ついに坪井翔選手がF1マシンで富士を走りましたねー。いやー、感無量です・・・。
2025年8月6日に2023年製のハースVF-23で走り慣れた富士スピードウェイを108周走行。
国内レース好きとしては、現日本最強ドライバーの坪井選手がF1マシンをテストしたことに、そして素晴らしいタイムを叩き出したことに超感動です!
前日はハースリザーブドライバーの平川亮選手がセッティングを煮詰めた甲斐もあり、序盤雨がぱらつく難しいコンディションでも動揺せず、最初のベストは1分20秒339。
約600馬力のスーパーフォーミュラから1000馬力近いF1マシンに乗り換えても、このレベルのドライバーならフツーに走っちゃうんですね。
午前中はその後も雨が降ったり止んだりと安定しませんでしたが、徐々にF1に慣れ、雨で路面温度が下がったこともあり、平川選手のタイムに迫る1分18秒572まで上げてきました。
そして2時間を過ぎたところでDRSを作動させて1周アタックを開始すると、午前中の残り25分を過ぎたところで新品のミディアムタイヤを装着して、午前中のベストラップ1分17秒795をマーク。さすが坪井選手、素晴らしいタイムを叩き出してくれました。
午後になると雨は完全に上がり、新品ミディアムタイヤを2セット投入すると、1分17秒470までタイムアップ。結局このタイムが坪井翔選手のこの日のベストラップでした。
実はこのタイム、富士スピードウェイで行われた2008年日本グランプリの予選Q2でフェリペ・マッサが出した1分17秒287のコースレコードに0.183秒まで迫るタイム。
先日の投稿でも書いたとおり、F1は予選ポールポジションタイムの平均が17年間で97.2%ほどしか上がっておらず、さらにタイヤは新品といえど、コントロールタイヤのミディアム。さらに2023年のハースはコンストラクターズ最下位。走り慣れた富士ですが、この状況下で初めてのF1に乗りこのタイムは本当に凄い。
実は私、その先日の投稿で予想ラップタイムを1分19秒800と予想しましたが、2.230秒も上回ってくるとは・・・お見それしましたwww
坪井選手、今からF1のFP1に出ても他のドライバーと遜色ないタイムで周回するのでは?? やっぱり国内トップドライバーってとんでもないポテンシャルを持っているんですね!
そんな坪井翔選手の走行後のインタビューがauto sport webに掲載されていました。
「初のF1ドライブは素直に楽しかったですね。小さい頃から夢見てきたカテゴリーなので、TPCテストで2年前のクルマを使っているとはいえ、F1に乗れる機会はそうないですし、素直に夢が叶った1日になったので最高の1日でした」
出典:auto sport webより引用
少し前までトヨタ系ドライバーはF1に乗りたいとは口が裂けても言えなかったけど、一昨年の日本グランプリで平川亮選手がそのタブーを打破して、トヨタドライバーでありながらマクラーレンとリザーブドライバー契約を締結し、それに豊田章男トヨタ自動車会長が理解を示し状況が変化。
その後、トヨタはハースと提携して次第にF1との距離を縮め、今回の富士テストが実現しました。
やっぱりレーシングドライバーにとってF1ドライブは夢。坪井選手、夢が叶って本当に良かったですね。
「アタックはうまくいったかなと思いますけど、最後、微妙にセットアップをチェンジしてタイムを伸ばそうと思って、セクター2(高速区間)でかなりクルマが良くなったのですけど、その分、セクター3(低速の登り区間)がちょっと辛くなった。『富士あるある』が起きてしまいました。ただ、F1はいろいろいじれるスイッチがあって、そこをもっと見越していれば対処できたところもあったのかなというところで、正直、ちょっと完璧に決まったという1周ではなかった。そこはちょっと残念だったかなと」
「もしかしたら1分17秒2(のコースレコード更新)が見えていたかもしれないので、ちょっと残念ではありますけど、今あるベストをしっかり出せたと思いますし、今までの僕のキャリアの中で1番速いクルマなので、すごく楽しかったです。昨日から今日にかけてコンディションが変わっているので直接比較はできないですけれども、しっかりタイムを出せたというところでは、自分の実力をしっかり示せたのかなと思います」
出典:auto sport webより引用
なるほど、1分17秒470はベストなラップではなかったのか。
昨日テストを務めた平川亮選手もウイングが富士に合っていなかったと言っていたし、ベストなセッティングで走れば、コースレコードも狙えたのね。
まあ、最初のテストだし、レコード更新という次の目標が出来たということで・・・。
坪井選手はF1とスーパーフォーミュラの違いについても語っています。
「いやもう、全部がこれまでと違いました。その中でもいちばん驚いたのはやっぱりハイスピードコーナーですね。コカ・コーラコーナーから100R、想像はしていたのである程度、想像どおりだったのですけど、改めて実車に乗るとこれだけGがかかるんだとか、こんなにダウンフォースがかかっているんだ、というのは改めて感じました」
出典:auto sport webより引用
F1マシンを何度も走らせている平川選手は、富士に合ったロードラッグのウイングを持ち込むことが出来ず、今回は100Rをベタ踏みで走れてしまったと語っていましたが、その時のドライバーに掛かるGはスーパーフォーミュラの比ではないんですね。
スーパーフォーミュラではヨコハマのワンメイクで、スーパーGTではブリヂストンを履く坪井選手ですが、今回は初のピレリタイヤ。そのピレリのF1タイヤについても語っています。
「パワーも本当にとんでもなく大きいのでトラクションのかけ方が結構難しかったり、やっぱりピレリタイヤはあまり使ったことがないので、そこの難しさがありました。すごく温度にセンシティブで、ちょっと(表面)温度を外すと本当に全然グリップしなくなっちゃう。本当に2〜3度の違いとか、ちょっとスライドさせたりするだけでこんなに次のコーナーでグリップがなくなっちゃうのか、みたいなのは今まで経験してきてないので、新しい世界が見れて新しい引き出しが増やせた1日になったと思います」
出典:auto sport webより引用
なるほど、ピレリは温度やスライドに対してかなりセンシティブなんですね。
イタリアのタイヤメーカーはタイヤ戦争を勝ち抜いた企業ではなく、無理に性能を上げたからその代償から癖があるのか、それともドライバーのミスに反応するためにわざとお釣りを出して設計しているのか・・・まあ、前者じゃない?
