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トヨタ博物館でいにしえのクルマたちをライカM11で撮ってみた!①(1910年-1945年)

クルマ大好きでクルマのミュージアムが大好きな私は、今までにホンダコレクションホール、富士モータースポーツミュージアム、ホンダレーシングギャラリー、ヤマハコミュニティプラザ、スズキ歴史館、フェラーリミュージアム、レーシングパレスなどを訪れ、一部はブログで紹介してきました。

でも、一番行きたいあのクルマミュージアムには行ったことがありませんでした。それはトヨタ博物館。

ということで、今回は日本に於けるクルマミュージアムの総本山であるトヨタ博物館を訪れて、いにしえの自動車を心ゆくまで堪能してきました。

初めて行くクルマの巣窟は新旧各メーカーの車両が膨大に展示してあり、世界随一の自動車メーカーとしての誇りをまざまざと見せつけられました。

もちろんそれは訪れる前からある程度予見していたので、その貴重なクルマたちを最高のカメラで収めたいと思い、歴史あるものを撮らせたら右に出るものはいないと個人的に思っている、M型ライカで撮影してみました。

尚、トヨタ博物館には100台をゆうに超える車両が展示されていましたので、とても一つの記事にまとめることができなかったため、今回は①として自動車黎明期から第二次世界大戦までの車両を紹介します。

では、どうぞお付き合いください。

ザックリ見出し

トヨダ・AA型乗用車(1936年日本)

エントラントにはトヨタ初の量産乗用車トヨダAA型がお出迎え。

黒塗りボディにメッキが散りばめられて一見高級感がありそうですが、丸みを帯びたデザインで愛嬌があります。

観音開きのドアに時代を感じますね。

そんなトヨタ博物館の顔とも言えるトヨダAA型乗用車ですが、現存する個体がないのでしょうか、これはレプリカです。

ただ、この博物館にあるほとんどのクルマは動態保存がなされていて、少し整備すれば動く個体というから凄い。

では、そんな歴史的名車たちを古いものから年代順に見ていきましょう。

1800年代のクルマたち

いやー、歴史的価値のある車両ですが、さすがにこの頃はクルマのカタチを成していないので、イマイチ興味が湧かない。

ここはサラーっと流して、20世紀に行ってみましょう。

ロールスロイス・40/50HPシルバーゴースト(1910年イギリス)

このフロアで一番目を引いたのがロールスロイス様の40/50HP シルバーゴースト。今も残る、ロールスロイスゴーストの元祖です。

ゴールドがふんだんに使われたボディはまさに豪華絢爛!

明るそうな大きなヘッドライト(今じゃ大して明るくないだろうが)に、デカいリジットサス(今じゃトラックにしか使われないが)が、当時としては最高の仕様なのでしょう。

この時代のクルマは、超大金持ちしか買えない代物だけど、そんな周りのクルマとも一線を画していました。

やっぱりロールスはいつの時代も凄かった!

ところで、ゴールドのボディなのに、なぜ“シルバー”ゴースト??

ドゥローニー・ベルビユタイプHB6L(1911年フランス)

こちらはフランスの機関車や船のボイラーを造っていたドゥローニーが製造した車両。

蒸気機関車のような丸いボンネットが特徴的でした。

ベンツ・14/30HP(1912年ドイツ)

こちらは4気筒エンジンを搭載したベンツの車両。

有名なスリーポインテッドスターのエンブレムはまだ装着されていませんね。

キャデラック・モデルサーティ(1912年アメリカ)

アメリカのキャデラックが製造した車両。

当時の多くの車両は、映画でよく見るようにクランクハンドルを回してエンジンを始動していましたが、この車両は初めてセルフスターターを備えていたそうです。

プジョー・ベベ(1913年フランス)

大柄な車両が多くあった中で、とっても小柄で可愛らしかったのが、フランスのプジョーが製造したベベ。

空気ゴムを潰して鳴らすクラクションも可愛らいしい。どんな音がするのでしょうか。

モーリス・オックスフォード(1913年イギリス)

こちらはイリリスのモーリスが製造した小型大衆車で、10年間で15万台も売れた大ヒット車両です。

和暦ではまだ大正時代。まだまだ馬車からの派生のようなデザインですが、少しずつクルマになってきました。

モーガン・エアロ(1922年イギリス)

