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スーパーライセンスポイントで分かったFIAが考える各フォーミュラシリーズの格付け

モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。

先日、スーパーライセンスポイント改正の発表が行われました。

ちなみにスーパーライセンスポイントとは、世界で行われている各モータースポーツシリーズで年間ランキングによりポイントが与えられ(シリーズポイントとは異なる)、過去3年間の合算ポイントで40ポイント以上獲得するとFormula1(=F1)に乗ることのできるスーパーライセンスを取得できる権利を有するポイントのことで、FIA(国際自動車連盟)がシリーズ毎のポイントを決めます。

この各シリーズに与えられたポイントから、FIAが考えるシリーズの格が読み解けると思います。

そこで今回は、スーパーライセンスポイントを基準に世界各国のフォーミュラレースをランキングしてみます。

ルール

  • ル・マンプロトタイプカーやGTカーなどを除く、フォーミュラカーのみのランキング
  • スーパーライセンスポイントの合計が多いカテゴリーをランキング上位とする
  • スーパーライセンスポイントの合計が同じ場合、シリーズ上位ポイントの多いカテゴリーをランキング上位とする
  • 消滅したシリーズは除外する

【第1位】FIA フォーミュラ1 世界選手権

鈴鹿サーキットを快走するフェラーリSF71H
開始年1950年
国・地域国際
ドライバー20
チーム10
シャシー各チームオリジナル
(メルセデス製・フェラーリ製・レッドブル製など)
エンジンメルセデス・フェラーリ・ルノー・ホンダ製
1.6L シングルターボハイブリッド
シルバーストンラップ(2018)1’25.892
鈴鹿ラップ(2018)1’27.660

F1は無論モータースポーツの最高峰で、レーシングドライバーはほぼ全てF1ドライバーになることに憧れ、当然スーパーライセンスポイントもF1に乗る権利(スーパーライセンス)を獲得するためにあります。

マシンやエンジンなどの開発費や開催権料などの予算規模も他のシリーズよりもズバ抜けて多く、マシン性能も他のシリーズのマシンを圧倒します。

【第2位】FIA フォーミュラ2 選手権

1位40P 2位40P 3位40P 4位30P 5位20P 6位10P 7位8P 8位6P 9位4P 10位3P
合計=201ポイント

開始年2017年
国・地域国際
ドライバー22
チーム11
シャシーダラーラ製
F2 2018
エンジンメカクローム製
3.4L シングルターボ
シルバーストンラップ(2018)1’39.989
鈴鹿ラップ(2018)

多くのF1ドライバーを輩出した旧GP2が2016年で終了し、改名するカタチで発足した新生FIA F2。

F1にステップアップするドライバーは、かつてはF3→F1という流れが多くありましたが、GP2発足以来F1の直下カテゴリーとしてGP2→F1という流れがもっとも一般的になり、FIA F2もその流れを踏襲しています。

【第3位】インディカー シリーズ

ヨーロッパ中心のフォーミュラカーとは一線を画すインディカーマシン Wikipediaより

1位40P 2位30P 3位20P 4位10P 5位8P 6位6P 7位4P 8位3P 9位2P 10位1P
合計=124ポイント

開始年1996年
国・地域北米
ドライバー29
チーム14
シャシーダラーラ製
DW12
エンジンシボレー・ホンダ製
2.2L ツインターボ
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

北米はヨーロッパ(=F1)を中心としたフォーミュラカーとは別の進化を遂げ、その最高峰がこのインディカーシリーズです。

インディ500マイルレースに代表されるオーバルコースがシリーズの中心で、ヨーロッパ中心のフォーミュラカーシリーズには無い独自の文化があり、フェルナンド・アロンソやファンパブロ・モントーヤなどF1で勝利したドライバーをも魅了します。

【第4位タイ】FIA フォーミュラE 選手権

2018年より使われるダラーラ製マシンGen2 Wikipediaより

1位30P 2位25P 3位20P 4位10P 5位8P 6位6P 7位4P 8位3P 9位2P 10位1P
合計=109ポイント

開始年2014年
国・地域国際
ドライバー23
チーム11
シャシーダラーラ製
Gen2
エンジン日産・アウディBMW製ほか
電動 180kw(レース時)
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

