FIA-F4はプロレーシングドライバーへの登竜門。
現在活躍する日本人トップドライバーの多くもFIA-F4で素晴らしい成績を残し、その後スーパーフォーミュラライツを経て、プロドライバーになりました。
主にスーパーGTのサポートレースとして行われるFIA-F4ですが、私たちモータースポーツは、無名の彼らの中で誰がプロドライバーとして活躍するのか想いを馳せながら、そのサポートレースを観戦し撮影します。
そして数年後に写真を見返すと、あっ!この前スーパーフォーミュラで優勝したあの若手も参戦していたの!? と、驚きと喜びを感じるのです。
今日も2017年のゴールデンウィークに開催されたスーパーGTの前座で行われたFIA-F4の写真を見返すと、スーパーフォーミュラやスーパーGT、そしてF1やFIA-F2で活躍する面々に驚きました。
ということで、現在国内外で活躍するドライバーの無名時代を写真とともに振り返ってみたいと思います。
角田裕毅

まず、最初に紹介するのが現在F1のトップチーム、レッドブルドライバーとして活躍する角田裕毅選手です。
現在、世界のモータースポーツファンならば知らぬものはいない角田選手も、当時はほぼ無名。個人的にはよく撮っていたなぁ、と、ちょっと感動。
ホンダワークスのフォーミュラドリームプロジェクト(HFDP)に所属しているので、当時から期待はされていたのでしょうが、カーナンバー5から8まで4台参戦するHFDPの中で、一番大きい8を使用しています。
この理由はギリギリでシートを獲得できたから。
角田裕毅選手はスカラシップ最終選考で落選(合格者は大湯都史樹選手と笹原右京選手)してしまうも、当時の中嶋悟校長が推薦してこの年のシートを掴んだから、ワークスの中で一番大きなカーナンバーを付けているのです。
私の撮影した第2ラウンド(第3-4戦)は11位と5位という、ワークス勢の中では下位を走っていたため1枚しか撮影していませんでしたが、大切な写真になりました。
- 2017年:FIA-F4 ランキング3位
- 2018年:FIA-F4 シリーズチャンピオン
- 2019年:FIA-F3 ランキング9位
- 2020年:FIA-F2 ランキング3位
- 2021年:F1(アルファタウリ) シリーズ14位
- 2022年:F1(アルファタウリ) シリーズ17位
- 2023年:F1(アルファタウリ) シリーズ14位
- 2024年:F1(RB) シリーズ12位
- 2025年:F1(レーシングブルズ→レッドブル)
宮田莉朋

次に紹介するのが宮田莉朋選手です。
宮田莉朋選手といえば、2023年にスーパーフォーミュラとスーパーGTの国内2大カテゴリーを制覇して渡欧し、F1直下のFIA F2に参戦する日本を代表するレーシングドライバーですが、そんな彼もこの頃はまだまだ無名。
ただ、カーナンバー1のトムスに乗っていることから、当時すでに業界では名を知られていたことでしょう。

私が訪れた第3戦と第4戦ではともに優勝し、表彰台の下で両手を突き上げていました。
そしてこのシーズンはFIA-F4のチャンピオンを獲得し、その後国内のトップレーサーになり、ヨーロッパに羽ばたくのでした。
- 2017年:FIA-F4 シリーズチャンピオン
- 2018年:全日本F3 シリーズ2位
- 2019年:全日本F3 シリーズ2位
- 2020年:スーパーフォーミュラライツ シリーズチャンピオン / スーパーフォーミュラスポット参戦
- 2021年:スーパーフォーミュラ シリーズ10位 / スーパーGT GT500 シリーズ11位
- 2022年:スーパーフォーミュラ シリーズ4位 / スーパーGT シリーズ6位
- 2023年:スーパーフォーミュラ シリーズチャンピオン / スーパーGT シリーズチャンピオン
- 2024年:FIA-F2 シリーズ19位
- 2025年:FIA-F2
大湯都史樹