強烈なグリルの形状が印象的なこの車両は、イギリスのモーガンが製造した3輪車です。

エンジンはオートバイ用のV型2気筒を搭載。

横から見るとご覧の通り、クルマというよりもオートバイに近いかも。

オースチン・セブン”チャミー”(1924年イギリス)

フォードの大ヒットで、イギリスのフォードを目指して製造されたのがオースチンセブン。

小さいながら大型車と同様の装備や機構も備えていたセブンは、構想通り17年間で25万台も売れた大ヒット車両になりました。。

あっ、ワイパーが付きましたね。

ワイパーってこれだけ進化した現代でも同じようなカタチや動きですけど、そろそろ革新的なものが出てもいいと思っているのは、私だけではないはず。

シトロエン・5CVタイプC3(1925年フランス)

イギリスのフォードがオースチンセブンなら、フランスのフォードがシトロエンの5CVタイプC3で、こちらも多くの台数を販売したらしいです。

フォード・モデルA(1928年アメリカ)

オースチンやシトロエンがフォードを真似してクルマを製造しましたが、そのフォードは1927年に画期的な3段トランスミッションや4輪ブレーキを搭載したモデルAを発売して、他社を引き離しました。

そしてこのクルマの最大の特徴は、魅力的なスタイリングだったそうですが・・・そんなに違わなくない??

イスパノスイザ・32CV H6b(1928年フランス)

フランスのイスパノスイザというメーカーが製造した32CV H6bは、現在ではほぼすべての車両に装着されているマスターバック(ブレーキ倍力装置)を初めて装着したクルマ。

以前マスターバックを装着していない昭和50年代のミニキャブトラックを運転しましたが、軽トラでもブレーキを踏むのに相当な力が必要でしたが、それまでのクルマってドライバーの踏力がすごい必要だったのか・・・。

デューセンバーグ・モデルJ(1929年アメリカ)

デューセンバーグは1937年まで存在したアメリカの高級車メーカー。まさにこの時代のアメ車らしく、非常に優雅な外観でした。

また、性能も凄まじく、7.0L近いエンジンは265馬力の出力を発生させたとのこと。

でも、このひ弱なボディに貧弱な細いタイヤで265馬力は怖すぎる。

フォード・モデルA(1929年日本)

こちらも先ほど紹介したフォードのモデルAですが、この個体は日本産。ということで、右ハンドルになっていますね。

フォードは大正14年、横浜に工場をつくり、あの有名なモデルTを生産し、1927年からモデルAが生産され、タクシーなどに使用されたとのこと。

ドアのキャラクターラインなど、本国の車両とは違うオシャレな外観で、とっても可愛かった1台です。

シボレー・フェートン(1931年日本)

シボレーなのに漢字のナンバープレートが装着されているこのフェートンも、日本産の車両(フォードモデルA同様右ハンドル)。

シボレーブランドを所有するGMは、1927年に大阪に組み立て工場をつくり、シボレーのクルマを生産しています。

キャデラック・シリーズ452A(1931年アメリカ)

こちらはキャデラックのシリーズ452A。

これまで見てきた車両はすべてオープンか幌のキャビンでしたが、ここでやっとメタルルーフになりました。

それにしてもデカかったのですが、このバスのような大柄で重い車両を動かすエンジンは、なんと7.4L V型16気筒。技術がどんどん進化していった時代でした。

シボレー・オンフィデレイトシリーズBA(1932年アメリカ)

シボレーのオンフィデレイトシリーズBAは、前に紹介したキャデラックシリーズ452Aをスケールダウンした豪華なスタイリングが特徴。

今見ても非常にまとまり感があるデザインで、装飾が美しかったです。

ダットサン・11型フェートン(1932年日本)

こちら、日産が製造権を獲得する前のダット自動車が製造した、ダットサンフェートン。現存する最古のダットサンらしいです。

先ほどのアメ車と比べると国産車両はまだまだ遅れていることがわかり、あのアメリカに戦争を仕掛けたのは無謀だとつくづく思います。

フォード・モデル40(1934年アメリカ)

