3でも優勝しました。
2009年にはF1直下のGP2を戦い、参戦初年度にして5勝を上げチャンピオンになり、翌2010年にウィリアムズよりF1デビューを果たします。
余談ですが、2015年ニコ・ヒュルケンベルグはF1グランプリの合間にポルシェチームからル・マン24時間レースに出場し、F1同様安定の走りを見せ総合優勝を果たしました。
- 2008年ユーロF3シリーズチャンピオン
- 2008年マスターズF3優勝
- 2009年GP2参戦初年度にシリーズチャンピオン
ロマン・グロージャンのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2006 | ユーロF3 | 0 | 13位 |
2006 | イギリスF3 | 2 | |
2007 | ユーロF3 | 1位 | |
2008 | GP2 | 5 | 4位 |
2009 | GP2シーズン途中まで | 2 | 4位 |
2010 | GP2シーズン途中から | 0 | 14位 |
2011 | GP2 | 5 | 1位 |
2006年にユーロF3とイギリスF3にエントリーし、翌2007年にユーロF3でチャンピオンになります。
つづく2008年にはF1直下のGP2に参戦し5勝を上げシリーズ4位に入り、2009年もGP2を戦い序盤の成績が認められルノーよりF1デビューを果たします。
2010年もルノーよりF1に乗りますが相次ぐクラッシュからF1シートを失い、再びGP2に戻り翌2011年にチャンピオンに輝き、再度F1ドライバーに昇格し現在に至ります。
- 2007年ユーロF3シリーズチャンピオン
- 2011年GP2シリーズチャンピオン
ケビン・マグヌッセンのF1デビューまでの足跡
年度 | カテゴリー | 勝利 | シリーズ順位 |
2010 | ドイツF3 | 3 | 3位 |
2010 | ユーロF3シーズン途中から | 1 | 12位 |
2011 | イギリスF3 | 7 | 2位 |
2012 | フォーミュラルノー3.5 | 1 | 7位 |
2013 | フォーミュラルノー3.5 | 5 | 1位 |
F1ドライバーを父に持つケビン・マグヌッセンは、2010年からドイツF3を戦い3勝を上げシリーズ3位になります。
この年はユーロF3にも2戦のみスポット参戦し、優勝を遂げています。
翌2011年はイギリスF3に参戦し7勝を上げシリーズ2位になり、翌年からフォーミュラルノー3.5にエントリーし、2年目にシリーズチャンピオンに輝きF1に昇格しました。
- 2013年フォーミュラルノー3.5シリーズチャンピオン
今回のPART1は、メルセデス・フェラーリ・レッドブル・ルノー・ハースのドライバーのステップアップフォーミュラ時代の成績を見てみましたが、どのシリーズでもシリーズ上位で争い、多くのドライバーが参戦2年目には少なくとも結果を残しているこのがわかりますね。
次回のPART2は、マクラーレン・レーシングポイント・アルファロメオ・トロロッソ・ウィリアムズのドライバーを見てみることに致します。
果たしてキミ・ライコネンやランス・ストロールのミドルフォーミュラ時代の成績は?