近年のF1マシンって艶が無くなってない?
F1ブームの頃を知る出戻りF1ファンなど、最近のF1マシンを見ると艶がないマッドなF1マシンに軽いショックを受けている方もいるはずです。
そう、最近はクリア塗装でコーティングしていないF1マシンが年々増えてきました。
理由は軽量化。
特にパワーユニット時代以降F1マシンの重量は重くなり、1gでも軽くしようと各チームは試行錯誤して軽量化を追求しています。
その結果マット塗装にして軽くしているのです。たかが数kgのために・・・です。
F1マシンがカッコよく見えるのは太陽に反射する眩いばかりの鮮やかさ。2001年に初めて鈴鹿サーキットで生のF1マシンを観た時のあのF1マシンの輝き、心の底から驚き感動しました。
・・・でも速さには変えられない。少しずつクリア塗装をやめるチームが増えてきたのが現状です。
ということで『マット塗装orクリア塗装』と題し、年度順にクリア塗装とマット塗装のチームを見ていきたいと思います。
では、マット塗装元年の2016年からいってみましょう!
2016年
- フェラーリ SF16-H
- マクラーレン MP4-31
- ウィリアムズ FW38
- ザウバー C35
- メルセデス W07
- トロロッソ STR11
- フォースインディア VJM09
- マノー MRT05
- ハース VF-16
- レッドブル RB12
- ルノー R.S.16
近代F1で初めてマット塗装を採用したのは2016年のレッドブルRB12とルノーR.S.16。
レッドブルRB12は従来からのデザインコンセプトを大幅に変更し、同時にクリア塗装を廃してマシンの軽量化を図りました。
艶々ピカピカのF1マシンの中で、この斬新なマット仕上げのレッドブルのマシンが本当にカッコよく見えましたが・・・数年後に各チームが追随し、あのカッコ良さはマットだからではなく、レッドブルの斬新なカラーリングと合っていたからだとわかることになります・・・。
そしてこの年はルノーの2016年型マシンR.S.16もマット塗装を採用。これにより0.5kgの軽量化を達成できたと発表しました。
たかが500gのためにキレイなクリア仕上げを捨てるとは・・・。もちろんF1マシンは見た目ではなく速さのためにマシンをデザインしますが、2016年のルノーの成績は9位(コンストラクターズ)って・・・。
2017年
- フェラーリ SF70
- マクラーレン MCL32
- ウィリアムズ FW40
- ザウバー C36
- メルセデス W08
- トロロッソ STR12
- フォースインディア VJM10
- ハース VF-17
- レッドブル RB13
- ルノー R.S.17
2017年もレッドブルとルノーの2チームのみがマット塗装を採用。他に追随するチームはありませんでした。
2018年
- フェラーリ SF71H
- マクラーレン MCL33
- ウィリアムズ FW41
- ザウバー C37
- メルセデス W09
- トロロッソ STR13
- フォースインディア VJM11
- ハース VF-18
- レッドブル RB14
- ルノー R.S.18
2018年もマット塗装はレッドブルとルノーのみ。
近年増えているナイトレースでは、強力な照明がマシンに照らされてクリア塗装だと反射してしまうことを言われ始めました。
そして翌年、あの名門が動きます・・・。
2019年
- マクラーレン MCL34
- ウィリアムズ FW42
- メルセデス W10
- トロロッソ STR14
- ハース VF-19
- レーシングポイント RP19
- アルファロメオ C38
- レッドブル RB15
- ルノー R.S.19
- フェラーリ SF90
2019年はレッドブルとルノーに加え、なんと名門フェラーリもマット塗装を採用して話題になりました。
当時の最強チームメルセデスに対抗するためにフェラーリはラップタイム向上のためにマッド塗装に。
この年からチーム代表に就任したマッティア・ビノットは、
「光沢のある素材を使わないことで、数百g削減できる。それは大したものではないと思うかもしれないが、すべてを限界に近づけようとしている時には効果がある」
と述べています。
さらにフェラーリは空力のためにスポンサーロゴもステッカーではなくペイントにしました。
しかし日本グランプリで観たフェラーリのマシンのカラーリングは、神社の鳥居のような朱色・・・。名門フェラーリが安っぽく見えました。
この後マット塗装の忍び寄る魔の手!?
次のページでは2020年以降のクリア塗装のマット塗装の推移を見ていきます!