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スーパーGTタイヤ戦争! GT500クラスに参戦するタイヤメーカーの戦績と特徴

モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。

日本一番人気のモータースポーツであるスーパーGT。

F1をはじめ世界のモータースポーツではタイヤメーカーのワンメイク供給が常識化していますが、スーパーGTでは世界に類をみないほどの各タイヤメーカーの開発競争が行われています。

そこで今回は、スーパーGT GT500クラスの各タイヤメーカーにクローズアップしてみたいと思います。

はじめに

スーパーGT GT500クラスは、日本の3大自動車メーカーの威信をかけ、開発競争が激化していますが、シャシー・エンジンと並びレースで勝つために欠かせないのがタイヤ性能です。

タイヤはレーシングマシンの多くの構成部品の中で唯一路面と接するもので、マシンのパワーを上げても路面にパワーが伝わらなければ速くは走れない、言い換えれば高性能なタイヤを持っていればマシンは速く走れます。

その非常に重要なタイヤを供給するメーカーは、スーパーGT GT500クラスに4社が参戦しています。

それでは各タイヤメーカーごとに、使用チーム、タイヤ特性などをみていきたいと思います。

世界最大のタイヤメーカーブリヂストン

優勝回数86
チャンピオン回数10

※ 2018年終了時点

レクサス日産ホンダ
#6 チームルマン#12 チームインパル#1 チームクニミツ
#36 トムス#8 ARTA
#37 トムス#17 リアルレーシング
#38 セルモ
#39 サード

※ 2019年時点

レクサス陣営へは5チームに供給する

我が国のタイヤメーカーで最大の規模を誇るブリヂストンは、市販タイヤで世界No.1のシェアを誇ります。

近年モータースポーツへの参戦は縮小傾向ですが、10年ほど前まではF1をはじめ世界の様々なモータースポーツへ積極的に参戦していました。

モータースポーツへの参戦は縮小傾向と書きましたが、スーパーGTのGT500クラスへは現在も積極的に供給しており、そのシェアはGT500クラス最大の9チームになります。

その中でレクサス系チームへ5チーム、ホンダへ3台、日産へはチームインパルのみに供給します。

チームインパルは、あえてワークスのニスモとタイヤを変えることで、日産チーム内での戦いを優位にしたいと考えていると思われます。

高次元で安定したタイヤを提供

ブリヂストンの特性は、F1時代から言われてきたことですが、各チームに安定した品質のタイヤを供給できること。

これは一見当たり前のことですが、タイヤごとに品質が違えばマシンセッティングもままならないことになります。

そういう意味でも安定して高次元のタイヤを供給できるブリヂストンは、チームが安心して使用できるようです。

もうひとつのメリットは、雨の降り始め、いわゆるチョイ濡れ路面で強みを発揮します。

ピックアップに弱い

デメリットとしては近年言われているピックアップに弱いことでしょうか。

F1やWECなど、世界の他のカテゴリーをではあまり聞かないが、スーパーGTで毎戦必ずと言っていいほど話題に上がるのが、タイヤのピックアップです。

ピックアップとは、路面に落ちたタイヤカスをタイヤが拾い上げ、その影響でグリップしなくなり、ラップタイムが数秒単位で遅くなる現象のこと。

なぜスーパーGTばかり、ピックアップの影響が出るのか?

まだはっきりと解明していないようですが、激しいタイヤ戦争の影響で各タイヤメーカーがより柔らかいタイヤを持ち込むためタイヤに粘着力があり、拾い上げたタイヤカスを振り払うことができないためだと言われています。

またフォーミュラカーと違いホイールハウスがあることも、タイヤカスが取れないことに加担しています。

この影響を最も受けるのが、NSXとブリヂストンタイヤと言われています。

モータースポーツに積極的なヨコハマ

優勝回数9
チャンピオン回数0

※ 2018年終了時点

レクサス日産ホンダ
#19 レーシングプロジェクトバンドウ#24 KONDOレーシング#16 チーム無限

※ 2019年時点

古くからヨコハマのハイパフォーマンスタイヤのブランドであるADVANカラーを身にまとったマシンに憧れたファンは多くいましたが、近年のヨコハマはさらにモータースポーツへチカラを入れているメーカーのひとつです。

