人気記事:『ミニカーで振り返るF1マシン』シリーズ

フェラーリF92A ダブルフロアの超個性派マシン【ミニカー#4】

第4弾のミニカーコレクションは、フェラーリ F92Aを取り上げます。

ミニカー紹介

今回登場するミニカーは以下の通りです。

フェラーリF92A ♯27 ジャン・アレジ

マテルが本気で作った、ちょっとお高いシリーズです。

私は6〜7年ほど前に購入しましたが、もう絶版だと思います。

フェラーリF92A ♯28 イヴァン・カペリ

アシェットの『フェラーリF1コレクションvol.40』です。

製造は♯27アレジ車と同じマテルですが、こちらは廉価バージョンになります。

ウィリアムズFW14B ♯5 ナイジェル・マンセル

デアゴスティーニの『F1マシンコレクション』の第7号で、製造はIXOです。

フェラーリ史上最大の問題作

フェラーリF1史上1番の駄作といえば、みなさんどのマシンを思い浮かべますか?

私は迷わずこのF92Aを挙げます。

ちなみにワタクシぴぴは第二次F1ブームからのF1ファン、なのでそれ以前はあまり知りません。

それ以前にも走らないフェラーリがあったのかな? 312T5とか?

フェラーリは遅いマシンもカッコいい!?

一般的にF1マシンは、速いクルマがカッコいい、いやカッコよく見える、遅いクルマはカッコ悪く見える、と言われています。

しかしその言葉はフェラーリには当てはまりません。

見よ! このジェット戦闘機のような美しさ!

当時からF1を見ている方なら、この形を見てすぐにF92Aだとわかりますよね。

しかし戦績は、コンストラクターズポイント、たったの21点!

エースアレジが、腕だけでスペイングランプリとカナダグランプリで3位表彰台に上がりましたが、トピックはそれだけです。

当時最強と言われたウィリアムズFW14Bに、周回遅れになること数知れず・・・。

F92Aを何度もラップダウンしたウィリアムズFW14B

駄作と書きましたがそれは速さの面だけ、デザインは最高に美しいんです・・・。

まぁね、速さが一番重要なんですけどね。

早すぎた革新的アイデア

F92A最大の特徴は、ダブルデッキ構造のフロアを採用したことです。

サイドポンツーンの下側、PIONEER・Agipのロゴの下の部分が、車台ごと持ち上げられて隙間があります(ミニカーでは途中まででした)。

これは、シャシーとモノコックの間に15cmほどの隙間を開け、そこに空気を流し、シャシー下の空気との速度を変え、ダウンフォースを稼ぐという仕組みでした。

しかしこの構造ではモノコックが高く位置するため、高重心になり操作性が最悪だったそうです。

時を経て実証されたF92Aの考え方

しかしこの考え方自体は間違っていなかったらしく、数年後に実証されます。

そのマシンとは、1996年型のF310で、サイドポンツーン下をえぐり、空気速度を変えダウンフォース生み出しました。

ミハエルシューマッハが乗り3勝をあげたF310

ジェット戦闘機の様なサイドポンツーンエアインテークとその下のえぐれはF92Aに通じる

そしてレギュレーションでダンフォースを削減され続けたF1は、2000年代後半からさらなるダウンフォースを求め、サイドポンツーン下をえぐり続けた。

2010年型F10 この頃よりサイドポンツーン下をえぐるのがF1デザインの流行になる

こうして、F92Aの考え方自体は間違えではなかったことが、実証されたのでした。

ミニカー写真

それではミニカーの写真を一挙にお見せします。

テーマは今回も実車の様に撮る!です。

こちらはマテル製の本気バージョン

Lightroomで編集しすぎてちょっとCGっぽくなっちゃいました

タイヤも良くできています

せっかくのダブルデッキが影で見えない・・・

こちらのカペリ車は廉価版の『フェラーリF1コレクション』

なんかノーズがずんぐりしてない!?

2台を比べてみると違いが歴然 左が廉価版・右が正規版

正規版にはこの年代の特徴であるバックスキンの黄土色のシート 廉価版は黒

廉価版にはタイヤ内側のGOODYEAR EAGLEのロゴがない!

手前の正規版にはしっかり内張が装飾

夕日が差しこめるグリッド この頃はトワイライトレースはないぞ!!

Agipのロゴがかっこいい しかしオイルメーカーが火を吹いちゃマズイでしょ!

ウィリアムズFW14Bの前方グリッドにF92Aが・・・ 実際には考えられない

F92Aがフロントロー独占! もはやありえない 写真もCG風に加工

最後に

昔何冊も読んだ自動車評論家、清水草一さんの著書に幾度も書かれていました。

「自動車は二種類に分類される。」

「フェラーリとそれ以外の全ての車に。」

「フェラーリは唯一の自動車芸術なのです。」

F1マシンでも同じ、ウィリアムズもマクラーレンもレッドブルもメルセデスも、所詮フェラーリではないのです。

ウィリアムズに何周ラップダウンにされても、所詮それはフェラーリ以外のすべての車の一台にすぎません。

レースクラスが全く違います。

F1をWECに例えると以下の様になります。

LMP1H  ・・・  フェラーリ

LMGTE  ・・・  メルセデス レッドブル マクラーレン ウィリアムズ ほか

フェラーリは孤高の存在、唯一のフェラーリクラスなのです。

フォルザフェラーリ!!

1992年のF1グランプリを駆け抜けた3台でした

最後までお読みいただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。