今回も先日訪れたトヨタ博物館の観覧記です。
前回は自動車黎明期から第二次世界大戦までの展示車両を写真とともに紹介しましたが、今回は終戦から東京オリンピック(第1回)が行われた1964年までの展示車両を紹介します。
この頃は自動車の技術や形状が凄いスピードで進化した時代。日本の自動車産業も世界の進化に追いつきそして追い越した時代でした。
ちなみに今回も使用するカメラはライカM11。腕の無さはカメラでカバーしてもらい、貴重なクラシックカーを最高の描写で撮影することが出来ました。
では、どうぞお付き合いください。
ザックリ見出し
- 1 MG・ミジェトタイプTC(1947年イギリス)
- 2 タトラ・87(1948年チェコスロバキア)
- 3 キャデラック・フリートウッド60スペシャル(1948年アメリカ)
- 4 スチュードベーカー・コマンダー(1949年アメリカ)
- 5 フォード・カスタム4ドアセダン(1949年アメリカ)
- 6 カイザーフレーザー・ヘンリーJ(1951年アメリカ)
- 7 トヨペット・SA型乗用車(1951年日本)
- 8 シトロエン・2CVタイプA(1953年フランス)
- 9 トヨペット・スーパーRFN型(1953年日本)
- 10 トライアンフ・TR-2(1954年イギリス)
- 11 ポルシェ・356 500スーパー(1954年ドイツ)
- 12 メルセデスベンツ・300SLクーペ(1955年ドイツ)
- 13 フォード・サンダーバード(1955年アメリカ)
- 14 トヨペット・クラウンRSD型(1955年日本)
- 15 メッサーシュミット・KR200(1955年ドイツ)
- 16 トヨタ・ランドクルーザーFJ25L型(1957年日本)
- 17 スズキ・スズライトSL型(1957年日本)
- 18 ダイハツ・ミゼットDKA型(1957年日本)
- 19 シトロエン・DS19(1958年フランス)
- 20 キャデラック・エルドラドビアリッツ(1959年アメリカ)
- 21 スバル・360K111型(1959年日本)
- 22 モーリス・ミニマイナー(1959年イギリス)
- 23 BMW・イセッタ(1959年ドイツ)
- 24 日産オースチン・A50型(1959年日本)
- 25 ボルボ・PV544(1959年スウェーデン)
- 26 フォード・ファルコン(1960年アメリカ)
- 27 シボレー・コルベア(1960年アメリカ)
- 28 ジャガー・マーク2(1961年イギリス)
- 29 マツダ・R360クーペKRBB型(1961年日本)
- 30 三菱・500 A11型(1961年日本)
- 31 トヨタ・パブリカUP10型(1961年日本)
- 32 日野ルノー・PA62型(1962年日本)
- 33 フィアット・ヌォーヴァ500D(1963年イタリア)
- 34 BMW・1500(1963年ドイツ)
- 35 シボレー・コルベットスティングレイ(1963年アメリカ)
- 36 ダットサン・フェアレディSP310型(1963年日本)
- 37 ホンダ・S500 AS280型(1964年日本)
- 38 トヨペット・コロナRT40型(1964年日本)
- 39 フォード・マスタング(1964年アメリカ)
MG・ミジェトタイプTC(1947年イギリス)

こちらはイギリスのMGが製造したミジェトタイプTCです。
ここから第二次世界大戦後の車両になりますが、基本的には戦前前のTBと同じモデルということで、旧来のデザインが踏襲されていていますね。
タトラ・87(1948年チェコスロバキア)

珍しいチェコスロバキア産のこの車両はタトラ87。
フロントの大きな3つ目のライトが目を引きますが、この車両の特徴はリヤにあります。

実はこの車両、リヤにエンジンを搭載したRRレイアウトで、Cピラー後方のエアインテークやエンジンフードのスリッドが独創的。
いや、それよりもテールに聳え立つF1のシャークフィンのような清流板が実にイイ。ホントに変わったクルマでした。
キャデラック・フリートウッド60スペシャル(1948年アメリカ)

戦後になり初の本格的なモデルとして開発されたのが、キャデラックのフリートウッド60スペシャル。
フロンフェンダーの出っ張りが無くなり、一気に現代風のデザインになりましたね。
そして、この車両は初めて曲面のフロントガラスを採用しています。

リヤフェンダーの・・・なんだこれ?? ウインカー??
スチュードベーカー・コマンダー(1949年アメリカ)

アメリカ最大の馬車メーカーだったスチュードベーカーが製造したコマンダーも、戦後デザインのエクステリアを採用して登場しています。

個人的にはこの銃口のようなボンネットマスコットが印象的でした。
フォード・カスタム4ドアセダン(1949年アメリカ)

