F1マシンはカッコいい・・・。いや過去にはレギュレーション変更によりF1マシンの形状が酷い見た目になった時代があった。
そこで今回は、F1マシンがカッコ悪くなった4つのレギュレーション変更を紹介していこう。
ザックリ見出し
マシンの幅が20cmも狭まった!(1998年)
左の写真が1997年のフェラーリF310B、右の写真が1998年のフェラーリF300だが、右のマシンの方がやけにコンパクトなのが分かるだろう。
そう、それまで全幅2,000mmだったF1マシンは、マシンのコーナーリング速度を抑えるため、1998年から200mmも全幅が狭められて1,800mmになったのだ。
1,800mmといえば、少し大きい市販車よりもスリムな幅で、低い全高と相まってF1マシンを生で見たときに明らかに「小さいなぁ」と思ったものだ。
この全幅1,800mmレギュレーションは2016年まで実装されたが、その頃になると市販車も快適性や走行安定性、安全性の観点から幅広くなり、大衆車でもF1マシンの全幅である1,800mmを超える市販車も多くなったので、展示してあるF1マシンを正面から見ても大きさの迫力は皆無だった。
上記のようなこともあり、2017年からレギュレーションで全幅が2,000mmに戻されて、F1マシンの威厳はある程度取り戻せた感がある。
チリトリ型フロントウイングと細高リヤウイング!(2009年)
左の写真が2008年型のフェラーリF2008で、右が翌2009年型のフェラーリF60だが、この1年でマシン形状が大きく変更になったのがわかると思うが、その背景には以下のような理由があった。
2000年代中盤から空力の追求が過度になったため、車両後方に発生する乱気流により前のマシンの後方に接近できず、その結果オーバーテイクがより困難になっていた。
そこでFIAは追い抜きができるマシンにするための対策として、以下のような空力レギュレーションの変更(抜粋)を2009年に行なった。
- フロントウイング幅1,400mm→1,800mm(車体幅と同様)
- フロントウイング最低地上高150mm→75mm
- フロントウイング中央400mm部分の湾曲を無くし平らな板とする
- リヤウイング幅1,400mm→750mm
- リヤウイング高1,100mm→950mm
- 前輪車軸450mm前方から後輪車軸までのウイング装着禁止し、バージボードやポットフィンなどの装着も禁止
この変更によりオーバーテイクが増えたかは正直微妙だったが、それよりもF1マシンのカタチが大幅に崩れた・・・。
ノーズから吊り下がったフロントウイングは巨大になり、まるでチリトリのようだと比喩され、細く高いリヤウイングはフォーミュラカーとは思えないほどに腰高に見え、空力フィンなどがないツルッとしたボディワークはミドルフォーミュラを思わせるようだった・・・。
「これもF1、少しすれば見慣れるよ」
などと多くのメディアで言われていたが、結局私はこの姿を見慣れることはなかった・・・。
クラッシュ後のような段付きノーズ!(2012年)
2012年のレギュレーション改定で、モノコック前端+150mmより先の高さ(要するにノーズの高さ)は、リファレンスプレーン(マシンの一番底の部分)から上に最大550mmまでとする、という条項が加えられた。
このレギュレーション変更は、Tボーンクラッシュ(Tの字のように1台のマシンの横っ腹にもう一台がマシン先端から突っ込むクラッシュのこと)の時に、ノーズの先端の位置が高いと、横っ腹に当てられた方のドライバーにノーズが突き刺さる危険性があるとして、ノーズの高さを制限することが目的だった。
ただ、モノコック前端の高さ(ドライバーの足先のちょっと前あたり)は、従来どおりリファレンスプレーン(マシンの一番底の部分)から上に625mmまでなので、モノコック前端から前方150mmまでの間に550mmまでに75mmも高さを落とさなければならないため、モノコックとノーズの間に大きな段差がある、非常に不恰好なマシンになったのだ。
漫画などで硬い物にぶつかった後のようなこの不細工なノーズ、今見てもひどい絵面だぜ!
この恐ろしく不恰好なマシンの見た目に危惧したFIAは、翌2013年に空力面のアドバンテージがなく、安全性にも問題ない範囲であれば、バニティパネル(化粧板)を付けて段差を隠すことが認められている。
きっとFIAはこんなマシンになるとは考えていなかったのだろう・・・。
ちなみに全12チーム中11チームが段付きノーズを採用したが、マクラーレンMP4-27だけは不細工なノーズを嫌ったのか、それとも空力面での優位性を考えてか、モノコック自体を低く設計して段差の無いフラットで自然なノーズとした。
ノーズが天狗?アリクイの鼻?男性器?(2014年)
2014年のレギュレーション変更で、ノーズの先端から50mm後方の断面中心の高さを従来の500mmから185mmに大幅に引き下げ、またノーズ先端はフロントタイヤの車軸よりも前方750mmから1200mmに位置し、ノーズ先端から50mm後方の断面積が9000平方mm以上とした・・・が、私はイマイチ分からない複雑なレギュレーションだ。
まあ結果からすると、ノーズ先端がアリクイの鼻ような細長い棒状がくっついたひどい見た目のマシンが続出した。
マクラーレンMP4-29、ウィリアムズFW36、フォースインディアVJM07など・・・。
そして極め付けは小林可夢偉選手が乗ったケータハムCT05・・・
コレ、完全に男性のアレですな・・・。
最後に
今回はF1の見た目を酷くした改悪レギュレーションとして、4回のレギュレーション変更を紹介してみた。
『速いマシンはカッコいい』というF1界では有名な言葉があるが、私としてはカッコ悪いマシンは速くてもカッコ悪いのだと思う。
その点、バーニー・エクレストンからF1を引き継いだリバティメディアは、映像映えするレギュレーション変更には一定の理解があるの考えられ、2022年からの大幅な車体レギュレーション変更も、今のところF1ファンに受け入れられているように思える。
F1は見た目もファンを引きつける大きなファクターだと思うので、今後もデザイン性も十分に考慮してレギュレーションを策定してもらいたいものだ。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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