【第3位】デビッド・クルサード
第3位に入ったのがデビッド・クルサード選手。
全優勝回数は13回と今回挙げたドライバーの中では決して多くはないのですが、その中で市街地コースでの優勝は4回と、30%以上を占めてます。
元ブリヂストンの浜島裕英さん曰く、「クルサード選手はタイヤ開発能力に関して超一流だ」と語っています。
またミハエル・シューマッハ選手やデレック・ワーウィック選手は、「スイッチが入ると速いのだがシーズンを通して速さを維持することができない」と発言しています。
一般的に路面の状態が一定でない市街地コースではタイヤの状態を敏感に感じる能力がパーマネントサーキットよりも重要。タイヤ開発能力が高いクルサード選手は敏感に察知できる能力が高く、さらに市街地コースでスイッチが入るため成績がよかったのではないかと考えます。
市街地コース優勝一覧
年 | コース |
---|---|
1997 | アルバートパーク |
2000 | モンテカルロ |
2002 | モンテカルロ |
2003 | アルバートパーク |
【第2位】アイルトン・セナ
1987年以降の全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合:32.4%
- 市街地コース優勝回数:12回
- 全優勝回数:41回(内1987年以降は37回)
全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合ランキングで第2位になったのは伝説のレーシングドライバー、アイルトン・セナ選手でした。
ミハエル・シューマッハ選手やルイス・ハミルトン選手、そしてライバルのアラン・プロスト選手など、パーマネントサーキットで勝ちまくっているドライバーが今回のランキングの性質上下位に沈む中、1987年以降で37回も優勝をしているアイルトン・セナ選手のこの順位は驚異的です。
しかも当時は今ほど市街地コースでのレースは少なかった。なのに全ドライバー中でもっとも多い市街地コース12勝!いやー、やはりセナ選手、凄すぎる!
特にモンテカルロ市街地コースでの5連勝(1989年-1992年 全6勝)は、モナコグランプリを語る上で欠かせないほどの伝説になっています。
またその他の市街地コースでもめっぽう強く、デトロイト市街地コース、アデレード市街地コース、フェニックス市街地コースでもそれぞれ2回ずつ勝利を記録しています。
セナ選手は1987年からあの事故までに19回の市街地コースに出走していますが、その内勝利したレースが12回!市街地コースだけの勝率は・・・63.2%!?なんじゃ!この数字!!
市街地コース優勝一覧
年 | コース |
---|---|
1987 | デトロイト |
1987 | モンテカルロ |
1988 | デトロイト |
1989 | モンテカルロ |
1990 | モンテカルロ |
1990 | フェニックス |
1991 | モンテカルロ |
1991 | アデレード |
1991 | フェニックス |
1992 | モンテカルロ |
1993 | モンテカルロ |
1993 | アデレード |
【第1位】セルジオ・ペレス
全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合:83.3%
- 市街地コース優勝回数:5回
- 全優勝回数:6回
伝説のF1ドライバーアイルトン・セナ選手を抜き、全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合ランキング第1位になったのは、『キング・オブ・ザ・ストリート』の異名を持つセルジオ・ペレス選手でした。
ペレス選手は初優勝こそパーマネントの2020年のバーレーンインターナショナルサーキットでのレースでしたが、レッドブルに移籍した2021年以降、4勝すべてが市街地コース。ということで優勝割合は驚異の83.3%!市街地強速です・・・。
さらに2023年のバクー市街地コースでは17周で行われる土曜日のスプリントでも優勝を記録。『キング・オブ・ザ・ストリート』という異名は彼にピッタリです。
市街地コース優勝一覧
年 | コース |
---|---|
2021 | バクー |
2022 | モンテカルロ |
2022 | シンガポール |
2023 | バクー |
2023 | ジェッダ |
まとめ
今回は『市街地コース最速王ランキング』と題し、全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合をランキング順でご覧いただきました。
冒頭で書いたとおり、1987年以降に開催された市街地コースでのレースは、デトロイト、モンテカルロ、アデレード、フェニックス、アルバートパーク、バレンシア、シンガポール、バクー、ジェッダの9つですが、そのすべてのレースの勝者は以下のとおりになります。
年 | デトロイト | モンテカルロ | アデレード | フェニックス | アルバートパーク | バレンシア | シンガポール | バクー | ジェッダ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1987 | A.セナ | A.セナ | G.ベルガー | – | – | – | – | – | – |
1988 | A.セナ | A.プロスト | A.プロスト | – | – | – | – | – | – |
1989 | – | A.セナ | T.ブーツェン | A.プロスト | – | – | – | – | – |
1990 | – | A.セナ | N.ピケ | A.セナ | – | – | – | – | – |
1991 | – | A.セナ | A.セナ | A.セナ | – | – | – | – | – |
1992 | – | A.セナ | G.ベルガー | – | – | – | – | – | – |