現在スーパーGTとスーパーフォーミュラの国内2大カテゴリーで活躍し、闘志が前面に出たドライビングと、不思議ちゃんキャラで大人気の大湯都史樹選手。
そんな彼も2017年の FIA-F4にホンダレーシングのHFDPから参戦していました。

カーナンバー5から8を使用するHFDPの中で、大湯都史樹選手はその筆頭である5を使用していることからも分かるとおり、前述する角田裕毅選手を差し置いて鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS-F)を首席で卒業。この頃からすでに将来を嘱望されていました。
このレースでも2日続けて2位表彰台を獲得。このシーズンは3度の優勝を含む7度の表彰台を獲得するも、現在同様にリタイヤも多く、シーズン4位に終わりました。
その後は全日本F3を経て、スーパーフォーミュラとスーパーGT GT500クラスに参戦しますが、2024年に長年所属したホンダを離れ、トヨタ系ドライバーに転身しています。
- 2017年:FIA-F4 シリーズ4位
- 2018年:全日本F3 シリーズ6位
- 2019年:全日本F3 シリーズ4位
- 2020年:スーパーフォーミュラ シリーズ6位
- 2021年:スーパーフォーミュラ シリーズ5位 / スーパーGT GT500 シリーズ16位
- 2022年:スーパーフォーミュラ シリーズ8位 / スーパーGT GT500 シリーズ14位
- 2023年:スーパーフォーミュラ シリーズ9位 / スーパーGT GT500 シリーズ8位
- 2024年:スーパーフォーミュラ シリーズ9位 / スーパーGT GT500 シリーズ4位
- 2025年:スーパーフォーミュラ / スーパーGT GT500
笹原右京

2025年は名門トムスのドライバーとしてスーパーGT GT500クラスに参戦する笹原右京選手も、この年のFIA-F4に参戦していました。
前年に大湯都史樹選手に次ぐ次席でホンダのスカラシップを獲得した笹原選手は、ホンダワークスのHFDPのシートを獲得し、このレースでは3位表彰台を獲得。
シーズンを通して安定したレースをするも、最後のもてぎ戦で宮田莉朋選手に逆転を許し、7ポイント差でシリーズ2位に終わります。
その翌年にアジアンF3でシリーズチャンピオンを獲得し、2020年からスーパーフォーミュラやスーパーGT GT500クラスで活躍するドライバーになりました。
尚、同期の大湯都史樹選手と同様に笹原右京選手も2024年にホンダを離れ、トヨタ系チームに移籍しています。
- 2017年:FIA-F4 シリーズ2位
- 2018年:全日本F3 シリーズ3位
- 2019年:アジアF3 シリーズチャンピオン
- 2020年:スーパーフォーミュラ シリーズ18位 / スーパーGT GT500 シリーズ15位
- 2021年:スーパーフォーミュラ スポット参戦 シリーズ12位 / スーパーGT GT500 シリーズ16位
- 2022年:スーパーフォーミュラ シリーズ6位 / スーパーGT GT500 シリーズ14位
- 2023年:スーパーフォーミュラ スポット参戦 / スーパーGT GT500 シリーズ15位
- 2024年:スーパーフォーミュラ シリーズ / スーパーGT GT500 シリーズ5位
- 2025年:スーパーGT GT500
最後に




その他の有力ドライバーとしては、2023年のスーパーGT GT300クラスのチャンピオンを獲得した川合孝汰選手や、兄弟でGT300クラスに参戦する平木玲次 湧也選手、菅波冬悟選手なども参戦していました。

また、2022年のフォーミュラリージョナル(旧F3規格)で、FIA公認の男女混合シングルシーター初の女性チャンピオンになった小山美姫選手も参戦。
毎年多くの有望な若手ドライバーが参戦するFIA-F4ですが、特に2017年シーズンは選手層が厚かったシーズンでした。
今シーズンもスーパーGTのサポートレースとして開催するFIA-F4。参戦するドライバーの中には、次代を担うレーシングドライバーがきっといるはず。
ぜひ、スーパーGTを観戦の際にはFIA-F4にも注目してもらいたいと思います!
以上、最後までご覧いただきましてありがとうございました。