モータースポーツ中毒者のぴぴと申します。
今回は富士スピードウェイで行われた、世界耐久選手権(以下WEC)の観戦記を書いてみたいと思います。
ザックリ見出し
7度目のWEC観戦はル・マン総合優勝トヨタの凱旋レース
WECはル・マン24時間レースをはじめとする自動車の耐久レースカテゴリーで、2012年よりシリーズ戦として世界各国を転戦し、日本戦は毎年10月に富士スピードウェイで行われる。
私はこのWECを走るプロトタイプカーがもっとも好きなレーシングマシンのひとつで、開催初年度から毎年富士スピードウェイを訪れ今回で7度目の観戦になる。
昨年のWEC富士戦でのトヨタvs.ポルシェの戦いから1年が経ち、その1年の間にWECは様々な事があった。
トヨタのライバルポルシェのLMP1クラスからの撤退、そしてル・マンでのトヨタ初優勝・・・。
そう、ライバルポルシェは引退してしまったが、今回のここ富士スピードウェイでのレースは、今年6月のル・マンで悲願の総合優勝を遂げたトヨタが、地元日本へ凱旋するレースである。
富士スピードウェイ到着 まずは全日本F3最終戦をダンロップコーナーから
前週のF1観戦がまだ冷めやらぬ中、朝7時30分、自宅の静岡市を出発し新東名から小山町の富士スピードウェイへ。
サーキット周辺の渋滞もなく、1時間少々で到着し私の中でベストポジションと思うヘアピンコーナー近くのP6駐車場へクルマを留めることができ、あまりにもスムーズで例年に比べると少し観客の入りが少ないのではと感じたが、昨年同様の32,000人が来場したとのちに発表された。
早々全日本F3選手権の最終戦が朝一番のサポートレースとして行われるため、いつもの電動チャリを組み立てお目当のダンロップコーナーへ向かう。
小雨が降る中行われたF3の第一の注目は、2018年シリーズを圧巻の強さですでにチャンピオンを決めた坪井翔の走りだ。
ここまでの18戦中なんと16勝、現在11連勝の彼がどんな走りをするのか、目に焼き付けておきたい。
雨の中の最終戦も、マシンを巧みにスライドさせながらの圧倒的な速さで勝利し、19戦17勝=勝率89.4%というとてつもない勝率を記録した坪井翔。
今シーズンのSUPER GT第2戦で、小林可夢偉に代わりレクサスサードのステアリングを握り、チームメイトの元F1ドライバーであるヘイキ・コバライネンに「アメイジングな走りだった!」と言わしめた彼が、将来どのような躍進を見せるのか、来年以降の動向に注視していきたい。
紅一点でF3を戦う三浦愛も見事8位入賞!
WECスタートセレモニーを見にグランドスタンドへ
サポートレースも終わり、WECのスタートセレモニーを見にダンロップコーナーからグランドスタンドへ向かう。
ちなみに徒歩だと30分ほどかかる道のりだが、電動チャリを使うとものの5分で到着するので、富士スピードウェイでの観戦の際には是非ともオススメする。
ル・マン式スタート風の演出で、ホームストレートに斜めに置かれたマシン、WECでしか見られない光景だ。
恒例のTシャツバズーカ、
昨年の優勝チームであるトヨタからのトロフィー返還、岡本知高氏の君が代斉唱と、雨が止んだグリッド上では順調にセレモニーが執り行われる。
そしてセレモニーの最後、最終コーナー方向から何かが見えた!
なんと人が浮いている!
その後この男は、ホームストレートの上空10m付近を何度も往復するのであった。
WEC決勝スタート! まずはホームストレートで観戦
スタートはいつものようにホームストレートで見ることにする。
スタート直前、雨も上がり時より日が射すようになり、雨除けのためマシンカバーを被せていたBMW M8が、その巨体をあらわにする。
ものすごくデカイとTwitterでも噂されていたM8だが、実物を見てあらためてものすごくデカく度肝を抜かれた。
後ほどLMP1マシンのトヨタTS050とマッチアップするシーンを紹介するが、いや何度もいうがこのBMW M8本当にデカイ。
今回のWECも勿論流し撮り撮影がメインなので、ここからは撮影した写真とともに決勝レースを振り返ってみる。
さあスタート、雨のためフォーメーションラップ後に1週のSCを挟みグリーンフラッグが振られた。
雨は止んだが、スタート直後は路面はまだまだウェット状態。
ペナルティーから8位スタートの7号車トヨタだが、ウエット路面で強い4WDの利点を生かし、すぐに2位に浮上する。
レクサスコーナーへ
10周ほどグランドスタンドで観戦後、いつもの撮影場所であるレクサスコーナーへ移動する。
ではレクサスコーナーで撮影した写真をご覧ください。
元F1チャンピオンのジェンソン・バトンが所属するSMPレーシング。
最近のプロトタイプマシンの流行りである、ヘッドライトまわりのデコッパチスタイル(由良拓也氏命名)が最も強調されたデザイン。
シャッタースピード1/30で同じくSMPレーシングを捉えた。
プロトタイプカーはリヤセクションが本当にカッコイイが、過ぎ去る被写体になかなかオートフォーカスが追ってくれない。
ドラゴンスピードのマシンは、上記SMPレーシングが開発したBR1なので、同じくデコッパチスタイル。
こちらバイコレスレーシングチームは、F1のチーム代表も務めたコリン・コレスのチームで、エンジンは2015年に日産がル・マンLMP1クラスに挑んだGT-R LM NISMOに搭載されていたVRX30Aを改良したもの。
あれは一体何だったのだろう・・・。
トヨタTS050はWECに参戦するマシンの中で唯一のメーカー系ワークスチームで、唯一のハイブリッドパワーユニットを搭載する。
上の写真は、私の目の前で小林可夢偉がポルシェと接触し、そのポルシェがスピン!