フォードのモデル40は、それまでの車両と比べると丸みを帯びノーズも短めで、だいぶ私たちの知るクルマに近づいてきました。

ノーズを短くできたのは、全長の短いV型8気筒を搭載したから。ここからアメ車=V8の時代が長く続きます。

シボレー・マスターシリーズDA(1934年アメリカ)

こちらはフォードのライバルであるシボレーが製造したマスターシリーズDA。

V字型のラジエターグリルや角が曲線になったボディデザインなど、前に紹介したフォードモデル40と実によく似ていますね。

搭載するエンジンは直列6気筒。このエンジンは、最初に紹介したトヨダAA型乗用車が参考にしたエンジンとのことです。

デソート・エアロフローシリーズSE(1934年アメリカ)

クライスラーのブランドである、デ ソートのエアフローシリーズ SEは、エンジンをフロントアクスルの上に置いて(それまではフロントミッド)重量配分を最適化して、乗り心地が良くなったらしいです。

また、現在のモノコックボディ構造に近くしたりと、画期的なクルマだったそうです。

それに伴い見た目がさらに現代風になってきましたね。

気になったのがフロントウインドで、それまでは1枚ものの大きな窓でしたが、センターで分けられたカタチに変化しています。

イスパノ・スイザK6(1935年フランス)

こちらはフランスの高級車メーカーイスパノのスイザK6という車両。大きなボディで威厳を放っていました。

アメリカでは少しづつ現代風の車両に変化していた時代ですが、こちらはまだ旧態依然としたエクステリアですね。

メルセデスベンツ・500K(1935年ドイツ)

メルセデスベンツの500Kは、スーパーチャージャー付きのエンジンが特徴で、性能面でもデザイン面でも優れたバランスのクルマだったというけど、やっぱりアメ車に比べると個人的にはまだ古臭い印象。

ランチア・アストゥーラティーポ233C(1936年イタリア)

ランチアのアストゥーラティーポ233Cのこの個体は、のちにフェラーリなどをデザインして数々の名車を生み出すすることになる、ピニン・ファリーナが仮装した車両。

フロントグリルやサイドのメッキ?のスリッドなど、各所にデザイン性の高さが伺えます。

フィアット・500″トッポリーノ”(1936年イタリア)

ここで初めて私の知っている車両が登場しました。トッポリーノという愛称でお馴染みの初代フィアット500です。

印象的なラジエターグリル形状で全体的に非常にまとまり感のあるエクステリア。ここで一気にデザインが進化した印象です。

ところで、このドアからリヤにかけてのこのデザイン、私が所有するスズキツインにそっくりだと思うのですが・・・どう??

トヨダ・AA型乗用車(1936年日本)

こちらは最初に紹介したトヨダAA型乗用車の色違いバージョン。

ボディ構造は先に紹介したデソート・エアロフローシリーズSEを参考にしているらしいです。

そう言われてみると、確かに似ている・・・いや、そっくりかも。

ボンネットマスコットはこの有名なヤツが付いてました。今のトヨタエンブレムより個人的には好きです。

オールズモビル・シリーズF(1937年日本)

こちらはGMのブランドオールズモビルのシリーズF。ノックダウン方式で日本に輸出されて、GMの大阪工場で生産された車両です。

この車両の年式が1937年で真珠湾攻撃が1941年ですが、GMの大阪工場はいつまで稼働していたのでしょうか。

ロールスロイス・40/50HPファントムⅢ(1937年イギリス)

現在も世界屈指の高級車メーカーとして知られるロールスロイスのファントム。現行ファントムは8世代目ですが、こちらは3世代目です。

多くの車両が先進的な丸みを帯びた形状に進化していった時代ですが、王者ロールスは我が道を貫くクラシックデザインです。

コード・モデル812(1937年アメリカ)

今回見たトヨタ博物館の多くの車両の中で、特に気に入った中の1台がこのコードモデル812(なので写真多め)。

ラジエターグリルやその周辺のデザイン性が高いのが良くわかると思いますが、何かが足りなくありませんか?

はい、ヘッドライトです。

このコードモデル812は、史上初のリトラクタブルヘッドライトを搭載しています。開くところが見てみたい!

また、エンジンのサイドにはこんな金属のホース?も。これはエキゾーストパイプなのか、サスペンションの一部なのかわかりませんが、とにかくカッコよすぎ!