世界ツーリングカー選手権をはじめ、スーパーフォーミュラ、全日本F3へもワンメイク供給をし、スーパーGT GT500クラスへはレクサス・日産・ホンダ系へ各1チーム、合計3チームへの供給です。

ちなみにGT300クラスへは、なんと21台!のマシンへ供給しています。

タイヤ無交換作戦

ヨコハマはロングランでのペースに優れ、たまに見せるタイヤ無交換作戦が有名ですね。

ちょっと古い話しですが、2016年にヨコハマユーザーのKONDOレーシングが第5戦のスポーツランドSUGO戦とツインリンクもてぎで行われた第3戦の代替戦両方でタイヤ無交換作戦を敢行し、ともに成功し見事優勝を飾りました。

これもヨコハマが耐久性に優れたタイヤを供給しているからできた作戦です。

しかしタイヤ選択を外し3台ともに総崩れというレースも時より見られ、攻めたタイヤを製作する反面年間を通しての安定感は無いため、シリーズチャンピオンを獲得できていないのが現状です。

世界のレースを知るミシュラン

優勝回数16
チャンピオン回数4

※ 2018年終了時点

レクサス日産ホンダ
#3 NDDPレーシングwith B-MAX
# 23 ニスモ

※ 2019年時点

市販タイヤでブリヂストンと世界No.1を賭けシェア争いをするミシュランは、F1でも十数年前にこのブリヂストンとガチンコ勝負をしていましたね。

ミシュランはWEC(世界耐久選手権)やフォーミュラEなど、世界で最もモータースポーツに携わっているメーカーと言っても過言ではありません。

ニスモは2013年よりミシュランを履く

2009年に初めてスーパーGT GT500クラスにエントリーし、ブリヂストン以外で唯一のチャンピオンを経験(4回)しているタイヤメーカーです。

ニスモをはじめ日産系チームへの供給が中心ですが、トヨタ系のサードへ2011年から2012年まで、ホンダ系チームの童夢へ2013年から2014年まで供給した実績があります。

ミシュランの特徴はブリヂストンと同様高いレベルで安定して強いタイヤですが、特に路面温度が高くなる真夏のレースには強さを発揮します。

世界各国のモータースポーツで培った様々なデータがあるからこそ、どんな路面の状況にも安定した強さを発揮できるのではないでしょうか。

近年は1チーム供給のダンロップ

優勝回数4
チャンピオン回数0

※ 2018年終了時点

レクサス日産ホンダ
#64 ナカジマレーシング

※ 2019年時点

70年代F1での主力タイヤメーカーのひとつで、ル・マン優勝のマツダ787Bもダンロップタイヤを装着していたが、近年ではモータースポーツ活動は縮小しています。

1980年代に経営難に陥り、資本的にはグッドイヤーの子会社ですが、アジア圏のブランド使用権は住友ゴムが有しています。

スーパーGTがはじまった2005年には5チームに供給していましたが、年々数を減らし2011年にはナカジマレーシングのみに供給し現在に至ります。

タイヤ特性はブリヂストンと同じくチョイ濡れ路面に強いと言われ、雨のダンロップとも言われています。

ダンロップタイヤを履く2017年ナカジマレーシング

2017年最後の鈴鹿1000kmでダンロップを履くナカジマレーシングが優勝しましたが、これは2007年富士スピードウェイで行われた最終戦以来、ダンロップとナカジマレーシング にとって10年ぶりの勝利でした。

ダンロップにはスーパーGTのタイヤ戦争を盛り上げるためにも、さらに頑張って良いタイヤを作ってもらいたいものです。

最後に

DTMとの交流戦はハンコックのワンメイク??

2005年から始まったスーパーGTですが、これまでにチャンピオンを獲得したタイヤメーカーはブリヂストンとミシュランのみです。

ヨコハマは年に一度奇襲がハマり勝利するくらい、ダンロップに至っては・・・。

私としてはヨコハマ・ダンロップの2メーカーに頑張ってもらって、タイヤ戦争をさらに盛り上げてもらいたいと考えます。

タイヤ戦争が盛り上がれば作戦の幅が大きくなり、結果的にスーパーGTがなおいっそう面白くなると思います。

以上、スーパーGTを観戦するときにはタイヤ戦略に注目してみるのもいいかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。