フォードも戦後間も無くして近代風の3ボックススタイルの車両であるカスタム4ドアセダンを発売。

前の2台のようなリアフェンダーの張り出しが無くなり、なんかオーソドックスすぎるデザインという印象。
カイザーフレーザー・ヘンリーJ(1951年アメリカ)

こちらはカイザーフレーザーという会社のヘンリーJという車両です。
爽やかなライトグリーンのボディが印象的でした。
トヨペット・SA型乗用車(1951年日本)

トヨペットSA型乗用車は、トヨタのコンパクト部門進出の最初の車両。
終戦直後の1947年に発売したにもかかわらず、同年代の車両に引けを取らないしっかりとしたデザインが印象的でした。
シトロエン・2CVタイプA(1953年フランス)

2馬力の愛称で知られるシトロエンの2CVタイプAです。
発売当初は醜いアヒルの子の比喩されたらしい。私が高校生の時、通学路にこのクルマが駐車していましたが、確かに酷いデザインだと思っていました。
しかしデザインとは裏腹に、世界中で大ヒット。1990年まで42年間販売されるロングセラー車両となりました。
トヨペット・スーパーRFN型(1953年日本)

こちらはトヨタのトヨペットスーパーRFN型。
前で紹介したSA型乗用車と同じ小型車規格の車両ですが、SA型乗用車よりもさらに高級感を増しています。
この車両は主にタクシーとして使用されたとのこと。
トライアンフ・TR-2(1954年イギリス)

この車両はトライアンフのTR-2。
オートバイメーカーのトライアンフって自動車も発売していたのか、と思いましたが、元は同じ会社でしたがこの頃はすでに別資本の会社だったようです。
ポルシェ・356 500スーパー(1954年ドイツ)

先に紹介したワーゲンからコンポーネンツを流用した初のポルシェ、356 500スーパーは見たかった車両でした。

いやー、じっくりと拝見するのは初めてですが、1950年代の車両なのに今でもイケてるカッコ良さですね。

RRレイアウトはその後911シリーズに引き継がれて、今に至ります。
メルセデスベンツ・300SLクーペ(1955年ドイツ)

名車は続きます。こちらはガルウイングドアで有名な、メルセデスベンツの300SLクーペ。

展示車はしっかりとカモメの翼(ガルウイング)が開いていて、実にカッコ良かったです。
実はこの車両、世界初の直噴エンジンで、さらにレーシングマシンのようなスペースフレーム構造だったとのこと。
見た目はカッコよく、メカニズムも先進的で、もちろん速い。完璧な車両ですね。
フォード・サンダーバード(1955年アメリカ)

真っ赤なボディが印象的だったのがフォードのサンダーバード。
前で紹介したメルセデスベンツ300SLなど、ヨーロッパのスポーツカーに対抗して開発したのがこの車両だったそうです。

横から見るとこんな感じで、だいぶ私たちが知るクラシックなアメ車の雰囲気になってきましたね。

気に入ったのが、厳つい車両に似つかわしくない二重まぶたのようなヘッドライト。ちょっと可愛い。
トヨペット・クラウンRSD型(1955年日本)

2階から3階に上がったエントランスに展示されていたのが、観音開きドアで有名なトヨペット初代クラウンRSD型。トヨタの累計生産1億台を記念して製造された、オリジンのベースになった車両ですね。
当時の日本人が抱く高級車の代名詞的な車両は、展示の雰囲気と相まって、オーラを放っていました。
メッサーシュミット・KR200(1955年ドイツ)

こちらの可愛らしいクルマは、飛行機メーカーのメッサーシュミットが生産したKR200。

写真では見たことのある車両でしたが、実際に見てみると非常にコンパクト。ばかデカいゲルマン人がこんな小さなクルマに乗れるの??
トヨタ・ランドクルーザーFJ25L型(1957年日本)

こちらはトヨタのランドクルーザー(FJ25L型)。2代目ランクルは通称20系と呼ばれました。
70年前のクルマですが、既に完成度はかなり高く感じます。
それにしても、綺麗な個体だったなあ・・・。
スズキ・スズライトSL型(1957年日本)

こちらは軽自動車規格のパイオニア、スズキのスズライトSL型です。
本格的軽自動車の第1号で、スズキにとっても最初の車両であるスズライトSL型は、当時としては珍しい前輪駆動のFF方式を採用して、限られた軽規格でも広い室内空間を確保しました。
デザインも同じ時代のライバル車と比べて、より近代風な感じがしました。
ダイハツ・ミゼットDKA型(1957年日本)

