世界のフォーミュラカーレースで、もっともエンジン(パワーユニット)の出力が高いのはどのカテゴリーのマシンなのか?
もちろんトップはモータースポーツの最高峰であるF1マシンだ。
では、その次に来るのは日本のスーパーフォーミュラか、それともFIA-F2?はたまたアメリカのインディカーなのか?
そこで今回は世界の6つの主要フォーミュラカーのエンジン出力を、ランキング形式で発表してみたいと思う。
では、行ってみよう!
【第6位】FIA-フォーミュラE
約340馬力(レース時約270馬力)
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
---|---|---|---|
無し | 無し | 無し | あり |
内燃機関ではなく電気モーターのみで争われるフォーミュラEは、2018-2019シーズンからバッテリーが見直され、最大出力は約340馬力(レースでは約270馬力)だ。
この数値は、モータースポーツの最高峰であるF1マシンに搭載されている電気モーターよりも大パワー。
だが、内燃機関を含めると世界の主要フォーミュラの中ではもっとも低出力で、新しくなったF3マシンをも下回っている。
しかし、今後カーボンニュートラルにシフトしていく自動車産業の中で、このカテゴリーへの注目はさらに高まると予想されており、その馬力性能も飛躍的に上昇するだろう。
【第5位】FIA-F3
約380馬力
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
---|---|---|---|
3.4L | V型6気筒 | 無し | 無し |
3.4LのV型6気筒エンジンから繰り出されるFIA-F3マシンの出力は約380馬力と相当なもので、2.0L4気筒で争われた以前のF3マシンのエンジン出力が約210馬力だったことを考えると、かなりの出力向上だ。
エンジン製造は後述するFIA-F2と同様にメカクロームのワンメイクになっている。
【第4位】スーパーフォーミュラ
約550馬力
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
---|---|---|---|
2.0L | 直列4気筒 | シングルターボ | 無し |
スーパーフォーミュラのエンジン出力は約550馬力。
ラップタイムではFIA-F2を凌ぐカテゴリーと言われている日本のスーパーフォーミュラだが、こと馬力に関しては世界第4位のフォーミュラカーだ。
2.0L直列4気筒シングルターボのエンジンは基本設計をスーパーGTと同一のものとし、NRE(Nippon Race Engine)と呼ばれている。
製造はホンダとトヨタが担当しており、各メーカーによりエンジンのパワーカーブに多少の違いがあるとされている。
【第3位】FIA-F2
約620馬力
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
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3.4L | V型6気筒 | シングルターボ | 無し |
FIA-F2のエンジン出力は約620馬力。
F1直下のカテゴリーであるFIA-F2は、全フォーミュラカテゴリー中第3位と、意外にも馬力面ではF1の直下ではなかった。
約620馬力でも相当の出力だが、大排気量の3.4Lにシングルターボで武装されるためもっと馬力が出るのではと思われるが、ドライバーが主体のカテゴリーのため、エンジンブロー回避を目的に性能はある程度抑えられている。
エンジンメーカーはFIA-F3と同様にメカクロームのワンメイク。
【第2位】インディカー
約700馬力(オーバル約550馬力)
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
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2.2L | 6気筒以下 | ツインターボ | 無し |
アメ車といえば、高排気量のNA V8で爆発的な馬力とトルクのマシンを想像するが、アメリカンオープンホイールのインディカーは意外にも排気量が2.2Lの6気筒と控えめ。
だがこのエンジンは、アメ車らしからぬツインターボが装着される。
主要フォーミュラカテゴリーでは唯一となるツインターボ装着のエンジンは、約700馬力の大パワーを発生する。
しかしこれはロードコースやストリートコースでの馬力で、オーバルでの最高出力は約550馬力に制限される。
供給するエンジンメーカーはホンダとシボレーの2社。
【第1位】F1
約1000馬力(エンジン単体700-800馬力)
排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター |
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1.6L | V型6気筒 | シングルターボ | あり |
フォーミュラカーでもっとも出力が高いのはもちろんF1で、エンジン単体で約700-800馬力。それに電気モーターが加わり、総出力は驚異の1000馬力。
エンジンの排気量はコンパクトカー並みの1.6Lで、それにシングルターボを装着して約700-800馬力とは・・・さすがF1エンジンだ。
だが、規制が少なかった1980年代の1.5Lターボ時代は予選で1500馬力も発生したと言われており、現代F1ではこれでもレギュレーションでかなり抑えられているのだ。
ではなぜ、これほどまでに他のカテゴリーと馬力の差があるのか?
F1は開発費が他のカテゴリーとは格段に違い、世界のトップ自動車メーカーが極限の中で凌ぎを削っているからだ。
そのエンジンとともに2014年からは電気モーターの開発も凄まじく、モーター単体でも200馬力以上を発生させている。
さすがF1、他のカテゴリーとはレベルが違う。
現在F1にパワーユニットを供給するのはメルセデス、ホンダ、ルノー、フェラーリの4社。
まとめ
今回は、F1、FIA-F2、FIA-F3、フォーミュラE、インディカー、スーパーフォーミュラという世界の6つの主要フォーミュラカーのエンジン出力を比べてみたが、結果は以下のとおり。
順位 | カテゴリー | 排気量 | 気筒数 | 過給機 | 電気モーター | 馬力 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | F1 | 1.6L | V型6気筒 | シングルターボ | あり | 約1000馬力(エンジン単体700-800馬力) |
2 | インディカーシリーズ | 2.2L | 6気筒以下 | ツインターボ | 無し | 約700馬力(オーバル約550馬力) |
3 | FIA-F2 | 3.4L | V型6気筒 | シングルターボ | 無し | 約620馬力 |
4 | スーパーフォーミュラ | 2.0L | 直列4気筒 | シングルターボ | 無し | 約550馬力 |
5 | FIA-F3 | 3.4L | V型6気筒 | 無し | 無し | 約380馬力 |
6 | FIAフォーミュラE | 無し | 無し | 無し | あり | 約340馬力(レース時約270馬力) |
もちろんF1がもっとも高出力だが、それに次ぐパワーを持つフォーミュラマシンはインディカーで、エンジン単体ではF1エンジンに迫る馬力であった。
とは言っても、排気量を考えるとF1エンジンは凄まじく、圧倒的な予算とメーカーの威信をかけた開発競争ゆえの結果だった。
我が国が誇るスーパーフォーミュラは、世界有数のフォーミュラカテゴリーの中で第4位とまずまずの結果だったが、マシンの基本コンポーネンツを共有するFIA-F2に対して、エンジンパワーでは負けているのは残念だ。
FIA-F2にエンジンを供給するメカクロームはレースエンジン製造を主とする会社で、対するスーパーフォーミュラに供給するホンダやトヨタは一般自動車メーカーで、レースエンジンの技術力ではメカクロームの方が上なのか?
いや、技術力ではホンダやトヨタも負けていないはず。排気量が同一ならば、メカクロームの性能を上回るエンジンを製造できるだろう。
ぜひ今後スーパーフォーミュラには、排気量をはじめとしてFIA-F2を上回る出力を発生できるレギュレーションになることを期待したい。
ということで今回は以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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