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思わずカッコ悪っ!と叫びたくなる変なウイングを付けたF1マシン4選

F1マシンはいかにダウンフォースを得て、コーナーリングスピードを増やしラップタイムを上げるかがマシン開発の肝になる。

その中で、本来であればマシン全体のパッケージでメカニカルグリップを獲得したいのだが、マシンの素性がよくなく、付け焼き刃で奇妙な場所に変なウイングを付けたマシンが過去に存在した。

そこで今回は、変なウイングを装着したF1マシンを1990年代以降で4台選んでみたいと思う。

ホンダRA108 ダンボウイング&エレファントイヤー

2000年代中盤より各チームの空力競争は激化の一途をたどり、マシンには様々な整流フィンが取り付けられたが、その極め付けがホンダ第3期の最終型マシンであるホンダRA108である。

目を引くノーズ先端には、BMWザウバーが採用していた翼を模したようなエアロパーツをさらに突き詰めたデザインのウイングをシーズン途中に導入する。

その特徴的な形状からダンボウイングと呼ばれることになる。

ちなみにダンボウイングのダンボとは、ディズニー映画の『ダンボ』から取られたネーミングで、主人公である子象のダンボは大きな耳を翼にして空を飛んだのだが、そのことになぞられている。

私はホンダコレクションホールでこのホンダRA108を久々に拝見したのだが、あまりにも存在感のあるそのダンボウイングが異常なほどに滑稽に思えたことを思い出す。

またホンダRA108のインダクションポット両脇には、当時流行っていたバイキングのツノのような空力フィンも装着されていた。

こちらも先のダンボウイング同様に象に例えられ、エレファントイヤー(象の耳)と名付けられた。

ダンボウイングはダンボの羽根=耳、そしてエレファントイヤーは象の耳・・・ということはホンダRA108は合計4枚の象の耳が装着されていることになるのか・・・。

これだけの空力部品を後付けで開発し装着したということは、このマシンの素性が悪かったことに由来するのだろう。

カッコ悪いマシンは走らない、という定説どおり、ホンダRA108はこのシーズンコンストラクターズ選手権を9位という最悪の結果で終わることとなる。

2000年代中盤からの空力競争激化により、多くの空力フィンを装着した各F1マシンだったが、2009年よりレギュレーションで大幅に規制されることとなり、ホンダは走らないRA108に早々に見切りをつけて、翌年からのレギュレーション変更に合わせてマシン開発を翌年にシフトし、ご存知ブラウンGPになったチームはチャンピオンを獲得するのであった。

フェラーリF2005 サブウイング

2005年はレギュレーション改定により、フロントウイングの車体中心線から250mmより外の地上高を150mm以上(以前は100mm)に制限される。

このレギュレーション変更により、各チームは中心に向けて大きく湾曲するフロントウイングを開発した。

これに対し、この年から空力デザイナーをロリー・バーンからアルド・コスタに変更したフェラーリの出した答えは、フロントウイングの中心250mm以内にサブウイングをつけるという手法だった。

シーズン序盤は前年型の改良版であるフェラーリF2004Mで参戦したが、フロントウイング下の突き出た部分に小さなサブウイングが装着され、それをさらに突き詰めたのが2005年仕様のフェラーリF2005である。

でも、完全にマシン全体のパッケージから外れた、フロントウイングの下ではなく前方に突き出した位置に装着されるこの出っ歯のようなサブウイングはダサすぎるでしょ!?

しかも、グランプリによっては写真のようにサブウイングを2段式にしてダウンフォースを稼いでいたが、その存在感たるやすごかった。

結局、遅かったからかそれともこのダサいカタチが嫌だったのか、他のチームがサブウイングを真似することはなく、フェラーリ自身も翌2006年からは中央部が大きく湾曲した1枚もののフロントウイング(アッパーエレメント付き)に戻している。

ティレル025 Xウイング

名門ティレルが最後に生み出したエポックメイキングなアイデアが、1997年のティレル025に装着されたXウイングだ。

このXウイングは、コクピット脇のサイドポンツーン前端上部に取り付けられたウイングで、ロールループ上端と同じほどの高い場所に位置していた。

そのためモノコックから斜めに補強が入っており、その様がマシン正面から見るとアルファベットのXの字に似ているためXウイングと呼ばれていた。

このXウイングはすべてのレースで取り付けられていたわけではなく、モンテカルロ市街地コースなど高いダウンフォースが必要とされるコースで投入された。

このレギュレーションの抜け穴を突いたXウイングは、翌1998年仕様のティレル026でも採用したが、高さは抑えられ斜めの補強は取り払われており、タワーウイングと名を変えた。