そしてこのコードタイプ812はリヤ駆動ではなくフロント駆動。FFだそうです。

デザインも技術もとんでもなく先進的なコード社のモデル812。一見の価値ありです!

ダイハツ・オート三輪SA-6型(1937年日本)

そんな進化するアメ車ですが、同じ時代の日本はというと・・・リヤカーを引くオートバイです・・・。

いや、こちらはダイハツのオート三輪SA-6型。

発動機製造(現ダイハツ)が製造したSA-6型は、小回りのきく小さい車体と低価格で大人気だったそうです。

日産・70型フェートン(1938年日本)

日産の70型フェートンは、アメリカのグラハムページ社から設計と生産設備を導入して製造した車両です。

まだ日産は政府から自動車製造許可を受けたばかり(1936年)だったため、自社でこのような立派なクルマの設計はできなかったのでしょうね。

控えめに取り付けられた日産のエンブレムは現在の形状と近く、トリコロールカラーも当時から使われていたのですね。

プジョー・402(1938年フランス)

このプジョー402はとても眼を引く特徴のあるデザインでした。

湾曲したフロントバンパーもそうですが、特にヘッドライトがおかしい。

フロントグリルの中にヘッドライトを埋め込んでいるのです。こんなことを考えれるのは、フランス人くらいなものでしょ!?

なぜ、こんなことをしたのか・・・。

当時は衝突事故なので、ガラスだったヘッドライトが割れるのを防ぐため??

いや、デザイン性だけでしょ。

ちなみにリヤはこんな感じ。

ブガッティ・タイプ57C(1938年フランス)

蹄鉄型のグリルでおなじみのブガッティ。

そのブガッティといえばタイプ35が有名ですが、あちらはレーシングマシン。ロードカーではこのタイプ57が一番高名らしいです。

うーん、このグリルとエンブレムを見ると、どうしてもカーグラフィックTVのオープニングムービーが頭を巡ってしまう(あちらはタイプ35)。

キャデラック・シリーズ60スペシャル(1938年アメリカ)

キャデラックが最初に流線型を採用したのがこのシリーズ60スペシャル。

このモデルは初めてリヤにトランクルームを採用した、3ボックスセダンの原型らしいのですが、リヤから撮影し忘れました・・・。

また、一時期アメ車の代名詞だったコラムシフトを初めて採用した車両でもありました。

ドラージュ・タイプD8-120(1939年フランス)

こちらはドラージュというフランスメーカーのタイプD8-120。

いかにも空力が良さそうな流線型のボディがとっても優美に感じる、美しいスポーツカーでした。

パッカード・トゥエルヴ”ルーズヴェルト専用車”(1939年アメリカ)

当時、世界を代表する名門高級自動車メーカーだったパッカードの最上級車が、このトゥエルヴ。

ところでこの個体、なぜ星条旗が掲げられているのかというと、アメリカ大統領フランクリン・ルーズヴェルトの専用車だから。

防弾ガラスなど各種補強がなされた超特別仕様の車両ですが、なぜオープンなの? そもそも、なぜこんな貴重な車両が日本のトヨタ博物館にあるの?

KdF・ワーゲン(1942年ドイツ)

ヒトラーの国民車プロジェクトによりポルシェ博士により生み出されたKdFワーゲン。のちに40年間生産で2140万台以上製造されることになるフォルクスワーゲンタイプ1です。

この個体はその極初期のモデルで、KdFの中でも最も古いものらしいです。

元来可愛らしいビートルですが、飾り気のない黒一色のボディなので、非常にオーラを感じました。

リヤのウィンドウが2枚タイプなのは極初期型の特徴かな?

トヨタ・KC型トラック(1945年日本)

こちらは戦時下で製造されたトヨタのKC型トラック。

キャビンが非常に角張っているのが特徴ですが、これは戦争中で資材不足だったためで、なんと木製でした!

トヨタ博物館に展示してある車両を年式順に紹介していますが、まだ第二次世界大戦までというのに38台と、あまりにも記事が長くなってしまうので、とりあえず今回はここまでとします。

次回は第二次世界大戦以降の車両を紹介しますので、興味のある方はまたお付き合いください。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。