2014年より開始されたフォーミュラEは、電気のF1と言われ元F1ドライバーも多く参戦しています。

開催は全て市街地コースで行われ、現地観戦よりもテレビ中継を意識したスタイルをとっています。

モータースポーツの魅力の一つは、非日常の爆音を奏でるマシンを聞くことですが、フォーミュラEの音は・・・ かつての『タミヤRCカーグランプリ』みたいでそそられません。

【第4位タイ】FIA フォーミュラ3 選手権

1位30P 2位25P 3位20P 4位10P 5位8P 6位6P 7位4P 8位3P 9位2P 10位1P
合計=109ポイント

開始年2019年予定
国・地域ヨーロッパ
ドライバー30
チーム10
シャシーダラーラ製
GP3/16
エンジンメカクローム製
3.4L 自然吸気
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

FIAがF1に至るピラミット形成を推し進める中で、最後に残っていたのが伝統あるF3規定の再編でした。

そこでFIAはGP3とヨーロピアンF3をひとつにし、排気量をそれまでの2.0Lから3.4Lに増大、ドライバー頭部保護デバイスハロを装着、DRSも搭載し、まさにミニF1みたいな仕様にしFIA F3という名称で2019年よりシリーズをスタートさせることにしました。

そしてFIAは、シリーズを成功させるためにスーパーライセンスポイントを大奮発!

しかし、フォーミュラEと同等、スーパーフォーミュラより多いポイントとは・・・ 思惑が露骨すぎます。

【第6位タイ】フォーミュラ ヨーロピアン マスターズ(旧FIA ヨーロピアン フォーミュラ3 選手権)

1位25P 2位20P 3位15P 4位10P 5位7P 6位5P 7位3P 8位2P 9位1P
合計=88ポイント

開始年1975年
国・地域ヨーロッパ
ドライバー25
チーム5
シャシーダラーラ製
エンジンメルセデス製
2.0L 自然吸気
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

エスティバン・オコンやランス・ストロールなどのF1ドライバーを輩出し、2018年はミハエル・シューマッハの息子であるミック・シューマッハがチャンピオンに輝いたFIAヨーロピアンF3が2019年からフォーミュラ・ヨーロピアン・マスターズと改称します。

有力F3ドライバーはFIA F3に流れると思いますが、昨年までFIA公認シリーズだったためか、意外にも日本が誇るスーパーフォーミュラと同等のポイントが付与されます。

【第6位タイ】全日本 スーパーフォーミュラ 選手権

富士スピードウェイを走るSF14

1位25P 2位20P 3位15P 4位10P 5位7P 6位5P 7位3P 8位2P 9位1P
合計=88ポイント

開始年2013年
国・地域日本
ドライバー19
チーム11
シャシーダラーラ製
SF14
(2019年よりSF19)
エンジントヨタ・ホンダ製
2.0L 直噴ターボ
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)1’36.911

アメリカのインディカー同様、日本でもフォーミュラカーシリーズが独自の進化を遂げ、その最高峰に位置するのがスーパーフォーミュラです。

スーパーフォーミュラはFIA F2よりマシンレベルが高いと言われ、FIA F2のチャンピオンがF1ドライバーになる準備としてスーパーフォーミュラに参戦するケースが増えています。

補足

FIA F2(GP2含)はチャンピオン獲得すると翌年は同シリーズに参戦できないこともあり、チャンピオンがスーパーフォーミュラに参戦するケースがある

ストフェル・バンドーン
2015年 GP2(FIA F2の前身)→2016年 スーパーフォーミュラ→2017年 F1

ピエール・ガスリー
2016年 GP2(FIA F2の前身)→2017年 スーパーフォーミュラ→2017年 F1

しかしなぜFIA F3よりポイントが少ないのか、フォーミュラヨーロピアンマスターズと同ポイントなのか・・・ FIA主催シリーズが優遇されるポイント制度に違和感を感じます。

【第8位】インディライツ

1位15P 2位12P 3位10P 4位7P 5位5P 6位3P 7位2P 8位1P
合計=55ポイント

開始年2002年
国・地域北米
ドライバー28
チーム17
シャシーダラーラ製
エンジンAER製
2.0L ターボ
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

