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【F1技術革命】今も残る技術をはじめに搭載したF1マシン10選

F1初のカーボンモノコックマシン

マクラーレンMP4/1 (1981)
ロータス88 (1981)

カーボンモノコックをはじめて採用したロータス88
鈴鹿サウンドオブエンジン2017にて

現代のF1ではモノコックをはじめ、さまざまなパーツをカーボン素材で製作しますが、そのカーボンをはじめて本格的にF1に採用したのは、1981年に登場したマクラーレンMP4/1とロータス88です。

しかしロータス88はノーメックスと呼ばれるアラミド繊維を間に挟んでいましたので、現在までつづくのはマクラーレンMP4/1のアルミハニカムを挟む技法です。

カーボン製モノコックはアルミハニカム製モノコックと比べると当時すでに2倍の強度があったと言われており、F1マシンの安全性に大きく寄与しました。

ちなみにF1マシンの素材としてはじめてカーボンを取り入れたのは、1979年のブラバムBT48で、アルミハニカムモノコックの補強としてインナーパネルに使用しました。

F1初のパドルシフト搭載マシン

フェラーリ640 (1989)

現代は下位カテゴリーでも採用されるパドルシフトですが、これをF1で初めて搭載したのが1989年のフェラーリ640でした。

前述したとおり、セミオートマチックトランスミッションをはじめて搭載したF1マシンはロータス76でしたが、シフトチェンジは従来のHパターンでしたが、そのシフトチェンジを、F1ではじめてハンドル裏のパドルで行ったのがジョン・バーナードが製作したフェラーリ640でした。

ハンドルから手を離さなくてもよいパドルシフトは微妙なハンドル操作を行うことができるため、その後レーシングマシンのスタンダードとなりました。

F1初のハイノーズマシン

ティレル019 (1990)

F1初の本格的ハイノーズマシン ティレル019
鈴鹿サウンドオブエンジン2019にて

F1に初めて本格的なハイノーズをもたらしたマシンは、1990年第3戦のサンマリノグランプリでデビューしたティレル019です。

日本人にとっては中嶋悟氏がドライブしたマシンとして有名ですよね。

それまでも1988年のマーチ881などで、マシンの下に空気を取り入れてリヤディフューザーの効率を上げようとする考え方は採用されていましたが、ティレル019 ほど思い切ってフロントノーズを持ち上げたマシンはありませんでした。

ティレル019のノーズ
鈴鹿サウンドオブエンジン2019にて

ハイノーズは先に紹介したグランドエフェクト効果を有利にするために導入された技術です。

ハイノーズにより前面から空気を多く取り入れ、それをマシンの下からリヤディフューザーへ効率よく導き、リヤディフューザーによって吸い取ることで、空気の流速が速くなり、マシンを路面に吸い付けてコーナーリングを有利にするよう考えられました。

その考え方は現代のF1でも採用されており、すべてのF1マシンはハイノーズになっています。

F1初の吊り下げ式フロントウィングマシン

ベネトンB191 (1991)

出典:wikipedia

ティレル019のハイノーズにはひとつ大きな欠点がありました。

それはフロントウィングの発生するダウンフォースが少ないこと。

そこで1991年のベネトンB191は、ハイノーズからフロントウィングを吊り下げる方式を取り入れることで、フロントウィングのセンター付近でもダウンフォースを発生させることに成功し、現代のF1マシンのフロントまわりが確立しました。

まとめ

F1は70年以上に渡り、世界最高峰のレーシングドライバーの戦いとともに、世界の技術者の戦いでもあり、彼らは英知を絞ってライバルよりも優れたマシンを製作しようと考え、またレギュレーションの隙間をついてきました。

今回見ていただいた技術は、遠い昔に考え出されたものですが、時代が変わり当時では考えられないくらいに大きな規模になったF1でも、今なお残る時代を変えた革命でした。

マシンの基本設計としては、クーパーT43が1957年にエンジンをミッドシップに搭載し、1964年にホンダRA271がエンジンをストレスマウントにします。

空力面では、1968年にロータス49Bがウィングを搭載し、1977年のロータス78ではグランドエフェクトで空力の考え方を根本から覆し、1990年のティレル019でハイノーズを採用すると、翌1991年のベネトンB191でフロントウィングが現代のカタチになります。

トランスミッションは、1974年のロータス76がセミオートマチックを採用し、1989年にフェラーリ640がそれを熟成。

ルノーは1977年にRS0で1ターボをF1に持ち込み、1981年にマクラーレンMP4/1とロータス88は、カーボンモノコックをF1マシンに採用することで軽量化とともに安全性の向上に寄与しました。

これらすべての考え方や技術が2020年のF1にも残っているのです!

そしてもうひとつ・・・ロータスの凄さ!

ここまで見ていただいた方ならばお分かりだと思いますが、ウィングやグランドエフェクト、セミオートマやカーボンモノコックなど、ロータスそしてその創始者であるコーリン・チャップマンは、さまざまな新しい技術を持ち込み、F1を発展させてきた人物なのだとあらためて分かりました。

またF1が今ほどレギュレーションでがんじがらめではなかったからこそ、新しい発想が生み出せたとも言え、今後はレギュレーションがもう少し緩和され、当時のような技術者の新しい試みが生まれるF1になってもらいたいとも感じました。

以上、今回は今も残るF1の技術をはじめてもたらしたマシンを紹介しました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。