ALWAYS 三丁目の夕日にも登場したおなじみダイハツ・ミゼットDKA型は、当時爆発的なブームを引き起こしました。

バーハンドルや跨いで乗る乗車姿勢など、オートバイの要素が強い感じ。
今もミゼットの個体はある程度見ることができますが、こんなキレイな個体は初めて見ました。
シトロエン・DS19(1958年フランス)

シトロエンDS19は、フロントからはポルシェのような見た目ですが、ダラーんと伸びた長いボディが特徴でした(撮り忘れました)。
が、それよりもメカニズムが凄い。なんと、ハイドロニューマチック(F1でカワイちゃんがよく使う言葉ですね 油圧機構のこと)でサスペンションを制御して乗り心地を快適にしたらしいです。
なんとジムニーノマドもビックリの、初日だけで12000台の注文が入る大ヒット車両だったようです。
キャデラック・エルドラドビアリッツ(1959年アメリカ)

このとんでもなくデカいクルマは、キャデラックのエルドラドビアリッツです。

横から見るとご覧の通り圧巻のデカさ。車両データを確認すると全長なんと5703mm! 全幅も2038mm!

そしてお顔はコレぞアメ車というような、メッキをふんだんに配した装飾で、ちょいワル、いやチョー悪な雰囲気がプンプンと出まくっています。

リヤもド派手な顔に全然負けてなく、無駄に生えた整流板に、発射されるようなウインカーと、ジェット戦闘機の噴射口のようなブレーキライトが惜しげもなくあしらわれ、むかしのアメリカ映画に登場するアメ車そのものでした。
スバル・360K111型(1959年日本)

スバル360K111型は、軽規格黎明期にもっとも売れたクルマとして有名ですね。
このクルマは、今では当たり前となっているモノコック構造のパイオニア。小さなボディなのに室内はかなり広く、快適な乗り心地だったそうです。
バカ売れ車両なので、現在でもたまに見ることができますが、この個体は非常にキレイで驚きました。
モーリス・ミニマイナー(1959年イギリス)

こちらはモーリスから発売されたミニマイナー。横置きエンジン、FF、2ボックスなど、現在の小型車の基礎となったクルマです。
ミニマイナー? ミニクーパーじゃないのって?
あれはジョン・クーパーとの共同開発でのちに発売された上級仕様。こちらは極初期に生産された、貴重なミニの原型です。

晩年の改良をしまくったコテコテのミニもいいですが、このシンプルなミニも味があってイイですね。
BMW・イセッタ(1959年ドイツ)

先に紹介したメッサーシュミットもミニカーとして有名ですが、こちらBMWのイセッタも負けず劣らず知られている車両です。
こちらはイタリアのイソというメーカーからライセンスを購入して生産したそうです。
フロントがパッカーんと開くドアがあまりにも有名ですね。
日産オースチン・A50型(1959年日本)

日産がオースチンと技術提携をして国内で生産したのが日産オースチンA50型。
トヨタは先にも紹介したように、戦後すでに自社開発の車両を生産していますが、日産は自社開発ではなく、ノックダウン生産だったのでしょうか?

この車両で印象的だったのがボンネットのインターテイク。
もちろん、まだインタークーラーターボは開発されていないので、エンジンに空気を送り込むためのものでしょうか。
ボルボ・PV544(1959年スウェーデン)

ここで初めてスウェーデンの車両が登場。ボルボのPV544です。
ボルボらしい強固なボディを連想させるエクステリアが印象的でした。

そんなボルボのPV544は、現在では発売されるすべてクルマに装着される3点式シートベルトを最初に搭載したクルマだそうです。
で、ボルボはその3点式シートベルトの特許を無償で公開して、世界中のメーカーが装備できるようになったとのことです。安全を第一に考えるボルボらしいエピソードですね。
フォード・ファルコン(1960年アメリカ)

時代は1960年代に入り、ふたたびアメ車。フォードのファルコンです。
このファルコンはアメ車としては比較的コンパクトなボディで運転がしやすく、丈夫で安いのが特徴だったらしく、46万台も売れたとのこと。
外観上の特徴はあまりないけど、このシンプルさも万人から受けたのかも知れませんね。
シボレー・コルベア(1960年アメリカ)

同じアメ車でも、比較的外観上の特徴があったのがこのシボレーコルベア。顔が厳ついです。
こちらもファルコンと同じコンパクトカーのコンセプトで開発されたそうです(それでもデカい)が、コルベアはなんとリアエンジン。
じゃあ、この長いボンネットは・・・トランク??
ジャガー・マーク2(1961年イギリス)

この顔面は紛れもなくジャガー顔。ジャガーのマーク2です。
前回紹介した戦前のスタイルをイメージするようなクラシックなエクステリアで、クラスとしては先に紹介したフォードファルコンやシボレーコルベアと同様にコンパクトカー。
内装はレザーシートやウッドパネルで装飾されており、コンパクトなクラシック高級車としてイメージを確立したらしいです。
マツダ・R360クーペKRBB型(1961年日本)