インディカーシリーズの下位に位置する、いわゆるF1に対するFIA F2のようなカテゴリーです。

【第9位】FIA フォーミュラ4 選手権

SUPER GTのサポートレースで富士スピードウェイを走る童夢製F110

1位12P 2位10P 3位7P 4位5P 5位3P 6位2P 7位1P
合計=40ポイント

開始年2014年(イタリア)
2015年(日本・イギリス・ドイツ・中国)
国・地域各国
ドライバー
チーム
シャシー童夢製 F110(日本)
タトゥース製 F4-T014(イタリア・ドイツ)
ミゲール製(イギリス・中国)
エンジントムス製 2.0L 自然吸気(日本)
アバルト製 1.4L ターボ(イタリア・ドイツ)
フォード製 1.4L ターボ(イギリス)
吉利汽車製 2.0L 自然吸気(中国)
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)2’03.694(日本)

日本をはじめイギリス・ドイツ・イタリア・中国の5カ国で開催されているFIA-F4が全日本F3より上の9位にランクイン。

私個人の意見としては、正直全日本F3の方がマシンレベルが相当に上だと思うのですが、FIA主催のシリーズに優秀なドライバーを集めたいという思惑が現れています。

【第10位タイ】全日本 フォーミュラ3 選手権

全日本F3に出場するダラーラF317

1位10P 2位7P 3位5P 4位3P 5位1P
合計=26ポイント

開始年1979年
国・地域日本
ドライバー16
チーム11
シャシーダラーラ製
エンジン2.0L 自然吸気
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)1’51.700

2018年は坪井翔選手が19戦17勝という圧倒的な強さを見せた全日本F3選手権は、レースの本場ヨーロッパのF3が人気低迷で中止に至る中、1979年から途絶えることなく続いています。

F1ドライバーも輩出するレベルの高いシリーズですが、FIAが進めるFIA公認シリーズが優遇されるフォーミュラ再編の影響で、FIA-F4より下位に位置する!全く意味のわからないスーパーライセンスポイント制度です。

【第10位タイ】イギリス フォーミュラ3 選手権

1位10P 2位7P 3位5P 4位3P 5位1P
合計=26ポイント

開始年1951年
国・地域イギリス
ドライバー
チーム
シャシータトゥース製
エンジンデュラテック製
2.0L 自然吸気
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

かつてはアイルトン・セナやネルソン・ピケ、ミカ・ハッキネンなどのF1チャンピオンを筆頭に、多くのF1ドライバーを輩出した名門イギリスF3ですが、フォーミュラ人気衰退もあり2014年を最後に消滅し、2016年から再開した当イギリスF3はかつてのイギリスF3とは別物です。

しかし名門F3が全日本F3とともにこのランキングにいることは、寂しい限りです。

【第10位タイ】フォーミュラマツダ

フォーミュラマツダのマシン Wikipediaより

1位10P 2位7P 3位5P 4位3P 5位1P
合計=26ポイント

開始年1998年
国・地域アメリカ
ドライバー
チーム6
シャシー
エンジンマツダ製
0.654L×2ローター
(RX-8搭載のロータリーエンジン)
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

北米最大のフォーミュラカーシリーズであるインディカーシリーズの登竜門としての位置付けで、ロータリーエンジン(マツダRX-8に搭載されていたもの)を搭載する世界で唯一のフォーミュラカーシリーズで、甲高いロータリーサウンドが非常に魅力的です。

このシリーズについて私は詳しく知りませんでしたが、全日本F3やイギリスF3と同ポイントとは・・・ そんなにレベルが高いのでしょうか?

【第13位】トヨタレーシングシリーズニュージーランド

1位7P 2位5P 3位3P 4位2P 5位1P
合計=18ポイント

開始年
国・地域ニュージーランド
ドライバー
チーム
シャシータトゥース製
FT-50
エンジントヨタ製
1.8L 自然吸気
シルバーストンラップ(2018)
鈴鹿ラップ(2018)

モータースポーツ人気の高いニュージーランドで行われるフォーミュラカーレースです。

最後に

今回は、スーパーライセンスポイントから世界の各フォーミュラカーシリーズをランキングにしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

スーパーフォーミュラがFIA F3より下位!? 全日本F3がFIA F4より下位!? など我々日本人にとっては違和感がありすぎるポイント配分ですが、F1を頂点とするモータースポーツはヨーロッパを中心に考られており、特にFIA主催シリーズが尊重されています。

それにしても『FIA F4FIA F3FIA F2FIA F1』というピラミットを形成し、将来性のあるドライバーをFIA主催のシリーズに集めたいと考えるFIAの思想が、如実に現れているポイント配分ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。