日本のタイヤメーカーの方が技術力では優れているんじゃないのかな。
次のF1タイヤの入札にヨコハマが手を挙げたら・・・いや、癖ありタイヤの方がレースは面白いか。
素晴らしいタイムでテストを終えた坪井選手ですが、前日は相当に不安だったらしい。
「いや、相当緊張していましたね(苦笑)。自分がちゃんとドライブできるかもそうだし、(英語での)コミュニケーションもそうだし、使うボタンがあまりにも多すぎて『アタックする前はこのモード』『アタックする時はこのモード』『アタック終わったらこのモード』で、どれだけ温度管理してというのがとにかく多かったので、話を聞いていて、これを自分で整理して、しかも速く走るというところまでたどり着けるのかという不安ばっかりでしたね」
「それでいろいろ聞いて準備はしてきたのですけど、準備をすればするほど乗るまで不安がどんどん募ってくみたいな感じ(苦笑)。あれもこれもあって、みたいに頭で考える考えるほど、ちょっと緊張が優ってきたのですけど、1周走ってみれば『もう大丈夫だ』という風になれた。そこからは本当に楽しく走れるようになりました」
出典:auto sport webより引用
昨年坪井選手がスーパーフォーミュラとスーパーGTのW王者になった際、豊田章男会長が、「そろそろ英語の勉強をした方がいいかな」と言っていましたが、あの発言はこのテストの布石だったのかな?
坪井選手としてもそれなりに英語の勉強はしたのだろうけど、ほぼ国内でしかレースをしてこなかったから、英語のコミュニケーションはやっぱり不安だったのでしょう。
そしてすべてが管理されているシビアなF1マシンでタイムを出すには、覚えることが多すぎるので、やっぱりそれも不安だった。
でも走り始めたらレーシングドライバーは速いマシンに喜びを感じてしまうんですね。
そんな坪井選手、F1初ドライブで自信を深めたようです。
「自分がF1で走れるだけの実力はあるんだなというのは認識できた。また違うサーキットに行くとまた話が変わってくると思うのですけど、コース攻略だったりとかができていれば、クルマを十分コントロールできるんだなというのは理解できたので、また乗りたいなという気持ちになりましたね」
「今までは本当に夢の夢というか、本当に『夢はF1ドライバー』と言っていましたけど、なにかすごい遠い存在で、半分叶わない夢だと諦めてた部分が何年か前まであった。そういった意味では本当に今日これが実現してひとつ夢が叶ったのもそうですし、よりF1を身近に感じることができたというか、この舞台でも戦えるんじゃないかいう自信を深められた1日で、今のF1ドライバーに混ざってみたら、どこまで通用すんだろうというのを確認したくなりました」
出典:auto sport webより引用
うん、これだけしっかりと走らせることが出来たら、本人としても次のステップを目指したくなるものでしょうし、私たちファンも期待が高まります。
2025年のF1に参戦する20人のドライバーのうち、7割以上がFIA-F2/GP2出身の時代。無論、FIAとしてもそれを望んでFIA-F2/GP2というカテゴリーを発足して育ててきました。
でも、40年近く前、日本のF1ブームの時代は中嶋悟さんや鈴木亜久里さん、片山右京さんなど、日本のトップフォーミュラからF1にステップアップしていた。
あの頃は日本のトップフォーミュラも盛り上がり、日本にモータースポーツの文化が芽吹いていた。
豊田章男会長が言う「日本にモータースポーツの文化を作る」ために、スーパーフォーミュラからF1という筋道が最善。そんなドライバーが出現したら、むちゃくちゃ応援したくなる。
坪井翔選手にはぜひそれを実現してもらいたい・・・。
スーパーフォーミュラのチャンピオンは、世界でも通用するところをぜひとも証明させてもらいたい・・・。











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