ふたたび日本に戻ってきました。軽自動車規格のマツダR360クーペKRBB型です。
スズキ、スバルに次いで、マツダも軽自動車市場に乗り込んできました。
こちらは先の2台と違い4サイクルで、なんとAT(2速!)を採用していたそうです。

そしてクーペスタイルを採用しましたが・・・うーん、当時の軽自動車の規格ではクーペと呼ぶにはチト無理ないかい?
三菱・500 A11型(1961年日本)

そして三菱も軽自動車規格の車両を販売。三菱500 A11型です。
三菱500の特徴は値段の安さで、当時39万円という格安価格で販売されたそうです。
トヨタ・パブリカUP10型(1961年日本)

ピンク色の可愛い車両はトヨタのパブリカUP10型。
トヨタは国民車構想に合わせて、大衆車(パブリックカー)という名前からの造語パブリカを発売しましたが、販売面では予想外の苦戦だったようです。昭和49年式の私でも知っているクルマだったのでちょっと意外。
そんなパブリカは今でもたまに見かけますが、どれもサビサビ。こんなキレイなパブリカは初めて見ました。
日野ルノー・PA62型(1962年日本)

現在はトラック会社として有名な日野ですが、当時は乗用車に進出を始めた頃。まずはフランスのルノー公団と提携してルノーPA62型の生産を開始しています。
PA62型はコンパクトな車体で、タクシーの多く採用されたそうです。
フィアット・ヌォーヴァ500D(1963年イタリア)

こちらは世界中で大ヒットした、2代目フィアット500D(チンクエチェント)。
いやー、今見ても非常に可愛らしく、よく出来たデザインですね。

ところでこのカラーリング、何処かで見たような・・・。
そう、ルパン三世カリオストロの城などで、ルマンの愛車として劇中を走ったあのチンクエチェントと同じ色。
やっぱりこれなんだよね、日本人にとっては。トヨタ博物館、よくわかっているよ。
BMW・1500(1963年ドイツ)

こちらはBMW1500。
4輪車としての歴史は古くないBMWなので、ほとんど展示されておらず、先ほど紹介したミニカーのイセッタ以外では唯一の展示車両がこの1500でした。
できればこの後発売される2002ターボが見てみたかった。
シボレー・コルベットスティングレイ(1963年アメリカ)

こちらはスティングレイ・・・んっ?ワゴンRスティングレー??
いや、こちらが元祖。現在もアメ車のスポーツカーとして有名なシボレーコルベットのサブネーム、スティングレイです。

この車両は、2代目コルベットスティングレイの極初期に1年間だけ生産された、スプリットウィンドウのタイプ。貴重車両です。
ダットサン・フェアレディSP310型(1963年日本)

日本に於ける初めての本格スポーツカーが、このダットサンフェアレディSP310型です。
第1回日本グランプリでポルシェやトライアンフの海外列強を相手に、クラス優勝を果たしたのはあまりにも有名。
それにしても美しいデザインですね。淡いブルーのカラーリングもとっても似合っていました。
ホンダ・S500 AS280型(1964年日本)

日本のスポーツカーが続きます。こちらの真っ赤なオープンスポーツカーはホンダS500です。
当時すでにオートバイメーカーとして有名だったホンダが、初めて製造した自動車がS500・・・ではなく、最初は軽トラックのT360。そして初の乗用車登録の車両がS500です。

個人的にはF1日本グランプリのドライバーズパレードでいつも使われるS500(S600、S800)なので、ある程度見慣れてはいますが、このキレイな個体をじっくりと観覧できるのはありがたい。
トヨペット・コロナRT40型(1964年日本)

こちらはトヨタのトヨペットコロナRT40型。
国内外で大成功を収めてトヨタの主力車種になったそうですが、現代人にとっては名前がなあ・・・。
フォード・マスタング(1964年アメリカ)

先に紹介したファルコンをベースに、若者向けにスポーティー仕様に仕立てたのがこのフォードマスタングだそうです。

このマスタングは巧みなマーケティング戦略などにより、T型フォード以来の大ヒットを記録したとのことです。
ということで今回は以上。次回は1965年から現代までの貴重な展示車両を紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください。











こんにちは。カニ目、2CV、往年のポルシェなど、どれを見てもかっこいいですねー。こんなに多くのクルマたちが維持さてていることに感動です。
gentlestreetriderさん、コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、どのクルマも素晴らしい保管状態で感動しました。
そして、ほとんどが動態保存されているそうですよ。