今回も富士モータースポーツミュージアム観覧記。
前回はF1マシンをじっくりと観覧しましたが、今回はスーパーGT/全日本GT選手権のマシンと、ル・マンの展示マシンを観ていきます。
2023年以来、2年ぶりの富士モータースポーツミュージアムですが、マシンの入れ替わりがあり、楽しい時間を堪能しました。
記事に登場する個人名は敬称を省略させていただきます。
ザックリ見出し
JGTCに参戦したニスモの2002年型スカイラインGT-R(R34)

こちらは前回訪れた時にはなかった、全日本GT選手権に参戦したニスモ2002年型スカイラインGT-R(R34)です。
全日本GT選手権はスカイラインGT-Rを参戦させるために出来たカテゴリー(諸説あり)と言われている通り、やっぱりこのカテゴリーの主役はGT-R。
その中でも凛と角張った外観のR34は別格のオーラを醸し出していて、個人的には一番好きなマシンです。おそらくGTファンのみなさんも同じでしょ??

特に晩年のR34 GT-Rは熟成が進み、張り出したフロントフェンダーの形状なんて芸術品の域に達しています。

フロントバンパーをよく観ると、中央部にナンバープレートを取り付けるための窪みがあります。
もしかして、このバンパーは市販車からの流用??
さすがにそんなことはないと思いますが、詳しい方、ご教授ください。

フロントフェンダー同様にリヤフェンダーも大きく張り出していますが、大きなリヤウイングを除けば市販車の雰囲気がしっかりと残っている印象。

R32から続く、GT-R最大のアイデンティティーのリヤコンビネーションランプが、そんな気持ちにさせるのかもしれません。

近年のGT500マシンは見た目は市販車と似ていますが実は別物で、ドアハンドルぐらいしか流用パーツはないと言われていますが、当時のマシンは市販車の面影を残していて、良い時代でした。

スーパーGT初年度のフェアレディZ(Z33)

そんなGT-Rの横に展示されていたのが、同じくニスモのフェアレディZ(Z33)。上で紹介したGT-Rよりも3年新しいスーパーGT初年度の2005年のマシンです。
現在スーパーGTに参戦するNDDPレーシングは実質ニスモの2台目で、ブルーのヘッドライトが特徴ですが、この年はファーストカーの1号車(23号車)がブルーのヘッドライト。
余談ですが、1980年代のフェラーリF1(126シリーズ)が、赤いボディカラーにブルーの風防が装着されていて、個人的にはそれを連想して好きなんです。

R34のGT-Rと比べると、だいぶ丸みを帯び、2座のマシンがベースなのでコックピットも小さく、空力が良さそうな雰囲気が出ています。

Z33特有のボテッとしたお尻が個人的には嫌いです。レーシングマシンのリヤは、シュッとした筋肉質じゃないとね。

2025年6月現在のGTマシンはこのニスモの2台のみ。トヨタ資本の富士モータースポーツミュージアムにトヨタのGTマシンが展示されていないのはちょっと驚きでした。
日本車初のル・マン優勝マシン マツダ787B

富士モータースポーツミュージアムの2階一番奥のメイン展示スペースには、ル・マン24時間で活躍したマツダ787Bとトヨタ GT-One TS020の2台が展示されています。
ただ、これは前回訪れた時と同じなので簡単に紹介。

マツダ787Bはモータースポーツファンならば誰もが知る、1991年のル・マン24時間で日本車として初優勝したマシン。
このマシンは残念ながらレプリカですが、マシンの後方には本物のロータリーエンジンが展示されています。

ロータリーエンジンは軽量コンパクトが特徴のひとつですが、実物を観るとそのコンパクトさに感動します。
そして甲高い音色も魅力ですが、マシンのサイドを通過するとセンサーが感知してその音を聴けるギミックがあり、観覧者を驚かせます。
ちなみに787Bの本物は、広島県のマツダミュージアムに展示されているようです。
日本人トリオが2位表彰台に上がった トヨタ GT-One TS020

こちらは1999年のトヨタ GT-One TS020。
下馬評では総合優勝の最右翼と目されたTS020でしたが、2台のマシンはトラブルとクラッシュにより戦線を離脱してしまい、残ったのがこの片山右京/鈴木利男/土屋圭市の日本人トリオが駆る3号車でした。

そして残り4時間で2位に上がると、片山右京の怒涛の追い上げでBMWを追い詰めますが、痛恨のタイヤバースト。結局総合2位でレースを終えました。

このTS020はのちにトヨタF1の拠点となるドイツケルンのTTE(トヨタチームヨーロッパ=現TGR-E)で開発されたマシンのため、F1マシンのようなエクステリアが特徴。
直線基調で流れるようなボディラインが素晴らしく、個人的にはル・マンマシンの中でも一番好きなマシン。ハイパーカーも悪くはないですが、やっぱりこの時代のプロトタイプマシンが最強だと思ってます。

今回はガイドツアーに参加したため、ドアを開けてコックピットを観させていただく貴重な体験をさせていただきました。
東海大学生チームがル・マントップクラスに参戦!オレカクラージュLC70

メインステージの横には前回はトヨタTS010がありましたが、今はオレカクラージュLC70が展示されていました。
日本にはあまりゆかりのないオレカのマシンがなぜ展示されているのか。
実はこのマシン東海大学が購入し、林義正教授が率いる東海大の学生が改良して、2008年のル・マンのトップクラスLMP1に参戦したマシンなのです。
林義正は日産のエンジニアとしてル・マンなどプロトタイプマシンのエンジン開発を主導した人物で、このオレカには独自開発のYGKエンジンが搭載されていました。

スポンサーロゴが極端に少なく、日の丸のみが目立つシンプルなホワイトのボディが、いかにも学生のマシンらしいのですね。
そんな東海大学のル・マントップクラスへの挑戦は185周でリタイヤしましたが、この世界でも稀な挑戦にモータースポーツファンが注目し、賞賛を送ったとのことでした。
ということで今回は以上。次回は『蘇る60’s富士日本グランプリ企画展示』で展示されていた往年のプロトタイプマシンを紹介しますので、興味のある方はご覧ください。











コメントを残す