下位フォーミュラからF1まで幅広く手がけるダラーラ製シャシーを使うレーシングネザーランド。
スーパーアグリを応援していた日本人にとっては忌まわしき、ギド・ヴァン・デル・ガルデが所属する・・・。
ここからはLMGTEと言われるGTカーで、こちらはかつて小林可夢偉も所属したフェラーリの準ワークスと言われるAFコルセ。
アストンマーチンレーシングのヴァンテージAMR。
他のカテゴリーではみられないほどの大きなディフューザーを備えるLMGTEの車両。
もはやGTカーと呼べないワイドアンドローフォルムのフォードGT。
ドイツのDTMにはM4で、日本のSUPER GTにはM6で、そしてこのWECにはM8で参戦、同一車種にすればコスト削減になるのでは、と素人目には思ってしまう。
ちなみに右の写真は、今年SUPER GTに参戦しているARTA M6。
このM6もかなりの大型車両だが、WECに参戦するM8は驚愕のデカさだった。
ここからはLMGTE アマクラス。
一番後ろを走るシルバーのフェラーリは、F1優勝者で元フェラーリF1ドライバーのジャンカルロ・フィジケラだが、なぜかアマクラスに参戦・・・。
ダンロップコーナーで接近戦を撮影
レクサスコーナーで1時間30分ほど撮影し、次もド定番撮影スポットのダンロップコーナーへ行く。
古くからLMP1クラスに参戦するレベリオンレーシング。
かつては元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドが5年間も所属し、現在もニール・ジャニ、ブルーノ・セナ、アンドレ・ロッテラーなどの元F1ドライバーが所属する名門チーム。
同じくレベリオンレーシングを、シャッタースピード1/30で迫力ある走りになった。
このレースよりハンディウエイトを積まされたトヨタだが、それでも後続を大きく引き離し2台でトップ争いを演じる。
遠近法を全く無視した後ろBMW M8のデカさ・・・ 本当に無加工です。
唐草模様(由良拓也氏が命名)のジャッキーチェンDCレーシングは、オレカ製のマシンを使用する。
同じくオレカ製のマシンを使用するドラゴンスピード、オレカはLMP2クラスで最大の勢力を誇る。
シャッタースピード1/30ではヘッドライトにピントを合わせると、リヤが大きくブレることになる。
以下、LMGTE車両はリヤディフューザーがエゲツないので、各マシンのリヤを比べてみる。
BMW M8はリヤエンドを相当切り欠いて装着している・・・ もはやリヤバンパーなど存在しない。
さすがイタリアの芸術品フェラーリ488、美しさにこだわった結果か違和感なく自然に装着されている。
ポルシェも違和感なく装着されており、質実剛健なドイツらしいリヤエンド。
うわー! これはひどい!! いかにもグランドエフェクト効かせまっせとでも言いたげな、アメ車のセンスの無さが窺える。
レーシングコンストラクターが多く存在する国イギリスのアストンマーチンは、1990年のF1チャンピオンマシンである、同国のマクラーレンMP4/5Bに装着されていたバットマンディフューザーの様な形状をしている。
なかなか存在感のある取り付け方だが、アメ車みたいな嫌味を全く感じさせないのはさすが。
最後は13コーナーでマシン左側を撮る
2012年より毎年WECを撮影しに来ているが、これまで13コーナーに行ったことはなかったので本日のラストは13コーナーで撮影してみた。
ちなみに富士スピードウェイでマシン左側を撮影できるポイントは、ホームストレートとここ13コーナーのみだ。
トップをひた走るトヨタ7号車は、この後トヨタ8号車を抑え優勝を飾り、小林可夢偉は2016年のここ富士以来のWEC優勝となった。
トヨタ8号車には元F1王者のフェルナンド・アロンソがドライブし、ファステストラップを連発し7号車を猛追する。
レベリオン1号車はトヨタから4ラップ遅れの3位でフィニッシュ、こちら3号車は序盤トラブルが発生し下位にてレースを終えた。
最後はこの1枚。
なんてことない1枚に見えるが、フェンスの切れ目からコースと同じ高さで撮影できる私の一番好きな撮影場所。
最後に
2012年から毎年観戦に出かけているWEC。
今年は地元トヨタのライバルであるポルシェがLMP1から撤退し、来場前は盛り上がりに欠け観客動員数も少なくなるのではと思っていたが、結果的にはトヨタのル・マン制覇後の凱旋レースということもあり昨年と同じ32,000人の観客を集め、大いに盛り上がった。
アウディがポルシェが日産がフォーミュラEに戦いの場を移しているが、やはりサーキットに行って最も非日常を味わえるのはレーシングマシンの爆音を肌で体感すること。
私個人の意見だが、ラジコンの走行音みたいなフォーミュラEはなんの魅力も感じられない。
そんな中、このWECシリーズには様々な排気量のマシンがありハイブリッドもあり様々な音を体感でき、それはモータースポーツの頂点であるF1を観戦しても体感できない素晴らしい個性である。
ただ最後に一つ言いたいこと・・・ トヨタ独走のレース展開を見ていると、近い将来トヨタのライバルになり得るメーカー系ワークスチームの登場を望まずにはいられない。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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