1993 | – | A.セナ | A.セナ | – | – | – | – | – | – |
1994 | – | M.シューマッハ | N.マンセル | – | – | – | – | – | – |
1995 | – | M.シューマッハ | D.ヒル | – | – | – | – | – | – |
1996 | – | O.パニス | – | – | D.ヒル | – | – | – | – |
1997 | – | M.シューマッハ | – | – | D.クルサード | – | – | – | – |
1998 | – | M.ハッキネン | – | – | M.ハッキネン | – | – | – | – |
1999 | – | M.シューマッハ | – | – | E.アーバイン | – | – | – | – |
2000 | – | D.クルサード | – | – | M.シューマッハ | – | – | – | – |
2001 | – | M.シューマッハ | – | – | M.シューマッハ | – | – | – | – |
2002 | – | D.クルサード | – | – | M.シューマッハ | – | – | – | – |
2003 | – | J.P.モントーヤ | – | – | D.クルサード | – | – | – | – |
2004 | – | J.トゥルーリ | – | – | M.シューマッハ | – | – | – | – |
2005 | – | K.ライコネン | – | – | G.フィジケラ | – | – | – | – |
2006 | – | F.アロンソ | – | – | F.アロンソ | – | – | – | – |
2007 | – | F.アロンソ | – | – | K.ライコネン | – | – | – | – |
2008 | – | L.ハミルトン | – | – | L.ハミルトン | F.マッサ | F.アロンソ | – | – |
2009 | – | J.バトン | – | – | J.バトン | R.バリチェロ | L.ハミルトン | – | – |
2010 | – | M.ウェバー | – | – | J.バトン | S.ベッテル | F.アロンソ | – | – |
2011 | – | S.ベッテル | – | – | S.ベッテル | S.ベッテル | S.ベッテル | – | – |
2012 | – | M.ウェバー | – | – | J.バトン | F.アロンソ | S.ベッテル | – | – |
2013 | – | N.ロズベルグ | – | – | K.ライコネン | – | S.ベッテル | – | – |
2014 | – | N.ロズベルグ | – | – | N.ロズベルグ | – | L.ハミルトン | – | – |
2015 | – | N.ロズベルグ | – | – | L.ハミルトン | – | S.ベッテル | – | – |
2016 | – | L.ハミルトン | – | – | N.ロズベルグ | – | N.ロズベルグ | N.ロズベルグ | – |
2017 | – | S.ベッテル | – | – | S.ベッテル | – | L.ハミルトン | D.リカルド | – |
2018 | – | D.リカルド | – | – | S.ベッテル | – | L.ハミルトン | L.ハミルトン | – |
2019 | – | L.ハミルトン | – | – | V.ボッタス | – | S.ベッテル | V.ボッタス | – |
2020 | – | – | – | – | – | – | – | – | – |
2021 | – | M.フェルスタッペン | – | – | – | – | – | S.ペレス | L.ハミルトン |
2022 | – | S.ペレス | – | – | C.ルクレール | – | S.ペレス | M.フェルスタッペン | M.フェルスタッペン |
2023 | – | – | – | M.フェルスタッペン | – | S.ペレス | S.ペレス |
1980年代後半から1990年代前半にかけてはアイルトン・セナ選手が圧倒的に強く、2010年代はセバスチャン・ベッテル選手、その後はニコ・ロズベルグ選手が、そして近年ではセルジオ・ペレス選手が市街地コースで強さを見せています。
意外なのがナイジェル・マンセル選手。彼は同時期にセナ選手がいたこともありますが、生涯最後の優勝となった1994年のアデレードが市街地コース唯一の勝利でした。
速さに任せて度胸で強引にマシンをねじ伏せるタイプのドライバーは市街地コースで好成績を上げることは難しく、タイヤの使い方が上手で考えてレースをするドライバーが強いのかもしれません。
また今回のランキングで3位以下を大きく引き離したセナ選手とペレス選手が市街地コースで強いのか・・・中南米出身だから?
一般道路での運転が荒いとされる中南米で生まれ育った両者。市街地コースでの速さはそこで鍛えられたから・・・ちょっと強引かな。
それにしてもセナ選手の強さには正直驚きました。
今回は全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合をランキングとしたため、優勝回数の多いドライバーは分母が大きくなり圧倒的に不利なんです。
なのに41勝(内1987年以降は37勝)の内、市街地コースで12勝もしているセナ選手の市街地コースでの強烈な強さ・・・驚異的です。
今後はペレス選手がセナ選手の市街地コースでの伝説を引き継いでいけるのか、さらに注目をしたいですね。
ということで今回は以上。最後までご覧いただきありがとうございました。
全優勝回数に占める市街地コースでの優勝割合:30.8%