このタワーウイングは、フェラーリやジョーダンなどの当時の上位コンスタラクターも模倣したが、あまりにもカッコの悪いこの見た目に業を煮やしたFIAが、安全性の問題という理由で第5戦のスペイングランプリを前にレギュレーションを改定し禁止された。

6輪車やハイノーズなど、さまざまな発明をした名門ティレルは、Xウイングというエポックメイキングな発明を最後にF1を去った。

アロウズA22 ノーズセンターウイング

2002年まで25シーズンに渡りF1に参戦していたアロウズだが、撤退の前年である2001年のモナコグランプリで奇妙なウイングを装着した。

木曜日のフリー走行(他のグランプリでは金曜フリー走行にあたる)でコースに登場したアロウズA22は、ダウンフォースを得ようとフロントのノーズ先端から上方向に支柱を伸ばし、ミニウイングを装着したのだ。
※ジョーダンも木曜セッションで似たようなウイングを装着している

このノーズセンターウイングと呼ばれたこの構造物だが、私はF1史上もっとも酷いウイングのひとつだと思っているが、みなさんはどのように思うだろうか・・・。

またノーズセンターウイングは、見た目だけでなくドライバーの視界を遮るだろうし、接触などで外れればドライバーのヘルメットを直撃する恐れもある。

案の定、木曜セッション終了後にFIAから危険な構造物と判定され、土曜セッションからは禁止されている。

華やかなモナコグランプリで、翌年からこの醜いノーズセンターウイングが大流行しては、F1のイメージダウンに繋がるとFIAが危惧したかは定かではない・・・。

最後に

ということで、今回は変なウイングを装着したF1マシンを1990年代以降で4台選んでみた。

今回紹介したホンダRA108のダンボウイングにエレファントイヤー、フェラーリF2005のサブウイング、ティレル025のXウイング、アロウズA22のノーズセンターウイングと、どれもあまりにも醜い見た目だったの思っていただけたのではないだろうか。

『カッコ悪いF1マシンは走らない』の定説どおり、今回取り上げたF1マシンはどれも成績を残すことができなかった。

コンストラクターマシンコンストラクターズ
ランキング
2008ホンダRA1089位
2005フェラーリF20053位
1997ティレル02510位
2001アロウズA2210位

しかし世界で屈指の空力デザイナーが、レギュレーションの盲点を探りながら本気で考え、このようなマシンが生まれるのだからF1は面白い。今後もこのようなエポックメイキングなF1マシンが生まれることを期待したい。

ちなみにXウイングを装着したティレル025とノーズセンターウイングを装着したアロウズA22の2台のマシンのドライバーのひとりは、ヨス・フェルスタッペン。そうマックス・フェルスタッペンの父親である。

ヨスは奇妙なウイングのマシンと縁が深かったのである・・・。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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MOTORSPORT撮影術

モータースポーツ撮影歴18年。腕に覚えは全く無いが、知識だけは豊富なワタクシぴぴが、レース撮影について偉そうに解説します。




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ぴぴ
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。 一眼レフデビューは2001年頃、CANON EOS7(フィルム機)。腕に覚えは全くないが、年数だけはそこそこ長い。 【一眼レフ遍歴】 CANON EOS 7 → CANON EOS kiss N → CANON EOS 60D → CANON EOS 7D MarkⅡ → CANON EOS 5D MarkⅣ & SONY α7R Ⅲ 【所有カメラ】 CANON EOS 5D MarkⅣ SONY α7R Ⅲ SONYサイバーショット DSC-RX1R 【所有レンズ】 CANON EF100mm-400mm f/4.5-5.6L IS Ⅱ USM CANON EF70-200mm f/2.8L IS Ⅱ USM CANON EF24mm-70mm f/4L IS USM CANON EF50mm f/1.2L USM CANON EF85mm f/1.4L IS USM SONY FE24-105mm F4 G OSS