ホンダレーシングギャラリーは、F1を中心とした歴代のホンダエンジン搭載マシンを展示する国内きってのF1マシンミュージアムとして、F1日本グランプリが開催される2024年4月5日に合わせてオープンしました。
レーシングマシンをじっくりと観察したい私としてはまさに夢の場所。早く訪れたいと思っていましたが、レース開催中はファンが多く押し寄せるだろうことは間違いない。
なのでモータースポーツオフシーズンの本日(2月2日)、やってきました。
結果は大正解! 貸切でホンダエンジン搭載のF1マシンをじっくりと堪能できました。
ちなみに題名は釣り。金を積んで貸切にしたわけではなく、たまたま貸切になっただけです。
ということで、今回は貸切状態のホンダレーシングギャラリーを隅々まで紹介しますので、興味のある方はお付き合いくださいね。
ザックリ見出し
エントラントでレッドブルRB16Bがお出迎え

2023年10月のF1日本グランプリ以来、約1年半ぶりの鈴鹿サーキットに到着。

本日は雨混じりの曇天ですが目的地は屋内。サーキットではありません。

はい、こちらホンダレーシングギャラリーが本日の目的地です。

エントラントからレッドブルカラーらしきマシンが見えてテンションが上がります。
では、入ってみましょう。

自動ドアが開くと、いきなりホンダエンジン搭載のレッドブルRB16Bがお出迎え。そして背景にはマックス・フェルスタッペン選手の写真が掲げられています。
レッドブルRB16Bといえば2021年シーズンにメルセデスW12と激闘を繰り広げ、最終戦でフェルスタッペン選手が初のドライバーズタイトルを獲得したマシン。
ホンダとしても1991年以来のタイトル獲得マシンということで、やっぱり思い入れが強いのでしょうね。

極細のノーズはこの時代の特徴。どのチームもメルセデスを真似して細くしましたが、クラッシュテストを通過するのに苦労していました。
その中でレッドブルだけはメルセデスに勝るとも劣らない細く美しいノーズに仕立てました。
個人的には今のボテッとしたノーズが好きになれません。やっぱりお鼻はこのマシンのようにスーッと伸びていたほうが素敵です。

エンジンカウルに書かれたカーナンバーは33。もう忘れてしまったファンもいるかもしれませんが、フェルスタッペン選手のナンバーです。

ところでこのマシン、2022年の日本グランプリで展示された『ありがとうホンダ』と同じ個体でしょうか?
最近はめっきり見なくなったので、あの極薄ラッピングを剥がしたのか。それともホンダはこのRB16Bを2台所有しているのか・・・。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
さあ、では中に潜入していきましょう。

タイムマシンのような通路を抜けると・・・

いにしえのマシンたちが登場!
いやー、最新のモータースポーツミュージアムは光の演出が素晴らしい!
2019年に訪れたホンダコレクションホールとは大違いです(すみません)。
そしてもうひとつ驚いたのが・・・誰もいない・・・。
冒頭で書いた通り、モータースポーツオフシーズンの2月は訪れるファンが少ないだろうと予想していましたが、まさかの見物者ゼロとは驚きです。
日本モータースポーツの聖地にある最新のレーシングミュージアムなのに・・・日本のモータースポーツファン大丈夫か、と思ってしまいます。こんなに素晴らしいのに。
よーし、ならば穴の開くほどF1マシンを見てやりましょう!
鈴鹿47周目の悲劇!セナプロが激戦を繰り広げたマクラーレンMP4/5

メインフロアの中央には2台の赤白マクラーレンが展示されています。
カーナンバーはともに1。中央のブラジルカラーのヘルメットからもわかるように、アイルトン・セナ選手がドライブした2台のマシンです。

その向かって右側のこのマシンが、今回一番観たかった1989年シーズンを戦ったマクラーレンMP4/5です。
マクラーレンMP4/5といえば思い出すのが第15戦日本グランプリ。鈴鹿とアデレードの残り2戦を連勝するしかチャンピオン獲得の道がないセナ選手は、鈴鹿でポールポジションを獲得します。
しかしスタート失敗。その後、トップアラン・プロスト選手を猛追し、47周目のシケインでインを刺すも両者が絡み合い、プロスト選手はマシンを降り、セナ選手はトップでチェッカーを受けるも失格。
実は私、初めてF1中継を観たのがこのレースだったので、MP4/5は非常に思い入れのあるマシンなんです。

あの激闘を繰り広げたマシンが目の前にあると思うと感激で感激で・・・。あなたのおかげでF1が好きになり、あれから35年以上F1ファンをやってます。

確かこのマシンは、少し前までプロスト選手のカーナンバー2、シャシーナンバー8の個体だと記憶しています。
このマシンがどのグランプリで使用されたのか、今後じっくり調べてみることにします。あの日本グランプリで使われた個体だったら新たな感動が生まれそうです。

もう、MP4/5を観れただけでお腹いっぱいですが、次はとなりのマシンを観てみましょう。
ホンダ第2期最後のエンジンを搭載するMP4/7Aはマクラーレン初のメス型モノコック&ハイノーズ

メインステージに飾られているもう1台のマシンが1992年のマクラーレンMP4/7Aです。

それまでホンダパワーに頼りきりだったマクラーレンでしたが、この年、空力コンセプトを大胆にチェンジ。時代遅れの被せ式オス型モノコックから、チーム初のメス型モノコックに進化します。

そしてとなりのMP4/5と比べるとノーズやフロントウイングが高いような・・・そう、チーム初のハイノーズマシンです。ちょっとだけですが。
また、セミオートマチックトランスミッションもマクラーレンとしては初搭載でした。

しかしハイテク満載のウィリアムズFW14Bに惨敗。ホンダはこの年を以て第2期F1活動を終了するのでした。
なんか写真も寂しげになっちゃいました・・・。
ホンドーラことホンダRA300はホンダに2勝目をもたらしたマシン

ホンダ第1期のマシンも1台のみですが展示されていました。ホンダRA300です。
前述したホンダコレクションホールで2019年に観た個体と同じだと思いますが、やっぱりライティングで見え方が随分と変わるものです。
このマシンはホンダがレーシングコンストラクターのローラと共同で開発されたマシンで、ホンドーラと呼ばれました。
突貫工事で製造されたRA300でしたが、デビュー戦のイタリアグランプリで優勝した記念すべきマシンです。

ホンダ初優勝のRA272に比べると影の薄い印象があるRA300ですが、第1期の他のマシンと比べるとよりホワイトが明るく、中央部にレッドのラインが入ったこのマシンの方がデザイン的に断然カッコいいと個人的には思います。

そしてバンク中央から後ろに流れるエグゾーストパイプが何よりもイイ。

ただ、コクピット内のプレートを確認すると『RA3001-2005』・・・2005年に製造されたレプリカ??
そういえば2000年代だったか、ホンダ第1期のF1マシンの実動テストの様子を収録したDVDを購入しましたが、その中で、
「中村さん(当時のホンダF1の監督)や川本さん(後のホンダ社長)がどのようにマシンを設計していたのかを想像しながら製作した」
と若いエンジニアが語っていました。
おそらくこのRA300も彼らが組み上げたマシンなのでしょう。
情熱を持ったホンダの社員が当時の思想を考えながら作り上げたマシンなのだから、レプリカじゃなくほぼ本物ということでいいのではないでしょうか。
まだまだF1マシンが展示されるホンダレーシングギャラリーですが、今回はここまで。
興味のある方は下記のバナーから続きをどうぞ!
コメントを残す